国土交通省「輸入ニートSAFモデル実証事業」への参画について
日本初となるニートSAFの輸入と国内でのジェット燃料混合サプライチェーンの構築
2022年11月1日
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、国土交通省航空局が進める「輸入ニートSAFモデル実証事業(本事業)」におけるSAF供給事業者として参画します。本事業では、国内おいて初めてニートSAFを伊藤忠商事がNeste OYJ社(本社:フィンランド、CEO:Matti Lehmus、以下「Neste社」)より輸入し、富士石油株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:山本 重人、以下「富士石油」)と協力しジェット燃料と混合したSAFを製造します。国内で混合されたSAFは一部数量を中部国際空港へ搬入し、国土交通省航空局が所有する飛行検査機へ供給致します。ニートSAFの輸入は1月頃を予定しており、その後混合SAFを製造、2月頃に中部国際空港に搬入される予定です。
国際民間航空機関(ICAO)総会において、航空機が排出するCO2を50年までに実質ゼロとする目標を掲げており、24年以降は19年比で排出量を15%削減もしくはオフセットすることが求められるなど航空業界に於ける脱炭素化の動きはより一層加速して今後は国内においてもSAFの流通量が増えることが見込まれています。
現在SAFは欧州を中心に生産され量も限定的です。国内におけるSAF安定供給実現のために、官民での協力体制のもと、中長期的な国産SAFの商用規模生産とともに、輸入SAFの国内でのサプライチェーン拡充が重要と位置付けられています。
現在航空機に供給されるSAFは、国際規格である「ASTM D7566及びD1655」により、化石由来のジェット燃料にニートSAFを一定割合混合する必要があり※、伊藤忠商事は、これまで海外で混合されたSAFを輸入・供給してまいりました。本事業において日本で初めてニートSAFを輸入し、国内で化石由来のジェット燃料と混合、空港に輸送するまでのサプライチェーンを構築することで、ニートSAFの国内での取り扱いのノウハウを確立し、輸入SAF及び将来的な国産SAFの商用化に向けた早期の基盤整備にもつなげていく方針です。
伊藤忠商事はすでにSAFの供給拠点として羽田空港及び成田国際空港にてSAF輸入・品質管理から空港搬入までの国内サプライチェーンの構築や航空機自体への給油網の整備を行っており、本事業に伴う中部国際空港の整備に加えて、今後は関西国際空港等にも広げ、国内外の航空会社向けにSAFの供給を拡大していく予定です。
Neste社は世界最大のリニューアブル燃料メーカーとして、SAFの世界展開を拡大しています。シンガポール工場の拡張、およびオランダ工場の改修により、全世界における生産量は2023年末までに150万トン/年、2026年上期までに220万トン/年の規模となる予定です。伊藤忠商事はNeste社と2022年2月にBranded Distribution Marketing Agreementを締結しており、本パートナーシップに基づきSAFの日本国内の安定供給に取り組んでまいります。
富士石油は、1968年に袖ケ浦製油所の操業を開始し、それ以来一貫して石油精製と石油製品販売などを手掛けています。中期事業計画においては、基本方針として「石油精製事業の更なる基盤強化」と「脱炭素社会に向けた取組強化」を掲げており、SAFを含む次世代バイオ燃料の導入など、脱炭素ビジネスに関する取組を継続しています。
伊藤忠商事は、中期経営計画の基本方針のひとつに「『SDGs』への貢献・取組強化」を掲げており、今後も有力パートナー企業とのリニューアブル燃料の普及を通じて、循環型社会の実現に向けて貢献してまいります。
-
※ニートSAFは、バイオマス原料等を基に製造されたジェット燃料であり、化石由来のジェット燃料に一定割合を混合した上で、航空機に搭載する必要があります。ニートSAFは、原料及び製造方法により、化石由来のジェット燃料と混合することが可能な量の上限が定められており、Neste社製造SAFは50%まで混合することが可能です。
ニートSAF及び混合後のSAFは、SAFの国際規格であるASTM D7566及びJET燃料の国際規格であるASTM D1655への適合を確認することが必要です。
輸入ニートSAFモデル実証事業イメージ
|