セルビア共和国ベオグラード市PPP(官民連携)廃棄物処理・発電事業がゴールドスタンダードからカーボンクレジットの認証を取得
2022年11月8日
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)が、水・環境インフラ大手のヴェオリア社(仏)、再生可能エネルギー分野に実績のある欧州の投資ファンド・マルガリータファンド社と共に合弁で設立したベオグラード廃棄物処理・発電PPPプロジェクト(以下「本事業」)の事業運営会社「BEO ČISTA ENERGIJA.社(以下「BCE」)」は、この度スイスの国際認証機関であるGold Standardより、本事業の温室効果ガス(以下「GHG」)削減に対するカーボンクレジット(以下「クレジット」)の認証を取得しました。これは廃棄物処理発電事業を含む事業として初めてとなるクレジット認証であり、セルビア共和国においても初めてのケースとなりました。
ボランタリーカーボン市場は、近年活用が急拡大し注目を集めている民間主導のGHG排出オフセットへの取組で、Gold Standardはその市場においてGHG削減クレジットの効果・品質を保証する世界最大の国際認証機関の一つです。地域の雇用や生物多様性など様々なSDGs(持続可能な開発目標)に大きく貢献し高品質のクレジットを生み出す事を、厳しい審査を経て保証するものであり、本事業を通じたGHG削減量は、高品質のクレジットとしてボランタリーカーボン市場での売却が可能となります。本事業は、事業そのものによる環境・社会への貢献に加えて、高品質なクレジットを創出する事で、世界的な脱炭素社会実現への流れを、今後更に後押ししてゆくことになります。
本事業は、セルビア共和国の首都ベオグラード市において、同国初となる最新の統合型廃棄物管理システムを導入するもので、同国最大の環境・社会問題を解決することが期待されています。これまで約45年にわたり合計約9000万トン(CO2換算)のGHGを排出、下流5カ国に跨るドナウ川及び周辺環境の汚染の主原因である既存のVinča(ヴィンチャ)廃棄物最終処分場を閉鎖し緑地化すると共に、首都ベオグラードの最大10%の家庭に、廃棄物由来のクリーンな電力及び熱の供給を行います。本事業は年間平均21万トン(CO2換算)のGHG削減の達成に加えて、多くのSDGsの目標達成に貢献、また同国に建設廃棄物のリサイクルマーケットも創出します。
伊藤忠商事は中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針の一つとして「『SDGs』への貢献・取組強化」を掲げており、特に水関連・廃棄物処理関連ビジネスに注力しています。現在、英国において4件の廃棄物処理発電PPP事業投資を行っており、同国の廃棄物焼却処理市場の15%にあたる年間130万トンの廃棄物を焼却処理、16万世帯分の国内家庭消費電力に相当する電力を供給しています。また、2020年11月からサウジアラビア ジュベイル工業都市において工業系廃棄物処理事業へ参画、2021年3月からはドバイ首長国にて世界最大級の廃棄物処理発電事業にも参画しております。このように伊藤忠商事は、ESG先進企業として脱炭素社会・持続可能な地域社会の実現、地球環境への負荷軽減に向けて、今後も貢献してまいります。
建設中(一部サービス開始中)のヴィンチャリソースリカバリーセンター
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ベオグラード廃棄物処理・発電PPP事業プロジェクト概要
事業用地 | セルビア共和国ベオグラード市Vinča(同市中心部から約15km) |
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事業内容 | 1. 廃棄物処理発電施設(処理容量年間34万トン)および付帯設備の新設・運営 2. 廃棄物埋立メタンガス回収・発電設備、送電設備 3. 建設廃材処理リサイクル施設(処理容量年間20万トン)の新設・運営とリサイクルマーケット創出 4. 既存Vinča埋立場の閉鎖処理・緑地化 5. 新規管理型最終処分場(7百万m3)および付帯設備の新設・運営 6. 汚染水処理施設 |
事業運営期間 | 25年 |
事業主体 | Beo Čista Energija d.o.o. |
出資比率 | I-Environment Investments Ltd.(伊藤忠商事100%子会社) : 40% ヴェオリア社(※旧スエズ) : 40% マルガリータファンド : 20% |
契約先 | PPP契約 : ベオグラード市 売電契約 : セルビア国営電力公社 売熱契約 : ベオグラード市営公益事業公社 *民間事業者に対してリサイクル素材売却事業も実施 |
- ※2022年のヴェオリアによるスエズ買収・統合を経て、スエズ事業はヴェオリアに引継がれた。