サウジアラビア王国における次世代海水淡水化プラント事業 ENOWA社・ヴェオリア社(仏)との共同開発契約締結について
2022年12月22日
伊藤忠商事株式会社(代表取締役社長COO:石井 敬太、本社:東京都港区、以下「伊藤忠商事」)は、サウジアラビア政府が推進するギガプロジェクト「NEOM」での次世代海水淡水化プラント建設に向けて、NEOM子会社のENOWA社、フランスの環境サービス大手のVeolia社(本社:パリ、以下「ヴェオリア社」)と共同開発契約(Joint Development Agreement)を締結いたしました。今年6月に締結された覚書(Memorandum of Understanding)に続き、今後三社は海水淡水化事業(以下「本事業」)に係るプロジェクト契約締結に向けて検討を加速してまいります。
NEOMは世界最大規模の次世代都市構想であり、同国の掲げる『サウジビジョン2030』の基幹事業です。サウジアラビアの北西部タブーク州に巨大な先進都市を建設するもので、エネルギー源は100%再生可能エネルギーで賄われます。同国政府はこのNEOM事業に約5,000億ドルの投資をすることを発表しています。
本事業はNEOM事業の基幹インフラとして位置付けられており、日量50万トンの淡水を供給すると共に、下流に建設されるブライン処理設備(本事業とは別スコープ)へ高濃度塩水(ブライン)を供給します。このブライン処理設備でのプロセスにより、通常の海水淡水化後に行われているブラインの海中排水を行わず、ブラインから塩や鉱物等を抽出・精製することで、更なる資源の有効活用を可能とし、世界初のゼロ・リキッド・ディスチャージ(完全無排水)を実現します。
伊藤忠商事は中期経営計画の基本方針のひとつに「『SDGs』への貢献・取組強化」を掲げ、地球規模の生物多様性を含む地球環境問題を、経営の最重要課題のひとつとしています。本事業の実現は、この課題解決に寄与するものであることに加え、サウジアラビア王国およびNEOMの定める持続可能な社会の実現の達成にも資するものです。
伊藤忠商事は、サウジアラビアにて、1970年代よりこれまで延べ日量100万トン超の海水淡水化プラントの納入実績があり、また2010年には、同国の現地資本、東洋紡㈱と共に海水淡水化用逆浸透膜エレメントを製造・販売する合弁会社Arabian Japanese Membrane Company, LLCを設立し、同国における海水淡水化案件を側面支援しております。サウジアラビア以外でも、豪州ヴィクトリア州、オマーン北部バルカにて、海水淡水化事業に取り組んでおり、欧州を起点とする環境・廃棄物事業も含め、重点分野と位置付ける水・環境関連ビジネスを今後さらに拡大し、世界が直面している水問題の解決に向けて貢献してまいります。
案件概要
客先 | ENOWA社(NEOMの水・エネルギーセクター子会社) |
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造水容量 | 50万トン/日 |
出資構成 | ENOWA社、伊藤忠商事、ヴェオリア社(仏) |
プラント建設開始(目標) | 2023年中 |
造水開始(目標) | 2024年~2025年中 |
プロジェクトサイト | サウジアラビア北西部タブーク州 NEOM面積:26,500㎞2(ベルギーの国土に匹敵) |
<NEOM (ENOWA) ウェブサイト>
www.neom.com
www.neom.com/en-us/newsroom
<ヴェオリア社ウェブサイト>
https://www.veolia.com/en