株式会社レゾナックとの使用済みプラスチック・繊維循環における共同検討に関する覚書締結について

2023年3月29日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井敬太、以下「伊藤忠商事」)は株式会社レゾナック(本社:東京都港区、代表取締役社長:髙橋秀仁、以下「レゾナック」)と、レゾナック川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクルプラント(川崎プラスチックリサイクル、以下「KPR」)※1を活用した、使用済みプラスチック・繊維の循環事業推進を目的とした共同検討に関する覚書を締結しました。まずは、伊藤忠商事がレゾナックの協力のもと展開する循環型プロジェクト「ARChemia(アルケミア)プロジェクト」において、使用済みプラスチック・繊維を混合したリサイクル固形原料RPAF※2をレゾナックに供給し低炭素アンモニアなどの化学製品に生まれ変わらせることで、廃棄物の社会課題を解決すると共に、循環型社会の実現に貢献していきます。

昨今、温室効果ガスによる気候変動が地球規模の課題となるなど、サステナビリティに対する意識が高まっており、国内外で使い捨てプラスチック問題への対策が急がれています。日本では、プラスチックごみの86%がリサイクルされているものの、そのうち63%は「サーマルリカバリー」と呼ばれる熱回収型に頼っており、新たな資源としての循環利用はできていません。また、繊維産業においては、衣料品の大量廃棄が課題となっており、資源循環の仕組みの確立などが求められています。

レゾナックは2003年より使用済みプラスチックをガス化し、水素などにリサイクルするKPRの操業を開始しました。KPRで取り出した水素を原料に製造する低炭素アンモニアは、使用済みプラスチックを原料とし、製造過程でも化石燃料由来のエネルギーを使わないことで「CO2排出80%強削減」※3を実現してきました。一方で、アンモニア製造の工程で一部天然ガス由来の水素も併せて使用していることが課題でした。

この度の共同検討において、循環型プロジェクト「ARChemiaプロジェクト」を立ち上げ、伊藤忠商事は使用済みプラスチックと使用済み繊維を混合したリサイクル固形原料RPAFにより、原料を100%廃棄物由来に置き換えることを支援します。伊藤忠商事の化学品及び繊維分野における幅広いネットワークを活用し、使用済みプラスチックや使用済み衣料品の回収から中間加工業者とのRPAF製造における協業を進めていきます。

昨年12月には、株式会社ユニコ(伊藤忠商事の100%子会社、以下「ユニコ」)と実証実験をおこなったところ、ユニコが取り扱う複数種の使用済みユニフォームを活用したRPAFが低炭素アンモニアの原料として利用できることを確認しました。

今後、RPAFの供給にとどまらず、出口戦略において、レゾナックとの協業を推進してまいります。これまで伊藤忠商事としては、化学品領域における環境関連事業として、国際認証を活用したバイオマスプラスチックの展開や各種化学品のリサイクル案件の構築をパートナー企業と行ってまいりました。レゾナックとの本取組は一連の環境関連事業の中でも重要な位置づけと考えており、廃棄物の回収・活用に加えて、環境付加価値の高い同プラントの低炭素アンモニアなどの化学製品販売にも協力して参ります。また、回収廃棄物は他の用途での有効活用も視野に考えており、「ARChemia プロジェクト」を通じてさまざまなパートナー企業との提携を検討します。

伊藤忠商事は中期経営計画の基本方針として、「『SDGs』への貢献と取組強化」を掲げており、レゾナック及び「ARChemia プロジェクト」に参画いただけるパートナー企業と使用済みプラスチック・衣料品の回収・リサイクルなどを通じて、循環型社会の実現に貢献してまいります。

  • ※1川崎プラスチックリサイクル KPR
    家庭や企業から排出される使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出しています。ここで取り出された水素は主に低炭素アンモニアの原料になり、一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社の株式会社レゾナック・ガスプロダクツにおいてドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用するなど、資源循環を実現しています。なお、KPRは、ガス化ケミカルリサイクルを20年近く長期にわたって安定運転している世界で唯一のプラントです。
  • ※2RPAF  Refuse derived Plastics paper and Apparel densified Feedstock
    使用済みプラスチック、古紙及び使用済み繊維を主原料とし、発生カロリーを調整したガス化ケミカルリサイクル向けの固形原料。
  • ※32022年12月20日 レゾナック プレスリリース
    「CO2排出量80%強削減を確認、使用済みプラスチックから生まれた低炭素アンモニア」
    ~第三者機関の裏付けのある環境性能に優れたアンモニア~

「ARChemia プロジェクト」ロゴ

「ARChemia プロジェクト」概要