2024年 社長COO年頭挨拶

2024年1月4日

本日、東京本社にて新年祝賀式が開催されました。当社社長COO石井敬太による社員向け「2024年年頭挨拶」につき下記の通りお知らせいたします。

皆さん、明けましておめでとうございます。

まず初めに、元日に石川県能登地方で発生した「令和6年能登半島地震」につきまして、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、北陸のファミリーマートを含む被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて、新年のスタートにあたり、全世界の伊藤忠グループの皆さんに、私から一言ご挨拶を申し上げます。

足元の経済を見渡しますと、米国における金融引き締めは終わりを迎えつつあり、FRBは現時点で年3回の利下げを示唆しています。一方で、日本では昨年就任した日銀の植田総裁が、マイナス金利解除のタイミングを模索しており、今後は日米金利差の縮小が見込まれ、過度な円安は是正されていくと予想されます。デフレ経済やゼロ金利に慣れきってしまっている我々は、逸早くこの感覚から脱し、「金利のある世界」の意識を強く持つ必要があります。

また今年は、多くの国や地域で大統領選挙や総選挙が予定される「選挙イヤー」であり、こちらの結果も今後の世界経済に大きな影響を与えるものと考えています。1月の台湾総統選挙を皮切りに、インドネシア、ロシア、韓国、インド、メキシコ、欧州議会選挙と続き、11月には全世界が注目する米国大統領選挙が予定されています。特に、この米国の結果次第では、地政学問題に対する取組方針や、中国との関係、中東への関与、脱炭素への取組姿勢など、その後の世界の方向性が大きく変わる可能性があります。仮にトランプ氏が勝利した場合は米国最優先の保護主義やディール外交、米国単独での対中規制の急進化等が懸念されます。中国を絡めた既存のサプライチェーンが突如機能しなくなることも想定される中、他のサプライソースの確保やコンティンジェンシープランの策定など、変化を的確に予測して周到に備えていくことが求められます。

このような状況下、当社の中期経営計画「Brand-new Deal 2023」もいよいよ最終コーナーに入りました。当初の目標であった連結純利益6,000億円を初年度に早々に達成したことで、目線は既に、3期連続となる8,000億円の達成による8,000億円台の収益ステージの確立へと移っています。現中計はコロナ禍に始まり、多くの行動制限を受け、コロナ収束後もロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の乱高下やサプライチェーンの分断、世界的なインフレ、中国経済の長期停滞、イスラエルとイスラム組織ハマスの対立など、経営環境は混迷を極めてきました。しかしながら、環境が大きく変化する中でも、当社は着実に収益を積み上げてきました。資源収益に過度に依存しない景気変動耐性のある当社の収益基盤は、市場から高く評価されており、今後の成長期待も含め確り株価にも反映されています。私は、この伊藤忠の底堅い収益基盤の背景には、2つの原動力があると考えています。

まず一つ目は、カンパニーおよび事業会社の確かな成長力です。この中計期間中、2021年度には住生活と情報・金融が、2022年度には機械、金属、エネ化が最高益を更新しました。そして、事業会社についても、上期実績において232社中67社が最高益を更新し、黒字会社比率は84.1%と高水準を維持するなど、確かな成長を示しており、改めて伊藤忠グループの結束力と経営幹部のリーダーシップ、更には社員全員の飽くなき向上心とチャレンジ精神が当社の成長の源であると感じております。
 
二つ目は、ハンズオン経営と効果的な投資戦略です。デサントやファミリーマート、ほけんの窓口の業績が好調です。これは単に資本を積み増しただけではなく、ハンズオン経営によって確りと自身で現場に入り、地に足の着いた経営改善を実行したからこその結果です。また、近年実行した日立建機の持分投資化や、CTCおよび大建工業の非公開化、還元鉄の原料となる高品位鉄鉱石権益の確保など、来期以降の収益への貢献が期待できる布石も着実に打つことができています。今後も、当社の強みであるグループを含めたハンズオン経営、現場力でより強固な収益基盤の更なる拡充を目指していきたいと考えています。

そして今年度は、非財務面での取組にも注力してきました。各職能部署で具体的な目標を設定し、その強化に取り組んだ結果、商社トップの外部評価を次々と獲得しています。まず就職人気企業ランキングですが、2024年卒業の学生を対象にしたものは、主要7媒体全てで4年連続商社1位、うち4媒体で2年連続全業種1位となりました。また、最新の2025年卒業のランキングでも、既に発表のあった3媒体全てで商社1位、全業種1位を獲得しています。

IR関連では、最重要と位置付けていたWICIジャパンによる「統合リポート・アウォード2023」において、4年連続となるGold Awardを受賞するとともに、その中でも抜きんでた評価を受け、唯一のThe Best Gold Awardにも選ばれました。また、重要な3つのIRサイト関連表彰においても、2つで全業種最高評価、残る1つも全業種2位と極めて高い評価を獲得しています。ESG関連では、ブロードバンドセキュリティによる「Gomez ESGサイトランキング」で3年連続最優秀賞を獲得するとともに、「大和インターネットIR表彰」のサステナビリティ部門でも、昨年度は三井物産の後塵を拝しましたが、今年度は全業種1位となる最優秀賞を獲得しました。その他、日経新聞による「弁護士が選ぶ『法務力が高い企業』ランキング」では、昨年の6位から大きく躍進し、初めて全業種1位を獲得するとともに、日経新聞で記事化されて大きな反響を呼ぶなど、当社の非財務面の取組は着実に実績に結びついています。

最後になりますが、今はまさに、今日の常識が明日の常識ではなくなるような激動の時代です。このような時代には、我々の真の実力が問われることになりますが、皆さんには自信を持って頂きたいと思います。当社はこれまで、如何なる環境変化があってもそれを乗り越え、むしろそれをチャンスと捉え、貪欲にビジネスに結び付けることで、2020年度の三冠、現中計期間での連結純利益8,000億円への躍進を遂げた実績があります。経済の風向きや選挙の結果がどちらに振れようとも、これまで実践してきた「商人は水であれ」のごとく、変化を商機と見て機敏に対応していくことを今一度心掛けていきましょう。そして、誰よりも早く現場に行き、生の情報に肌で接するなど、現場主義を改めて徹底することでビジネスチャンスを確実にモノにする「たくましい商人」を目指してほしいと思います。2024年も伊藤忠らしく、お客様の方を向いて足元のビジネスを丁寧に拾い、着実に収益を積み上げ、8,000億円を超える収益ステージに挑戦し、非財務面の強化も継続することで、日本で一番いい会社となるべく、更なる企業価値向上を実現していきましょう。

伊藤忠グループの更なる活躍と商売繁盛、そして世界で活躍する伊藤忠グループの社員とそのご家族のご健康とご多幸を祈念し、私からの新年の挨拶とさせて頂きます。

写真:石井社長 COOが挨拶する様子

写真:伊藤忠東京本社ビル1階のエントランスに飾られた生け花