全国農業協同組合連合会及びTRENDE株式会社とのP2P電力取引の商用サービス開始について

2024年9月6日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、子会社のTRENDE株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:西尾 仁志・妹尾 賢俊、以下「TRENDE」)※1の技術を活用し、全国農業協同組合連合会(代表理事理事長:桑田 義文、以下「JA全農」)と、P2P電力取引※2の商用サービス(以下「本サービス」)を開始いたしました。

伊藤忠商事は、2023年よりJA全農と「スマートアグリコミュニティ」(JAグループ版スマートシティ)構想※3の実現に向けた協業を進めています。本サービスでは、AIによる需給予測やブロックチェーン技術の活用により、各家庭や商業施設に設置された太陽光発電・蓄電設備からの電気を需要家同士で直接取引できるようになります。太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)期間満了を迎えた需要家は、自家の余剰電力の販売・活用機会が増え、また別の需要家は余剰の再生可能エネルギー(以下「再エネ」)由来の電力を直接購入することが可能となることから、再エネを無駄にすることなくコミュニティに巡らせることができます。

2024年3月より群馬県(前橋市・高崎市等)をモデル地区として、太陽光発電が設置されている家庭とスーパーマーケットに、「JAでんき」※4を介したP2P電力取引サービスを開始しました。2024年8月までの取引実績から、すべての参加者に経済的なメリットが出ており、「経済性と環境性を両立させた電力の地産地消」に有効であることも確認しております。なお、現行の法制度に基づき、「JAでんき」を運営するJA全農子会社の全農エネルギー株式会社が、小売電気事業者として需要家間のP2P電力取引を仲介しています。

P2P電力取引はコミュニティの参加者が増えるほど市場全体の経済的メリットが拡大する特長があり、今後はAコープ(スーパーマーケット)やJA-SS(ガソリンスタンド)といったJAグループの各施設に設置されている分散型電源(太陽光発電、蓄電池、EV等)を活用することで本サービスの拡大を目指します。そして、スマートアグリコミュニティ構想で掲げられている「快適で暮らしやすい生活環境の実現」、「農業・ライフライン支援」、「脱炭素社会の実現」に向け、JA全農との共同取組みを更に進めていきます。

伊藤忠商事は本サービスを端緒として、TRENDE社のP2P電力取引技術を用いた取組みを普及させることにより、再エネの有効活用を進め、地球温暖化の防止と循環型社会の形成に貢献していきます。

現在のスキーム図

将来的な地域内エネルギー循環のイメージ図

  • ※1P2P電力取引の技術開発に取り組むTRENDE株式会社の連結子会社化について
    https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2023/230628_2.html
  • ※2P2P(Peer to Peer)電力取引:発電・蓄電設備の保有者(プロシューマ―)と電力の需要家(コンシューマー)が、プラットフォーム上で電力を直接取引するビジネスモデル。
  • ※3全国農業協同組合連合会との、脱炭素ソリューション分野での協業について(2023年3月31日)
    https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2023/230331.html
  • ※4「JAでんき」とは、JAグループの農家組合員の営農・生活コストの削減を図るため、JA全農の子会社である全農エネルギー株式会社が小売電気事業者として提供する電気メニュー。