MCi社との取組における大成建設との協業について

CO2を固定した炭酸カルシウムのコンクリートへの活用を検証

2022年8月15日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:相川 善郎、以下「大成建設」)と、「CO2固定化技術」を有する豪州Mineral Carbonation International社(本社:豪州キャンベラ、CEO & Managing Director:Marcus Dawe、以下「MCi社」)との協業に関する覚書を締結しました。

MCi社は豪州で「CO2固定化技術」を研究・開発するスタートアップ企業であり、製鉄工程で生じるスラグ等の副産物(主に製鋼スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(鉱山での尾鉱:金属や鉱物の回収過程で生じる副産物など)にCO2を固定させ、炭酸塩 (炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等) を製造する技術を有しています。

伊藤忠商事は昨年7月にMCi社に出資し、本技術の日本での展開を通じたCO2削減を目指す中、本技術の普及には炭酸塩の利活用の促進が重要と認識し、様々な用途での活用を検証しています。今般、コンクリート原料としての炭酸塩の活用につき、大成建設とパートナーシップを組んで検証を進めることに合意しました。

大成建設は、独自のコンクリート技術である「T-eConcrete®」シリーズの開発を進めています。そのうち「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、CO2を固定した炭酸塩をコンクリートに練りこみ、CO2をコンクリートに封じ込める技術です。これにより、主要な建設資材であるコンクリートのCO2排出量の削減に大きく貢献します。

このたび、3社の強みを活かし、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」への「MCi社の技術でCO2を固定した炭酸塩」の供給を通じて、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の商業化に向けたMCi社炭酸塩使用可能性の検証・追求により、脱炭素社会の構築に貢献するべく、覚書を締結いたしました。

MCi社の「CO2固定化技術」は豪州国内外で高く評価されており、2021年11月にグラスゴーでのCOP26に合わせて開催された様々な脱炭素技術を有する2,700社以上のスタートアップ企業同士が競うピッチバトルでMCi社が優勝しました。既にパイロットレベルでの実証を済ませており、本技術の更なるスケールアップを図るため、現在、豪州国内で大規模な実証プラントの建設準備を進めています。

伊藤忠商事はMCi社技術の日本国内での展開を図るべく、2021年3月に同社と覚書を締結しました。その後、早期に実用化できる可能性があること、鉄鋼業界・電力業界等からの本技術への関心が非常に高いことを総合的に鑑み、2021年7月、同社への出資に至りました。なお、本出資に伴い、MCi社技術の日本での事業展開については伊藤忠商事が独占的に行うこととなっています。

今後は本覚書におけるバリューチェーンの構築を進めるべく、スラグなどCO2と反応させる原料の安定的な調達、及び日本国内の炭酸塩実証プラント候補地の選定を進めていきます。本技術と日本国内のCO2削減需要とのマッチングを図り、取引先企業のCO2削減課題の解決に寄与します。

<参考>
■豪州MCi社との「CO2固定化技術」の活用に関する協業について (2021年5月6日)
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2021/210506.html

■CO2固定化技術を有する豪州MCi社への出資について (2021年8月25日)
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2021/210825.html

■大成建設のカーボンリサイクル・コンクリート(T-eConcrete®/ Carbon-Recycle)
https://www.taisei.co.jp/T-eConcrete/