健康力向上

睡眠改善プログラム

2025.10

1. 概要

  • 当社は、2016年度に「伊藤忠健康憲章」を採択して以降、健康経営を積極的に推進、社員の健康維持・増進を実施。
  • 朝型勤務と親和性があり、睡眠の質・量が労働生産性の向上に寄与すると考え、2022年度より、睡眠データ・睡眠に関するエビデンス等を収集・蓄積し、国民の健康増進・予防等への貢献を目指す産学協働コンソーシアム「Sleep Innovation Platform(以下SIP)」(最高顧問 兼 理事 柳沢教授)に参画。
  • SIPの活動の一環として、2023年度に参画企業で初めてnishikawaの睡眠改善プログラムを任意希望者736名に実施。脳波測定計測等の結果、約半数に睡眠課題があることが判明し、医療機関での治療等改善に向けた支援を実施。
  • 2024年度には、ストレスチェックを活用して全社員の睡眠課題を確認の上、931名が同プログラムに参加。医療用のSAS(睡眠時無呼吸症候群)検査を組み入れ、SAS傾向の高い100名に対し、会社が改善プログラムを提供。
  • 睡眠改善プログラムの目的は、社員の睡眠状態を可視化し、個々人の状態に応じたサービスの提供を通じて、不眠症、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠課題解決を図ると共に、睡眠課題が少ない社員の睡眠の質も高め、健康力向上・労働生産性向上を図る。

(2025年3月28日SIP運営委員会 垣見人事・総務部長(SIP監事)挨拶)

2. 施策

①睡眠リテラシーの強化

②睡眠課題の早期予防と改善策の提供

  • ストレスチェックの活用により全社員に対して睡眠の休養感を確認し、休養感が十分でないと回答した国内勤務者を対象に睡眠実態調査を実施。
  • 睡眠実態調査で明らかになった各社員の睡眠課題に対し、コンサルティングや睡眠改善サプリメント、アプリを提供。

③睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療サポート

  • 2024年度より、睡眠専門医と連携し、SASリスクが高い社員向けに社内診療所で産業医による問診を実施し、自宅で受けられる医療用SAS検査を会社負担で提供。
  • 検査の結果、SASの疑いが見られた社員には提携クリニックでの精密検査も会社負担で提供し、治療をサポート。
  • クリニックと提携し、海外勤務者向けのCPAPレンタルサービスを提供。国内外問わず治療を受けられる体制を整備。

3. プログラムの流れと実績(2024年度)

■ 睡眠改善プログラム全体

※アテネ不眠尺度: WHOが作成した不眠判定法。
0~5点:不眠症の可能性が低い、6~9点:軽度不眠症の可能性あり、10~15点:中度不眠症の可能性あり、16~24点:重度不眠症の可能性あり
Okajima I et al. (2020). Int. J. Environ. Res. Public Health, 17(23), 8789.

■ 睡眠時無呼吸症候群の治療サポート

4. プログラムの効果(2024年度)

睡眠改善プログラムに参加した931名を対象に、事後アンケートを実施し419名が回答。

■ 睡眠の質の向上

  • プログラム参加者のアテネ不眠尺度は、全体平均で16%改善。
  • 特にアテネ不眠尺度が10点以上(中程度以上の不眠傾向)の社員では、プログラム参加後の平均が29%大幅に改善。

■ クリニック受診率の向上

  • SASリスク者への対応として、2024年度に社内診療所で産業医による問診とクリニックとの提携および会社負担での医療用検査の提供により、クリニック受診率は16%(2023年度)から84%(2024年度)に向上。

5. 参加者の声(2024年度)

「普段は意識しづらい睡眠について考える良い機会となり、自身の睡眠習慣を見直すきっかけになった。」
「会社が率先して睡眠に注目し、検査や費用補助などのサポートをしてくれたことに感謝している。」
「睡眠状態を客観的にデータで可視化でき、専門家のアドバイスや検査を通じて安心感や健康意識が高まった。」