人材育成
アクションプラン
方針・基本的な考え方
伊藤忠商事の人材育成は、「OJTによる業務経験付与」を中心とし、「評価とフィードバックによる成長意欲醸成」と「研修による知識・スキル習得」で補強します。さらに個々の適性・キャリアを踏まえた成長機会を付与し、各々の分野で活躍できる「業界のプロ人材」を経て、将来、世界でビジネスをリードする「グローバルマネジメント人材」へと育成します。
![[図]](/ja/csr/img/cs_soc_dev_20_img01.png)
人材育成は「理念」がベースです。「三方よし」に込められた意図を継承し、「無数の使命」を果たしていきます。
目標
伊藤忠商事では、人材育成の方針を踏まえ、下記目標を掲げ、取組んでいます。
取組むべき課題
社員の持続的な能力開発
コミットメント
伊藤忠商事の企業理念を継承しながら、常にニーズに合わせて商いを変革できる「マーケティングのプロ」育成に向け、マーケットインの発想を持ち、グローバルベースでの研修プログラムを開発し、また研修プログラムを活用し優秀な人材を継続的に輩出します。
具体的対応アプローチ
- すべての階層での研修プログラムの継続的な開発と実施
- 海外実習生派遣・語学研修生派遣の継続・強化
- 定期的なローテーションによる多様なキャリアパス・職務経験の付与
- 人材アセスメント、キャリアビジョン研修、キャリアカウンセリング制度・体制等の充実による、社員個人のキャリア意識の醸成
成果指標
- 2020年度:年間E&D費10億円超。
- エンゲージメントサーベイによる「教育・研修」項目の肯定的回答率が60%以上。
- 2020年度:入社8年目までの総合職、ビジネスレベルの英語スキル修得率100%。
- 2020年度:入社8年目までの総合職、海外派遣率80%以上。
体制・システム
![[図]](/ja/img/cs106_im01.jpg)
伊藤忠商事は、グループ全世界ベースでの人材価値の最大化・全体最適を目指し2007年度より世界視点での人材戦略を推進しています。具体的には、2010年度に伊藤忠のリーダーが備えるべき行動要件を整備し、全世界の組織長人材をデータベース化※、各ディビジョンカンパニーや海外ブロックとの連携を通じて、全世界で海外収益拡大を担う優秀な人材の採用・育成・活用・登用を行う「タレントマネジメントプロセス」の仕組みを構築しています。
また、創業時から160年以上受け継がれている理念や価値観を、採用基準や評価・育成制度にも反映させ、伊藤忠の価値観に合った人材の採用・育成をグローバルに行っています。
- 全世界・全階層の職務を対象に、職務・職責に基づくグローバルスタンダード(ITOCHU Global Classification:IGC)を2009年度に整備、国籍にとらわれない人材の配置、登用、育成をグローバルベースで推進するために活用。
- 関連データ:地域別海外ブロック社員数
研修体系
伊藤忠商事の研修体系は、「全社研修」と業界特性や専門性等に対応したカンパニー及び職能部の「ライン研修」から構成されております。本社社員のみならず、一部海外ブロック現地社員やグループ会社員も含め、あらゆる階層の社員に幅広く育成の機会を提供しています。
海外ブロックでは、事業や市場の特性に基づく必要なスキル・専門性を身に付けるためのブロック独自研修体系を整備しています。伊藤忠商事の研修体系と併せてグローバルに活躍するマネジメント人材の育成を進めています。
![[図]](/ja/csr/img/cs_emp_dev_20_img01.png)
研修実績
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|
年間の総研修時間(時間) | 200,195 | 217,734 | 160,510 | 168,425 |
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|
正規従業員一人当たり平均教育研修/人材開発時間(時間)※ | 46.72 | 50.81 | 37.46 | 39.58 |
正規従業員一人当たり平均教育研修/人材開発費用(万円) | 35.9 | 33.4 | 30.2 | 26.9 |
- 計算式:年間の総研修時間/各年度末の人員数
(単位: 人)
研修名 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
---|---|---|---|---|
職能インターン制度 | 115 | 121 | 96 | 110 |
グローバルディベロップメントプログラム | 128 | 134 | 141 | 154 |
組織長ワークショップ | 417 | 403 | 405 | 337 |
短期ビジネススクール派遣 | 51 | 39 | 31 | 37 |
若手短期中国語・特殊語学派遣 | 52 | 61 | 39 | 10 |
中国語レッスン | 469 | 614 | 237 | 158 |
キャリアビジョン支援研修(のべ) | 2,108 | 2,075 | 1,885 | 1,940 |
育成上の強化ポイント
![[写真]](/ja/csr/img/cs_soc_dev_20_img01.jpg)
まず、「連結」の観点からは、2013年度にグループ会社の経営管理を担える人材の育成スキームを構築しました。具体的には、事業管理に関する基礎知識やリスクマネジメント手法の習得強化のため、演習を通じて経理業務を短期間で効率的に学ぶ研修プログラムを2014年度から開始し、若手社員の必須研修としています。また、国内グループ会社の社員がスキルアップとグループ内のネットワーク拡大を図っていくよう、グループ会社社員向け研修ラインアップの充実も行っています。次に、「海外」の観点からは、グローバルマネジメント人材の育成に向け、「グローバルディベロップメントプログラム研修」「短期ビジネススクール派遣」といった研修を実施しています。また、日本本社の若手社員の英語力及び国際的視野の養成を図る目的で、1999年より他社に先駆けて短期海外派遣制度を導入し、現在は中国他新興市場国へ派遣する「若手短期中国語・特殊語学派遣制度」を軸に、将来の各市場スペシャリスト候補の育成を図っています。
「現場力」の観点からは、多様な価値観を持った「業界のプロ」の育成に向けて、「キャリアビジョン支援研修」や、各カンパニー・総本社職能部の人材戦略に基づく独自研修等、目的にあわせさまざまな研修を実施しています。
また、直近では中期経営計画に合わせ、最先端のビジネスモデルの事例学習やIT専門知識習得に向けた研修・講演会等の機会を社員に提供し、商いの進化推進が可能な人材の育成を進めています。
CP・CITICとの人材シナジー
![[写真]](/ja/csr/img/cs_soc_dev_20_img02.jpg)
伊藤忠商事は、2015年1月にアジア・中国有数のコングロマリットである、Charoen Pokphand Group Company Limited(以下「CPG」)及びCITIC Limited(以下「CITIC」)との間で戦略的業務・資本提携を行いました。その後、2016年1月には、三社グループで中長期的にビジネスシナジーを創出し、企業価値を向上させるための基盤として、人材シナジー強化のための覚書を締結致しました。この覚書では、三社による短期~長期の人材派遣・交流や、各社の既存研修への受講者の派遣、新規の合同研修の開催等を通じ、将来に向けて、三社間の確固たる人材ネットワークを構築し、三社の戦略提携を支える基盤を構築することを目指しています。
2016年度には、東京において三社による第1回目の合同研修を開催。また、2017年度はCITICの本拠地である北京にて第2回目、2018年度はCPGの本拠地であるタイ(カオヤイ・バンコク)で第3回目を開催しました。2019年度は東京で第4回目を開催。本研修は三社から予め設定されたビジネステーマに合致した社員を選抜し、各社の経営方針・価値観・歴史・主要ビジネス等を互いに充分理解し、受講者同士がビジネスシナジーの創出に向けて徹底的に議論を行うことにより、パートナーとしての確固たる人材ネットワークの構築を図るものです。
また、三社による短期~長期の人材派遣・交流、既存研修の受講者受入も着実に実施しています。
三社での戦略的業務・資本提携に伴い、2015年度より全総合職の1/3にあたる「1,000人の中国語人材」を育成するプロジェクトを立ち上げ、語学面での基盤づくりを徹底して進め、2017年度末には目標である1,000人に到達しました。その後も育成を継続し、2019年度末時点での通算育成数は1,231人となっています。今後も中国・アジアにおけるビジネスの拡大を更に推進する基盤づくりを継続していきます。
伊藤忠朝活セミナー
![[写真]](/ja/csr/img/cs_emp_dev_18_img04.jpg)
2016年9月より、朝型勤務推進の一策として、早朝時間を活用し、社員の知見を深め、能力開発や活力増強につなげる取組み「伊藤忠朝活セミナー」を開催しています。テーマはビジネスの進化、及び健康を中心とし、2019年度は計7回開催、延べ3,162名が参加しました。受講者からは「就業前に刺激的な話を聞くことができ、とてもポジティブな気持ちになった」という声が上がっており、今後も定期的に開催していく予定です。
朝活セミナー2019年度開催例
実施日 | テーマ名 | 講演者 |
---|---|---|
2019年 5月 |
人工知能の未来 –ディープラーニングの先にあるもの– | 東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター 教授 松尾 豊氏 |
2019年 8月 |
これからのリーダーのあり方 ~リーダーを生む、リーダーに必要なスタイルと覚悟~ |
株式会社チームボックス 中竹 竜二氏 |
人事評価制度
人事評価制度は、社員がやる気・やりがいを持って最大限の能力を発揮できるよう、社員を支える人事制度の根幹を担う制度と位置付けています。人事評価制度は伊藤忠商事全社員を対象としており、評価制度の1つである目標管理制度(MBO)には、経営計画に合わせて社員一人ひとりに目標を分担し、実行を確認していく経営戦略の担い手という役割があります。また、社員一人ひとりの能力・専門性・過去のキャリア・志向・適性を総合的に捉え、配置・異動計画に活用する人材アセスメント制度も設けています。
これらの人事評価制度が機能するためには、上司による公平・公正な評価と部下との面談によるフィードバックが非常に重要と考え、多面観察※や評定者研修等を通じて、社員の育成や成長を促すよう上司に啓発しています。
- 多面観察: 組織長が普段気付きにくい日常の人事管理・マネジメント行動を、組織長自身及び部下による観察結果のフィードバックを通じて振り返り、必要に応じて行動改善・能力向上を図ることを目的とした制度。毎年必ず実施。
人事評価制度の全体図
![[図]](/ja/csr/img/cs_emp_dev_18_img05.gif)
目標管理制度(MBO)の流れ
![[図]](/ja/csr/img/cs_soc_emp_dev_19_img01.jpg)
人材アセスメント制度の流れ
![[図]](/ja/csr/img/cs_soc_emp_dev_19_img02.jpg)
キャリア支援
キャリアカウンセリング
キャリアカウンセリング室では、新入社員から組織長まで全社員の多様なキャリアに関する相談・支援を幅広く行っています。同室のカウンセラーは、全員がキャリアコンサルタントの国家資格を有しており、社員一人ひとりの状況にあわせて、上司・部下・同僚との関係や仕事の進め方、自分の将来のこと等幅広く相談者と話し合います。また、研修の一環として、入社後数年の節目ごとに若手社員全員にキャリアカウンセリングを行う仕組みを整えています。キャリア採用者や雇用延長に関する中高年社員からの相談も受付けています。年間来室相談数は500件を超え、守秘義務を徹底したカウンセリング室で安心して話し合うことで、キャリア形成に関する気付きが得られることを目指しています。
チャレンジ・キャリア制度
国内に勤務する総合職(組織長除く)を対象とした人材流動化の施策として、「チャレンジ・キャリア制度」を導入しています。社員は予め社内イントラネットで告知される人材募集案件リストを見て異動希望を上司に申告し、上司の了解を得ることを前提に異動先部署とのマッチングを図り、成立すればカンパニー/総本社職能部の垣根を越えた異動が実現できるというものです。本制度は、キャリア選択の機会を提供することよる社員の「モチベーション喚起」と「キャリア意識の醸成」を通じた「組織力強化」を目指すものであり、2018年度の6名に続き、2019年度は5名の異動が実現しました。
全体スケジュール
![[図]](/ja/csr/img/cs_emp_we_18_img10.gif)
ローテーションの促進
将来の経営を支える次世代の人材活性化を目的として、若手総合職のローテーションガイドラインを策定しています。「基礎教育は2年まで」「原則として8年目までに海外を含む3職務以上を経験」を前提とし、組織毎に育成・異動の方針を決定しています。また、その育成方針を組織長から若手総合職に説明し、意見交換を行うキャリア・ミーティングを開催し、若手が将来を見据えて目の前の業務に取組むことができる環境を整備しています。その他の組織員や事務職についても、毎年本人の異動希望とローテーション実績をレビューし、多様なキャリアを実現できるような仕組みづくりを行っています。
ITOCHU Internship
伊藤忠商事は、学生の皆様に「総合商社」で働くというキャリアを考えていただくため、過去のビジネス事例に基づく様々なチャレンジングな課題に取組んでいただけるインターンシップを実施しています。
詳細は、キャリア教育HPをご覧ください。