DX人材育成方針

「三方よしのDX」推進に向けて、DX人材育成の基本方針を以下のように定めています。

ビジネス課題の解決に向けた業容変革を実現するためのDXを推進できる人材を育成

3つのDX人材像を定めると共に、必要となるスキル習得のための研修等コンテンツを提供し、更には社員自身によるチャレンジを可能とする社内制度も用意しています。

  1. マーケット(社会・産業・顧客)やビジネスの本質課題を解きほぐし、解決シナリオを描ける人材
  2. 課題解決に向けて、適切・適度なIT・デジタル技術やデータの活用を判断できる人材
  3. スピード感と柔軟性を持って、周囲を巻き込みながら、プロジェクトを推進できる人材

社内制度

  • IT・デジタル戦略部などDX推進部署へのローテーションによる知識・経験付与
  • 社員の主体的キャリア形成を推進する各種制度
    • ※バーチャルオフィス(社内兼業)、チャレンジキャリア(社員自身の希望による人材流動化)等。
      詳細は人材育成ページご参照

研修マップ

社員インタビュー

様々なキャリアを持ちながらIT・デジタル戦略部でDX推進を行っている3名の社員にインタビューをしました。

橋本 正有

IT・デジタル戦略部デジタル戦略室長。
UTR制度を利用し、情報・金融カンパニー 情報・通信部門から異動。

Q

デジタル戦略室は、営業カンパニーの出身者、グループ会社からの出向者、IT・デジタル戦略部の出身者が混在したハイブリッド型の組織です。どのような組織運営の難しさやハイブリッド組織ならではの当社DX推進における強みがありますか?

A

自身含め、個性の強い伊藤忠パーソンを束ねる労力は、どの立場の組織にいても、大きく変わらないと思っています(笑)
他方、ハイブリッド組織ならではの強みは、DX関連取組みの推進に大いに効力を発揮していることを日々実感しています。
ビジネスに係るDX案件を主題に、営業カンパニー及びグループ会社支援をミッションのひとつとする当室では、ビジネス現場の深堀りによる「本質課題を見極める力」と、IT・デジタルを活用した最適なソリューションを見出し「最適解を導きだす力」の両方の技量が必要です。
ビジネス現場を深く知る営業カンパニー及びグループ会社人材と数多のIT・デジタル案件の創出を支援してきたIT・デジタル戦略部人材の「知見のマッシュアップ」が、DX推進における最適解を導き出す「最適解」だと思っています。多様な専門性と出自を持つ人材が集まることは、当室にとってはプラスの要素しかありません。

Q

橋本さん自身も、UTR制度での営業カンパニーからIT・デジタル戦略部への異動ですが、自身の気付きや同じくUTR制度を利用している室員や出向者に学んでほしいことを教えてください。

A

前部署では、営業カンパニー側で新規事業開発を主業としていました。IT・デジタル戦略部に異動し、最初に気付いたのは、プロジェクトの進め方と営業カンパニーとは異なる部員のユニークなスキルセットです。
精緻なプロジェクト実行計画の構築と推進、体制構築にあたっての深い検討、効果的なステアリングコミッティの設定等、勘所をおさえた計画管理と効果的な意思決定プロセス設定におけるノウハウは、日々本当に勉強させてもらっています。前部署から手掛けていた新規プロジェクトも、構想からサービスインまで3年かけたことを一時期誇らしげに話していたのですが、当部の手法で進めていれば、半分以下の期日・コストで、もっと精度の高いサービスとしてローンチできていたかなと(苦笑)
また、向き合いの営業カンパニー、グループ会社の信頼獲得にもつながる、当部のマルチベンダーポリシーに基づくソリューション選考時の比較手順なども、営業カンパニー、グループ会社でも大いに生かせるスキルだと思います。
その他、IT・デジタル案件のスケジュールや相場観が無意識に身についていくところも、営業カンパニー、グループ会社にとっては、有り難い知見ですね。

吉嵜 瑞穂

IT・デジタル戦略部デジタル戦略室員。
チャレンジ・キャリア制度を利用し、
エネルギー・化学品カンパニー エネルギー部門から異動転籍。

Q

3年前にチャレンジ・キャリア制度を利用し、営業カンパニーからIT・デジタル戦略部に原籍異動、現在はDX推進業務に携わっています。IT・デジタル戦略部でのキャリアを選択したきっかけや理由、DXを推進する側としての自身の強みと感じることを教えてください。

A

営業カンパニーでは日々、お客様への価値提供や各組織のビジネス拡充について営業部員それぞれが思考を凝らしながら全力で業務に取り組んでいます。しかし現実問題として、本業(=直接「稼ぐ」に繋がる営業業務)ではない付帯業務も多く、これらが営業部員の業務負荷に繋がっているという課題意識をずっと持っていました。
勿論、個別の業務効率化・DX推進によって所属組織の範囲内で解決できることもありましたが、やはり全社規模での改革・施策実現によってしか解消できないことも多くありました。そのような実態に直面したときに、全社やグループ会社向けにDXを広く推進するIT・デジタル戦略部の業容に興味を持ち、ご縁あり現職に至っています。
営業部署出身だからというわけではないかもしれませんが、やはり「稼ぐ」に繋がるDX推進への思いが強いです。「稼ぐ」業務に携わった経験を重視して頂けたのか、有難いことに異動後に携わった業務の多くが「稼ぐ」強化のための案件でした。これからも「DXは目的ではなく、あくまでも稼ぐための手段」という軸をぶらすことなく、グループ内外のユーザーに対して当部発信でDX推進を積極的に提案していければと思っています。そういう意味では、扱う商品がエネルギーからITに変わっただけかもしれませんね(笑)

Q

オンライン上の組織「バーチャルオフィス」のデータ活用系案件でリーダーとしてプロジェクトを推進するなど、対面(現場)/リモート双方を活用しDX推進を行っていますが、そのメリットはどのようなところにあると感じていますか?

A

コロナ禍にリモートワークが導入されて以降、対面・リモート双方をシーンに応じて積極活用しています。
我々IT・デジタル戦略部員は業務支援先である全社の各組織や全グループ会社に対して毎年ひとつでも多くの意義あるDX推進を実現することが使命だと思っています。しかし、システム開発やDX推進の特徴だと思いますが、ひとつの案件に関わる関係者が非常に多く(業務主管部署・システム主管部署・社外パートナー会社等)、一方で夫々が複数案件を抱えており、全員一同に会する機会を調整するのが厳しい実態があります。案件をスピード感持って進めるため、且つそれぞれの稼働時間を無駄にしないリモートの活用は必須だと感じています。特に我々の分野では、客先含む関係者のリモート会議への需要が高まっていることもオンライン会議の促進を後押ししたように思います。一方、案件初期や重要な局面においては対面が遥かに効率的なケースも当然ありますので、各会議の当日の目的に鑑みて対面/リモートを使い分けています。
案件の特性にも寄りますが、客先との打ち合わせは対面とリモートが半々程度、社内の打ち合わせは常に誰かしらがリモートで参加しているのが現状です。体調不良・子育て中のメンバーや、会社が遠い社外パートナー会社等からの評判も良く、これからも使い分けながら「良いところどり」をしていきたいと考えています。

長濱 祐介

IT・デジタル戦略部DXプロジェクト推進室員。
航空機関連事業のグループ会社より出向。

Q

伊藤忠商事でのDX推進の経験を生かして、出向元会社でのDX推進を今後担って行くことがミッションとのことですが、伊藤忠商事のDX推進の特徴と感じることや持ち帰りたいことを教えてください。

A

出向元会社では航空機のビジネスクラスシートのメカニカルエンジニアとしての設計業務経験を経て、主に設計データを管理するシステム開発や保守を行っていました。現在所属しているDXプロジェクト推進室では、単体やグループ会社の業務改善とBICCというデータ利活用の取組みを担当しています。
伊藤忠商事のDX推進は「全体を俯瞰した上で、最適解を突き詰める」ことが特徴だと考えています。俯瞰的な視点で課題の解きほぐしをおこない、あるべき姿を考えて提案する。ステークホルダー全てにとってWin-Winとなる最適解を見つけ出すことの重要性を理解してプロジェクトを推進しており、そこに対して妥協をしません。伊藤忠グループでは「三方よし」を企業理念としていますが、私が最初に感じた全体最適を重視する文化は、ひとりひとりに根付いたこの心から来ているのだなと感じました。
DX推進においては、全体ではITを活用した生産性向上や新たな価値創造に寄与する一方で、今まで部分最適で行っていた業務の手間が少し増えるケースもありえると思います。例えば、「下流の部署でこんなデータ分析するために上流工程でこのデータを入力するようにしてほしい」という要望があると、上流工程の現場作業者は手間が増え抵抗感があるかもしれませんが、取組全体の意義を理解してもらい、協力してもらわねばなりません。現場の状況や気持ちを汲み取りながらも、全体的な視点を実現するための根気・胆力を身に着けて持ち帰りたいと考えています。
データの持ち方や活用ができているかどうかで、今後の企業としての意思決定の速さ・正確さに大きな違いができると考えています。今まで感覚的に仕事してきた人が、データを見てしっかり勘所を押さえた施策をおこなうように仕事を変えることで生産性が今後劇的に変わります。そのためにもコツコツ小さいことから変えていかなければなりませんが、そんな取り組みに理解して協力してもらえるように、人間的に一回り大きくなりたいですね。

Q

長濱さんはIT・デジタルに関わる前は現場で設計業務を担当していたとのことですが、現場経験あることや伊藤忠商事とは異なるカルチャーを持つグループ会社からの出向というキャリアは、DX推進に関わるIT・デジタル戦略部の他のメンバーにどのような影響があると感じていますか?また、自身にはどのような影響がありますか?

A

確かに、主に製造を生業とする会社と営業を生業とする会社では時間管理や人材育成、ビジネスに関する考え方など文化が大きく違うことは感じます。私からIT・デジタル戦略部の他のメンバーに影響を与えられることがあるのかは自信ないですね(苦笑)
現在、出向元会社の不具合撲滅に関する業務改善案件をコンサルティングの立場で支援していますが、業務背景を理解していることは強みになっています。また、航空業界のモノづくりにかかわってきた経験を活かして、設計現場や製造現場はどう考えるか、というノウハウは伝えていきたいです。
今は様々なことが私にとって刺激かつ勉強になっており、私自身への影響は計り知れないです。多様な総合商社のビジネスにおける課題に対してブレイクスルーした経験を培うことは、間違いなく自身の強みになると感じています。より実践的な経験を通してDX人材として成長できることが楽しみです。