【SPECIAL FEATURE-成長期待領域の事例-】

「信頼・信用」を活かした国内有力企業との協業拡大

国内有力企業との協業拡大・シナジー創出を通じて、事業領域の拡大による成長機会の獲得と「業績の向上」を実現しています。

企業価値の向上、創出価値の拡大、資本コストの低減、成長率の向上

国内有力企業との協業拡大・シナジー創出を通じて、事業領域の拡大による成長機会の獲得と「業績の向上」を実現しています。

企業価値の向上、創出価値の拡大、資本コストの低減、成長率の向上

当社は、経営方針「The Brand-new Deal」において、「投資なくして成長なし」を掲げ、成長投資の実行による「業績の向上」に取組んでいます。知見を有する分野での投資拡大に加え、国内の有力企業との協業による領域拡大の事例も増加しています。当社が培ってきた「信頼・信用」を活かした成長投資がビジネスの可能性を拡げています。

日立建機(株)への出資から広がる国内メーカーとの多様な協業

2022年8月、当社は日本産業パートナーズ(株)と共同で設立した特別目的会社(SPC)を通じて、日立建機(株)への出資を実行しました。この背景には日立建機(株)にとって、同年2月末に米国Deere & Company社との長年の提携を解消したことを契機とする北米市場での独自事業展開と、(株)日立製作所による親子上場解消への対応という2つの動きがありました。当社は日立建機(株)と1990年代からトレードやインドネシア等での合弁事業を通じ、事業パートナーとして互いの信頼関係を構築してきました。また、いすゞ自動車(株)との北米でのファイナンス事業で培った知見や小型建機を扱う米国MULTIQUIP社の販路等が評価され、同社の最適なパートナーとして資本提携に至りました。特に、独自展開を進める北米市場においては建機購入顧客の約9割がファイナンスを利用しており、競争力あるキャプティブファイナンス会社の存在が不可欠です。当社は、長年培ってきた北米建機ビジネスやファイナンス事業のノウハウを活かし、日立建機(株)・東京センチュリー(株)と共同で現地ファイナンス会社を設立。迅速な審査や柔軟な支払いメニュー等、現地ニーズに応えるサービスを提供し、設立初年度の2023年度から黒字化を実現しています。

こうした日立建機(株)での協業実績は、他の有力企業への投資機会を得る上でも大きな後押しとなりました。2025年4月にはカワサキモータース(株)と資本業務提携により株式を取得し、同社の北米市場での更なる拡大に貢献すべく、パワースポーツ*分野でのユーザー向けファイナンス事業を共同で立ち上げ、推進しています(→カワサキモータース(株)との資本業務提携)[PDF]。更に同年5月には高所作業車大手(株)アイチコーポレーションの株式を取得しました。(株)豊田自動織機との親子上場解消が検討されていた中で、成長戦略の実現に向けてのパートナーとして期待され、出資に至ったものです。これにより、国内市場におけるファイナンス、アフターサービス、中古車販売といったバリューチェーン強化による収益機会の創出に加え、海外市場の開拓を通じた成長の実現を目指しています。このように日立建機(株)との協業推進を通じた「信用の連鎖」が、更なる投資機会の獲得と機械カンパニーの事業領域拡大に繋がっています。


* 二輪車やオフロード四輪車、ジェットスキー等のアウトドアアクティビティ用途のエンジン・モーターが搭載された車両

機械カンパニーにおける知見の蓄積と信用の連鎖

建設・建材アライアンスの強化による社会課題を捉えたインフラ事業拡大

当社は、近年、建設・建材分野におけるアライアンス強化を通じて、バリューチェーンの強化とインフラ領域への事業拡大を進めており、2021年からの西松建設(株)との資本業務提携はその象徴的な事例です。当時、同社はアクティビスト対応等、経営環境の変化に直面する中での経営安定化を企図し、当社に対して資本参画を打診しました。当社は当社グループで展開する建材製造、建材流通、不動産開発、不動産管理・運用といった川上から川下に至るまでのバリューチェーンを事業投資により補完・強化することを目指していたため、国内有数の施工機能を持ち、過去から共同で不動産開発事業等を実施してきた同社との資本業務提携を貴重な機会と捉えました。当初出資以降、両社共同での更なる不動産開発、当社グループ会社との連携による資機材調達、当社が展開する再生可能エネルギー事業での協業等、多くのシナジーを実現してきたことから、両社の協業をより一層加速させるべく、2025年5月に株式の追加取得により、同社を関連会社化しました。

また、当社の建設・建材アライアンスには、2023年5月に資本業務提携を実施した国内有数の橋梁メーカー、オリエンタル白石(株)や当社グループ会社である伊藤忠建材(株)が2025年4月に株式を100%取得した岩野物産(株)等も含まれます。高速道路リニューアル工事等のインフラメンテナンス市場でパイオニアとなるオリエンタル白石(株)、東日本を拠点とする土木資材商社として業界内で長年の実績を誇る岩野物産(株)、そして土木工事での高い技術力を有する西松建設(株)とのアライアンスを通じて、社会インフラの老朽化や防災・減災を受けたインフラ更新等の国土強靭化政策を背景とした社会的ニーズへの対応にも貢献していきます。また、同領域では情報・金融カンパニーが出資した(株)パスコとの連携により、地理空間情報を活用したインフラ監視や都市インフラの維持管理の高度化といった横連携によるシナジー創出も期待されます。今後も多様なパートナーと共に、社会課題の解決と事業価値の向上を目指していきます。

製造:大建工業、流通;伊藤忠建材、施工:西松建設・オリエンタル白石・中設エンジ・イトーピアホーム、不動産開発・運営:伊藤忠都市開発・伊藤忠アーバンコミュニティ

ビジネスモデルとしての課題解決支援と事業領域の拡大

伊藤忠商事のビジネスモデル:①商いの開拓、②商いの仕立て、③商いの推進、④商いの展開

これらの取組みには、業界や企業が大きな変革期や課題に直面したタイミングで、当社が積極的にパートナー企業の経営課題に寄り添い、経営参画や新規事業の立ち上げ等、多面的な価値創出に踏み込んでいる点が共通しています。

このような戦略の背景には、当社が長年、そのビジネスモデルを通じて蓄積してきた豊富な経験とノウハウが活用されています。2003年の(株)ヤナセへの出資では、バブル期からの経営課題や主要取引先との取引条件悪化に伴い経営危機に陥った同社を支援し、同社の成長と当社における自動車流通分野への領域拡大を実現しました。同年のプリマハム(株)への出資は、従前より協業関係のあった同社が業績不振に陥った際に、経営再建支援と連携強化を図ったものです。2001年の資本業務提携以降、段階的に出資比率を高めてきた(株)日本アクセスに関しても、当時の親会社であった雪印グループからの要請を受け、当社として食品卸ネットワークを拡大。食品流通事業領域の強化やファミリーマートとの強固なバリューチェーン強化にも繋がりました。

当社は「有力企業の課題解決支援」と「自社バリューチェーンの戦略的拡大」を両立してきたともいえます。今後も、各業界の有力なパートナー企業と共に価値創造に取組み、その再現性を高めながら事業領域を拡大することで、持続的な企業価値の向上を実現していきます。