コーポレート・ガバナンス

当社ガバナンス体制の更なる充実に向けて

当社は、監査役設置会社であり、社外取締役が3分の1以上を占める取締役会と、社外役員を中心とした取締役会の任意諮問委員会、社外監査役が半数以上を占める監査役会を核としたガバナンス体制を採用しています。充実したコーポレート・ガバナンスの実現に向けて、経営者による健全なリーダーシップの発揮と、透明で公正な意思決定の両立が不可欠であるとの考えの下、法令上認められる範囲内で、通常の業務執行に属する事項の経営陣への委任を進める一方、経営監視を強化するために取締役会の絶え間ないバージョンアップを続けてきました。取締役会では、重要性の高い業務執行に関する審議も行われており、社外役員への充実した情報提供・支援体制を通じて、「世間の目・一般株主の目」を意識した社外の視点から業務執行の監督が適切に行われるよう工夫されています。ガバナンス体制の更なる充実に向け、不断の見直しを継続し、コーポレートガバナンス・コードの動向や市場の声を踏まえ、引続き、より実質面にこだわった体制強化や開示の拡充に取組んでいきます。

取締役会の構成図 社内取締役7名、社外取締役4名(うち女性2名)、社内監査役2名(うち女性1名)、社外監査役3名(うち女性1名)、取締役会における女性比率 25%(4名)、取締役会における社外役員比率 44%(7名)

コーポレート・ガバナンス体制及び内部統制システムの概要図

(2024年7月1日現在)

取締役会における議論の活性化

当社は、取締役会の実効性を高めるため、社外役員に対する情報提供・支援体制の強化に注力しています。社外役員に対し、付議される議題について事前ブリーフィングを行うのみならず、投融資案件については、投融資協議委員会やHMCでの審議の内容や関係職能部の意見等を速やかに共有し、審議のレベルアップに繋げています。更に、プレジデントや職能統括オフィサーとの個別面談、国内・海外事業視察等を通じて、社外役員が幅広い当社ビジネスに対する理解を深めることで、取締役会の更なる実効性向上や取締役会における議論の活性化を目指しています。



個別案件に関わる議論

当社は、取締役会規程に基づき、一定金額以上の投融資案件を実行する場合、HMCでの承認後、取締役会の承認が必要となります。2023年度においては、2件のTOB (株式公開買付)案件を含む複数の案件が取締役会に付議されました。そのうち、「(株)WECARSによる旧(株)ビッグモーターの事業承継について」は、2回の取締役会付議を行い、慎重な検討が実施された案件の一つでした。1回目の取締役会では、想定ストラクチャー等のリスクをコントロールする手法等について報告がなされ、この議論を踏まえた上で事業承継に向けた意向を表明しました。2回目の取締役会では、投資金額の妥当性や当社グループとのシナジー、人材の承継等に関するHMCでの議論が報告された後、審議が行われました。案件の収益性・リスクに関する議論のみならず、定性的な取組意義についても議論が行われました。例えば、本件は社会貢献に繋がる意義があり、再生に向けて全社を挙げた取組みが重要であること、コンプライアンス・顧客第一の体制構築が求められること、社会的な関心の高さから、当社のレピュテーションの毀損に繋がらないような対応が必要であること等の活発な議論が行われ、これらを踏まえて本件の実行について、全会一致で承認されました。

また、他にも、HMCまでは承認されたものの、取締役会において、サステナビリティに関する視点を踏まえた活発な議論の結果、否決された案件もあり、当社の取締役会において、「世間の目・一般株主の目」である社外役員による経営への監視・監督が十分に機能していることを示す一例と考えています。


取締役会の任意諮問委員会の活動

(→社外取締役&CAO座談会)

ガバナンス・指名・報酬委員会

2023年度は、前身のガバナンス・報酬委員会と合わせて合計5回開催し、全委員が出席しました。取締役会の実効性評価、スキル・マトリックス、後継者計画、役員報酬制度、役員制度の改定等が議題となり、各委員がそれぞれの議題について、活発な議論を行いました。役員制度の改定に関する審議では、女性執行役員特例措置制度*5の導入について、選ばれた執行役員へのプレッシャーは大きく、今後のバックアップが重要であること、執行役員への在任限度の導入・上席執行理事*6の設置については、執行役員の若返りや人材プールの構築等の制度趣旨に沿った運用が定着するようなフォローが重要であること等の意見が示されました。



女性活躍推進委員会

2023年度は、合計2回開催し、全委員が出席しました。女性活躍推進の全体方針、女性役員比率の向上や女性役職候補者への取組み、2024年度以降の一般事業主行動計画等が議題となり、各委員がそれぞれの議題について、活発な議論を行いました。女性役員比率の向上については、「2030年までに取締役会における女性比率30%以上」という日本政府方針も踏まえ、役員になり得る平均的な年齢まで待つことなく、育成も含めた制度として、アファーマティブ・アクションによる女性執行役員の登用を具体的に検討すべきこと等が議論されました。本委員会での議論が取締役会に答申され、女性執行特例措置制度の導入に繋がりました。また、取締役・監査役のみならず、執行役員を含んだ全役員における女性比率も2030年までに30%以上とすることを公表しました。


*5 一定数の女性執行役員を登用するためのアファーマティブ・アクションとして、女性役員を選考し、全社的経営に関わる経験を積む機会を特別に付与する仕組み
*6 執行役員(役付執行役員・カンパニープレジデント・総本社職能各部統括オフィサー等の重要役職を担う者及び女性執行役員特例措置制度に基づく執行役員を除く)の在任限度を2年間とし、その時点で全員役員を退任する。退任した中で、退任前職務の継続もしくは社内のその他職務に就く者を上席執行理事とする。