データ活用・DXによる収益機会拡大

消費者接点、商流の川下を意識したDX推進

総合商社は、基本的に社会に技術革新をもたらす先端技術や新製品そのものの開発よりも、顧客の価値観に沿った新しいビジネスモデルの構築や様々な商流におけるイニシアチブの発揮が求められており、当社はその実現に繋がる有効な手段として、DXを推進しています。

その際には、DXの活用が、「稼ぐ、削る、防ぐ」のうち、ビジネスモデルの進化や販売拡大等に貢献する「稼ぐ」に繋がる施策なのか、あるいはコスト削減や業務効率化、顧客管理等に寄与する「削る、防ぐ」に繋がる施策なのかを特定し、それらの施策を支える体制を整備した上で、更なる収益性の向上を目指しています。

「稼ぐ」の観点では、現在、商流の機軸となっている川下での新たな価値提供を加速するために、特に「消費者接点の高度化」に注力しています。まずは消費者接点を持つ各グループ会社において、例えばファミリーマートでは広告ビジネスや金融サービスの拡大(→店舗のメディア化による新たな収益源の創出)、ほけんの窓口ではオンライン接客、リテール関連事業ではAIカメラを活用した顧客行動分析等を先行して実践し、高い効果が認められる取組みについては、第8カンパニーの横串機能を活かし既存7カンパニーが連携した形で、更なる取組みの拡大を目指しています。また、顧客データについても同様に、各グループ会社でそれぞれの業界におけるビジネス環境・消費者行動の変化に対応するデータの整備・分析を先行して実施し、各社の個別最適を優先した上で、今後更に各グループ会社で整備されたデータのシステム・体制の共有とデータの連携を図り、グループ横断型の顧客基盤を構築していく方針です。そして、各グループ会社のマーケティング等に活用することで、各社の販売拡大等を通じた当社グループとしての全体最適を実現していく考えです。

また、「削る」の観点では、サプライチェーンにおけるコスト改善や社会課題への対応を促進するために、特に「サプライチェーンの最適化」に注力しています。サプライチェーンは業態毎に異なるため、各グループ会社の取組みが中心になりますが、例えばファミリーマートでは配送ルート・発注の最適化や機会ロス・食品ロスの削減、㈱日本アクセスでは発注の自動化による効率化や在庫削減(→川下データを活用したサプライチェーン最適化)、それ以外のグループ会社でも物流コストの削減、庫内業務の効率化や生産性の向上等をDXの活用により積極的に推進しています。

更に、前述のDXを支える体制として、DXパートナー連携や社内支援体制の構築も着実に実施しています。2020年11月には、データ活用の専門集団㈱ブレインパッドとの資本業務提携契約を締結する等、顧客やパートナー向けのDX事業の機能拡充を図ると共に、有力パートナーとの連携によって当社グループのDXを支える社内環境や持続的な内製体制の整備を進めています。また、2021年4月には従来のIT企画部をIT・デジタル戦略部に改編し、現場の具体的な課題に対するDX推進サポートを強化しています。

当社は、「マーケットインによる事業変革」の基本方針の下、グループ内でのDXの実用領域を拡大し、収益改善やビジネスモデルの進化を加速すると共に、顧客やパートナーのニーズを捉えたDXの活用を推進することで、商流の川下における強固な事業基盤の更なる強化を目指していきます。