ファミリーマート事業の進化

ファミリーマートは、国内約16,600店のリアル店舗網や1日約1,500万人の購買に関わる消費者接点を持つ当社グループの中核事業です。市場や消費者のニーズを捉え、「マーケットインによる事業変革」を推進することで、既存の事業基盤の更なる強化と新たなビジネスモデルの構築を進めていきます。

店舗のメディア化による新たな収益源の創出

当社は、リアルとデジタルの融合等による従来の物販やサービスという枠を超えた新たな付加価値の創造を目指しています。

広告媒体事業では、サイネージ(大型ディスプレイ)を設置することで店舗をメディア化する取組みにより収益獲得を目指しています。現在、広告出稿メーカー複数社に参画いただき効果検証を行っており、今後の広告媒体事業の拡大を推進していきます。

また、広告配信事業では、2020年10月に当社、ファミリーマート、㈱NTTドコモ、㈱サイバーエージェントで㈱データ・ワンを設立し、デジタル広告配信事業の展開を開始しています。ファミリーマートの購買データとファミペイやdポイントクラブ等の会員データを活用し、消費者の嗜好に合わせたデジタル広告配信を可能にするものです。段階的にスーパーマーケット等、他の小売事業者等ともアライアンスを組み、購買データの幅や質を向上させることで、より精度の高いマーケティングの実現に取組んでいきます。

更に、顧客接点拡大のため、「ファミペイ」アプリ利用 者の更なる拡大に取組んでいます。キャンペーン情報配信やクーポン配布等でより多くの消費者にファミリーマートに来店いただくことを目指しています。バーコード決済の「FamiPay」では、公共料金等の「FamiPay 請求書支払い」サービスをスタートすると共に、全国10万ヵ所以上のファミリーマート以外の店舗での決済利用も始まっています。2021年夏以降には「FamiPay 翌月払い」等のサービスを開始しており、金融事業の拡大を目指していきます。

データの外部連携や金融事業等における顧客接点の拡大によりデータ量を拡充し、複合された顧客データを活用することで、広告・金融事業収益を最大化します。更に、これら新規収益を既存事業に再投資することで、店舗の集客力を一層高め、リアル店舗の価値を向上させる好循環を創出します。

川下データを活用したサプライチェーン最適化

当社は、中長期視点で川下のデータを活用した当社グループ全体のサプライチェーン最適化に取組んでいます。

ファミリーマートでは、加盟店収益の改善に繋がる需要予測の精度向上に取組んでいます。おむすびや弁当、加工食品等の販売実績が良い店舗での売れ筋商品をもとに作成した発注推奨リストを展開し、機会ロス削減による売上増加の効果を検証しています。今後は展開店舗数・対象カテゴリーを拡大して更に検証を進め、将来的には需要予測の精度向上により、食品ロス削減も実現します。また、需要予測データを起点に、配送センターから店舗への配送便数・コース設定を最適化することで、コスト削減も目指します。

㈱日本アクセスでは、各食品メーカーへの発注自動化に取組んでいます。一部の物流拠点において、ファミリーマートの発注・売上データ、㈱日本アクセスの受発注データ、天候やカレンダー情報等を活用したAIによる発注自動化の実証実験を実施した結果、10~30%の在庫削減効果や発注業務の半減等の効率化が確認できました。一部の小売顧客向けの約1,000商品から実用化を進め、対象商品や顧客・物流拠点を拡大していく方針です。

データを可視化し分析することで、サプライチェーン全体での最適化を図り、生産性向上と食品ロス削減を目指すと共に、グループ外の取引メーカーとのデータ連携等による取組範囲拡大も視野に入れた展開を推進していきます。