コーポレート・ガバナンス

当社ガバナンス体制の更なる充実に向けて

当社は、2015年のコーポレートガバナンス・コード導入への対応や、2017年のモニタリング重視型取締役会への移行、社外取締役比率の向上等、様々な施策や体制について、絶え間ない見直しと強化を実施してきました。一定の体制構築が完了した現行体制においては、より一層の「中身」の充実を目指すと共に、当社単体のみならず、当社グループとしてのガバナンス体制についても、更なる向上・強化に努めています。その一環として、当社が保有する上場子会社6社毎の保有意義を2020年6月以降開示していますが、2021年にはより実質面に踏み込んだ内容とすべく、説明内容の拡充を図りました。

2021年度においては、取締役会の多様性を更に高め、新たな中期経営計画の基本方針の一つである「マーケットインによる事業変革」の達成にも資する取締役会構成とするため、企業経営経験者を新たに招聘し、より多角的・専門的な視点・見解を活かした議論の活性化を図っています。また、社内外の役員が知見・経験を積み、高い見識を有する分野を特定すると共に、社外役員及び常勤監査役については、各役員の有する専門的な視点や高い見識が最大限活用される分野を更に特定の上、主な専門的経験分野/特に貢献が期待される分野(スキル・マトリックス)を開示しました。

また、経営戦略と役員報酬制度の連動性を高めるため、2020年度以降の各役員の評価は、新たに気候変動及びESG・SDGs対応を含めて決定しています。

取締役会の構成等

当社は、取締役選任基準に基づき、社外取締役比率3分の1以上を常に維持した上で、経営環境や経営戦略を踏まえ、時機に応じて適切な社内外取締役の構成を検討しています。

2021年度は、取締役副会長を選任したこと等により、結果的に社外取締役比率は前年度比低下しましたが、社長COO経験者でもある取締役副会長が、執行側と一定の距離を置いた立場で、取締役会メンバーの一人として果たす役割や貢献は大きく、当社の経営やガバナンスにとってより有意義と判断しています。また、2021年度も引続き女性取締役2名を選任し、女性取締役比率は高水準を維持しています。

コーポレート・ガバナンス体制及び内部統制システムの概要図

「川下」起点での企業価値向上に向けて

私は、これまで同じ小売業界において、「商人」としての経験を長年重ねる中で、まさに消費者のニーズを汲み取り、事業拡大に直結させることを意識してきました。そして、常に「川下」起点の発想を携えて業務を遂行し、経営陣としてもその実践に努めてきました。その間、伊藤忠商事が、商いを実践する際の心構えを「ひとりの商人、無数の使命」という分かりやすい言葉で、かつ企業行動指針として社員に示したことに、「商人」の一人として、大いに共感を覚えていました。今般、当社は中期経営計画の基本方針の一つに「マーケットインによる事業変革」を掲げ、従来の発想を大きく転換し、最終消費者である「川下」を起点とする、ビジネスモデルの進化と新たな成長機会の創出を推進しています。今後は、これまでの経験を活かし、「世間の目」である社外取締役として、より高い視座から伊藤忠商事の経営に関与することで、経営陣をはじめとする伊藤忠グループの多くの「商人」の方々と共に、グループ全体の業績拡大や企業価値向上に貢献したいと考えています。

社外取締役
石塚 邦雄
(株)三越伊勢丹ホールディングス社長・会長、日本経済団体連合会の副会長を歴任、企業経営・小売業界について豊富な知見を持つ。2021年6月に当社取締役就任。当社ガバナンス・報酬委員会委員。