変革1:ファミリーマートが目指す再成長

2020年度の非公開化後、ファミリーマートは、経営の自由度が高まり、従来に増して消費者視点での店舗運営を推進することで、想像を超えたスピードで変化する外部環境や顧客ニーズへの対応が可能になりました。

「再成長を実現する3年間」と位置付ける2022年度からの中期経営計画を通じ、コンビニエンスストア(CVS)事業の基盤強化と新規ビジネス拡大に取組むファミリーマートの目標と現状を説明します。

ファミリーマートの「次の10年」に向けて

(株)ファミリーマート
代表取締役社長

細見 研介



ファミリーマートが創立40周年を迎えた記念すべき2021年度に、新社長に就任しました。ブランドビジネスに携わってきた総合商社での経験を活かし、店舗における日商と収益の向上と共に、既存の枠にとらわれない新たなCVS像づくりに取組んでいます。

2021年度は「再成長に乗せる1年」と位置付け、将来に向けた基礎固めや種まきを着実に実行しました。「コンビニエンスウェア」や「バタービスケットサンド」等の新たなヒット商品が次々と生まれています。また、店舗へのデジタルサイネージの設置を進め、広告・メディアビジネス等の新たな収益機会も拡がってきており、手応えを感じています。

2022年度から開始した中期経営計画は「再成長を実現する3年間」と位置付けました。原材料やエネルギーコストの上昇等、厳しい環境下での船出となっていますが、商品力・ブランド力・顧客基盤・店舗基盤等の強化やサプライチェーンの再構築によるCVS事業の収益力向上に加え、広告・メディア・金融等のCVS事業基盤を活用した新規ビジネス拡大に取組み、相互に相乗効果を生み出すことで、「新しい成長の好循環」を創出する考えです。 ファミマのアプリ「ファミペイ」や無人決済店舗、人型AIアシスタント等、店舗運営に寄与する「地に足のついたデジタル化」や当社らしいSDGsもしっかりと推進していきます。

当社のコーポレートメッセージは「あなたと、コンビに、ファミリーマート」です。引続き、加盟店と一丸となり、お客様に選ばれる「コンビニ」となるよう取組んでまいります。

変革1 ファミリーマートを起点としたバリューチェーンの進化

CVS事業においては、当社グループが連携することで、川下から川上に至るバリューチェーンの構築・強化を図っています。ファミリーマートを中心としたCVS事業の価値向上を目指し、食料バリューチェーンの強化にとどまらず、生活必需品から金融サービス、システム構築、建築資材等、第8カンパニーが中軸となり、カンパニーの垣根を越えたシナジーと新たな収益源の創出を推進しています。


広告・メディア事業の展開

デジタル広告配信事業は、現時点で国内最大規模の約2,400万の広告IDを保有しており、購買データに基づく「消費者が興味を持ちそうな広告」の配信がID単位で可能です。更に、広告を見た消費者の購買分析が可能となり、広告出稿メーカーから高い評価をいただいています。

広告配信先の一つであるサイネージ(大型ディスプレイ)は、2022年6月末時点で3,000店舗に設置が完了しました。2023年度中に全国約16,600店舗のうち設置可能な全店舗にサイネージを導入し、TV、インターネットに続く第3のメディアに成長させていく方針です。


DXを活用したバリューチェーンの進化

(株)日本アクセスの物流センターでは、ファミリーマート向け商材1,500品目を対象に、AI自動発注システムを導入しています。川下のデータを活用することで、在庫の30%減、発注業務量の半減効果が確認できており、既に全47ヵ所のセンターでAIシステムの運用を開始しました。2022年度には、ファミリーマート向けの商流に加え、この取組みにより培った知見をスーパーマーケット等の他業態へ横展開することを予定しています。