変革2:情報・金融カンパニーの市場の変化を先取りした自己変革

近年、当社の特徴的なセグメントである情報・金融カンパニーが、非資源分野における収益の柱の一つとして存在感を増しており、同業他社との差別化に繋がっています。市場の変化を先取りした戦略を着実に実行し、収益拡大に注力してきた結果、2021年度の連結純利益は、1,000億円超を達成するまでに成長しました。一朝一夕では築けない競争優位性のある事業基盤を「てこ」に、DX、モバイル、リテール金融・保険を中心に更なる成長を目指しており、特にDX分野では、世の中のデジタル化に伴う企業のDX支援ニーズを「マーケットイン」の視点で捉え、収益拡大を図っていきます。

市場の変化を先取りした戦略による自己変革

情報・金融カンパニーは、1990年代より、シリコンバレー等のベンチャーキャピタルファンドへの投資を通じて、イノベーションの原動力となる最先端技術・サービスにアクセスする機会を獲得してきました。新規ビジネスを創出する文化や風土が根付いており、過去複数回にわたり他セグメントとの統合・再編を繰り返しながらも、市場の変化を先取りした戦略の着実な実行を通じて、収益基盤を再構築してきました。

情報・通信部門では、通信モバイル分野における市場拡大や携帯端末の高額化、リサイクルニーズ等を見越して、携帯関連事業の拡充を図ると共に、中古携帯端末流通事業を開始しました。また、情報産業分野におけるIT活用の高度化や消費者とのコミュニケーション需要の高まりを見据えて、DX事業やBPO*事業に本格的に進出しました。

金融・保険部門では、リテール事業に注力しており、欧州でのオートローン事業やアジアでのリテールファイナンス事業の展開に加え、ほけんの窓口グループ(株)への出資等を行いました。

これらの取組みにより、2016年度に現在のカンパニー体制となって以降、順調に収益拡大を続けています。今後は、DX、モバイル、リテール金融・保険を注力分野とし、加速する事業環境変化と多様化する顧客ニーズに即した「マーケットイン型サービス」の提供を通じた成長を目指します。

*Business Process Outsourcing:業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から運用までを一括して外部委託すること。

DX支援事業を通じた収益拡大

近年、新型コロナウイルスの流行で加速した社会環境の変化に対応するため、デジタルテクノロジーを活用して、企業のビジネスモデルを変革するニーズが高まっています。ビジネスモデルの変革に主眼を置いたDX 推進は、システムベンダーによる製品・サービスの導入のみでは実現が難しく、顧客接点から得た膨大なデータを収集・分析して課題を整理し、「マーケットイン」の発想で戦略を提案することが必要となります。当社グループにおけるDX支援事業は、従来、システムインテグレーター(SI)起点で、システムやアプリケーションの開発や運用が中心でしたが、このようなニーズに対応すべく、当社はデータ活用の専門集団である(株)ブレインパッドやコンサルティングに強みを持つ(株)シグマクシスといった企業との資本業務提携等を行っています。その結果、現在、川上のコンサルティング、デザインから、川下のデータ分析、システム開発、運用、BPOに至るまで一貫して、バリューチェーン全体における機動的なDX推進を可能とする体制を構築しています。今後は、川上のDX起点でニーズを取込み、川下の中核事業会社であるCTCや(株)ベルシステム24等に繋いでいくことで、バリューチェーン全体でのシナジー創出、収益拡大を図っていきます。

当社は、このDX支援を提供するデジタル事業群を活用し、当社グループ企業における請求書のペーパーレス化に加え、AI自動受発注システムによるサプライチェーンの最適化等、各現場での業務効率化やコスト削減に繋がるDXを積極的に推進しています。生活消費分野に強みを持つ当社グループにおいて、DX支援実績を積み上げ、その過程で蓄積した知見やノウハウを他業界へ横展開することで、更なる収益基盤の拡大を目指します。

*1 Customer Experience:顧客体験価値
*2 User Interface:ユーザー接点/User Experience:ユーザー体験
*3 Project Management Office:プロジェクト管理・運営部署
*4 Google Cloudを基盤とするシステム構築から運用・保守まで一気通貫したサービス提供
*5 BI(Business Intelligence)ツールの活用による課題解決