変革3:ハンズオン経営による事業の磨き

当社は、安定的かつ持続的な成長に向けて、既存事業の「磨き」に継続的に取組んでいます。ここでは、事業経営の高度化により事業基盤を拡大し、川下における顧客接点の強化を軸にビジネスモデルの変革を続けている、(株)デサントと(株)ヤナセの成長の軌跡について説明します。

(株)デサントの自己変革

当社は、繊維分野におけるスポーツ関連ビジネスの更なる拡大を重点戦略の一つと位置付けています。その中核となるのが、スポーツウェア及びその関連商品の製造・販売に取組む(株)デサントです。

(株)デサントは、2012年度以降、韓国事業を中心に収益拡大を続けてきましたが、2015年度以降は売上高は伸長したものの、収益性は低下し、期初計画を下回る状態が継続していました。経営改革が喫緊の課題であった中、当社によるTOB実施後の2019年6月に小関社長が就任し、外部環境と自社の強みを十分に見極め、経営改革を断行してきました。長期に亘り赤字であった欧米事業は清算を完了し、日本・韓国・中国の3市場に経営資源を集中させる戦略を採用し、着実に成果をあげています。韓国頼みという問題点を解決すべく、日本事業では、「売上高重視から収益重視」への転換を図り、収益性改善に向けた抜本的な構造改革を実施しました。また、中国事業では、世界有数のスポーツ企業であるANTAグループとのパートナーシップを取りまとめたことで、新生デサントチャイナが始動、(株)デサントの「モノづくり」力とANTAグループの販売力がしっかりと融合し、店舗数拡大と共に収益は大幅に伸長しました。更に韓国での不買運動も収束した結果、現在は日本・韓国・中国の3本柱によるバランスの良い収益構造を実現しています。

(株)デサントは、中期経営計画「D-Summit 2023」において、「日本・韓国・中国での地域別戦略の実行」、「日本事業の収益改善」、「モノづくりの強化」の3点を重点項目に掲げています。特に日本事業では、従来の卸販売中心から自ら消費者接点を持つ直営店・ECでの販売(Deirct to Consumer事業)へとビジネスモデルの変革を進めています。研究開発拠点と自社工場を併せ持つ強みを活かして、消費者ニーズに応える「モノづくり」を実践することで、収益向上に繋げていきます。コロナ禍でアパレル業界の苦戦が続く中でも、強みである「スポーツ分野」における差別化を図ることで、更なる成長を目指します。

(株)ヤナセの自己変革

(株)ヤナセは、約240拠点の販売・サービスのネットワークと20万名以上の顧客基盤を保有する国内最大手の輸入車ディーラーです。8つのブランドを取扱い、新車・中古車販売、アフターセールスや金融保険事業による個々の顧客ニーズに応じた商品・サービスの提供を通じて、長期に亘る顧客との信頼関係を強固なものにしています。

(株)ヤナセが子会社となった2017年度以降、当社は、ハンズオン経営を加速し、バリューチェーンの拡充と収益基盤の強化を推進してきました。(株)ヤナセは、強みである「メルセデス・ベンツ」を中心とした輸入車の新車・中古車販売に加え、中古車部門を別会社化して新たに輸入車以外でも良質な国産中古車を取り揃え、実店舗のみならずオンライン販売にも積極的に取組んでいます。中古車事業強化を通じて多様化する顧客ニーズに対応すると共に、顧客接点を拡充することで、新たな収益基盤の確立を推進しています。加えて、中古車オークション運営会社の子会社化や中古車サービス拠点を拡大する等、中古車バリューチェーンの更なる強化にも注力しています。

更に(株)ヤナセは、不採算店舗の統廃合や新規ブランドの取扱いを目的に、投資基準の改訂やEXIT基準の導入を実施しました。新基準に基づく不採算店舗の統廃合を進める一方で、高級輸入車販売におけるブランドポートフォリオの強化の一環として「ポルシェ」の取扱いを開始する等、着実に販売実績を積み上げています。

今後も、多様化するニーズに応えるため、中古車の商品ラインナップ拡充による小売機能やアフターセールスの強化に加え、オーナー限定サイトを通じた限定品販売やプレミアムな体験イベントへの招待等を行うことで、競合との差別化を図り、更なる顧客との関係強化に取組みます。