サステナビリティ推進の取組み

サステナビリティ推進の流れ

当社は、企業理念や外部環境の変化を踏まえて定めた「サステナビリティ推進基本方針」の下、組織的・体系的にサステナビリティの取組みを推進しています。特に、当社が優先的に解決すべき重要課題として定めたマテリアリティを各カンパニーや職能組織が「サステナビリティアクションプラン」に落とし込んでいることが特徴です。収益力の維持・向上を担保しつつ、トレードや事業投資といった事業活動を通じて、持続的な企業価値向上と社会課題の解決の両立を実現していきます。

サステナビリティ推進の施策は、サステナビリティ推進部が企画・立案し、CAO決定の下、各組織が実行しています。また、基本方針の策定や見直し、重要な案件については、「サステナビリティ委員会」で審議・決定しています。更に、サステナビリティアドバイザリーボード等の社外のステークホルダーとの対話を通じて、社会の期待や要請等を把握し、サステナビリティ推進に活かしています。

サステナビリティに関する情報開示の拡充

当社は、投資家や株主の皆様、取引先をはじめとする幅広いステークホルダーに対して、サステナビリティ推進に関する方針や考え方・目標・体制・具体的な取組みを深く理解していただくために、毎年「ESGレポート」を発行しています。「ESGレポート」では、ESGパフォーマンスデータと共に、SDGsへの貢献を意識した前期の取組内容を中心に開示しています。

当社の積極的な開示姿勢は、多くのサステナビリティ評価の向上にも繋がっています。今後もステークホルダーとの対話を重視しながら、サステナビリティに関する情報開示を拡充していきます。(→ESGレポート)

マテリアリティの特定プロセスとアクションプランへの落とし込み

当社は、2013年度にESGの視点を取り入れたサステナビリティ上のマテリアリティを特定して以降、国際社会の動向やステークホルダーからの期待等を踏まえ、適宜見直しを実施しています。2018年度には、当社の強みである健康経営や生活消費分野の要素を組み込むといった見直しを行い、パリ協定や国連で採択されたSDGs達成にも寄与する内容に改訂しました。

更に、特定したマテリアリティに資する具体的な取組みとして、各カンパニーや職能組織が事業分野毎の「サステナビリティアクションプラン」に落とし込みを行っています。最初に各組織において事業分野毎の「リスクと機会」、「社会に与えるインパクト」を抽出し、次に中長期的な目標、達成に向けた対応や成果指標をアクションプランとして定め、その進捗に関するレビューを実施し、最後にサステナビリティ委員会に報告するというPDCAサイクルを回すことにより、確実な推進を目指しています。

気候変動問題を機会として活かす

伊藤忠商事は、中期経営計画において、GHG排出量削減に関する「2040年オフセットゼロ」という目標を掲げています。例えば、再生可能エネルギー発電所の建設は、そのエネルギーを利用するお客様のGHG排出量、そして世界のGHG排出量の削減に資する取組みです。他方、新たに再生可能エネルギー発電所を建設した場合、自社のScope3の排出量は増加する可能性もあります。しかしながら、このような取組みを加速し、Scope3を含む自社排出を削減しつつ、削減貢献量を拡大する取組みは、大変意欲的な目標と言えます。 

また、同時に「2050年GHG排出量実質ゼロ」という目標も掲げています。その方策の一つとして、ライフサイクルアセスメント・Scope3の計算方法等を学ぶ研修動画を社員に提供し、脱炭素商品を求める顧客への営業ツールとしても活かしています。将来の大掛かりなソリューションを考えるだけではなく、目の前の自分たちが手掛けるビジネスからまず始めるという姿勢こそが、GHG排出量削減に最も重要であると考えており、他の企業にとっても参考となる取組みだと思います。多くのお客様の事業を支える総合商社が、GHG排出量削減を単なるコストではなく、機会と捉えて積極的に取組む体制が根付いていることは、大変心強く感じます。

2021年度サステナビリティアドバイザリー
ボードメンバー
高村 ゆかり氏
東京大学未来ビジョン研究センター教授。専門は国際法学・環境法学。国際環境条約に関する法的問題、気候変動とエネルギーに関する法政策等を主な研究テーマとする。中央環境審議会会長、東京都環境審議会会長、再生可能エネルギー買取制度調達価格等算定委員会委員長他多数の国内外の委員等も務める。