コーポレート・ガバナンス

女性活躍推進委員会

社外取締役

村木 厚子

厚生労働事務次官等を経て、2016年6月に当社取締役就任。内部統制・コンプライアンス、人材活用や組織活性化の分野において、数多くの有益な提言等を行っている。2022年度女性活躍推進委員会委員長及び指名委員会委員。

女性活躍推進委員会の設置

2021年10月に「女性活躍推進委員会(委員会)」が設置され、委員長を拝命しました。2003年度以降取組んでいる女性活躍推進を更に加速するため、取締役会の任意諮問委員会という位置付けで委員会を設置し、マネジメントが覚悟を持って取組む体制を整えました。委員会は、委員6名のうち半数である3名が社外役員、3名が女性と多様な経験・価値観を持ったメンバーで構成されています。

多様な人材が活躍できる社内風土を醸成することは、中期経営計画の基本方針の一つである「SDGsへの貢献・取組強化」(ジェンダー平等)にも寄与し、企業価値向上にも繋がるものです。また、コーポレートガバナンス・コードの改訂等により、社会的にも女性活躍推進への要請や注目度は高まっています。

女性活躍推進を意図して組成された社内委員会は世の中に多くあると思いますが、取締役会の任意諮問委員会としての設置は、伊藤忠商事ならではの取組みだと考えています。

女性活躍推進委員会での議論

2021年度は、合計3回の委員会を開催しました。まず、委員会では、これまで伊藤忠商事が実施してきた諸施策につき、一つずつ検証を行いましたが、2010年度以降に男女問わず実施してきた朝型勤務制度等の一連の働き方改革が女性活躍を推進する上でも有効であったことを確認しています。また、2021年度に実施したエンゲージメントサーベイに加え、各カンパニープレジデントや仕事と育児を両立している女性社員に対してアンケートを実施し、十分な分析を行いました。更に、3名の女性委員が参加して開催した女性社員との座談会や的場人事・総務部長が実施した約150名の女性社員との面談等を通じて、女性社員の生の声に耳を傾けてきました。それらを踏まえ、女性活躍推進における課題を整理し、「登用への育成の加速」、「柔軟な働き方への進化」という取組方針を打ち出しました。

議論の過程で、様々なデータ分析を行いましたが、特に「共働き比率」に変化が生じていることが分かりました。伊藤忠商事の男性社員の共働き比率は 、2000年度は全社で10%程度でしたが、2021年度には全社で43%、20代に限って言えば90%と、その変化は一目瞭然です。特に若い世代は、女性だけでなく男性も同じように仕事と家庭の両立を図る必要があり、その支援が大変重要になります。「働き方改革第2ステージ」における朝型フレックスタイム制度や全社員対象の在宅勤務制度の導入は、まさに性別にかかわらず、柔軟な働き方を推進する施策であり、その成果をモニタリングしていきたいと考えています。また、2021年4月時点では35名であった女性役職者は、2022年4月には46名まで増加しました。初の海外事務所長、国内事業会社社長、2例目の海外事業会社社長といった重要ポジションへの登用も進み、伊藤忠商事の機動的かつ着実に施策を実行する社風といったものを改めて感じました。

今後も社員の声に耳を傾け、「現場との協議、委員会での議論、取締役会での報告 、そして社内全体での実践」というサイクルを回すことが重要だと考えています。実際に女性社員が重要ポジションに就いているか、役職候補人材の育成が順調に進んでいるか、そして最も重要である「マネジメントが本気で取組んでいるか」という点について、特に注視していこうと思います。取組実績を継続的にモニタリングすることこそ、「監視」機能を持つ取締役会の諮問委員会である「女性活躍推進委員会」の意味合い、使命であると考えています。

社員の声を踏まえた女性活躍推進に向けて

社外取締役

中森 真紀子

主に公認会計士としての財務及び会計に関する高度な専門知識と企業経営者としての豊富な経験を持つ。2019年6月に当社取締役就任。内部統制・コンプライアンスやDXの分野において、専門知識・経験を活かした数多くの有益な提言等を行っている。2022年度ガバナンス・報酬委員会委員長及び女性活躍推進委員会委員。

女性活躍推進委員会の議論を通じて、社員の意識や必要な支援には世代間で違いがあることが、明らかになりました。また、女性社員との座談会を通じて感じたのは、現在の役職世代の登用・活躍支援をまず成功に導くことが肝心であること、そしてそれが次世代のロールモデルとなり、将来のなりたい姿への動機付けに繋がるということでした。

伊藤忠商事での全社的な働き方改革の枠組みの中で特に共感したのは、仕事と家庭の両立に向けて男女区別なく支援するという方針です。育児中の女性社員に特化した施策だけではなく、今後は多様な価値観を持つ社員を含めた包括的な取組みが益々重要になります。更に女性社員の数もまだ増やしていく必要があると考えています。というのも現在の女性社員数は、一定の影響力を持つようになると言われるクリティカルマス、すなわち全体数の3割に達しておらず、今後はその数が増えて組織に新風を吹き込むことを期待しているからです。2021年度は、委員会を通じて伊藤忠商事が本気で女性活躍推進に取組んでいることを感じました。2022年度以降は、施策のレビューを定期的に行うことで、確実な成果のための委員会での責任を果たしていきます。