変革5:脱炭素社会を見据えた事業拡大
(分散型電源プラットフォーム)

脱炭素社会への移行や社会的要請の高まりに加え、昨今の電力・燃料価格高騰の状況下、川下の需要家向けの自家消費目的発電所の建設・保有、需給をコントロールする調整力としての蓄電、更に、それらを統合制御するエネルギーマネジメントのニーズが益々高まっています。当社は多様な脱炭素ソリューションのラインナップを揃え、今後も更に充実させていくことで、脱炭素社会の構築に貢献していきます。

発電

当社は、「追加性*1」のあるクリーン電力供給を行う(株)クリーンエナジーコネクト(CEC社)の第三者割当増資を引受け、資本業務提携契約を締結しました。CEC社は、国内遊休地等を有効活用して多数の小規模太陽光発電所を建設し、NTTグループや第一生命保険(株)といったクリーン電力の調達を急ぐ環境先進企業向けに発電したクリーン電力を束ねて供給していきます。2025年度までに国内約5,000ヵ所、累計500MWの太陽光発電所を導入し、国内で最大規模のオフサイトコーポレートPPA*2運営事業者を目指します。本事業は、従前より(株)VPPJapanを通じて取組み、2022年3月末時点で国内最大級の累計設備稼働実績(約340施設、累計70MW)のある屋根置き(オンサイトPPA)モデルでは、クリーン電力の提供が困難であった十分な屋根を保有しない顧客に対しても、クリーン電力ソリューションの提供が可能となりました。

*1 固定価格買取制度に頼らず、企業が新たに自社専用発電所を建設する等、再生可能エネルギー電源を導入すること。
*2 電力を使用する施設の敷地から離れた場所(オフサイト)に企業専用の太陽光発電所を新たに開発・設置し、環境価値と共に発電した電力を当該施設に送電する長期契約を結ぶこと。

蓄電

再生可能エネルギーの需給調整は不安定で難しく、蓄電池のニーズが高まっています。蓄電池の基幹部材である半固体リチウムイオン電池の開発・ライセンス企業である米国24M Technologies社(24M社)は、製造工程を短縮し、価格競争力のある製品供給を可能にしました。更に、同社の蓄電池はこれまで以上の優れたリサイクル性も有しており、長らく変わらなかった電池製造技術に対して、変革をもたらしています。同技術への評価は車載電池用途にも広がり、ドイツVolkswagen社が2021年12月に同社の増資引受及びライセンス契約の締結を発表しました。過去からの蓄電池ビジネスを通じて構築した人脈を活かし、SDGsビジネスやEV化加速の潮流を捉えた当社の先見性を示す好事例となりました。当社は、24M社の技術ライセンス貸与先の開拓や世界各地の量産先への部材供給等を通じ、半固体リチウムイオン電池の安定供給体制の構築に貢献していきます。

エネルギーマネジメントの強化

発電と蓄電を統合制御するエネルギーマネジメント機能の充実を図るため、(株)アイ・グリッド・ソリューションズ(アイグリッド社)の第三者割当増資を引受け、資本業務提携を強化しました。アイグリッド社の強みである電力ビッグデータ解析やエネルギーマネジメント技術を用いて、太陽光、蓄電池、EV充電器等を統合制御し、各社の分散型太陽光発電所をネットワーク化することで、再生可能エネルギーの地域循環を促進する次世代型エネルギープラットフォームサービスの提供を開始しています。例えば、スーパーマーケットにおける宅配用車両の一部をEVに置き換え、施設の電力使用状況、太陽光発電システムの発電量状況、蓄電池やEVの充電残量、配送スケジュール等に応じて、AIがEVの最適充放電を制御する等、実証から実装のステージへ移行を進めています。

今後も多様な脱炭素ソリューションのラインナップを充実させていくことで、より一層の脱炭素社会の構築に貢献していきます。