方針・基本的な考え方

サステナビリティ推進基本方針

伊藤忠グループ「サステナビリティ推進基本方針」

伊藤忠の創業の精神である企業理念「三方よし」のもと、グローバルに事業を行う伊藤忠グループは、地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に貢献します。本方針は企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」及び企業行動倫理規範に基づいて策定しています。

  1. マテリアリティの特定と社会課題の解決に資するビジネスの推進

    国際社会の一員として、自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティを策定し、事業活動を通じて企業価値向上を目指します。
  2. 社会との相互信頼づくり

    正確で明瞭な情報開示及び開示情報の拡充に努め、ステークホルダーとの双方向の対話を通じて、社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。
  3. 持続可能なサプライチェーン・事業投資マネジメントの強化

    地球環境の保全や気候変動の緩和と適応、汚染防止と資源循環、生物多様性及び生態系の保護、人権と労働における基本的権利に対し、問題の未然防止及び継続的な配慮に努め、持続可能な事業活動を推進します。
    事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源(大気、水、土地、食糧、鉱物、化石燃料、動植物等)の有効利用、人権の尊重、及び労働安全衛生への配慮に努めます。取引先に対しては当社グループのサステナビリティに対する考え方への理解と実践を求め、持続可能なバリューチェーン構築を目指します。
    各国法制度及び国際規範を尊重し、世界各国・地域の文化、伝統、慣習の理解に努め、公正かつ誠実な企業活動を展開します。
  4. サステナビリティ推進に向けた社員への教育・啓発

    「サステナビリティを推進するのは社員一人ひとり」であることから、社員に対し重要課題に関する意識を醸成するための教育・啓発活動を行います。社員一人ひとりが、本方針に基づき各組織のアクションプランを実行します。

代表取締役 副社長執行役員 CAO
小林 文彦

2006年4月制定
2022年4月改訂

サステナビリティ推進にあたっての参考ガイドライン・原則等

サステナビリティ推進にあたっては、国連グローバル・コンパクトの10原則や、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を始めとする、以下のような国際ガイドラインや原則等を参照しています。

  • パリ協定(COP21)
  • 国連グローバル・コンパクト(10原則)
  • GRIスタンダード
  • 国際統合報告フレームワーク(IIRC)
  • IFRS ISSB S1、S2
  • 環境省「環境報告ガイドライン」
  • ISO14001(環境マネジメントシステム)
  • ISO26000(社会的責任に関する手引き)
  • TCFD提言
  • TNFD提言
  • 国連世界人権宣言
  • 国連ビジネスと人権に関する指導原則
  • SDGs(持続可能な開発目標)
  • 先住民の権利に関する国際連合宣言
  • 国連法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則
  • OECD多国籍企業ガイドライン
  • 日本経団連:企業行動憲章・地球環境憲章
  • 日本貿易会「商社環境行動基準」「サプライチェーンCSR行動指針」「気候変動対策長期ビジョン」
  • SDGs(持続可能な開発目標):2015年に終了したミレニアム開発目標(MDGs)に続く、2030年までの持続可能な開発目標。貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会等、以下17の目標が定められています。

伊藤忠グループのサステナビリティの考え方

伊藤忠商事は、創業の精神でもある企業理念「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」、すなわち、自社の利益だけではなく、投資家や株主の皆様、取引先、社員をはじめ、周囲の様々なステークホルダーの期待と信頼に応えることで、社会課題の解決に貢献することを目指しています。
当社は、2018年4月に環境・社会・ガバナンス(ESG)視点を取入れ、社会影響と事業影響という2つの観点から7項目のマテリアリティを特定しました。マテリアリティに対してリスクと機会の両方の観点から対応していくことで、当社の中長期的な企業価値向上に繋がると認識しております。

当社は、2024年4月に発表した経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」において「業績の向上」「株主還元」と並んで「企業ブランド価値の向上」を実現することを掲げています。
当社グループは、160年を超える発展の過程で変化をチャンスと捉えて、川上から川下まで、原料から小売までとその影響範囲を拡大しつつ、時代とともに取扱商品の構成や事業領域を転換しながら発展してきました。そのため、常に既存ビジネスの枠組を超えて新たな価値創造を行うことが、当社グループの企業ブランドを築き上げ、財務面の成長との相乗効果を生んでいます。当社グループは、強みである生活消費分野における消費者接点を活用し、全社員で「マーケットインの発想」の下、市場・社会・生活者の声に耳を傾けること、及び地道な定性面の磨きを継続することで、企業ブランド価値の更なる向上を目指します。

マテリアリティ

伊藤忠商事は、2018年4月当時の中期経営計画策定時に、環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取り入れたマテリアリティを特定しました。これらのマテリアリティに本業を通して取組み、持続可能な社会に貢献していきます。社会の今と未来に責任を果たす伊藤忠商事のサステナビリティへの取組みは、2015年に国連で採択された、「持続可能な開発目標(SDGs)」達成にも寄与しています。

  • SDGs(Sustainable Development Goals):国連加盟国が2015年9月に採択した2030年までの持続可能な開発目標。

技術革新による商いの進化

新技術へ積極的に取組み、産業構造の変化に既存ビジネスの枠組みを超えて挑戦することにより、
新たな価値創造を行います。

気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)

気候変動による事業影響への適応に努めると共に、脱炭素社会へ寄与する事業活動の推進や、
温室効果ガス排出量削減に取組みます。

働きがいのある職場環境の整備

社員一人ひとりが誇りとやりがいを持ち、多様性を活かして、
能力を最大限発揮できる環境を整備します。

人権の尊重・配慮

事業活動を通じた人権の尊重と配慮に取組み、事業の安定化を実現すると共に、
地域社会の発展に寄与します。

健康で豊かな生活への貢献

全ての人のクオリティ・オブ・ライフの向上を目指し、健康で豊かな生活の実現に貢献します。

安定的な調達・供給

生物多様性等、環境に配慮し、各国の需要に合わせた資源の有効利用と安定的な調達・供給
に取組むことで、循環型社会を目指します。

確固たるガバナンス体制の堅持

取締役会は独立した客観的な立場から経営に対する実効性の高い監督を行うと共に、
意思決定の透明性を高めることにより、適正かつ効率的な業務執行を確保します。

マテリアリティの選定・レビュープロセス

伊藤忠商事は2013年に初めてマテリアリティを特定して以降、国際社会の動向やステークホルダーからの期待等を踏まえ毎年見直しを実施しています。
現マテリアリティは、SDGsの採択、パリ協定の発効等の社会情勢及び事業環境の変化、及び企業理念「三方よし」を踏まえ、伊藤忠の持続的成長や事業を通じた社会に対するインパクトを考慮し、2018年4月に策定しました。当初のマテリアリティが環境や社会への配慮(CSR)を中心としたものであったのに対し、「本業を通じた取組み」「経営戦略との整合」「中長期の社会的な変化」「ガバナンスの要素の追加」を踏まえ、改訂を実施したものです。

マテリアリティの策定及びレビューのプロセスは、図示している通りです。

Step 1課題の抽出

「国際統合報告フレームワーク(IIRC)」の国際的なガイドライン、ESG評価機関の評価項目等を参照。社会的課題が網羅されているSDGsをベースに社内外の事業環境や国際動向を考慮して戦略分析シートを作成し、持続的成長のための課題(マテリアリティ候補)を抽出。

Step 2ディビジョンカンパニーごとに重要度の判定及び成果指標の設定

伊藤忠商事のディビジョンカンパニーごとに事業活動における「リスク」「機会」「成果指標」を決議。社内及び社外ステークホルダーによるリスク・機会に関して、数十のマテリアリティ候補の「事業影響」「社会影響」をカンパニーごとに中長期的な視点で検討し、戦略分析シートにマッピング。「三方よし」の経営哲学、企業理念を踏まえ、持続的成長のために優先的に取組むべき課題を特定。

Step 3サステナビリティアドバイザリーボードでのレビュー

当社は「経営への影響」と「ステークホルダーの意見・期待」の両面から「マテリアリティマトリックス」を作成し、サステナビリティアドバイザリーボードにおいて、外部環境や他社動向を踏まえ、多様なバックグラウンドや専門性を持つ社外有識者によるレビュー及び意見交換を実施。7つのマテリアリティを選定した。

マテリアリティマトリックス

  • 1技術革新による商いの進化
  • 2気候変動への取組み
  • 3働きがいのある職場環境の整備
  • 4人権の尊重・配慮
  • 5健康で豊かな生活への貢献
  • 6安定的な調達・供給
  • 7確固たるガバナンス体制の堅持
  • 8インフラの整備
  • 9安心安全な商品供給
  • 10生物多様性への配慮
  • 11水の利用
  • 12大気汚染防止
  • 13金融による地域活性化
  • 14廃棄物の削減

Step 4経営層での議論と決定

CAOが委員長を務めるサステナビリティ委員会で議論、重要課題の妥当性を検証した上で、CEOが議長を務める、当社経営会議・取締役会にて決定。

Step 5マテリアリティの見直し

毎年、サステナビリティ推進部が当社の事業範囲や、外部の有識者とのアドバイザリーボードや株主との面談を通じて寄せられる関心事項とも照らし合わせ、現状のマテリアリティが有効であるかを確認する。その結果は、各カンパニー及び職能組織も出席するサステナビリティ委員会で審議しCAOが決定し、取締役会に報告する。

外部ステークホルダー(有識者)との協議経緯

多様な背景や専門性を持つ有識者から「ESGの視点が今後重要になってきている。中長期的に社会・環境が企業活動へどのように影響を与えるかを考え、伊藤忠のソリューションで社会ニーズに応えていただきたい」など伊藤忠への期待と共に、投資環境、他企業の動向等も踏まえた率直な御意見をいただき、マテリアリティ選定に関する活発な議論が交わされました。

日時

2018年1月15日

テーマ
  • 「サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)」の見直し
  • サステナビリティに関する外部環境と当社推進について
参加者
  • サステナビリティアドバイザリーボードメンバー(役職は当時)
    • 河口 真理子氏 株式会社大和総研 主席研究員
    • 下田屋 毅氏 Sustainavision Ltd. 代表取締役
    • 冨田 秀実氏 ロイドレジスタージャパン株式会社 取締役
  • 伊藤忠商事メンバー(役職は当時)
    • 小林 文彦 代表取締役 専務執行役員 CAO
    • 鈴木 善久 代表取締役 専務執行役員 情報・金融カンパニープレジデント
    • 髙田 知幸 執行役員 広報部長
    • 貝塚 寛雪 執行役員 食糧部門長 
    • 野田 俊介 執行役員 業務部長
    • 齊藤 晃 法務部長
    • 各カンパニー経営企画部長
    • 栗原 章 サステナビリティ推進室長(司会)