「伊藤忠の人と商い」シリーズ

ニックと豚肉。

とんかつ。豚まん。ソーセージ。角煮。豚しゃぶ。生姜焼き。ローストポーク。
こんなにもバリエーション豊かな豚肉料理を食べる日本人。その日本人の愛する肉について、くる日もくる日も、朝から晩まで考え続けている男が、カナダにいる。伊藤忠商事の舩越直之、あだ名はニック。 食料カンパニーに配属されて12年。カナダ最大級の養豚会社「HyLife(ハイライフ)」に赴任して3年半。 ここは種豚生産から養豚、飼料配合、豚肉加工まで、すべてを一貫生産する世界でも稀少な豚肉生産加工企業だ。 カナダのマニトバ州にあり、冬の気温は-30℃にもなる。ニックは毎日、自社用飛行機で農場と工場を行き来しながら通勤。日本に向けた高品質で安心安全な豚肉の開発・販売担当として働く。
柔らかな霜降り好きの日本人に向けた品質と、赤身を好む北米に向けた品質は違う。そんな彼らに 「何が日本人にとって高品質なのか」を肌感覚で理解してもらうことは、着任して最初に越えるべき重要課題だった。 調理師免許を持つ自慢の腕で、とんかつやしゃぶしゃぶを振る舞い、日本文化への理解と親近感を得て、 今では、他社には作れない商品を供給できる体制を作っている。
たとえば、豚はストレスに極度に弱い。ストレス無く健康に育つ豚は肉質も違ってくる。ストレスの少ない 運搬にこだわるあまり、豚がトラックを乗り降りしやすいよう専用のスロープをつける気の配りようだ。 また、脂の質を決める餌は成長に合わせて配合を細かに何度も変える。加えて、豚が病気にならないよう 農場の配置計画から万全な対策をとる。そのこだわりの美味しい豚肉は、日本では「ハーブ三元豚」という ブランド豚として、あるいは「HyLife Pork TABLE」という名のレストランで、味わった人もいるかもしれない。 「気温も湿度も、カナダほど養豚に向いている環境はありません」とニックは言う。
そういえば、なぜ「ニック」? 「もちろん、肉屋のニックですよ」と、ニカっと笑った。

(伊藤忠商事 食料カンパニー)

ひとりの商人、無数の使命 伊藤忠商事

デニムは、ボクらだ。

「EDWINのデニムは、ヨーロッパのセレクトショップでも取り扱われています。好評です」。伊藤忠商事に入社してから25年、デニム一筋。現在EDWIN出向中の大窪功一はそう熱く語る。「ここ日暮里でも、子供からおじいちゃんまで地元の皆さまにご愛用いただいています」。 大窪は、EDWIN本社の近くの店に、出張や展示会で飛び回る合間にも頻繁に通うようにしている。着る人の意外な本音を聞くことができるからだ。そして発見に満ちているからだ。そのころ秋田のEDWIN大川工場では、工場長の井島修が、生産ラインの中で目を凝らしていた。
30年、この道一筋。大窪が最も信頼を寄せる男。しかし昨年、今まで使ったことのない生地を大窪が調達すると、井島が強い難色を示した。「伸縮が激しくて縫製に苦労するし、技術者も お手上げ状態」。でもこの生地の可能性は分かる。大窪と生地メーカー担当者とで改善を重ね、 何十というサンプルを作った。そして今、その製品は売り上げナンバーワンだ。今日も井島は、 社員みんながこの工場で働いていて良かったと心底思ってくれるよう、あらゆる面に心を砕く。
商人の大窪と職人の井島。ふたりの「デニム一筋」は、デニムに呼ばれるように出会い、共に歩む。

(伊藤忠商事 繊維カンパニー)

ひとりの商人、無数の使命 伊藤忠商事

太陽を借りてきた男。

伊藤忠商事の太田剛は、今日も太陽を見上げている。
ここは大分県大分市にある広大なメガソーラー、大分 日吉原 太陽光発電所。
再生エネルギーを活用した発電によって膨大な二酸化炭素を減らせるならば当然、いつも空は晴れていて欲しいところである。

はじまりは10年前。太田が「太陽光関連ビジネス」に大きな商機を感じていたとき、 機械部門と金属部門の社員がまさにそのテーマで社内懸賞論文に応募した。時を同じくして ワシントンD.C.オフィスからも太陽光ビジネスの論文が提出され、結果、全員が社長賞を受賞。
太田はいてもたってもいられず、いち早く手を挙げ参加を表明した。するとそれに続けと 熱い意志を持った者が次々と集まり、ソーラー事業推進部が設立され、現在のチームに至る。
地球の未来のために。そしてエネルギーの自国生産という意味においても、これは 今の日本にとって必要な電源。できることなら日本一の晴れ男になりたいと願う、太田なのだった。

(伊藤忠商事 金属カンパニー)

ひとりの商人、無数の使命 伊藤忠商事