「新企業理念」シリーズ

初代の初心

一八五八年、十五歳で旅に出た。
大阪へ、紀州へ。郷里近江の麻布を商う旅へ。
年を経て下関や長崎まで商いを広げる中で、
少年は気づき、学んでいく。

商いとは何か。
ただ物品を届けるだけではない。
求められるものを、求める人に、求められる形で
お届けすること。やがて生まれる信頼。喜び。満足。
その先にある、何かもっと尊いもの。
すべての人々の役に立ち、世の中全体のしあわせに
つながる営み。それが商いの尊さなのだと。

少年の名は伊藤忠兵衛。
私たちの初代。

こんな言葉が伝わっている。
「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、
売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、
御仏の心にかなうもの」。
いまの言葉で「売り手よし、買い手よし、世間よし」、
つまり「三方よし」の起源となった商いの心。
百六十年以上、私たちが続けてきた商いの形。

初代の初心を胸に三つの「よし」に向かう、
私たちの旅に終わりはありません。

◎伊藤忠商事は、本日四月一日、
企業理念を「三方よし」に改めました。

ひとりの商人、無数の使命 伊藤忠商事