会長CEO

代表取締役会長CEO 岡藤 正広
先を見据えた「防ぐ」経営

先を見据えた「防ぐ」経営

2020年から世界的に感染拡大した新型コロナウィルスは、WHOが緊急事態宣言の終了を発表し、ようやく日本でも5類感染症となりました。

世界中が襲われた未曾有の災禍が始まった2020年春、この危機にどう対応すべきか、どう社員を守り、ビジネスを継続していくか否応なしに考えさせられました。しかし誰も予測できないということが未曾有の災禍なのであり、収束するのがいつかを予測するよりも、このような時だからこそ、いつものようにか・け・ふの「防ぐ」を考え、この危機から生まれる機会は何かと考えてきました。「防ぐ」とは、リスクから逃げてビジネスを止めることではなく、起こりうる最大のリスクに対してどう対応をするかを事前準備し、確実にビジネスを進めることであると考えます。常日頃からこれを実践することが、リスクが顕在化した場合でも、致命的にはならないダメージに留めることに繋がります。

伊藤忠商事が160年以上も発展し続けられた原点は「三方よし」ですが、三方よしでいることは、皆にいい顔するということではなく、三方それぞれのリスクは何なのかを分析し、それぞれに合った対応策をいち早くとることで、それぞれを安定成長させていくということです。それは、社会で何が起きているのか、起ころうとしているのか、また、マーケットが何を欲しているかという情報を収集し、機会と不確実性、即ちリスクを洗出し、それに対応する「防ぐ」を徹底することが極めて重要となります。

私は2018年のヨーロッパ出張の際の「歯ブラシが部屋にない」という経験から、マーケットが変わってきているのだと強く認識し、脱炭素社会を意識した経営に舵を切り、一般炭権益の売却や、蓄電池、セルロースファイバー、廃棄物発電といった環境配慮型事業により注力してきました。お客様や社会の変化に合わせて自社も変化させること、これが私のいう「マーケットイン」の考え方であり、今後もステークホルダーの皆様を大切に、「三方よし資本主義」を実践することで、更なる企業価値の持続的な成長を目指していきます。

2023年6月

岡藤 正広

代表取締役会長CEO 岡藤 正広