会長CEO

写真:おかふじ会長CEO
タイトル:社会課題の解決に挑む成長投資こそが、次代の「稼ぐ」を創り出す

社会課題の解決に挑む成長投資こそが、次代の「稼ぐ」を創り出す

2025年度、伊藤忠商事は連結純利益9,003億円という過去最高益を達成しました。非資源分野の収益拡大に加え、これまで着実に積み重ねてきた投資の成果が表れた結果です。一方、私の心境は決して満足のいくものではありませんでした。中東情勢の緊迫化等を背景とした資源価格の高騰により、資源比率の高い他商社の時価総額が大きく伸びるのを、内心忸怩たる思いで見つめていました。

当社は非資源ナンバーワンの商社として確固たる地位を築いてきましたが、現状に甘んじることなく、資源・非資源を問わず「投資なくして成長なし」と全方位で取組んでいくことが必要です。そのためには外部環境の追い風に頼るのではなく、自らの知恵と汗で稼ぎ出す。その結果、業績と企業ブランド価値の向上が実現していくものと考えています。

私は常々、商いの基本は「か・け・ふ(稼ぐ、削る、防ぐ)」だと言い続けてきました。昨今の気候変動や人権問題、サプライチェーンの分断といった社会課題への対応は、まさにこの「防ぐ」に当たります。しかし、ただリスクを回避し守りに入るのではありません。当社は社会課題解決の目標達成に向けて、経営資源、すなわち投資や人的資本を重点的に配分し、サステナビリティ分野や現場の課題にも常に先手を打つ姿勢を貫いてきました。こうした挑戦を世界中の成長分野や社会課題解決に直結する領域へと広げています。新規・既存事業を問わず、「現場に足を運んで、自分の目と耳で確かめる」ことを徹底し、スピード感を持って実行するその積み重ねが、伊藤忠の企業価値向上と持続的な成長を力強く後押ししています。それが結果として新たなビジネスチャンスを生み、次代の「稼ぐ」に繋がっていくのです。

例えば、セルビア共和国における大規模廃棄物発電プロジェクトでは、長年環境問題となっていた廃棄物をエネルギー源へ転換し、地域の電力供給と温室効果ガス削減、循環型社会の構築に大きく貢献しています。こうした取組みは、単に商売の継続性を守る「稼ぐ」ためだけでなく、現地地域の環境・生活・社会課題を解決する「防ぐ」ことにも直結しています。廃棄物の適切な処理や再生エネルギー化は、地域社会の持続可能性を高め、地元住民の健康や雇用、生活環境の保全にも繋がるものです。サステナビリティ経営の深化は、当社のみならず、全てのステークホルダーや現地社会の未来を守る行動そのものです。

また、重要なのが「人」への投資です。伊藤忠の最大の財産は人であり、少数精鋭で高効率な経営を支えているのは、社員一人ひとりの商人魂に他なりません。目まぐるしく変わるマーケットのニーズを的確に捉えるには、多様な現場の活きた視点が必須であると考えています。このため、いつでも社員が心身ともに最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ダイバーシティ推進や健康経営の一環である朝型勤務等の施策を重視し、実施しています。こうしたウェルビーイングの取組みを通じて、人的資本の価値を最大限に引き出し、企業ブランド価値の向上に繋げています。人への投資こそが、当社の未来をつくる最大の成長戦略であり続けます。

どのような時代の変化にあっても、伊藤忠商事は現場を重視し、自らの目で状況を見極め、柔軟かつ果断に事業を推進してまいります。今後も「三方よし」の精神のもと、成長投資を通じてサステナビリティ経営を加速させ、全てのステークホルダーの皆様と共に、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。伊藤忠商事の更なる成長と挑戦に、どうぞご期待ください。

2026年7月

おかふじ会長CEOの署名

代表取締役会長CEO 岡藤 正広