商品ごとの取組み方針と内容

森林保護に関連する商品

伊藤忠商事ではそれぞれの、森林の保護に関連する以下のようなコモディティを取り扱っており、サプライヤーへのサプライチェーン・サステナビリティ行動指針に加えて守るべき自然林の保護と森林資源の持続的な利用を継続するため、以下の調達方針を定めています。本方針は少なくとも年1回見直し、必要に応じて改定します。

森林の保護に関連するコモディティ

  • 木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品
  • 天然ゴム
  • パーム油

自然林保護と森林資源の持続的利用継続の方針・体制

自然林と森林資源保護に関する調達方針

対象組織

伊藤忠商事及びその子会社

自然林保護と森林資源の持続的利用継続の方針
  1. 原料の産出地の森林破壊ゼロを確認できるよう情報収集に努め、サプライチェーンの透明化と調達物のトレーサビリティ向上を目指すこと。
  2. High Conservation Value(HCV:高保護価値)地域、High Carbon Stock(HCS:高炭素蓄積)地域、及び泥炭地域の保護・保存と地域住民・社会配慮(FPIC)に賛同し、継続的に環境への負荷削減に取組むこと。
  3. 保護価値の高い森林破壊など、深刻な環境・社会的問題に関わるサプライヤーからの調達でないこと。
  4. 木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品においては、信頼できる森林認証制度の拡大を支援し、認証取得した調達物の取扱いを促進すること。
  5. 天然ゴム、製紙用原料及び紙製品においては、事業を行う国の排水に関する法令等を遵守し、排水の適切な処理を行うとともに、水資源の循環使用などを通じて水使用量の削減に取組むこと。
  6. パーム油に関連する事業の実施にあたっては、化学物質の使用の最小化と、パラコート、世界保健機関(WHO)が定める1A/1Bクラスの殺虫剤、ストックホルム条約・ロッテルダム条約に掲載されている化学物質を使用しないように取組んでいるサプライヤーからの調達に努める。

森林保護に関連する品目と対応する「自然林保護と森林資源の持続的利用継続の方針」の項目は次のとおりです。

方針の項目 森林保護に関連する品目
木材、木材製品 製紙用原料及び
紙製品
天然ゴム パーム油
1. 森林破壊ゼロとトレーサビリティ

2. 産出地域の保護・保存、地域住民への配慮

3. 深刻な環境・社会問題に関わるサプライヤー排除

4. 森林認証制度の拡大

5. 排水・水資源への配慮

6. 化学物質使用最小化または不使用

当社は、森林の保護に関連するコモディティに関して、グループ各社及びサプライヤーと連携しながら、調達物のトレーサビリティの確保のため、「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」、および当方針に基づいた調達に努めます。
本方針を推進するため、各カンパニー及び該当するグループ会社が重要サプライヤーに対してサステナビリティ調査を実施します。本方針への不遵守が把握された場合は、問題解決に向け協議し、改善策を要請していきます。改善されない場合は、取引の見直しを検討します。
サステナビリティ調査について定期的に情報開示をおこないます。また、サプライヤーおよび顧客を含むステークホルダーとの適切なコミュニケーションにより、持続的な森林資源の活用を社会に広めていきます。

体制

毎年、カンパニーの経営陣に対して、目標設定と目標に対する進捗状況を報告し、了承を取得しています。NGO等ステークホルダーからの指摘等も共有し、課題があれば、取組み方針の見直し等を図ることとしています。
パーム油に関しては、方針に基づいた調達は主管部署である食料カンパニー食糧部門油脂・カカオ部が行っています。
木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品では、当該商品を取扱うメンバーに対して、サステナリビティ推進担当者が少なくとも年1回の研修を行い、森林資源開発に関する国内外の動向や諸問題、持続可能な森林資源の活用について啓発を行っています。

木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品

伊藤忠商事では、パルプ・紙製品、木材・木材製品、ウッドチップの材料調達・製造・流通に関わっており、守るべき自然林の保護と森林資源の持続的な利用を継続するため、2025年までに、認証材、または高度な管理が確認できる材の取扱い比率100%を目指して事業活動を推進しています。

セニブラ社でのFSC森林認証及びCoC認証

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セニブラの広大な植林地

伊藤忠商事は、世界第8位の広葉樹市販パルプメーカーであるブラジルのセニブラ社に出資し、100%植林木で生産された同社のパルプ120万トンを輸出販売総代理店として世界で販売しています。セニブラ社ではFSC(Forest Stewardship Council)の森林認証及びCoC認証(加工・流通過程の管理認証)を取得し、保有する土地、約25万ha(神奈川県の面積に相当)のうち、約13万haに植林してパルプを生産し、残り約10万haについては永久保護林、法定保護林として残し、生態系の維持を図っています。また、土壌崩壊地、地滑り地、枯地の森林再生の目的で天然林と同種の4種の苗木年間7万本を地域に植林し、その広さは年間300haにも及びます。

METSA FIBRE社におけるFSCとPEFCの森林認証

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2017年に稼動した新工場・アネコスキ工場

伊藤忠商事は、年間約320万トンのパルプ生産能力量を誇るフィンランドの世界最大級の針葉樹パルプメーカーであるMETSA FIBRE社(以下「メッツァファイバー」)の株式を保有し、主にアジア市場向け針葉樹パルプについては、独占販売代理店として活動しています。同社では、約80%はFSC(Forest Stewardship Council)とPEFC(Program for the Endorsement of Forest Certification Schemes)の2つの森林認証を有する森林資源から、100%トレース可能なパルプを製造しています。
フィンランドでは原木成長量が消費量を上回っており、長期的な原木の安定供給が可能な国です。このような優良パートナーとの取組みを通じ持続可能な森林資源利用を推進すると共に、今後も更なる事業強化を推進していきます。

中国材のトレーサビリティ証明の取得

伊藤忠建材では、2013年から、中国で製造された合板のトレーサビリティを証明する仕組み作りに取組んでいます。2017年、認証機関である日本ガス機器検査協会(JIA)から監査を受け、主要なサプライチェーンについて「木材トレーサビリティ証明」の認定を受けました。「木材トレーサビリティ証明」は伐採許可書等の証跡書類の入手や各工場の監査、伐採地の視察などにより、伐採地から単板工場、合板製造工場に至るすべてのサプライチェーン上の過程を管理し、トレーサビリティを確保するものです。これにより、中国で製造された森林認証を取得していない合板のうち、約4割について、違法伐採の材を使用していないという信頼性を確保することができました。

サステナビリティ調査とサプライヤーとのエンゲージメント

当該商品につき、単体及び主要グループ会社のサプライヤーに毎年調査を実施しています。ガイドライン上はリスクが低いと判断されるサプライヤーも調査対象に含め、より広範囲のサプライヤーと継続して対話を行うよう努めています。
NGOから指摘を受けているサプライヤーに対しては、サステナビリティ調査に加え、現地訪問・デューデリジェンスを実施して実態の把握に努め、森林認証の取得や第三者機関による認定を積極的に働きかけています。

マレーシア/サラワク州の違法伐採・人権問題の指摘対応
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アナップ・ムプット森林管理区の先住民コミュニティ―との面談

NGOによる違法伐採、人権問題の指摘を受けているサラワク州においては、毎年、サプライヤーに加え、州政府、木材協会、人権委員会、人権派弁護士、現地住民、現地NGOや森林コンサルタント等幅広くヒアリング調査を実施し、実態把握に努めています。
調査を通じNGOが指摘する問題は見つかっておりませんが、懸念を払拭するための具体的な取組みを行うよう、繰り返し働きかけた結果、近年、サプライヤーが積極的に森林認証取得に動き出し、森林認証林区が増加しています。またサラワク州政府も、違法伐採排除に向けた規制強化や森林認証取得促進策を打ち出すなど変化が起きています。

ルーマニアのサプライヤー(シュバイクホッファー社)違法伐採の指摘対応
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ルーマニア水・森林省との面談

伊藤忠建材の製材品の仕入先のひとつであるルーマニアのサプライヤー・シュバイクホッファー社は、NGOから違法伐採の指摘を受けました。
それに対応し、シュバイクホッファー社では、PEFC認証保有に加え、違法伐採材の混入を確認する目的でのサプライチェーンのリスクアセスメントを実施し、2016年、Indufor(国際的な林業コンサルティング会社)によりアセスメントの有効性が認定されています。2017年には違法伐採材の混入排除のため同社保有のすべての木材収集所から製材工場までの木材追跡システム(Timflow)を導入しました。さらに、2018年にはNGOとのコミュニケーション改善のためオープンドア政策(事前登録したNGO代表者は予告なしに工場訪問可能)を実施しました。
伊藤忠建材は、現地の政府機関、業界団体、森林認証団体、現地NGO等、様々なステークホルダーに対するヒアリング調査を毎年実施し、以上のような違法伐採材の排除と透明性への取組みが年々強化されていることを確認しています。

森林認証と合法性のパフォーマンスデータ

伊藤忠は取扱っている木材・木材製品を、森林認証と合法性の根拠により以下4カテゴリーに分類して、パフォーマンスを評価しています。カテゴリー(A)は「(A)森林認証を受けたサプライヤーから取扱う材or認証機関より管理材として認められた材」としてFSC認証 or PEFC認証を取得しています。

合法性根拠の分類 品目 2017年度 2018年度 2019年度
認証材or高度な管理が確認可 森林認証制度

(A)森林認証を受けたサプライヤーから取扱う材or認証機関より管理材として認められた材(FSC or PEFC認証を取得)

43%

36%

64%

(B)森林認証制度に基づく「低リスク」評価国・地域で伐採を行った材

36%

44%

25%

クリーンウッド法における合法性の確認

(C)原産地の法令に適合して伐採されたことを証明する書類により合法性を確認した材※1

18%

17%

10%

(D)「追加的措置」により合法性を確認した材※2

3%

3%

0%

  1. 具体的には輸出許可証・原産地証明などにより確認した材
  2. 具体的にはサプライヤーに対して、流通経路の提示を求めるなどによって、法律に適合して伐採されたことを確認した材

製紙用原料のパフォーマンスデータ

伊藤忠で取扱っているチップ・パルプ等の製紙用原料はすべて「森林認証を受けたサプライヤーから取扱う材or認証機関より管理材として認められた材」としてFSC or PEFC認証を取得しています。

合法性根拠の分類 品目 2017年度 2018年度 2019年度
認証材or高度な管理が確認可 森林認証制度

森林認証を受けたサプライヤーから取扱う材or認証機関より管理材として認められた材(FSC or PEFC認証を取得)

チップ

100%

100%

100%

パルプ

100%

100%

100%

天然ゴム

伊藤忠商事は天然ゴムビジネスにおいて、加工事業及びトレーディング事業を行っています。天然ゴムは、主にタイやインドネシアなどの東南アジアで生産され、その約7割がタイヤに使用され、今後もその需要は伸びていくと言われている一方で、森林減少や地域住民の権利侵害といった課題も報告されています。天然ゴムの流通においては、生産者からタイヤメーカーへの納品までは複数の事業者(集荷業者、輸送業者)が関わっており、より高い透明性が求められています。
そのような状況に対応して、伊藤忠商事は、2018年10月に設立されたGlobal Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム)に設立メンバーとして参画し、GPSNRが規定する12原則に合意し、プラットフォームの基準の策定と、その運用に協力します。

GPSNRへの参加

2018年10月、伊藤忠商事は持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム「Global Platform for Sustainable Natural Rubber」に日本の商社で唯一設立メンバーとして参画しました。本組織は天然ゴム産業に関わるカーメーカー、タイヤメーカー、天然ゴム加工企業によって設立され、サプライチェーンを通じて協業し、トレーサビリティの確立や、より高い持続可能性が実現されることを目指していきます。

ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ実証実験の取組み

2019年2月、伊藤忠商事は事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源の安定的な調達・供給及び、その流通の透明性確保のため、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティ・システムの構築に向けた実証実験を開始しました。

実証実験は、伊藤忠商事が100%の株式を有する天然ゴム加工会社PT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア、President Director:矢島久嗣、以下「ABP」)の天然ゴム原料調達サプライチェーンを活用し、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:菊地哲、以下「CTC」)が実証実験用のシステムを構築します。

[図]
天然ゴムのサプライチェーンと本実証実験のイメージ

実証実験では、スマートフォンアプリを利用して、受渡者間で取引内容の相互認証を行い、日時・位置情報等と合わせてブロックチェーン上に記録します。これにより、天然ゴムが加工工場に至るまでの流通の透明化を図ります。また、各事業者の協力を促すため、正しく記録された取引に応じて対価を支払う仕組みも用意します。
伊藤忠商事は中期経営計画の基本方針である「商いの進化」に取組むことで、企業理念「三方よし」による持続的成長を目指し、国連で採択された2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成にも貢献していきます。

パーム油

パーム油については、農園の開発や生産に係わる環境破壊及び人権侵害との関連性が指摘されています。伊藤忠商事は、パーム油ビジネスとしてトレーディングを行っており、パーム農園事業には関与しておりませんが、流通の一翼を担うものとして本課題を特に配慮を要するものと認識しています。生産者と消費者をつなぐ立場としての責任を持ち、企業の社会的責任を果たすため、パームオイルのための円卓会議(RSPO)に加盟して取組みを推進していると同時に、各業界団体と協力の上、MSPO※1やISPO※2といったRSPO以外の認証油の普及にも力を入れています。

また、『持続可能なパーム油の調達方針』を策定し、サプライチェーンの透明化を進め、持続可能なパーム油の調達体制強化を推進することで、『自然林保護と森林資源の持続的利用継続』の実現を目指していきます。

  1. Malaysian Sustainable Palm Oil
  2. Indonesian Sustainable Palm Oil

トレーサビリティの確立

伊藤忠商事はパーム油の安定調達及び供給を実現し、企業の社会的責任を果たすために、サプライチェーンの検証を行い、問題点を発見・改善することによって、2021年までにミルレベルまでのトレーサビリティ100%を達成し、2025年までに当社が調達するすべてのパーム油を、持続可能なパーム油※1に切り替えていくことを目標に掲げております。特にNDPE原則(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)※2に基づく調達の実現を目指します。

  1. 持続可能なパーム油:RSPO及びこれに準ずる基準に応じたサプライチェーンから供給されるパーム油
  2. No Deforestation, No Peat, No Exploitation(NDPE):森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ

持続可能なパームオイルのための円卓会議(RSPO)加盟

2006年から「持続可能なパームオイルのための円卓会議(RSPO)」に加盟し、RSPOが規定する原則と基準(Principle and Criteria for the Production of Palm Oil)を尊重し、サプライチェーンの透明化を進め、トレーサビリティを高めている原料購入先との取引を拡大することで持続可能なパーム油の調達体制強化に取組んでいます。
現地調査を含むサステナビリティ・サプライヤー調査や、サプライヤーとの直接のコミュニケーションを通じて、重点項目の確認を行い、調達に活かしています。
運用にあたっては、取引先や専門家などのステークホルダーとも協力し、定期的に調達方針の見直しを行います。本件に関する情報開示は、ESGレポート・サステナビリティアクションプラン・The Annual Communication of Progress (ACOP)等を通じ公開して参ります。

伊藤忠の取組みについては、以下の開示情報もご参照ください。

持続可能なパーム油 調達パフォーマンスデータ

2021年までにミルレベルまでのトレーサビリティ100%、2025年までに当社が調達全パーム油を、持続可能なパーム油に切り替えることを目標に掲げております。現時点の取組進捗情報と、実績と目標情報は以下の表に示す通りです。

区分 実績 目標
2017年 2018年 2019年 2021年 2025年
パーム油取扱数量

360,000mt

277,000mt

308,000mt

<主要サプライヤー>

Malaysia

Malaysia

Malaysia

Malaysia

Malaysia

Indonesia

Indonesia

Indonesia

Indonesia

Indonesia

RSPO Members

9/9(100%)

10/10(100%)

100%

100%

Suppliers under NDPE policy

9/9(100%)

10/10(100%)

100%

100%

<Certified Sustainable Palm Oil>

RSPO認証油

0.30%

1.10%

9.87%

<Traceability>

Traceable to the mills

99.80%

99.90%

100%

100%

乳製品・食肉・水産物・繊維原料

乳製品

我が国の乳製品供給体制は北海道を中心に国内での生産・供給体制が整っております。一方で2018年末に成立したTPPや2019年2月1日開始予定のEU EPAの成立により、緩やかに輸入機会が拡大していきます。現在、日本はニュージーランド、オーストラリア、欧州諸国、北米、南米と複数の国・地域から乳製品を輸入しております。乳製品における持続的成長可能な生産体制への取組みはそれぞれの国・地域の農業政策、生産体制が反映されたものであり、生産者団体や各企業も徐々に持続的成長可能な生産体制の構築に向けた取組みを開始している状況です。まずは主要産地・主要サプライヤーの取組み状況を把握し、より安心で安全な乳製品をお届けできるよう主要サプライヤーとの密接なコミュニケーション・関係構築に努めます。

生乳の安全性確保

乳製品の安全性確保において最も重要な取組みは生乳の安全性確保です。酪農家で搾乳して集乳され、乳製品工場へ搬入された生乳は受入段階で抗生物質のコンタミテストが実施され、安全性が確認された生乳のみが使用される体制になっています。
チーズ、バターは10kgや20kgの段ボール箱に個別包装、脱脂粉乳(粉ミルクは含まず)は25kg紙バッグを中心に製造工場内で製造され、製造日が印字されますので、製造工場内での生産日までトレース可能な状況となっています。

  • 肉牛や乳用牛の飼育に用いられるホルモン剤や抗生物質の基準は各国関係機関によって定められており、各乳製品メーカーは基準に基づいて自主管理規程を設けています。また、農家から工場へ搬入する際に使用する運搬車両等に生乳以外の残留物等がないか、毎回確認しています。

圃場の持続可能性への取組み

日本向け供給拠点として重要な位置づけであるニュージーランドでは放牧中心の乳牛飼育が基本であり、圃場が荒れないように定期的に圃場を変えながら飼育する等、生産性向上の観点で普段から取組んでいます。

ニュージーランド等では新たな試みとしてグラスフェッドバター等の製品開発・流通が始まっています。

  • グラスフェッドとは:牧草のみを食べて育つ肉牛・乳用牛を意味します。一般的なバターは穀物を中心に食べて育った牛のミルクを使うのに対し、グラスフェッドバターは牧草だけ、若しくはある割合以上で牧草のみを食べて育った牛のミルクを使用しています。穀物を中心とした飼育と比べて経済的負担が少ないといったメリットがあります。

オランダでは、乳牛のし尿に含まれるリン酸塩が土壌に与える影響を考慮して国家として飼育頭数の全体管理等に取組んでいます。

食肉

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Teys Australia Condamine社の牛肥育農場

伊藤忠商事食料カンパニーの畜産部は、世界各国より畜肉原料(牛肉・豚肉・鶏肉)を輸入、調達しております。取扱量が最も多い豚肉は主に北米・欧州から、牛肉は豪州・米国から輸入を行っており、豪州牛肉サプライヤーTeys社及びプリマハムと豪州の牛肥育事業Teys Australia Condamine Pty Ltdに共同出資しております。また、カナダ・マニトバ州で豚肉生産事業を行っているHyLife Group Holdings.(HyLife)の株式を、伊藤忠商事は49.9%保有しています。
海外から食肉原料を調達する取引先においては、生産における環境対応の充実、労働者への人権・労働条件の配慮、そして何より安心安全を担保できるトレーサビリティを実現する生産体制確立を、重点的に確認・要請する項目としております。
伊藤忠商事は責任ある食肉調達を行うというコミットメントの下、サプライソースとなる工場への実地訪問を定期的に行っており、海外サプライヤーと密なコミュニケーションを通じて、良好な関係を構築しております。

HyLife Group Holdingsでのトレーサビリティ確立

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豚肉加工過程

HyLife Group Holdings.(HyLife)では、養豚農場、配合飼料工場、豚肉加工までの一貫生産を行っているため、自社でサプライチェーンの管理・コーディネーションが可能です。この生産体制を活用し、トレーサビリティが確立された、安心・安全で高品質な製品の安定供給を実現することが出来ました。
この一貫生産によりお客様の個々のニーズを養豚現場までフィードバックすることが可能となり、日本向けにカスタマイズをしたスペシャルティ・プログラムを確立、市場でも高評価を受けて、現在は対日向け冷蔵ポーク輸出量でカナダNo.1となりました。

Teys Australia Condamine社の温暖化対策

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設置されている太陽光発電パネル

Teys Australia Condamine社では2015年に1,034機の太陽光発電パネルを導入、年間約506,000kWhの電力を発電する事が可能となり、同施設において使用される電力の約50%を再生可能エネルギーにて対応しております。太陽光発電の導入により、CO2排出量を約395トン削減し、太陽光発電の導入前と比べ、約49%のCO2排出量の削減を実現しました。

また、豪州の共同出資パートナーであるTeys社より屠畜、加工する牛肉を調達しておりますが、同社は屠畜の過程で発生するメタンガスを抽出し、工場の熱として再利用する、サステナブルなオペレーションを組んでおります。

イニシアティブへの参加について

持続可能且つサステナブルな牛肉生産を目指し、生産者から小売業まで業態が多岐にわたる企業がGlobal Round Table for Sustainable Beef、通称GRSBというイニシアティブへ参加しております。
伊藤忠商事はGRSBに参加している複数の参加企業との取引関係を構築しており、最新の動向等に関する情報交換を行っております。

トレーサビリティのパフォーマンスデータ

伊藤忠商事は食の安心安全を第一に考える中、何よりお客様へお届けする商品が生産者までしっかりとトレースが図れる事を大前提にしております。
伊藤忠商事が取り扱うすべての食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)の生産サプライヤー(主に海外)では100%、生産段階までトレースバックができる仕組みを構築しております。

内容 実績
2017年 2018年 2019年
食肉取扱量(トン)

約16万

約15万

約13万

  • 牛肉・豚肉・鶏肉で、生産段階まで100%トレースバック可能

アニマルウェルフェアについて

伊藤忠商事グループとしては、家畜を快適な環境下で飼養し、家畜のストレスや疾病を減らすことで生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながるという考えに基づき、現地の法律に則って、家畜を人道的に取扱うよう以下の取組みを行っています。

Teys社は取扱う牛を人道的に扱う事をコミットし、同社屠畜処理場は全て豪州家畜処理業アニマルウェルフェアシステム(AAWCS)が定めるルールを遵守しております。AAWCSは独立したアニマルウェルフェアの認証プログラムであり、本認証の取得は牛の処理に至るまでのプロセスにおいて、定められた基準に則り、牛が人道的に扱われている事を証明するものです。
また、フィードロットは独立した認証プログラムであるナショナルフィードロット認証スキームが定める厳正なルールに則っております。

HyLife社は取扱う豚を人道的に扱う事を最優先に考え、全従業員が全うすべき義務、責任としております。
具体的には豚の肥育段階において最も負荷がかからない環境を整え、栄養管理、飼育環境、健康管理に細心の注意を払っております。
HyLife社の農場はカナダ品質保証プログラムの認証を受けており、また全従業員は動物の適切なハンドリングを行うべく、包括的なトレーニングを受けております。

水産物

伊藤忠商事では水産物としては鰹鮪(かつおまぐろ)類を中心に取扱っており、インドネシアでは合弁のツナ缶工場PT.Aneka Tuna Indonesia社(以降ATI)をパートナーと運営しております。鰹鮪においては自主管理規定を設け、各漁業団体によって適切に管理されているもののみを調達する方針を徹底しております。

目標

高度回遊魚である鰹鮪類において漁業者におけるMSC※1取得は限定的である現状下、缶詰原料用の鰹鮪のトレードにおいては現在のMSC原料取扱い4,500トン/年を漁業者にも働きかけ、5年以内に10,000トン/年を目指してまいります。
またツナ缶詰取扱いにおける一本釣り※2製品比率は2013年度には7%でしたが、2018年度は14%を超えており、引続き維持拡大に努め20%を目指したいと考えております。
ATI社における一本釣り原料の使用比率・数量は、2013年の2割である8,000トンから2018年の4割となる20,000トン強と2倍以上に伸長し、世界でも数少ない一本釣り原料使用の多いツナ缶工場となっており、引続き一本釣り原料の確保・維持拡大に努めます。

  1. MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)1997年設立の持続可能な漁業の普及に取組む国際NPO。本部はイギリスのロンドン。
  2. 一本釣り漁法は魚を一本一本釣り上げる漁法で一度に大量に漁獲することがなく、持続可能な漁法であり、対象漁獲物以外の混獲も回避することができ環境に優しい漁法と言われております。

責任ある水産資源調達のためのサプライヤー調査

全ての取扱い水産物において責任ある水産資源調達のため、各漁業団体と協力を推進し、サプライヤーの定期訪問調査を実施しております。定期訪問調査については、当社食品安全・コンプライアンス管理室と連動し当社社内選定基準に該当するサプライヤー45社に対し、毎年各営業担当が訪問調査を実施し、ESGの観点からも適切なサプライヤーであることを確認しております。

特に取扱いの多い鰹鮪類については2017年9月に「鮪取扱管理規定」という自主管理規定を設け、IUU漁業(違法操業、Illegal, Unreported and Unregulated)からの調達を行わず、「中西部太平洋まぐろ類委員会(略称:WCPFC)」等により適切に資源管理されている漁業者のみから、原産地の明らかな水産物の調達・仕入を行っております。

認証取得とイニシアティブへの参加

[写真]
一本釣り漁獲風景

伊藤忠商事では2018年3月にMSC(Marine Stewardship Council)における流通業者の認証、CoC(Chain of Custody Certificate)※1認証を取得しております。
鰹鮪事業においては2012年に鮪資源の持続的利用を目的として設立された「責任あるまぐろ漁業推進機構」(略称:OPRT)に加盟し、先の自主管理規定に則った取組みを推進しております。
ATI社においては、鰹鮪漁法の中でも最も環境に優しいとされる一本釣り原料の取扱いを強化しています。ATI社においてはインドネシアの一本釣り協会(Indonesian Association of Pole & Line and Hand Line)に2014年に加盟し、FIP(Fishery Improvement Program)※2に使用されるデータの提供、インドネシアでのMSC審査への協力等を行っております。また国際機関では2016年にISSF(International Seafood Sustainability Foundation)※3にも加盟し、同様に情報提供などの協力を行っております。

  1. CoC(Chain of Custody Certificate)とはMSCにおける「加工・流通過程の管理」において、MSC認証を受けた水産物・製品のトレーサビリティを確保するための加工・流通業者に対する認証です。
  2. FIP(Fishery Improvement Program)とは漁業改善プロジェクトのことで、MSC認証取得が難しい小規模漁業者や市場関係者が協力し、MSCに準拠する漁法で将来的なMSC取得をめざし持続可能な漁業を目指し活動するプロジェクトです。
  3. ISSF(International Seafood Sustainability Foundation)2009年大手ツナ缶業者の呼びかけにより発足した持続可能な鰹鮪漁業を目指し活動する団体です。

認証取得等のパフォーマンスデータ

項目 2013年度実績 2019年度実績 目標
(今後5年間)
ツナ缶詰原料用鰹鮪 MSC,COC認証取得 MSC、COC数量

n/a

7,300トン

10,000トン

MSC、COC%

0%

4%

5%

ATI社一本釣り ATI社一本釣り原料数量

8,000トン

25,000トン

25,000トン

一本釣りツナ製品比率

7%

17%

20%

繊維原料

近年、世界的なファッションブランドが、サプライチェーンにおける労働環境の整備及び衣料品廃棄問題等への対応として、素材調達におけるオーガニックコットンや再生ポリエステル等の環境配慮型素材への移行を宣言するなど、ファッション市場にサステナブルの潮流が浸透しつつあります。こうした中、ファッションアパレル部門では、伊藤忠商事の祖業である繊維原料のトレードにおいて、当社が主体となって取扱う繊維原料を、段階的に環境負荷の低い原料へとシフトし、且つ、原材料の調達から販売までのトレーサビリティを確立していくことを基本方針としており、2025年までに、繊維原料課が主体となって取扱う繊維原料の50%をトレース可能かつ環境負荷の低い原料に移行することを目指します。

インドのオーガニックコットン調達

  • インドのオーガニックコットン調達におけるトレーサビリティ
[図]
  • 日本環境設計の技術を活用した再生ポリエステル事業におけるトレーサビリティ
[図]

インドのオーガニックコットン調達のGOTS認証に関しては、認証取得したインドのジニング(綿花の収穫後に種と繊維を切り離す作業)工場から証明書付きのオーガニックコットン原綿を仕入れ、認証を取得した紡績工場に納品、同工場において紡績された糸を仕入れ、国内外の織・編工場等に販売しています。
また、オーガニックコットンのトレーサビリティに関しては、インドの綿農家のオーガニック農法への移行・ジニング工場や紡績工場のGOTS認証取得サポート等の豊富な経験とネットワークにより、現在取扱っているインドのオーガニックコットン及び移行期間(3年間)コットンの調達に関して、綿農家まで100%トレーサブルとなっています。
こうした経験を活かし、2019年に本格始動した「レニュー」プロジェクトにおいても、再生ポリエステル糸のGRS(Global Recycle Standard)認証をいち早く取得しています。

  • GOTS認証:オーガニック繊維で作られた製品の認証のための要件を明確に示した総合的な基準であり、「認証された原料とそのトレーサビリティ」「ケミカルの使用について禁止と制限の規定」「分離と識別」「環境管理」「残留物の限界」「社会的規範」などから構成されている。

環境配慮型素材の拡充

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循環型経済の実現を目指す「レニュー」プロジェクト

ファッションアパレル部門では、数年前から「ハミルトンラムズウール」、「ワン・コットン」等の天然素材をブランディングし、製品化して提案する取組みを進めてきましたが、昨今のグローバルアパレル市場におけるサステナブル素材への転換機運を受け、環境配慮型素材の拡充にも取組んでいます。
2018年10月には、フィンランド森林業界大手のMetsa Groupと共同出資による環境配慮型セルロースファイバーのパイロットプラント設立に合意し、2019年2月には中国の山東如意科技集団と共同で米国LYCRA社に出資しました。さらに、2019年春より循環型経済の実現を目指すプロジェクト「レニュー(RENU)」を始動させ、第一弾商品として再生ポリエステルの展開を開始しました。
今後も、環境配慮型素材の拡充に向けてグローバル企業との協業を加速していとともに、中長期的な目標である製品化までのブランディング及びトレーサビリティの確立に向けて、紡績、織編、縫製等の各工程における認証の取得及び社内横断型ビジネスの拡大に取組んでいきます。

オーガニックコットン調達パフォーマンスデータ

オーガニックコットンについては、全て、GOTS認証を取得し、トレーサブルとなっています。

項目 2016年 2017年 2018年 2019年
オーガニックコットン取扱量(千キロ)

449

556

900

460

綿取引に占める割合

7%

9%

32.2%

18.2%

オーガニックコットンのTraceability

100%

100%

100%

100%

オーガニックコットンのGOTS認証

100%

100%

100%

100%