商品別のサステナビリティ調達への取組み

木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品

取引の概要

木材の利用イメージ

[図]

サプライチェーン

[図]

サプライソースと供給先(数量ベース)

[図]

方針・基本的な考え方(木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品調達方針)

目的・背景

伊藤忠商事は、企業の社会的責任を果たすため、サプライチェーン・サステナビリティ行動指針を定め、持続可能な社会の実現を目指した事業活動に取組んでいます。また、伊藤忠商事は守るべき自然林の保護と森林資源の持続的な利用を継続するため、以下の調達方針を定めます。

対象組織

伊藤忠商事及びその子会社

対象商品

原木、木材製品、チップ・パルプなどの製紙用原料及び紙製品(以下、調達物)

基本方針

伊藤忠商事及びその子会社は、以下の方針に基づいた調達に努めます。

  1. 信頼できる森林認証制度の拡大を支援し、認証取得した調達物の取扱いを優先すること。
  2. 原料の産出地の森林破壊ゼロを確認できるよう情報収集に努め、調達物のトレーサビリティ向上を目指すこと。
  3. High Conservation Value(HCV:高保護価値)地域、及びHigh Carbon Stock(HCS:高炭素蓄積)地域の保護・保存と地域住民・社会配慮(FPIC)に賛同し、継続的に環境への負荷削減に取組むこと。
  4. 保護価値の高い森林破壊など、深刻な環境・社会的問題に関わるサプライヤーからの調達でないこと。

運用に関して

持続可能な森林経営に貢献すべく、運用にあたっては、取引先や専門家、NGOなどのステークホルダーとも協力し、定期的に方針の見直しを行います。

情報公開と外部コミュニケーション

取組みの進捗状況は、透明性を確保するため、ESGレポート等を通じて公開し、取引先との適切なコミュニケーションにより、持続的な森林資源の利用に対する社会の理解を促進します。

体制

毎年、カンパニーの経営陣に対して、目標設定と目標に対する進捗状況を報告し、了承を取得しています。NGO等ステークホルダーからの指摘等も共有し、課題があれば、取組み方針の見直し等を図ることとしています。
また、当該商品を取扱うメンバーに対して、サステナリビティ推進担当者が少なくとも年1回の研修を行い、森林資源開発に関する国内外の動向や諸問題、持続可能な森林資源の活用について啓発を行っています。

目標

2025年までに、認証材、または高度な管理が確認できる材の取扱い比率100%を目指します。

取組み(情報公開と外部コミュニケーション)

グループ会社の事例紹介

事例1:セニブラ社

伊藤忠商事は、世界第8位の広葉樹市販パルプメーカーであるブラジルのセニブラ社に、日本の大手紙パルプメーカー等とともに出資し、100%植林木で生産された同社のパルプ120万トンを輸出販売総代理店として世界で販売しています。セニブラ社ではFSC(Forest Stewardship Council)の森林認証及びCoC認証(加工・流通過程の管理認証)を取得し、植林による持続可能な森林経営により、植林からパルプ製造までを一貫して行っています。セニブラ社が、保有する土地、約25万ha(神奈川県の面積に相当)のうち、約13万haに自社で植林してパルプを生産し、残り約10万haについては永久保護林、法定保護林として残し、生態系の維持を図っています。
また、土壌崩壊地、地滑り地、枯地の森林再生の目的で天然林と同種の4種の苗木年間7万本を地域に植林し、その広さは年間300haにも及びます。天然林の保護区「マセドニアファーム」では絶滅危惧鳥類の保護繁殖活動を行い、キジ科の鳥「ムトゥン」などの希少野鳥の保護、繁殖、放鳥をしています。

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セニブラの広大な植林地
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絶滅危惧鳥類ムトゥンの保護繁殖活動
事例2:METSA FIBRE社
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2017年に稼動した新工場・アネコスキ工場

伊藤忠商事は、フィンランドの世界最大級の針葉樹パルプメーカーであるMETSA FIBRE社(以下「メッツァファイバー」)の株式を保有しています。メッツアファイバーは(17年8月に増産工事完了後、新しく稼働開始したアネコスキ工場含め)年間約320万トンのパルプ生産能力量を誇り、その内、主にアジア市場向け針葉樹パルプについては、独占販売代理店として伊藤忠商事に販売を委託しています。同社では、約80%はFSC(Forest Stewardship Council)とPEFC(Program for the Endorsement of Forest Certification Schemes)の2つの森林認証を有する森林資源から、100%トレース可能なパルプを製造しています。
フィンランドでは原木成長量が消費量を上回っており、長期的な原木の安定供給が可能な国です。また、メッツァファイバーはパルプ製造工程で電力も創出しており、自社使用以外の余剰分は周辺地域へ供給、地域での化石燃料消費削減にも貢献しています。このような優良パートナーとの取組みを通じ持続可能な森林資源利用を推進すると共に、今後も更なる事業強化を推進していきます。

サステナビリティ調査

当該商品につき、単体及び主要事業会社のサプライヤーに毎年調査を実施しています。ガイドライン上はリスクが低いと判断されるサプライヤーも調査対象に含め、より広範囲のサプライヤーと継続して対話を行うよう努めています。

現地への訪問

NGOから指摘を受けているサプライヤーに対しては、サステナビリティ調査に加え、現地訪問・デューディリジェンスを実施して実態の把握に努め、森林認証の取得や第三者機関による認定を積極的に働きかけています。

事例1:マレーシア/サラワク州
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アナップ・ムプット森林管理区の先住民コミュニティ―との面談

NGOによる違法伐採、人権問題の指摘を受けているサラワク州においては、毎年、サプライヤーに加え、州政府、木材協会、人権委員会、人権派弁護士、現地住民、現地NGOや森林コンサルタント等幅広くヒアリング調査を実施し、実態把握に努めています。
調査を通じNGOが指摘する問題は見つかっておりませんが、懸念を払拭するための具体的な取組みを行うよう、繰り返し働きかけた結果、近年、サプライヤーが積極的に森林認証取得に動き出し、森林認証林区が増加しています。またサラワク州政府も、違法伐採排除に向けた規制強化や森林認証取得促進策を打ち出すなど変化が起きています。

事例2:ルーマニアのサプライヤー(シュバイクホッファー社)
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ルーマニア水・森林省との面談

NGOから違法伐採の指摘を受けているルーマニアのサプライヤー・シュバイクホッファー社は、伊藤忠建材の製材品の仕入先のひとつです。伊藤忠建材は、同サプライヤーに懸念払拭の取組みを働きかけるとともに、NGOの意見を参考に訪問先を選定し、現地の政府機関、業界団体、森林認証団体、現地NGO等、様々なステークホルダーに対するヒアリング調査を毎年実施し、実態把握に努めています。
シュバイクホッファー社では、PEFC認証保有に加え、違法伐採材が混入していないことを確認する目的でのサプライチェーンに対するリスクアセスメントを実施しており、2016年、Indufor(国際的な林業コンサルティング会社)によってこのリスクアセスメントの有効性が認定されています。2017年には違法伐採材の混入を排除する目的で同社が所有するすべての木材収集所から製材工場までのトレーサビリティを把握できる木材追跡システム(Timflow)を導入し、2018年にはNGOとのコミュニケーション改善のためオープンドア政策(事前登録したNGO代表者は予告なしに工場訪問可能)を実施しました。現地調査を通じ、以上のような違法伐採材の排除と透明性への取組みが年々強化されていることを確認できました。

パフォーマンスデータ

伊藤忠は取扱っている材を、合法性の根拠により以下4カテゴリーに分類。

森林認証制度

  • (A) 森林認証を受けたサプライヤーから取扱う材or認証機関より管理材として認められた材
  • (B) 森林認証制度に基づく「低リスク」評価国・地域で伐採を行った材

クリーンウッド法における合法性の確認

  • (C) 原産地の法令に適合して伐採されたことを証明する書類により合法性を確認した材(具体的には輸出許可証・原産地証明などにより確認した材)
  • (D) 「追加的措置」により合法性を確認した材(具体的にはサプライヤーに対して、流通経路の提示を求めるなどによって、法律に適合して伐採されたことを確認した材)
2018年度見通し 合法性根拠の分類
認証材or高度な管理が確認可
品目

(A)

(B)

(C)

(D)

木材

36%

44%

17%

3%

チップ

100%

0%

0%

0%

パルプ

100%

0%

0%

0%

グループ会社事例紹介:中国材のトレーサビリティ証明の取得

伊藤忠建材では、2013年から、中国で製造された合板のトレーサビリティを証明する仕組み作りに取組んでいます。2017年、認証機関である日本ガス機器検査協会(JIA)から監査を受け、主要なサプライチェーンについて「木材トレーサビリティ証明」の認定を受けました。「木材トレーサビリティ証明」は伐採許可書等の証跡書類の入手や各工場の監査、伐採地の視察などにより、伐採地から単板工場、合板製造工場に至るすべてのサプライチェーン上の過程を管理し、トレーサビリティを確保するものです。これにより、中国で製造された森林認証を取得していない合板のうち、約4割について、違法伐採の材を使用していないという信頼性を確保することができました。

木材トレーサビリティ証明書(PDF:524KB)[PDF]

天然ゴム

取引の概要

サプライチェーン

[図]

方針・基本的な考え方(天然ゴム調達方針)

序文

伊藤忠商事は、持続可能な社会の実現に向け、原点である「三方よし」の精神を踏まえた伊藤忠商事のサステナビリティ推進の方向性を「サステナビリティ推進基本方針」として策定しました。
また「伊藤忠商事サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を定め、問題発生の未然予防に努め、問題が見つかった場合にはサプライヤーとの対話を通じて改善を目指します。
伊藤忠商事は、2018年10月に設立されたGlobal Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)に設立メンバーとして参画し、GPSNRが規定する12原則に合意し、プラットフォームの基準の策定と、その運用に協力します。

目的

天然ゴムの持続可能な供給を実現し、企業の社会的責任を果たすため、天然ゴムビジネスにおける調達方針を定めます。

  • 伊藤忠商事は天然ゴムビジネスにおいて、加工事業及びトレーディング事業を行っています。

対象

伊藤忠商事及び、その子会社を対象とします。

重点項目

  • 安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供を目指し、違法な低賃金を禁止します。
    従業員の雇用条件及び安全衛生基準などの労働条件に関して、事業活動を行う国や地域の法令、国際労働機関(ILO)などが定める国際的規範を遵守します。
  • 原料の産出地の森林破壊ゼロを十分に確認できるよう情報収集に努め、また新規技術の導入等によって天然ゴム製品及び、スモールホルダー(小規模農家)、中間原料ディーラーなど多くのステークホルダーが介在する当該製品のサプライチェーンにおいて、トレーサビリティの確保に向けた取組みを行います。
  • High Conservation Value(HCV:高保護価値)地域、及びHigh Carbon Stock(HCS:高炭素蓄積)地域、また泥炭地域の開発に関わるサプライヤーの特定に取組み、当該サプライヤーからの調達を防止します。
  • UN-REDD(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation: 森林減少・劣化による二酸化炭素排出の削減)プログラムによってまとめられたFree Prior and Informed Consent(FPIC)原則に則った事前の手続きを実施します。また、土地強奪など先住民の損害に関わるサプライヤーの特定に取組み、当該サプライヤーからの調達を防止します。
  • 事業を行う国の排水に関する法令等を遵守し、排水の適切な処理を行うとともに、水資源の循環使用などを通じて水使用量の削減に取組みます。

運用に関して

運用にあたっては、取引先や専門家、NGOなどのステークホルダーとも協力し、GPSNRを通じて実施する天然ゴムの持続可能性に資するサプライチェーン全体への取組みも考慮しながら定期的に方針の見直しを行います。

体制

毎年カンパニーの決議機関であるDMCにおいて、経営陣に対して、目標設定と目標に対する進捗状況を報告し、了承を取得しています。NGO等ステークホルダーからの指摘等も共有し、課題があれば、取組み方針の見直し等を図ることとしています。

取組み(情報公開と外部コミュニケーション)

事例1:GPSNR(持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム)への参加

2018年10月、伊藤忠商事は持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム「Global Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)」に日本の商社で唯一設立メンバーとして参画しました。本組織は天然ゴム産業に関わるカーメーカー、タイヤメーカー、天然ゴム加工企業によって設立され、サプライチェーンを通じて協業し、トレーサビリティの確立や、より高い持続可能性が実現されることを目指していきます。

事例2:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ実証実験の取組み

2019年2月、事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源の安定的な調達・供給及び、その流通の透明性確保のため、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティ・システムの構築に向けた実証実験を開始しました。

実証実験は、伊藤忠商事が100%の株式を有する天然ゴム加工会社PT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア、President Director:矢島久嗣、以下「ABP」)の天然ゴム原料調達サプライチェーンを活用し、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:菊地哲、以下「CTC」)が実証実験用のシステムを構築します。

天然ゴムは、日々の生活に欠かせない天然資源の1つであり、主にタイやインドネシアなどの東南アジアで生産され、その約7割がタイヤに使用されています。世界的なモータリゼーションが進む中、今後もその需要は伸びていくと言われている一方で、森林減少や地域住民の権利侵害といった課題も報告されていることから、環境や人権に配慮した事業活動を推進していくことが不可欠となっています。現在、生産者からタイヤメーカーへの納品までは複数の事業者(集荷業者、輸送業者)が関わっており、天然ゴムの流通において、より高い透明性が求められています。

天然ゴムのサプライチェーンと本実証実験のイメージ

[図]

今回、スマートフォンアプリを利用して、受渡者間で取引内容の相互認証を行い、日時・位置情報等と合わせてブロックチェーン上に記録します。これにより、天然ゴムが加工工場に至るまでの流通の透明化を図ります。また、各事業者の協力を促すため、正しく記録された取引に応じて対価を支払う仕組みも用意します。
伊藤忠商事は中期経営計画の基本方針である「商いの次世代化」に取組むことで、新時代“三方よし”による持続的成長を目指し、国連で採択された2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成にも貢献していきます。

不動産

方針・基本的な考え方

建設・物流部門及び同部門グループは、以下の重点テーマに積極的に取組み、住宅及び物流施設を中心に、不動産開発から運営管理まで一貫して携わることで、暮らしに不可欠で良質な住宅や物流サービスを提供するとともに、お客様、株主・投資家様、地域社会との対話を通じた信頼関係を構築し、社会に貢献できるよう努力を続けてまいります。

重点テーマ

  • 労働環境整備・地域社会への貢献
  • 省エネ技術導入・サポートサービス及び啓発活動の仕組み作り
  • 安全・安心な住宅・サービス提供
  • 地域コミュニティ形成の協力活動

体制・システム

[図]

建設・物流部門、及び同部門グループは、事業用地を取得する際には、購入予定不動産についてチェックリストに沿った調査を行い、土壌汚染や廃棄物、反社会勢力の排除、関連法令等の観点から懸念がないことを事前に確認するとともに、産業廃棄物処理時の処理手順を定め、環境関連法令に違反することがないよう努めています。不動産取引を実行する際には、犯罪収益移転防止法に基づき顧客の本人確認及び取引確認記録の作成・保管を徹底することで、マネー・ロンダリング対策を適切に実行しています。

具体的な取組み

事例1:労働環境整備・地域社会への貢献の取組み

カラワン工業団地

伊藤忠商事は、インドネシアの首都ジャカルタ東方にあるカラワン工業団地(KIIC)を現地パートナーと共同で事業展開しており、およそ1,400haの工業団地には150社超の企業が入居しています。KIICのエントランスには、同社のCSR基本方針や活動報告を掲示しており、サステナビリティに関する取組みを積極的に開示する姿勢を取っています。
KIICは安心、安全かつ環境に配慮したインフラの整備を行っています。団地内には国営電力会社の変電施設を設置し、電力確保及び安定供給体制を実現するとともに、独自の工業用水プラント施設や排水プラント施設、非常用バックアップとしての調整池の設置、団地内交通事故を未然防止する道路舗装など、安定したインフラ設備の構築を実現しています。また、150名のセキュリティスタッフによる24時間警備体制、警察官詰め所の設置、カラワン県政府及びカラワン警察と連携した治安・警備体制、消防車や救急車の配備など、安心・安全のセキュリティ体制を構築しています。更に、インドネシアの工業団地として初めてスマート街路灯※を整備し、環境負荷の低減にも努めています。
また、企業誘致による雇用創出に加えて、医療・農業・環境・教育などの観点から、地域に貢献する様々な活動も長期に亘り継続しています。KIIC独自の活動としては、近隣6カ村を対象に「地域乳幼児健康連絡所」の開設支援や助産師向けの医療器具の提供等を行っています。入居企業との共同取組みとしては、毎年の世界環境デーに自治体への苗木の寄贈や植林を実施、更に団地内に農業・環境保全などに関する教育・研修等を推進する「農業公園」を設置し、専門家による近隣農民への農業指導や年間1万本を超える植林用苗木の栽培を行っています。入居企業によるサステナビリティ活動の事務局として、毎月近隣の乳幼児向け離乳食の支給、中高生への奨学金の給付、洪水時の支援や、デング熱などの感染症の防止を目的とした蚊などの害虫駆除活動等を積極的に支援しています。
KIICはこれらの取組みを通じ、「地域社会と共に発展する工業団地」を目指します。

  • スマート街路灯:省電力・高効率LEDに調光・制御機能を付加し、街路照明の運用保守管理を効率化(街路照明のスマート化)することで、電力消費量や二酸化炭素排出量の抑制を実現するIoTソリューション。KIIC内に約1,200本整備。

事例2:省エネ技術導入・サポートサービス及び啓発活動の取組み

伊藤忠都市開発(株)は、省エネ生活を支援するサービスを提供することで、環境負荷低減の啓発に努めてまいりました。一部のマンションにはビル管理システムであるMEMS(Mansion Energy Management System)を導入し、各住戸ではスマートメーターを使用したマンション内の電力量計測、電力一括購入サービスによる電力の削減、電力需要のピークシフト等のエネルギー削減支援サービスを行っています。
たとえば、東京ガス(株)とのコラボレーションにより導入した、家庭向け省エネ生活を支援する「省エネサポートサービス」では、入居者ごとの電気・ガス・給湯の使用量等の情報を測定・管理し、個別の省エネアドバイスを記載した「ECOレポート」を各住戸に提供、さらに入居者間での省エネルギーコンテストを実施することを通じゲーム感覚で競い楽しみながら家庭内のCO2排出量を削減する仕組を作りました。

事例3:安全・安心な住宅・サービス提供の取組み

伊藤忠都市開発(株)は、総合防災サポートプログラム「クレヴィア ライフ・ハグ」を、2012年以降の分譲マンション全棟で導入しています。「コミュニティ形成・防災備蓄・住品質」の3つの観点から、多角的で多層的な安心のカタチを追及・具現化しています。

マンション管理を行う伊藤忠アーバンコミュニティ(株)では、マンションの日々の維持管理に加え、建物資産価値を守るべく次世代に亘る建物の長寿化・再生を提案しており、その一環として「100年マンション研究会」を発足させました。
築年数の経ったマンションは、壊して土地の売却精算をするか、新たに建て替えるかのどちらかが一般的でしたが、「再生させ、住み続ける」という選択肢を提案し、誰もが心地よく住み続けられるマンションを目指しています。経年劣化する共用部は適切な大規模修繕工事を行うとともに、各種機能向上、イメージアップ等により建物資産価値の向上を目的とした再生リノベーションを実施します。専有部は、配管や電気設備等の見えない部分を交換することにより事故の発生を防ぎます。
またマンションの維持管理には、質が高くプロ意識の高い管理員育成が欠かせません。従業員に対しては、職業訓練校認定の研修を自社開催する等、手厚い研修を実施するとともに 労働安全衛生など労務環境の向上を図っています。

[図]

事例4:地域コミュニティ形成の協力活動ヘの取組み

伊藤忠都市開発(株)は、開発している地域や住人同士のつながりを活かしたコミュニティの形成や、様々な世代や障がい者に対応するユニバーサルデザイン、エコロジーな取組みも積極的に進めています。
2018年に横浜市金沢区竣工した新築分譲マンション『クレヴィア金沢八景THE BAY』において、「金沢八景うみまちLABO」という活動を実施しています。金沢八景という街の魅力を積極的に発信・共有し、地域との繋がりを大切にすることで街への愛着を育むとともに、契約者に対して入居前から様々なイベントを用意することを通じて、マンション内の良好なコミュニティに繋げることを目指す取組みです。契約者向けのクルージングツアーや地引網等のイベントの開催、地域行事への参加やイベント会場提供による協力活動等を行いました。また、生物多様性に配慮した取組みとして、金沢八景–東京湾アマモ場再生会議等が主催する「アマモ移植会」に参加し、海洋生物が住む場所となる海藻の一種であり「海のゆりかご」とも呼ばれるアマモを海に移植する活動を、地元の学校の生徒の協力のもと実施しました。
都市再開発により発展が期待される戸塚における横浜市住宅供給公社、神奈川中央交通(株)との官民協業による分譲マンション『クレヴィア戸塚』は、駅から徒歩2分と公共交通機関への利便性が高い立地に、全世代に優しい設備と仕様を採用し、障がい者や高齢者の方にも配慮したマンションとなっています。

化学品

方針・基本的な考え方

化学品部門で取扱う化学品や合成樹脂、またこれを原料とする製品は、我々の生活のあらゆる場面で使われており非常に有用なものである一方で、これら化学品の中には性質上毒性を有するものや危険なものも多く、製造、販売、輸送、保管等の様々な場面において数多くの関連法規の規制を受けています。
国民の健康や環境保全に関わる重大な問題であることから、化学品の取引に関する法規制は多種多様であり非常に厳しく、法令違反に対する罰則も非常に重いものになっています。また、商品の取扱いに許認可を要するものも多数有りますが、法令違反を起こし許認可が取り消される様なことになれば、化学品部門のビジネスに重大な影響を与えることにもなりかねません。
また、化学品のサプライチェーン全体レベルでのリスク最小化を指向する国際的な流れの中で、先進国、途上国問わず、新たな規制の導入、既存規制の大型改正が始まっており、化学品を取扱う上での法規制環境は今後ますます厳しくなるものと予想されます。
以上の認識の下、化学品を扱う企業として商品や業界の知識だけでなく法令を遵守することの重要性を認識し、担当者一人一人が自らの取扱っている商品についての法規制を正確に理解した上で、法令の要求事項に沿ってビジネスを行うことを基本方針としています。

体制

化学品部門が主管となり、化学物質を主に扱う化学品部門各営業部、及び化学品部門が主管するグループ会社が適切に法令を順守できるよう管理しております。また、化学品部門以外で化学品を一部取扱う営業部門やグループ会社へも適宜指導、助言を行っております。
管理方法としては、外部コンサルティングへの問い合わせの徹底、及び専用システムによる一元的法令管理を基本としており、具体的には、2016年に独自開発した法令管理システムによる商品毎の化学物質レベルでの適用法令や対応事項の確認・記録化、重要法令に関するeラーニングの実施や、主要法令の要点をまとめた関連法規ハンドブックの配布を通じた営業担当者への継続的教育を行うことで法令順守に努めています。
外部コンサルティング会社には、化学物質管理に関する高いノウハウを持つテクノヒル株式会社(本社 東京都中央区、代表取締役 鈴木一行)を起用し、管理体制に関する総合的助言や商品毎の適用法令といった個別相談等、あらゆる面でサポートを受けています。

緊急・事故対応への管理体制

伊藤忠商事の事故・緊急事態対応規程に沿って社内外への報告を行うと共に、事故の状況によって個別手順書に従い対応します。例えば毒物及び劇物に係る事故等が発生した際は、伊藤忠商事で定めた「医薬用外毒物劇物危害防止手順書」に沿って対応することとしており、具体的には「同規定添付の緊急連絡網に沿って必要な報告を行うとともに、速やかな対応を行い毒物劇物による危害を最小限にとどめる。」「飛散、漏れ、流出、しみだし、または地下にしみ込んだ場合において、不特定または多数の者について保険衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは直ちにその旨を保健所、警察署、または消防期間に届け出るとともに、保険衛生上の危害を防止すべく必要な措置を講じる」等の対応を行うこととしております。

パフォーマンスデータ

化学品関連法規eラーニング

2016年度以降毎年実施しています。対象は主に化学品部門に属する社員、及び同部門が主管するグループ会社ですが、エネルギー・化学品カンパニー以外の一部カンパニーでも実施しております。今年度は2018年10月に行い、化学品部門では141名が受講しました。

化学品関連法規ハンドブック

[写真]

2012年に初版発行し、現在は16年改訂版を作成、交付しております。掲載法令は32法令で、各法令の概要、遵守事項の要点を明記しています。化学品業界法の知見が十分でない新入社員や化学品部門以外で化学品を取扱う営業担当者が必要に応じて参照し、業界法への自発的気づきを促すことを目的としています。

法令順守の状況

18年4月から現時点において、免許停止等の大きな違反はありません。

パーム油の持続可能な調達への対応について

取引の概要

サプライチェーン

[図]

方針・基本的な考え方(持続可能なパーム油の調達方針)

目的・背景

パーム油については、農園の開発や生産に係わる環境破壊及び人権侵害との関連性が指摘されています。伊藤忠商事は本課題を特に配慮を要すると認識しており、生産者と消費者をつなぐ立場としての責任を持ち、企業の社会的責任を果たすため、サプライチェーン・サステナビリティ行動指針を定めています。また、持続可能なパーム油の調達を継続するため、以下の調達方針を定めます。

対象組織

伊藤忠商事及びその子会社

対象商品

パーム油

伊藤忠商事はパーム油ビジネスとしてトレーディングを行っており、パーム農園事業は行っておりません。

目標

伊藤忠商事はパーム油の安定調達及び供給を実現し、企業の社会的責任を果たすために、以下の重点項目を評価の基準としたサプライチェーンの検証を行い、問題点を発見・改善することによって、2021年までにミルレベルまでのトレーサビリティ100%を達成し、2025年までに当社が調達するすべてのパーム油を、持続可能なパーム油※1に切り替えていくことを目標に掲げております。特にNDPE原則(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)※2に基づく調達の実現を目指します。

  1. 持続可能なパーム油:RSPO及びこれに準ずる基準に応じたサプライチェーンから供給されるパーム油
  2. No Deforestation, No Peat, No Exploitation(NDPE):森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ

重点項目

  • スモールホルダー(小規模農園)・中間ディーラー・搾油工場等多くのステークホルダーが介在するパーム油のサプライチェーンにおける透明化
  • スモールホルダーをサプライチェーンに組み込むためのサプライヤー及びステークホルダーとの協働
  • NDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)原則
  • High Conservation Value(HCV:高保護価値※1)地域、High Carbon Stock(HCS:高炭素蓄積※2)地域、深さに拘らない泥炭地域※3の開発防止
  • HCV評価の実行、SEIAs※4の実行
  • 焼き畑の禁止(No Burning)、泥炭地・土壌に対してのベストマネジメントプラクティス
  • 化学物質の使用の最小化と、パラコート、世界保健機関(WHO)が定める1A/1Bクラスの殺虫剤、ストックホルム条約・ロッテルダム条約に掲載されている化学物質の不使用
  • 従業員の最低賃金や、性別を含むあらゆる手段の差別撤廃等の、労働条件に関する、事業活動を行う国や地域の法令、国際労働御機関(ILO)などが定める国際的規範の遵守
  • パーム油のサプライチェーンにおける女性が働きやすい環境の整備
  • 児童労働・強制労働を含む違法労働の禁止
  • 従業員に対する安全・衛生・健康に優れた労働環境
  • FPIC※5原則、先住民の権利尊重
  • グリーバンスメカニズムの実装、検証、改善
  1. 高保護価値(HCV: High Conservation Value)地域:High Conservation Value Resource Network (HCVRN)によって定義されている地域
  2. 高炭素蓄積地(HCS:High Carbon Stock)地域:High Carbon Stock Approach Network (HCSA)によって定義されている地域
  3. 泥炭地:地中に炭素を大量に固定している土地。この開発によって 大量の温室効果ガスが大気中に排出される事になる。
  4. SEIAs:Social and Environmental Impact Assessments 社会・環境影響評価
  5. FPIC:Free, Prior and Informed Consent 地域の保護・保存と地域住民・社会配慮

運用・情報開示

運用にあたっては、取引先や専門家などのステークホルダーとも協力し、定期的に方針の見直しを行います。本件に関する情報開示は、ESGレポート・サステナビリティアクションプラン・The Annual Communication of Progress (ACOP)等を通じ公開して参ります。

体制

毎年カンパニーの経営陣に対して、目標設定と目標に対する進捗状況を報告し、了承を取得しています。
方針に基づいた調達は主管部署である食料カンパニー食糧部門油脂・穀物製品部が行っています。

取組み

  • 2006年から「持続可能なパームオイルのための円卓会議(RSPO)」に加盟し、RSPOが規定する原則と基準(Principle and Criteria for the Production of Palm Oil)を尊重し、サプライチェーンの透明化を進め、トレーサビリティを高めている原料購入先との取引を拡大することで持続可能なパーム油の調達体制強化に取組んでいます。
  • 現地調査を含むサステナビリティ・サプライヤー調査や、サプライヤーとの直接のコミュニケーションを通じて、重点項目の確認を行い、調達に活かしています。

伊藤忠の取組みについては、以下の開示情報もご参照ください。

水産物

方針・基本的な考え方

[写真]
インドネシア水産庁派遣のオブザーバー乗船による漁獲管理風景

伊藤忠商事では水産物としては鰹鮪(かつおまぐろ)類を中心に取扱っており、インドネシアでは合弁のツナ缶工場PT.Aneka Tuna Indonesia社(以降ATI)をパートナーと運営しております。鰹鮪においては自主管理規定を設け、各漁業団体によって適切に管理されているもののみを調達する方針を徹底しております。
鰹鮪以外の水産物においても責任ある水産資源調達を行っておりますが、現状天然漁獲物の取扱いが多いため、今後環境負荷も考慮した上で養殖魚等の取扱いにも力を入れて行く方針です。

目標

高度回遊魚である鰹鮪類において漁業者におけるMSC※1取得は限定的である現状下、缶詰原料用の鰹鮪のトレードにおいては現在のMSC原料取扱い4,500トン/年を漁業者にも働きかけ、5年以内に10,000トン/年を目指してまいります。
またツナ缶詰取扱いにおける一本釣り※2製品比率は2013年度には7%でしたが、2018年度は14%を超えており、引続き維持拡大に努め20%を目指したいと考えております。
ATI社における一本釣り原料の使用比率・数量は、2013年の2割である8,000トンから2018年の4割となる20,000トン強と2倍以上に伸長し、世界でも数少ない一本釣り原料使用の多いツナ缶工場となっており、引続き一本釣り原料の確保・維持拡大に努めます。

  1. MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)1997年設立の持続可能な漁業の普及に取組む国際NPO。本部はイギリスのロンドン。
  2. 一本釣り漁法は魚を一本一本釣り上げる漁法で一度に大量に漁獲することがなく、持続可能な漁法であり、対象漁獲物以外の混獲も回避することができ環境に優しい漁法と言われております。

体制

全ての取扱い水産物において責任ある水産資源調達のためにサプライヤーの定期訪問調査を実施しており、各漁業団体とも協力推進しております。責任ある水産資源調達のためのサプライヤーの定期訪問調査については、当社食品安全・コンプライアンス管理室と連動し当社社内選定基準に該当するサプライヤー45社に対し、毎年各営業担当が訪問調査を実施しております。ESGの観点からも適切なサプライヤーであることを確認し取引を行っております。
特に取扱いの多い鰹鮪類については2017年9月に「鮪取扱管理規定」という自主管理規定を設け、IUU漁業(違法操業、Illegal, Unreported and Unregulated)による漁獲物の調達を行わず、「中西部太平洋まぐろ類委員会(略称:WCPFC)」など各漁業団体により適切に資源管理されている漁業者のみから調達・仕入を行う方針のもと取組みを進めております。

取組み

[写真]
一本釣り漁獲風景

伊藤忠商事では2018年3月にMSC(Marine Stewardship Council)における流通業者の認証、CoC(Chain of Custody Certificate)※1認証を取得しております。
鰹鮪事業においては2012年に鮪資源の持続的利用を目的として設立された「責任あるまぐろ漁業推進機構」(略称:OPRT)に加盟し、先の自主管理規定に則った取組みを推進しております。
ATI社においては、鰹鮪漁法の中でも最も環境に優しいとされる一本釣り原料の取扱いを強化しており、ツナ缶市場においても、英国・豪州などサステナビリティに関心の高い市場では、一本釣り原料使用製品のニーズが年々高まってきており、同社製造の一本釣り製品の取扱いを強化する方針です。
ATI社においてはインドネシアの一本釣り協会(Indonesian Association of Pole & Line and Hand Line)に2014年に加盟し、データの提供など協力を実施、本データはFIP(Fishery Improvement Program)※2に使用されており、インドネシアでのMSC取得のための協力も行っております。また国際機関では2016年にISSF(International Seafood Sustainability Foundation)※3にも加盟し、同様に情報提供などの協力を行っております。

  1. CoC(Chain of Custody Certificate)とはMSCにおける「加工・流通過程の管理」において、MSC認証を受けた水産物・製品のトレーサビリティを確保するための加工・流通業者に対する認証です。
  2. FIP(Fishery Improvement Program)とは漁業改善プロジェクトのことで、MSC認証取得が難しい小規模漁業者や市場関係者が協力し、MSCに準拠する漁法で将来的なMSC取得をめざし持続可能な漁業を目指し活動するプロジェクトです。
  3. ISSF(International Seafood Sustainability Foundation)2009年大手ツナ缶業者の呼びかけにより発足した持続可能な鰹鮪漁業を目指し活動する団体です。

パフォーマンスデータ

項目 2013年度実績 2018年度見込 目標(今後5年間)
ツナ缶詰原料用鰹鮪MSC数量

n/a

4,500トン

10,000トン

一本釣りツナ製品比率

7%

14%

20%

ATI社一本釣り原料数量

8,000トン

20,000トン

維持

乳製品

方針・基本的な考え方

我が国の乳製品供給体制は北海道を中心に国内での生産・供給体制が整っております。一方で2018年末に成立したTPPや2019年2月1日開始予定のEU EPAの成立により、緩やかに輸入機会が拡大していきます。現在、日本はニュージーランド、オーストラリア、欧州諸国、北米、南米と複数の国・地域から乳製品を輸入しております。乳製品における持続的成長可能な生産体制への取組みはそれぞれの国・地域の農業政策、生産体制が反映されたものであり、生産者団体や各企業も徐々に持続的成長可能な生産体制の構築に向けた取組みを開始している状況です。まずは主要産地・主要サプライヤーの取組み状況を把握し、より安心で安全な乳製品をお届けできるよう主要サプライヤーとの密接なコミュニケーション・関係構築に努めます。

目標

TPP、EPAの成立により、今後、輸入機会が拡大していきます。より安全で安心な乳製品をお届けできるよう主要サプライヤーとの密接なコミュニケーション・関係構築に努めます。

体制

乳製品の安全性確保において最も重要な取組みは生乳の安全性確保です。酪農家で搾乳して集乳され、乳製品工場へ搬入された生乳は受入段階で抗生物質のコンタミテストが実施され、安全性が確認された生乳のみが使用される体制になっています。
チーズ、バターは10kgや20kgの段ボール箱に個別包装、脱脂粉乳(粉ミルクは含まず)は25kg紙バッグを中心に製造工場内で製造され、製造日が印字されますので、製造工場内での生産日までトレース可能な状況となっています。

  • 肉牛や乳用牛の飼育に用いられるホルモン剤や抗生物質の基準は各国関係機関によって定められており、各乳製品メーカーは基準に基づいて自主管理規程を設けています。また、農家から工場へ搬入する際に使用する運搬車両等に生乳以外の残留物等がないか、毎回確認しています。

取組み

日本向け供給拠点として重要な位置づけであるニュージーランドでは放牧中心の乳牛飼育が基本であり、圃場が荒れないように定期的に圃場を変えながら飼育する等、生産性向上の観点で普段から取組んでいます。

ニュージーランド等では新たな試みとしてグラスフェッドバター等の製品開発・流通が始まっています。

  • グラスフェッドとは:牧草のみを食べて育つ肉牛・乳用牛を意味します。一般的なバターは穀物を中心に食べて育った牛のミルクを使うのに対し、グラスフェッドバターは牧草だけ、若しくはある割合以上で牧草のみを食べて育った牛のミルクを使用しています。穀物を中心とした飼育と比べて経済的負担が少ないといったメリットがあります。

オランダでは、乳牛のし尿に含まれるリン酸塩が土壌に与える影響を考慮して国家として飼育頭数の全体管理等に取組んでいます。

食肉

方針・基本的な考え方

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Teys Australia Condamine社の牛肥育農場

伊藤忠商事食料カンパニーの畜産部は、世界各国より畜肉原料(牛肉・豚肉・鶏肉)を輸入、調達しております。
豚肉の取扱量が最も多く主に北米、欧州から原料を調達、牛肉においては豪州及び米国から輸入を行っており、豪州においては牛肥育事業であるTeys Australia Condamine Pty Ltdを豪州牛肉サプライヤーであるTeys社及びプリマハムと共同出資しております。

海外から食肉原料を調達するにあたり、伊藤忠商事と取引を行う生産サプライヤーが生産段階において環境面を意識していること、生産に携わる労働者への配慮を行っていること、そして何より安心安全を担保できるトレーサビリティをはじめとした生産オペレーションを組めていることを、企業間の取組みを行うにあたっての基本方針としております。

伊藤忠商事は責任ある食肉調達を行うというコミットメントの下、サプライソースとなる工場への実地訪問を定期的に行っており、海外サプライヤーと密なコミュニケーションを通じて、良好な関係を構築しております。

目標

伊藤忠商事はお客様であるメーカー様、消費者の皆様に安心安全な食品の原料を安定的に提供する事を使命にしており、それを実現するべく、現地における生産オペレーションが持続可能な内容となっている事、またトレーサビリティが確立されている事を条件としております。

生産サプライヤーに対して可能な限り環境に負荷をかけない様、CO2の排出量やエネルギー使用量の削減及び従業員が満足して働ける環境づくりを要請してまいります。

体制

サプライヤーによって異なる部分はあるものの、基本的なトレースバックのオペレーションとしては、原料が梱包される箱に貼付されるラベルの情報をもとに当該原料の由来する生体の屠畜時刻、工場への搬入時刻、さらには生体が肥育された農場といった詳細情報まで遡ってトレースが図れる仕組みとなっております。

取組み

インテグレーション推進による、安定的な生産体制の確立

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加工ラインの様子

HyLife Group Holdings社では、養豚、配合飼料生産、豚肉加工まで一貫した生産体制を築くことで、自社でサプライチェーン全体の管理を行っています。これにより、安全・安心で高品質な製品の安定的な供給を実現すると共に、相場の価格変動にも強いビジネスモデルを確立しています。中長期的にこれらの強みをより一層伸長させるべく、今回の施設拡張では、最先端の技術を導入し豚肉加工の一部自動化を実現することで、より効率的かつ安定的な生産体制の整備を推進しています。

安心・安全で美味しい豚肉生産事業

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豚肉加工過程

カナダ・マニトバ州で豚肉生産事業を行っているHyLife Group Holdings.(HyLife)の株式を、伊藤忠商事は49.9%保有しています。養豚農場、配合飼料工場、豚肉加工までの一貫生産を行っているため、自社でサプライチェーンの管理・コーディネーションが可能です。この生産体制を活用し、トレーサビリティが確立された、安心・安全で高品質な製品の安定供給を実現させました。加えて、この一貫生産によりお客様の個々のニーズを養豚現場までフィードバックすることが可能となり、日本向けにカスタマイズをしたスペシャルティ・プログラムを確立、市場でも高評価を受けて、現在は対日向け冷蔵ポーク輸出量でカナダNo.1となりました。対日スペシャルティ・プログラムの生産は、自社の栄養士と獣医師の指導のもと、選ばれた品種の交配による三元豚、高品質産地として有名なマニトバ州で生産された麦類を中心とした飼料の給仕を行っており、伊藤忠商事の駐在員も加わり日々の管理・監督を徹底しております。

[写真]
設置されている太陽光発電パネル

Teys Australia Condamine社では2015年に1,034機の太陽光発電パネルを導入、年間約506,000kWhの電力を発電する事が可能となり、同施設において使用される電力の約50%を再生可能エネルギーにて対応しております。太陽光発電の導入により、CO2排出量を約395トン削減し、太陽光発電の導入前と比べ、約49%のCO2排出量の削減を実現しました。

また、豪州の共同出資パートナーであるTeys社より屠畜、加工する牛肉を調達しておりますが、同社は屠畜の過程で発生するメタンガスを抽出し、工場の熱として再利用する、サステイナブルなオペレーションを組んでおります。

イニシアティブへの参加について

持続可能且つサステイナブルな牛肉生産を目指し、生産者から小売業まで業態が多岐にわたる企業がGlobal Round Table for Sustainable Beef、通称GRSBというイニシアティブへ参加しております。
伊藤忠商事はGRSBに参加している複数の参加企業との取引関係を構築しており、最新の動向等に関する情報交換を行っております。

パフォーマンスデータ

伊藤忠商事は食の安心安全を第一に考える中、何よりお客様へお届けする商品が生産者までしっかりとトレースが図れる事を大前提にしております。
伊藤忠商事が取引を行う海外の生産サプライヤーは100%、生産段階までトレースバックができる仕組みを構築しております。

アニマルウェルフェアについて

伊藤忠商事グループは、動物福祉の考え方に基づき、現地の法律に則って、家畜を人道的に取扱うよう以下の取組みを行っています。
Teys社は取扱う牛を人道的に扱う事をコミットしております。

コミットの表れとして、Teys社の屠畜処理場は全て豪州家畜処理業アニマルウェルフェアシステム(AAWCS)が定めるルールを遵守しております。AAWCSは独立したアニマルウェルフェアの認証プログラムであり、本認証の取得は牛の処理に至るまでのプロセスにおいて、定められた基準に則り、牛が人道的に扱われている事を証明するものです。
また、フィードロットは独立した認証プログラムであるナショナルフィードロット認証スキームが定める厳正なルールに則っております。

HyLife社は取扱う豚を人道的に扱う事を最優先に考え、全従業員が全うすべき義務、責任としております。
具体的には豚の肥育段階において最も負荷がかからない環境を整え、栄養管理、飼育環境、健康管理に細心の注意を払っております。
HyLife社の農場はカナダ品質保証プログラムの認証を受けており、また全従業員は動物の適切なハンドリングを行うべく、包括的なトレーニングを受けております。

繊維原料

方針・基本的な考え方

近年、世界的なファッションブランドが、サプライチェーンにおける労働環境の整備及び衣料品廃棄問題等への対応として、素材調達におけるオーガニックコットンや再生ポリエステル等の環境配慮型素材への移行を宣言するなど、ファッション市場にサステナブルの潮流が浸透しつつあります。こうした中、ファッションアパレル部門では、伊藤忠商事の祖業である繊維原料のトレードにおいて、当社が主体となって取扱う繊維原料を、段階的に環境負荷の低い原料へとシフトし、且つ、原材料の調達から販売までのトレーサビリティを確立していくことを基本方針としています。中長期的には、繊維カンパニーの持つ川上から川下までのグローバルバリューチェーンの活用により、自社で調達した環境配慮型素材をブランディングし、自社の生産背景で製品化してグローバルブランドに提案していくことで、環境配慮型素材を核とするビジネスをバリューチェーン全体で展開し、拡大して行きたいと考えています。

中長期的に目指すべき方向性

  • 環境配慮型素材の拡充(コットン、ポリエステル、セルロース等)
  • 川上から川下までのバリューチェーン全体での展開拡大
[図]

目標

2025年までに、繊維原料課が主体となって取扱う繊維原料の50%をトレース可能かつ環境負荷の低い原料に移行することを目指します。

体制

現時点での取組み

  • インドのオーガニックコットン調達におけるトレーサビリティ
[図]
  • 日本環境設計の技術を活用した再生ポリエステル事業におけるトレーサビリティ
[図]

インドのオーガニックコットン調達においては、GOTS認証を取得したインドのジニング(綿花の収穫後に種と繊維を切り離す作業)工場から証明書付きのオーガニックコットン原綿を仕入れ、インドもしくはアジアのGOTS認証を取得した紡績工場に納品、同工場において紡績された糸を仕入れ、国内外の織・編工場等に販売しています。伊藤忠商事では、35年にわたりインド綿のオーガニックコットントレードを行って来た歴史があり、2008年からはインドの綿農家のオーガニック農法への移行促進のため、移行期間(3年間)に栽培される移行期間綿(仮称)の普及にも取組み、現地ジニング工場や紡績工場のGOTS認証の取得サポート等も行ってきました。こうしたインドにおける豊富な経験とネットワークにより、現在取扱っているインドのオーガニックコットン及び移行期間綿の調達に関しては、綿農家まで100%トレーサブルとなっています。
2018年5月には、再生ポリエステル技術を有する日本環境設計株式会社に出資しましたが、同社の技術を活用した再生ポリエステル事業を開始するにあたり、インドのオーガニックコットン調達における経験を活かし、いち早く紡績工程までのGRS認証を取得しました。

取組み

[写真]
自社オリジナル素材ブランド「ワン・コットン」「ハミルトンラムズウール」

ファッションアパレル部門では、現中期経営計画の基本方針である「商いの次世代化」の一環として、主導権を持った原料起点のバリューチェーン構築に取組んでいます。数年前から「ハミルトンラムズウール」、「ワン・コットン」等の天然素材をブランディングし、製品化して提案する取組みを進めてきましたが、昨今のグローバルアパレル市場におけるサステナブル素材への転換機運を受け、環境配慮型素材の拡充にも取組んでいます。
2018年5月には、再生ポリエステル技術を有する日本環境設計に出資、2018年10月には、フィンランド森林業界大手のMetsa Groupと共同出資による環境配慮型セルロースファイバーのパイロットプラント設立に合意し、2019年2月には中国の山東如意科技集団と共同で米国LYCRA社に出資しました。今後はLYCRA社と共同で環境配慮型素材の開発にも注力して行きます。
今後も、環境配慮型素材の拡充に向けてグローバル企業との協業を加速していとともに、中長期的な目標である製品化までのブランディング及びトレーサビリティの確率に向けて、紡績、織編、縫製等の各工程における認証の取得及び社内横断型ビジネスの拡大に取組んでいきます。

パフォーマンスデータ

数量(千キロ) 2015 2016 2017
オーガニックコットン

269

449

556

綿取引に占める割合

6%

7%

9%

Traceability

100%

100%

100%

GOTS認証

100%

100%

100%

  • オーガニックコットンについては、全て、GOTS認証を取得しています。

医薬品

品質・安全性

方針・基本的な考え方

医薬品の原料及び製品を、医薬品として求められる品質にて安定的に供給し、医療ニーズの充足に寄与致します。また、新薬開発における臨床開発にも取組み、これまで治療が難しかった病気の治療を可能にすることで、潜在的医療ニーズに応えていきます。日本をはじめアジアが主な市場となりますが、欧州や米国からの調達或いは販売にも取組みます。商品供給並びに臨床開発では、薬機法に従い安全性を確保致します。

体制

専門性が必要であることから、医薬関係は主には専門性を具備したグループ会社にて取組んでいます。品質を確保するために、例えば輸入原料は自社試験室にて品質を確認した後に販売するといった、薬機法に従った品質管理を実施しています。

取組み

上記の自社試験室での品質管理のみならず、海外サプライヤーを定期的に訪問し製造工程が薬機法に適合しているかの査察を実施しています。

医薬品分野でのQOL向上への貢献

ジェネリック医薬品向け原料の安定供給により医療費の増加抑制に寄与しています。また再生医療やがんの副作用の緩和の新薬開発会社に投資し、将来の医療レベル及び患者のQOL向上に取組んでいきます。

医薬品の広告・表示

方針・基本的な考え方

医薬品の最終製品は、許可を取得している企業への販売のみであり、広告等は行いません。商品への表示は、薬機法を遵守した包装表示を徹底致します。

体制

商品手配開始時の包装表示確認など、上記の包装表示を徹底致します。