人権

方針・基本的な考え方

世界の様々な地域で事業活動を展開する伊藤忠グループにとって、人権の尊重・配慮は重要課題です。当社グループは、この重要な課題に対応するため、従業員への教育のみならずあらゆるステークホルダーに対しても当社グループの人権方針並びに個別方針への賛同と理解、実践をお願いしています。

伊藤忠グループ「人権方針」

伊藤忠グループは、企業理念、企業行動指針、企業行動倫理規範、サステナビリティ推進基本方針に基づき、「伊藤忠グループ人権方針」(以下、本方針)を定め、企業活動において影響を受けるステークホルダーの人権を尊重し、自らの事業活動において生じる人権への負の影響に対処することにより、人権尊重を促進する責任を果たしてまいります。

1. 適用範囲・ビジネスパートナーへの期待

本方針は、全世界の伊藤忠グループ会社すべての役職員(契約社員・派遣社員含む)に対し、適用されます。また伊藤忠グループは、ビジネスパートナーやその他関係者に対して本方針の遵守を期待します。

2. 国際規範の支持・尊重

伊藤忠グループは、「世界人権宣言」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、2009年より参加している「国連グローバル・コンパクト」など、人権に関する国際規範を支持します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権を尊重してまいります。

3. 適用法令遵守と国際的に認められた人権の尊重

伊藤忠グループは、日本国はもとより、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を遵守します。また国際的に認められた人権と各国・地域の法令等の間に矛盾がある場合は、国際的な人権原則を最大限尊重するための方法を追求していきます。

4. 推進体制

伊藤忠グループは、本方針を実現する為の体制を構築し、サステナビリティ担当役員が本方針の遵守・実施状況を監督する責任を負います。

5. 人権デューデリジェンス

伊藤忠グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権への負の影響を特定し、その防止及び軽減を図り、またこれらについての説明責任を果たすために、人権デューデリジェンスを実施していきます。

6. 救済・是正

伊藤忠グループの事業活動が、人権に対する負の影響を引き起こした、或いは関与が明らかになった場合、適切な手続き・対話を通じてその是正に取組みます。

7. 対話・協議

伊藤忠グループは、人権デューデリジェンスの取組みにおいて、独立した外部からの人権に関する専門知識を活用すると共に、潜在的に影響を受けるグループやその他の関連ステークホルダーと真摯に対話・協議いたします。

8. 教育・啓発

伊藤忠グループは、本方針が全ての事業活動に組み込まれ、実行されるよう全役職員(契約社員・派遣社員含む)に対し、適切な教育を行い、人権啓発に取組みます。

9. 方針の公開・人権取組の報告

本方針は、サステナビリティ担当役員に承認、取締役会に報告された上、広く一般に開示します。また、本方針に基づく人権の取組みについて、伊藤忠商事ウェブサイトやESGレポートにて報告いたします。

代表取締役 副社長執行役員 CAO
小林 文彦

2019年4月制定
2020年4月改訂

ご参考:企業行動倫理規範

個別方針

現代奴隷及び人身売買への対応

伊藤忠商事はサプライチェーン及び事業活動において現代奴隷及び人身売買が発生しない為の取組みに尽力しています。国連グローバル・コンパクトに参加すると共に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の考え方を事業活動に反映しています。当社の既存原則には、世界中の営業活動及びサプライチェーンにおいて、現代奴隷及び人身売買が起きないための取組みが含まれています。

ご参考:伊藤忠欧州会社での取組み状況(現代奴隷法(英)に基づく声明)[別ウインドウで開きます]

外国人への配慮

サプライチェーン上で、外国人労働者・実習生・研修生等の受入れを行っている場合、社会的・経済的地位が低いこと等により、不法行為の対象者となりやすく、人権の尊重及び救済の観点から、当該国の労働関係法令を遵守し、受入れ制度の趣旨に反する行為が行われないよう、十分留意します。

子どもの権利の尊重

伊藤忠商事は、「児童の権利に関する条約」及び「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、児童労働の根絶のみならず、「児童の権利に関する条約」の4つの柱である子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を尊重します。

伊藤忠商事は、伊藤忠グループ社会貢献活動基本方針の一つに「次世代育成」を掲げ、次世代を担う青少年の健全な育成を支援する活動を行っています。
関連する活動はこちら

警備会社起用の考え方

国連は、加盟国が警察官や軍当局等の法執行官の適切な役割を徹底・促進させ、その職務遂行において人間の尊厳を尊重・保護することを支援すべく、1979年12月に「法執行官のための行動綱領」を採択しています。伊藤忠商事は、本綱領のもと国連が法執行官による武器使用に関する原則を定めた「法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則(Basic Principles on the Use of Force and Firearms by Law Enforcement Officials)」を支持し、その内容に沿った警備会社の選定を行っていきます。

先住民の権利の尊重

人権尊重へのコミットメントの一環として、先住民が在住する地域での事業活動においては、先住民が固有の文化や歴史を持つことを認識し、事業活動を行う国・地域の法律や「先住民の権利に関する国際連合宣言」や「国際労働機関(ILO) 第169号条約」等の国際的な取決めに定められた先住民の権利を尊重し、配慮を行っていきます。また、新規の事業投資案件の検討にあたっては、当該事業が先住民の権利に及ぼす影響について事前のチェックを励行していきます。

現地雇用の考え方

伊藤忠グループは、グローバルで展開する多様な事業活動において、現地雇用を通じた地域貢献に努め、地域社会との共生・国際社会の発展に寄与することを目指します。現地での従業員雇用においては、法定最低賃金を遵守するとともに、生活賃金以上の支払いに努めています。また、地域の人材育成や地域経済の活性化に繋がり、持続可能な発展に貢献すると認識しています。国内外にあるグループ会社が各地域において事業を展開する際には、親会社である伊藤忠商事が法令に準拠し従業員にとって最適な労働環境が提供できるよう管理体制の構築を支援しています。(グループ会社は、事業領域に応じてディビジョンカンパニーに紐付き、ディビジョンカンパニーがフォローする体制となっています。)伊藤忠グループには、国内外に300社程度の会社があり、現地での従業員の採用・育成により、事業と地域の発展の両立を図っています。

目標・アクションプラン

リスク 機会
  • 広域化する事業活動での人権問題発生に伴う事業遅延や継続リスク
  • 提供する社会インフラサービスの不備による、信用力低下 等
  • 地域社会との共生による、事業の安定化や優秀な人材確保
  • サプライチェーン人権への配慮、労働環境の改善に伴う、安全かつ安定的な商品供給体制の構築 等
マテリアリティ SDGs
目標
インパクト分類 取組むべき
課題
事業分野 コミットメント 具体的対応アプローチ 成果指標 進捗度合
繊維カンパニー
  • 人権の尊重・配慮
  • 安定的な調達・供給
サプライチェーン 人権・環境に配慮したサプライチェーンの確立 繊維製品全般 サプライチェーン全体において、人権を尊重し、環境経営に取組む企業との取引を推進します。 主要サプライヤー調査を継続的に実施することで、サプライチェーンにおける人権・社会・環境リスクの早期把握に取組む。 毎年、50社以上の主要サプライヤーへの現地訪問調査やアンケート調査を継続的に実施。 2022年度は繊維カンパニーにおいて人権デューデリジェンスを実施。全事業を対象に国内外仕入先のスクリーニングを行い、105社からアンケート回答を取得、4社へ訪問調査を実施。結果、人権課題の特定事項は無いことを確認。マニュアル未整備等の発見事項は、来年度サプライヤー調査で継続モニタリング。
機械カンパニー
人権の尊重・配慮
サプライチェーン 人権・環境に配慮したサプライチェーンの確立 電力・プラントプロジェクト全般 サプライチェーン・事業投資先における全てのステークホルダーの、QOL向上に寄与します。 該当事業固有の特性を踏まえた、仕入先・事業投資関係先への社会的・環境的な安全性に関するDue Diligenceのルール設定・実施、並びに継続的なモニタリング強化。 全ての新規開発案件において、仕入先・事業投資関係先への社会的・環境的な安全性に関するDue Diligenceを実施する。 新規投資を行う全ての開発案件において、全社ESGチェックリストを用い、社会的責任に関するガイドラインにおける中核主題を確認する運用を継続。個別開発案件は投資実行前に各事業固有の特性を踏まえ社会的・環境的な安全性を確認するDue Diligenceを実施。
金属カンパニー
  • 人権の尊重・配慮
  • 安定的な調達・供給
  • 鉱山
  • 電力・鉱山・油ガス田
労働安全・衛生・環境リスクに配慮した、また地域社会へ貢献する持続可能な鉱山開発 鉱山事業
  • 環境・衛生・労働安全(EHS)や地域住民との共生に十分配慮し、持続可能な鉱山事業を推進します。
  • 地域社会への医療、教育等に貢献します。
  • EHSガイドラインの運用並びに社員教育を徹底。
  • 地域社会への医療・教育寄付、地域インフラ整備等の貢献。
  • 毎年EHS社内講習会を開催しEHSガイドラインを周知徹底。
    • EHS講習会受講率100%。
    • 操業中・継続保有方針の既存鉱山事業及び新規鉱山事業に対するEHSチェック実行率100%。
  • 地域社会への医療・教育寄付、地域インフラ整備の実施。
    • 操業中・継続保有方針の全プロジェクトでのCSR活動の実施(100%)。
  • 主管者や事業投資に従事する課に属するカンパニー員を中心に、社内講習会を実施。対象者の受講率は100%。
  • 鉱山事業では、新規1案件、既存7案件、その他資源関連事業1案件に対して、チェックシートを用いた確認作業を実施。
  • 出資する各プロジェクトにおいて、地域社会への貢献活動を実施。
食料カンパニー
  • 人権の尊重・配慮
  • 安定的な調達・供給
サプライチェーン 人権・環境に配慮したサプライチェーンの確立 食糧分野 第三者機関の認証や取引先独自の行動規範に準拠した調達体制の整備を行います。
  • コーヒー豆、カカオ豆産地国において、取引先独自の行動規範に準拠した調達の推進。
  • パーム油の第三者認証団体であるRSPOの認証油の取扱強化。
  • 生産国の認証油システムの利用を促すため、国内業界団体と協力し、MSPO/ISPOの国内におけるプロモーションや流通制度の確立を支援。
  • コーヒー豆:当社調達方針に基づき、取引先独自の行動規範に準拠した 商品もしくは認証品の調達を推進。
  • カカオ豆:当社調達方針に基づき、取引先独自の行動規範に準拠した商品(サステナブル品)の調達を推進。
  • パーム油:当社調達方針に基づく調達を実施を行い、設定したKPI項目・サプライヤー情報等の開示を推進。

<2030年>

  • コーヒー豆:サステナブルコーヒー豆への切替50%を目指す。
  • カカオ豆:サステナブルカカオ豆への切替100%を目指す。
  • 持続可能なパーム油への切替100%を目指す。
  • コーヒー豆:22年度の定量目標である「認証品比率15%以上」を達成(実績28%)。23年度は20%以上を目指す。また、22年6月から、コーヒートレーサビリティプラットフォームであるFarmer Connectを利用し、BtoBレベルでのデジタルトレーサビリティ情報の客先への開示を一部開始した。
  • カカオ豆(トレーサブル品):66%達成済み(総量9,025MTのうち、トレーサブル豆5,975MT)。
  • パーム油:サプライヤーへの定期的なアンケート調査等を通じて調達方針の確認を実施し、それに基づく買付を継続。並行して認証油取扱比率や搾油工場までのトレーサブル比率等の開示も継続。
  • 22年度 RSPO認証油 取扱比率:
    • パーム油 24%
    • オレオケミカル製品 65%
  • 人権の尊重・配慮
  • 安定的な調達・供給
  • 森林
  • 気候変動への適応
人権・環境に配慮したサプライチェーンの確立 生鮮食品分野 地場産業の育成を通じて、雇用拡大・生活環境整備等に貢献します。 ドール事業において、天候リスク分散のための産地多角化と地場産業の育成を通じた雇用拡大・生活環境整備を企図した新たな産地開拓。
  • フィリピンに次ぐ産地開拓としてシエラレオネにおいてパイナップル栽培を実施。
  • シエラレオネのパイナップル加工食品の商業生産・輸出開始。
  • 従業員、2023年3月末時点約1,800人。
  • 生産量、2022年生産量 約1.2万トン。

体制・システム

伊藤忠商事は、人権の尊重・配慮を重要課題の一つとし、アクションプランを策定し取組みを推進しています。サステナビリティ推進体制の下、本課題の責任者をサステナビリティ担当役員とし、人権侵害が起きないよう各部署に配置されているESG責任者と連携して、サステナビリティ推進部が日常的に予防する体制を整え、毎年レビューを行います。その内容は、サステナビリティ委員会にて審議・報告され、重要事項に関しては、取締役会にも付議・報告されています。

人権対応の推進体制:サステナビリティ推進体制図

人権デューデリジェンス

伊藤忠グループは、2019年4月に制定した「伊藤忠グループ人権方針」に基づき、人権尊重の責任を果たしていきます。具体的には伊藤忠グループの企業活動が社会に与えうる人権への負の影響の特定と評価を継続的に行い、その防止や軽減を適切な手段を講じて実施しています。そのため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に従って、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」で定められた4つの中核的労働基準(強制労働、児童労働、差別、結社の自由と団体交渉)を含め、広範な人権問題を評価その進捗並びに結果について情報開示しています。

人権デューデリジェンスの実施フロー

[図]

人権への影響・評価

当社の事業領域を対象として、外部専門組織の協力の下、SA8000等の国際的なガイドラインや指標等を参考に、重点的に人権リスク発生の防止に取り組むべきテーマを特定し、各種リスクマッピングを実施しました。

特定テーマ

児童労働、強制労働、安全と健康、結社の自由と団体交渉権、差別、懲罰、労働時間、報酬

実施手法
  • カントリーリスクマッピング:サプライヤーの所在国における特定テーマに関する評価
  • 事業領域別リスクマッピング:特定テーマを含む配慮すべき人権項目に関する机上調査

    テーマ 繊維 機械 金属 エネ化 食料 住生活 情報・金融 第8
    児童労働
    強制労働
    安全と健康
    結社の自由と団体交渉権
    差別
    懲罰
    労働時間
    報酬
    移民労働者
    人身売買
    先住民族の人権
    地域社会・住民への影響
    土地取得・再定住
  • 商材リスクマッピング:商材のリスクレベルを国別に調査

特に重点的に対応すべき商材は以下の通りです。

特定商材:綿、衣料品、パーム油、コーヒー、鰹・鮪、天然ゴム、木材関連

当社では引き続き、カントリー・事業領域・商材リスクを考慮し、人権に配慮した商材調達を行っていきます。

実施状況

伊藤忠商事では上記の人権への影響・評価をもとに、2020年度の食料カンパニーを皮切りに、事業領域ごとに人権デューデリジェンスを開始しており、過年度に実施した事業分野では大きな負の影響がないことを確認しております。今後数年内に全事業領域において順次人権デューデリジェンスを実施していく予定です。

尚、並行し、サプライチェーン上の人権・労働リスクを低減すべく、全事業領域における主要取引先へのサステナビリティ調査を毎年継続的に実施しています。

ご参考:サプライチェーン・サステナビリティ調査に関する取組み

新規投資案件

詳細は、新規事業投資案件のESGリスク評価をご覧ください。

既存事業

伊藤忠商事は、新規のサプライヤーと取引を行う場合は事前に「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を全ての当該サプライヤーへ通知しています。本方針の趣旨に違反する事例が確認された場合には、対象となるサプライヤーに是正措置を求めると共に、是正要望等を継続的に行ったにも関わらず、是正が困難と判断された場合には、取引を見直す姿勢で取組んでいます。また、ISO26000の7つの中核主題を必須調査項目(現代奴隷及び人身売買を含む)としたデューデリジェンスを、主要なサプライヤーと新規投資の際に実施しています。専門的な見地を必要とする投資案件については外部専門機関と共に、追加のデューデリジェンスを実施しています。

サプライチェーン・マネジメント

詳細は、バリューチェーンにおけるサステナビリティ及び違反サプライヤーへの対応をご覧ください。

リスクアセスメント

デューデリジェンスでのサプライヤー調査に加え、適宜、外部専門家と共に現地訪問を行うグループ会社実態調査を通じて、現代奴隷及び人身売買を含む人権に関するリスクアセスメントを実施しています。また社会・地球環境に及ぼす影響の大きい商品については商品別に調達に関する方針や対応を定め、サプライチェーンでのリスク軽減を図っています。

ご参考:タイ家禽産業への人権監査

グリーバンスメカニズム

伊藤忠グループでは、ステークホルダーからの懸念や苦情を受け付けることができる複数の窓口を用意しています。万一、人権への負の影響への関与が明らかになった場合には、適切な手段により是正・救済に努めます。

サプライチェーンを対象とした相談窓口

伊藤忠商事は、国連 「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して「対話救済プラットフォーム」を提供する、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として加盟しています。この対話救済プラットフォームにて、サプライチェーン上のあらゆるステークホルダーを対象に、国際行動規範、各国の国内規範等への違反もしくは、違反が疑われる案件に対する通報を受け付けています。第三者窓口を介して苦情を受け付けることで、苦情処理の公平性・透明性を図ると共に、従来以上に対話・救済の促進に繋げ、人権における本質的な課題解決に取組みます。尚、通報受付においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。

JaCERの通報フォーム[別ウインドウで開きます]
また、JaCERを通じて対応した通報については、JaCERのホームページ上で通報内容及び状況等の匿名での定期的情報開示を行います。

従業員相談窓口

従業員が個々に抱える悩みや相談に対応する従業員相談窓口「7830(ナヤミゼロ)」を設置、イントラネットに「人事Help Guide Book」を掲載して相談窓口について広く従業員に周知し、従業員が相談できる体制を整えています。

[図]
イントラネット上の「人事Help Guide Book」

キャリアカウンセリング室

伊藤忠商事では、「キャリアカウンセリング室」を、他社に先駆けて設置し、個人のキャリアに関する相談のみならず、職場風土、人間関係、処遇、ハラスメント等に関する相談を、電話、e-mail等で受け付け、キャリアコンサルタントの国家資格を有する専任のカウンセラーが対応しています。

ホットライン

伊藤忠商事のホットライン制度は、国内外それぞれにおいて通報受付窓⼝を複数設け(専⾨業者及び外部弁護⼠を活⽤した外部の通報受付窓⼝等)、伊藤忠商事と雇用関係にある従業員、伊藤忠商事との間で別途労働者派遣契約を締結する会社から当該労働者派遣契約に基づき当社に派遣されている者(派遣社員)、及び、グループ会社の従業員等からの通報を受け付けています。また、内部通報者に対する報復等の不利益な取扱いを禁⽌すると共に、匿名による通報を可能としています。

国内外部通報受付窓口((株)インテグレックス)に通報した場合の流れ

[図]

伊藤忠商事は、消費者庁が新たに導入した内部通報制度認証のPHASE1である「自己適合宣言登録制度」に登録申請を行い、認証基準に適合しているとの確認を受け、他社に先駆け2019年4月10日付で同制度に登録されました(登録順位は全国で一番)。

一般の方(ステークホルダー含む)向け窓口

伊藤忠商事ホームページでは、一般の方及び伊藤忠商事のステークホルダーの方からのお問い合わせについて、以下の体制で受け付ける仕組みを構築しています。

[図]

ご参考:お問い合わせページ

取組み

公正な採用の実施

グローバルに多様な事業を展開する伊藤忠商事にとって、「人材」は最大の経営資源です。伊藤忠商事は大学生及び大学院生を対象に、新卒採用活動を毎年実施しています。

関連データ:男女別採用人数とキャリア採用比率

また、大学生及び大学院生へのキャリア教育を目的に、就業体験型ワークショップを毎年実施しており、就業に対する理解を深める場を若年層へ提供しています。

伊藤忠商事では人物本位の採用を実施しており、人種、性(LGBTQ等の性的マイノリティを含む)、宗教、国籍、年齢等にとらわれない公平・公正な採用を実施しています。これまでに公益財団法人 東京都人権啓発センターから派遣された講師による人権啓発セミナーを実施し、その内容を面接官教育にも反映させています。また、公正採用選考人権啓発推進員の選任及び届け出を行い、公正な採用選考システムを確立しています。

研修

社内の各種研修において、企業活動と人権の関わりについての啓発を行っています。新入社員研修では伊藤忠パーソンとして持つべき人権を尊重するマインド、例えば人権の基本的な考え方や留意事項から、人種、性(LGBT等の性的マイノリティを含む)、宗教、国籍、年齢等に対して配慮すること等を習得するための研修や、組織長等に向けた社内研修では、セクシュアルハラスメント(性的指向や性自認に関する差別的言動や嫌がらせを含む)やパワーハラスメントの問題を取り上げ、ハラスメントが実際に発生した場合やその報告を受けた際の対処について教育・啓蒙を実施し、日頃よりハラスメントを許さない環境作りに努める等、人権に関する理解の徹底を図っています。また、海外赴任前研修においてはサプライチェーン上の人権への配慮について取り上げ、各地域での意識の啓発に努めています。2022年度の人権に関する研修には685名が参加しました。

関連データ:2022年度人権に関する研修実績

上記研修に加え、全世界の伊藤忠商事の役員・従業員を対象に、オンラインでのサステナビリティ一般教育にて、「ビジネスと人権」についての学びの機会を提供しています。

ご参考:サステナビリティの社内浸透ページ

サステナビリティセミナー

人権課題に関して、社外の方の見識や意見を取り入れるため、社内向けセミナーを2007年度から継続的に開催しています。
世界で多様な事業を展開しサプライチェーン上の重要な役割を担う総合商社として、企業活動と人権問題に関する最新の動向等を知り、ビジネスに活かすことを目的として、「ビジネスと人権」について啓発活動を継続しています。

ご参考:セミナーの詳細

各種発行物

全従業員に配布・イントラ掲載している様々な発行物等を通して、職場における人権侵害が起きないように人権啓発に努めています。

  • 伊藤忠企業行動倫理規範と人権方針を全従業員に周知し、人権の尊重に関する基本的な考え方を伝えています。
  • コンプライアンスハンドブックでは「人権の尊重」や「ハラスメント」のページを設け、具体的な事例を挙げて、ビジネスにおいて人権侵害を起こさないように呼びかけています。
  • サプライヤーとのコミュニケーションに関するハンドブックでは、調査担当者がより具体的にサプライヤーの人権・労働慣行の管理状況の実態を把握し、改善アドバイスも行うことができるよう、チェックポイントを記載し、サプライチェーン・サステナビリティ調査の仕組みを機能させると共に、社内周知に活用しています。

ハラスメントへの対策

職場において従業員がパワーハラスメントやセクシャルハラスメント(性的マイノリティに該当する従業員への不利益や嫌がらせ等含む)を受けることなく、妊娠中の従業員や育児・介護に従事しながら仕事との両立を行う従業員も働きがいを持って職場に貢献できるよう、伊藤忠商事は、組織長研修を活用した、制度の周知・コミュニケーションの重要性に関する啓蒙を行っています。育児・介護による時間に制約のある従業員に関しては、制度を適切に活用した両立体制を上司が促すと共に、職場全体の業務内容・業務分担・働き方の見直しも重要であることを周知しています。また性的指向・性自認に関わる差別的な発言・無意識の男女別を前提とした発言を許さない職場環境の徹底を行い、従業員からの相談窓口も設置しています。
また、就業規則においては、「人権の擁護違反」の中で、職務に関し人種、性、宗教、信条、国籍、身体、病気、年齢その他非合理的な理由により差別することや「セクシャルハラスメント」(性的指向や性自認に関する差別的言動や嫌がらせを含む)や「パワーハラスメント」を明確に禁止行為として定め、その行為者に対しては懲戒する旨を定めています。

外国人技能実習生の労働環境アンケート

[写真]
講習会の模様

繊維カンパニーの100%子会社である伊藤忠モードパル(株)において、国内の生産委託先である縫製工場211社に対して、外国人技能実習制度の活用の有無や実習生に対する労働基準法・労働安全衛生法遵守状況等に関する実態調査アンケートを行い、法令違反等がないことを確認しました。

またアンケートの実施に先立ち、実際に現場に足を運ぶ営業担当者や生産管理者に対して、伊藤忠商事サステナビリティ推進部が「サステナビリティ推進と外国人技能実習制度」と題して講習会を行い、人権侵害のリスク低減に向けた理解の促進を図りました。

伊藤忠商事は、引続きグループ全体のバリューチェーンにおける人権問題に繋がるリスクの有無を確認し、人権の尊重に取組みます。

中食製造業者への人権研修を実施

[写真]
研修では人権に関する相談窓口も案内

グループ会社のファミリーマートでは、ファミリーマート店舗へ商品を供給している中食製造業者の雇用や労務に関する方針制定や実務に携わる管理者を対象に、人権リスクの未然防止と理解促進を目的として「サプライチェーンの人権課題に関する情報共有会」を開催しました。

伊藤忠グループでは、引続きグループ全体のバリューチェーンにおける人権侵害のリスクの低減に向けた取組を継続していきます。

実施内容
講師

SDGパートナーズ有限会社 田瀬 和夫氏

内容
  • 人権に対する企業の責任
  • 人権問題の予防と発生時の対処
  • 質疑応答

地域雇用の促進、生活インフラの支援と生産性の向上を実現しているパイナップル生産事業への取組み

詳細は、地域貢献をご覧ください。

資源の安定確保と地域社会への貢献・共存を両立したカスピ海油田開発事業への取組み

詳細は、地域貢献をご覧ください。

ステークホルダーとの協働

人権課題に関連するワークショップへの参加

  • ビジネスと人権研修:効果的なステークホルダーエンゲージメント
  • 「サプライチェーン労働・人権監査(実務)研修」(LRQAサステナビリティ株式会社)
  • 人権教育分科会、サプライチェーン分科会(GCNJ)