次世代育成

伊藤忠記念財団への支援

伊藤忠商事は、1974年に伊藤忠記念財団(2012年に公益財団法人へ移行)を設立して以来、青少年の健全育成を目的とした社会貢献活動を継続して進めてきました。現在は、「子ども文庫助成事業」、「電子図書普及事業」を活動の柱に、子どもたちの健全な成長に寄与する活動を行っています。

子ども文庫助成事業

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助成先のスイス ツーク日本語学校
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伊藤忠記念財団では年に一度、子ども文庫助成事業贈呈式を開催
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子どもたちの読書啓発に関わる草の根活動の支援として、地域の子どもたちに対し読書啓発活動を行っている民間団体及び個人を対象に1975年から助成を行っています。時代の変化に対応しながら、図書セットの助成、入院中の子どもなどへの読書支援のプログラムを加え充実を図りつつ、これまでに延べ2,179件(海外を含む)の子ども文庫等に対し、約10.6億円の助成を行いました。

2016年度は下記の表の通り助成を行いました。2017年3月に、購入費助成受領者、文庫功労賞受賞者をはじめ、子どもの読書関係者や助成財団の方々、約140名のご出席を頂き「平成28年度 子ども文庫助成事業 贈呈式」を開催しました。

2016年度助成件数
子どもの本購入費助成

43件(うち海外1件)

病院施設子ども読書支援 購入費助成

3件

子どもの本100冊助成

26件(うち海外8件)

海外日本人学校/補習校図書助成

海外5件

子ども文庫功労賞

3件

合計

80件(うち海外14件)

  • 東日本大震災被災地支援については株主の皆様と行う「子どもの本100冊図書の寄贈」を通して10件の支援を行っており、詳細はこちらをご覧ください。

電子図書普及事業

マルチメディアDAISY図書の編集・配布

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読み上げ機能でベッドでも読める電子図書
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皇后陛下にもご視察いただいた「本の力展」
(マルチメディアDAISY図書の展示 2014年)

マルチメディアDAISY図書は、電子書籍の国際規格の一つで、障害などによって読むことに困難がある人たちへ様々な配慮がされている書籍で、パソコンやタブレット端末で再生できます。伊藤忠記念財団では、絵本や児童書をマルチメディアDAISY図書に編集し、全国の特別支援学校や公共図書館に寄贈しています。これまでに309作品を電子化し、延べ5,448か所に送付しました。

2016年度 累計
製作作品数

66作品

309作品

送付先

1,121箇所

5,448箇所

  • 2011年度からの累計
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全盲の中学生が点字をたどって百人一首を読み上げてくれました

2016年は障害のある中学生からの希望を受け、小倉百人一首を電子化しました。読み上げは都立特別支援学校に通う中高生が担当し、歌の情景を都立高校10校の美術部等の生徒がイラストで表現してくれました。さらに任天堂株式会社が無償で札の電子データを作成・提供下さるなど多方面からの協力を得て完成しました。

また都道府県立図書館に要請し、共同で郷土の昔話を電子化する「日本昔話の旅」には10県10館から協力頂き、各県の地元高校の美術部や紙芝居、音訳団体など大勢の方々の力を結集し、それぞれの地域に根付いた以下10話の昔話を電子化することができました。

  • 茨城県「額田のたっさい」
  • 埼玉県「見沼のふえ」
  • 山梨県「鬼の千里靴」
  • 岐阜県「養老の泉」
  • 三重県「ハチの恩がえし」
  • 山口県「まあだ まだ わからん」
  • 徳島県「青木藤太郎」
  • 愛媛県「道後温泉の鷺石と玉の石」
  • 高知県「又吾とえんこう」
  • 沖縄県「クスクェーのおはなし」
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茨城県室図書館で開催された「額田のたっさい」の原画展
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2016年度に電子化された10話

読書バリアフリー研究会の開催

障害のある子どもたちへ読む楽しさを提供できる人材を養成するために、読書バリアフリー研究会を開催しています。教職員、図書館員、医療関係者などを主な対象として、読むことの障害となる様々な原因と、それを解消するために有効な媒体や支援方法について学ぶ機会を提供しています。

2016年度は、埼玉、岐阜、秋田などで8回開催し、412名の方々に参加いただきました。

インドでセーブ・ザ・チルドレンと移動図書館プロジェクトを展開

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ムンバイ市M-East区で、ストリートチルドレンや児童労働に従事する、学校に通っていない子どもたちを対象に移動図書館プロジェクトを行っています。2013年11月から2017年3月までで2千5百万円を投じて公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとセーブ・ザ・チルドレン・インドを支援、移動図書館として運行するバスにラッピングを施し、椅子、黒板、そして本棚を設置、教育ファシリテーター※とカウンセラーを配置して、学校の学習環境と近い内装にしました。音声や動画などの教材も駆使して楽しく参加できる学習の機会を提供することで、子どもたちが学校へ通うための橋渡しになることを目的としており、この移動図書館を通じて2695人の子どもたちが学びの機会を得て、うち592人が正規の学校教育に戻ることができました。

詳細は、インド移動図書館プロジェクトをご覧ください。

  • 教育ファシリテーターとは、移動図書館における教員の役割を果たす職員。多様な年齢やバックグラウンドからなる子どもたちが自主的に学び、参加できる学習環境の場づくりを行う。

「キッザニア東京」にて環境パビリオンを展開

伊藤忠商事は2012年4月より、こども向け職業体験施設「キッザニア東京」に環境パビリオン「エコショップ」を展開しています。
伊藤忠商事が参画する世界的な環境活動「MOTTAINAIキャンペーン」での環境教育のノウハウを活かし、子どもがエコ活動を体感できるように、環境素材を使ったエコバッグ、マイ箸、リサイクルせっけんづくりなど自分だけのオリジナル商品を製作できます。
2016年8月には、商社の仕事を実際に体験できる特別プログラムとして「Out of KidZania」を東京本社にて、2日間に亘り開催しました。「Out of KidZania」とは、公募で選ばれた30人の小学生が様々な課題に対して子どもならではの視点で解決策を提案することで、子ども達の課題解決能力を育成するプログラムです。3年連続して開催しており、今回は(株)ユーグレナと協力し、「新技術でビジネスを生み出す職業体験」をテーマにしました。「世の中の問題を解決するミドリムシを使った新商品企画と販促案」をチームで考え、商談ルームで先輩社員にプレゼンし、全チーム大人顔負けの個性あふれる素晴らしい企画を提案し、キッズ商社パーソンとして2日間で大きく成長しました。今後も、子どもに人気の高い施設である「キッザニア東京」に、グローバルな視点で環境保全について楽しく学べる場を提供すると共に、子ども達に様々なイベントを提供し、持続可能な社会を担う青少年の育成を目指してまいります。

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リサイクルせっけんづくりの様子
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Out of KidZaniaに参加した子ども達
が真剣にアイデアを出し合う様子

認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)のフィリピンでの青少年支援施設「若者の家」支援活動

開発途上にある国々のストリートチルドレンや大規模災害の被災児等を支援する認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)を通じ、2007年よりフィリピンのマニラ郊外にある青少年自立支援施設「若者の家」に係る支援を続けています。

背景

フィリピンでは1970年代の経済危機に端を発した不均衡な経済成長により、所得分配の是正が容易ではなく、貧困層の家庭では虐待、育児放棄などの問題が根深く、ストリートチルドレンや、家計を支えるために働く子ども、生き延びるために盗みをしたり、非行・犯罪に巻き込まれてしまう子どもが未だ少なくないのが現状です。そういった子どもたちのシェルターの役割を果たしているのがKnKの「若者の家」です。危険にさらされた子どもたちや法に抵触した青少年が、健全な環境や教育、食事、心のケア、職業訓練を含む包括的な支援を受けることで尊厳を取り戻し、自立した社会の一市民になれるよう「若者の家」で保護し、生活・教育支援が行われています。また、虐待・育児放棄、犯罪の予防と地域への意識付けを目的として、子どもたちの出身コミュニティにおいて子ども・青少年・父兄を対象に教育・啓発活動も行われています。

伊藤忠商事の支援

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リニューアルした「若者の家」

伊藤忠商事は、KnKの活動に賛同し、老朽化していた「若者の家」の再建のために2007年に支援を開始、2009年12月に「若者の家」がリニューアルオープンされました。この支援を皮切りに、2012年には、子どもたちの将来の自立支援に繋がる、職業訓練所の改築の支援を実施しました。2013年、同施設の地下や屋根を改修したことで、実践的な技術習得のための職業訓練コースの拡充が可能になりました。
2015年には、運営に係る費用の支援(150万円×3か年)を始め、「若者の家」の子どもたちが尊厳を取り戻し社会に貢献できる大人に成長できるよう教育や食事の提供、心のケア、職業訓練などに使われています。また、当社の支援はKnKフィリピンの活動の安定化につながり、活動継続を可能にする大きな基盤となっているとの評価を受けています。

伊藤忠商事マニラ支店社員によるボランティア

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社員ボランティアが子どもたちに折り紙を教える
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社員ボランティアとバスケットボールでも交流

「若者の家」には伊藤忠商事マニラ支店の社員がボランティア等で定期的に訪れています。
2016年5月にはKnKフィリピンの活動15周年を記念した式典が開催され、子どもたちの憧れのファーストフードを持って、マニラ支店から6名が祝賀行事に参加しました。また12月に「若者の家」でのクリスマスパーティを主催した折には、現地社員11名がファーストフードやアイスクリームに加えクリスマスプレゼントも持参し、ゲームや劇などで子どもたちと交流を深めました。
また、その他に10月から11月にかけて、本社の若手社員が「若者の家」およびスラム地域パヤタスをボランティアで6回にわたり訪れ、鶴・ヨットなどの折り紙作り、「だるまさんがころんだ」・糸電話など日本の昔遊び、バスケットボールなど各種アクテビティを通して子どもたちと交流を図りました。加えて、法に抵触してしまう青少年に関する理解を深めるため、法に抵触した青少年が収容されている鑑別所/留置場に関するドキュメンタリービデオ鑑賞を実施したり、スラム地域の生活に関する理解を深めるため、パヤタスで生活する2家庭を訪問し、インタビューを実施し、ゴミ山からゴミを拾って平均一日100円程度の収入で生計をたてていることなどの聞き取りを行いました。

子どもたち、スタッフからのコメント

  • ユーモアもあり、忍耐強い。教えるのが上手だと思う。
  • 自分たちをサポートしてくれる人がいることがわかってうれしい。
  • 子どもたちに対する愛情を感じた。
  • 新しいアクテビティができて楽しい。
  • 特に日本人がボランティアに来ると、子どもたちが日本からの支援だということを認識しやすい。
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KnKフィリピン15周年記念式典では感謝状をいただきました
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クリスマスパーティにて
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伊藤忠商事マニラ支店ボランティアと

ケースストーリー

ブライアンくん(仮名)13歳(「若者の家」に2年7か月居住)

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補習授業の様子
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家事も覚えてお手伝いをする

ブライアンくんは、10歳の時に母親に「ここにあなたの父親が住んでいる」と商店の前に置き去りされました。行政機関により保護され、「若者の家」に紹介されて入居してきました。入居後、本人との対話を通じて、母親からの育児放棄、父親からの拒絶、ギャングから虐待を受けていたことなどが徐々に明らかになり、行為障害の危険性があったため、カウンセリング、心理療法を実施しました。
また、KnKの他機関とのネットワーク等を活用し、出生証明書を確認の上、学校へ通学させると同時に、ブライアンくんの出身地域の社会福祉省支部と協力して、母親を探し出しました。母親がブライアンくんと一緒に暮らすことに合意したため、社会福祉開発省の協力を得て家族のもとに帰りました。その後は、地域のソーシャルワーカーがブライアンくんの家庭のフォローアップを行っています。
ブライアンくんは「若者の家」で暮らしたことを「勉強する機会をもらえたこと、自分がどんな人間であるかということを受け入れてもらえて、KnKに感謝する」と話していました。

オリバーくん(仮名)13歳(「若者の家」に4年8カ月居住)

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身の回りのことは自分で
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掃除も自分たちでする

オリバーくんは、近隣の方からお金を盗んだとされ青少年鑑別所に留置されていた9歳の頃に、「若者の家」で生活し始めました。弟が3人いる彼は、母親の再婚相手の義父から虐待を受けており、学校にも通わせてもらえませんでした。
入居当初は、言語でのコミュニケーションが難しく、自分の考えや気持ちを表現できなかったため、大泣きしたり手足をバタバタさせながら気持ちを伝えたり、時に結果として「若者の家」の他の子どもたちに暴力をふるうこともありましたが、カウンセリングを通して、親に対する怒りやいじめなどの行動は徐々におさまっていきました。
また入居当時、それまで一度も学校に通ったことがありませんでしたが、「若者の家」で個別指導を受けアルファベットを学んで、学校に入学することができ、今では毎年順調に進学しています。
5年生になった今は、『「若者の家」に住んでからほかの人を尊重することや盗みをしてはいけないなど、良い価値観を学んだ』と話してくれています。

  • プライバシー保護のため、写真と各ストーリーの人物は一致していません。

「若者の家」入居者からの声

ラフィくん(仮名)12歳

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子どもたちは食事のお替りをたくさんする

バックグラウンド

10歳の時から4歳年上の兄と友だち2人と4人で路上生活を始めた。4歳年上の兄が盗みで補導され、兄弟でKnKに紹介された。

ラフィくんからの声

『「若者の家」でいいことは、学校に行けること。警官になりたいという将来の夢が叶えられるかもしれないし。学校に行かせてくれないからお父さんとは一緒に住みたくない。あと、「若者の家」は食事もおいしいね。どのメニューというわけでもなく、全部おいしい!』

クリスチャンくん(仮名)15歳

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勉強を通じて夢を描く

バックグラウンド

父親は刑務所に、母親は病気で亡くなり、兄弟7人で生活していた。彼の兄が盗みをして兄弟は生計をたてており、彼自身「若者の家」に入居する前は4年生までしか学校に通っていなかった。

クリスチャンくんからの声

『「若者の家」に来て一番嬉しかったことは学校を続けられたことでした。理科が得意なので将来は医者になって病気の人を助けたいと思っています。』

  • プライバシー保護のため、写真の人物とコメントの居住者は一致していません。

中国大学生のホームスティ受入

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中国大学生(右から二人目)とホストファミリー

伊藤忠商事では、中国大学生に日本をよく理解してもらうための「走近日企・感受日本」プログラム(中国日本商会主催)に第1回から協力しています。
日中友好の目的で、年2回、中国からの大学生が来日し、民間交流を図るプログラムで、2016年度も5月に第18回、12月に第19回の同プログラムが実施され、伊藤忠グループから3名の社員が中国大学生をホストとして受け入れ、家族と一緒に民間ベースの交流を楽しみました。

在日ブラジル人小中学生の支援

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キッザニアを満喫したブラジル人小中学生

日本の在日ブラジル人学校の子どもたちの直面する課題として、子どもたちの日本語力の不足、貧しい施設や教材不足、不就学児童の多さなどの問題があり、日本で暮らしながら日本の文化や言葉に触れる機会が少ないのが現状です。

2015年10月14日、日伯外交関係樹立120周年を記念して、伊藤忠商事がオフィシャルスポンサーを務める「キッザニア東京」にて、ブラジルをテーマにした貸切イベント「ITOCHU Festa do Brasil」を開催、群馬・茨城・埼玉の各県にある6つの学校から約240人の在日ブラジル人小中学生を招待しました。これをきっかけとして、キッザニアでの体験を通じた子ども達へのキャリア教育のため、2016年4月には、茨城、東京、神奈川、千葉、埼玉在住のブラジル人小学生、中学生計45名を、キッザニア東京に招待しました。また、2017年6月にも日伯経済文化協会の活動に賛同しキッザニアチケットを協賛しました。

夏休み環境教室の実施

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ウミガメを間近で観察
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「自然災害教室」の様子

より持続可能な社会を築くためには、一人ひとりが環境に配慮した生活を心がけることが大切です。そのような観点から、伊藤忠商事では環境問題への関心を高める取組の一環として、1992年より毎年夏に「夏休み環境教室」を地域の子どもたちや社員家族を対象に開催しています。今までに累計約1,200名以上の次代を担う小学生に環境保全、生物多様性保全の学び場を提供してきました。
2016年度は、7月28日に【生物多様性】ウミガメ教室、【防災】自然災害教室の二部構成で開催、76名の小学生が参加しました。前半は小笠原諸島より迎えたアオウミガメを間近で観察することで、生態及び絶滅危惧種について学び、後半は雪崩や地震の疑似体験をすることで、自然災害の仕組み、災害への対処方法などについて学びました。

小中高校生の企業訪問の受入

伊藤忠商事では、文部科学省の指導要領に企業訪問が組み込まれたことに呼応して、「生徒が社会的役割・職業生活を理解し、社会人としての自立を促す」ことを企業としてサポートするために、小中高校生の企業訪問を受け入れています。
2016年度は、東京本社において、近隣地域の青山小学校・青山中学校や、二代目伊藤忠兵衛の母校でもある滋賀県立八幡商業高等学校など、計8校の訪問を受入れました。また、小林会長がふるさと大使を務める福井県若狭町から、三方中学校の企業訪問を3年連続で受け入れ、小林会長自らが郷里の中学生へ講演しました。

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港区立青山小学校の校外授業「高いところから地域を見る」
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滋賀県立八幡商業高校の生徒が自ら仕入れた日本各地の特産品をPR
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福井県若狭町立三方中学校3年生へ向けて小林会長が講演