担当役員


歴史が実証した「三方よし」とサステナビリティ、新たな基準と課題への挑戦
創業から100年以上継続している世界の企業のうち、約半数は日本企業であると言われています。この長く続くという事実こそが、現代でいうサステナビリティ、すなわち持続可能性の証と言えます。
一方で、急変する地政学リスクや技術革新の加速など、経営・社会の両面で不確定要素が高まるなか、企業がサステナビリティを着実に推進していくことは、決して容易ではありません。だからこそ、長期視点に立った不断の努力と、変化を恐れずにアップデートし続ける姿勢が求められていると考えます。
昨今、サステナビリティの定義が拡大し、企業に対する期待は日々多様化しています。伊藤忠商事は、各ステークホルダーの短期・中長期的な期待にお応えするべく、着実に営業実績を積み重ねると同時に、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)による基準や、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)など、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する国内外の枠組みに沿った施策と情報開示を進めています。
こうした取組みを通じて、持続可能性と社会からの信頼をいかに確保していくのかという問いに対する答えは、創業以来一貫して変わりません。
それは、創業者である初代・伊藤忠兵衛の言葉に由来するグループ企業理念「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」です。
自社の利益を追求するだけではなく、取引先、株主、投資家、顧客、社員を始めとする様々なステークホルダーの期待と信頼にお応えし、実業を通じてサステナビリティを推進し、且つ社会課題の解決やSDGsへの貢献も果たす「三方よし」の精神を核として、170年近くにわたり事業を通じた価値創造を続けてまいりました。
持続的な企業価値の向上と社会課題の解決を同時に追求するこの考え方は、今日のサステナビリティ経営にも通じる、普遍的な理念と考えます。
当社は、ステークホルダーへの適切な対応はもちろん、現場主義を徹底したサプライチェーンマネジメントや人権デューデリジェンス、事業を展開する各国・地域への配慮と経済的貢献を通じて、幅広い期待にお応えし、信頼の構築と維持を目指しています。
具体的には、人権問題や違法伐採を防ぐためのトレーサビリティを確保した天然ゴム事業、廃棄物埋め立ての衛生問題の解決とGHG排出量削減に貢献する廃棄物処理発電や水リスクに対応するための海水淡水化事業など、多様な環境・社会課題の解決に資するビジネスを展開しています。
また、労働生産性向上と「厳しくとも働きがいのある会社」の実現を目指し、朝型勤務制度の導入やがん治療と仕事の両立支援を含めた働き方改革を始めとする人的資本強化を進めています。
先行きが不透明な経済環境のもと、サステナビリティに関する課題や挑戦は今後も増え続けると考えます。しかしながら、現代のサステナビリティの源流ともいえる「三方よし」の精神のもと、様々な時代の変化を乗り越えてきた持続可能な企業として、そして信頼される「商人」として、当社はこれからも変わらぬ努力と挑戦を続けてまいります。
2026年4月
上席執行役員 CAO
西口 知邦
