戦略

サステナビリティ推進の流れ

伊藤忠グループは、企業理念や外的環境の変化を踏まえた「サステナビリティ推進基本方針」を定め、組織的・体系的にサステナビリティに資する取組を推進しています。具体的には、伊藤忠グループのマテリアリティをサステナビリティアクションプランに落とし込み、経営方針及び経営計画に基づき推進するトレーディングや事業投資を通じて、課題解決に繋げていきたいと考えています。
「サステナビリティアクションプラン」では、取組むべき課題、対象事業分野、具体アプローチ、成果指標、進捗状況を管理しています。毎年成果指標に基づくレビューを8つのカンパニー及び職能組織ごとに実施し、サステナビリティ委員会に進捗状況を報告します。このようなPDCAサイクルを回し開示することにより、確実な推進を目指しています。
伊藤忠グループのサステナビリティ推進基本方針はこちらをご覧ください。

サステナビリティ推進の流れ

左から右へと、企業理念と企業行動指針、それらに基づく各種サステナビリティ関連方針、マテリアリティを明示し、マテリアリティをアクションプランに落とし込んで事業活動を通じてサステナビリティに取り組んでいることを体系的に示している。

マテリアリティごとのリスクと機会

マテリアリティ リスク 機会
技術革新による商いの進化
  • IoT、AI等、新技術の台頭に伴う既存ビジネスモデルの陳腐化
  • 先進国での人手不足や、効率化が遅れている事業での優秀な人材の流出 等
  • 新市場の創出や、革新性のあるサービスの提供
  • 新技術の活用による、人的資源や物流の最適化、働き方改革推進による競争力強化 等
気候変動への取組み
(脱炭素社会への寄与)

移行リスク

  • 温室効果ガス排出に対する事業規制等による、化石燃料需要の減少

物理的リスク

  • 異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による事業被害 等
  • 気候変動の緩和に寄与する、再生可能エネルギー等の事業機会の増加
  • 異常気象に適応できる供給体制強化等による顧客維持・獲得 等
働きがいのある職場環境の整備
  • 適切な対応を実施しない場合の、労働生産性の低下、優秀な人材の流出、ビジネスチャンスの逸失、健康関連費用の増加 等
  • 働きがいのある職場環境の整備による、労働生産性の向上、健康力・モチベーションの向上、優秀な人材の確保、変化やビジネスチャンスへの対応力強化 等
人権の尊重・配慮
  • 広域化する事業活動での人権問題発生に伴う事業遅延や継続リスク
  • 提供する社会インフラサービスの不備による、信用力低下 等
  • 地域社会との共生による、事業の安定化や優秀な人材確保
  • サプライチェーン人権への配慮、労働環境の改善に伴う、安全かつ安定的な商品供給体制の構築 等
健康で豊かな生活への貢献
  • 消費者やサービス利用者の安全や健康問題発生時の信用力低下
  • 政策変更に基づく、市場や社会保障制度の不安定化による事業影響 等
  • 食の安全・安心や健康増進の需要増加
  • 個人消費の拡大やインターネットの普及に伴う情報・金融・物流サービスの拡大 等
安定的な調達・供給
  • 環境問題の発生及び地域社会と関係悪化に伴う、反対運動の発生による影響
  • 主に生活消費分野での低価格化競争の発生による、産業全体の構造的な疲弊 等
  • 新興国の人口増及び生活水準向上による資源需要の増加
  • 環境に配慮した資源や素材の安定供給による、顧客の信頼獲得や新規事業創出 等
確固たるガバナンス体制の堅持
  • コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生 等
  • 強固なガバナンス体制の確立による意思決定の透明性の向上、変化への適切な対応、安定的な成長基盤の確立 等

マテリアリティごとの社会へのインパクト

マテリアリティ インパクト分類 インパクト記載
技術革新による商いの進化
技術革新
  • DX推進により、産業全体の生産性の向上・業務効率化を促進する。
  • 新たな技術(Fintech/IoT/AI/遠隔技術等)やビジネスモデルにより、新規事業の創出や消費者接点を活かした革新的なサービスの提供を推進する。
気候変動への取組み
(脱炭素社会への寄与)
GHG排出量
  • 日本政府目標を遵守し、2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現し、さらに、排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ、2040年までに「オフセットゼロ」を目指すことにより、気候変動による影響低減に貢献する。
気候変動の機会
  • 船舶・海運分野において、アンモニア燃料船の開発・保有運航・燃料供給を含む統合型プロジェクトを推進し、GHG排出量ネットゼロに貢献する。
  • 再生可能エネルギー発電所の開発・保有・運営により再エネの安定供給を実現し、気候変動の影響低減に貢献する。
  • 電力供給バランス最適化に役立つAI蓄電池を安定供給することにより、気候変動の影響低減に貢献する。
  • 電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)等の販売促進により、運輸部門の温暖化対策に貢献する。
  • 地域熱供給における、環境に配慮したエネルギーの面的利用の取組みを推進により、気候変動の影響低減に貢献する。
気候変動への
適応
  • 農業・林業分野における、天候リスク分散のための原産地多角化と地域産業の育成を通じて、異常気象・温暖化による影響を低減する。
移行リスク
  • 一般炭炭鉱権益からの完全撤退に向けた取組み推進により、気候変動の影響低減に貢献する。
  • 専門企業との協働によるGHG削減を考慮した資源(Transition Fuel)開発案件への取組みにより、気候変動の影響低減に貢献する。
資本導入
  • CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発への投資継続により、気候変動の影響低減に貢献する。
  • 水素・アンモニア等の燃料、ニッケル・PGM等の原材料、蓄電池等の製造・供給に必要な素材の安定供給に関わる事業推進により、気候変動の影響低減に貢献する。
  • 土木・建設等に欠かせないセメントの代替材として、持続可能な副産物の利用拡大を図り、気候変動の影響低減に貢献する。
汚染防止と資源循環
  • 主に欧州と中東地域において現地専門企業と協働で廃棄物処理・廃棄物発電事業を推進し、気候変動の影響低減及び汚染防止に貢献する。
水資源
  • 主に欧州と中東地域における現地専門企業との共同での水処理事業推進により、水資源の有効活用の促進、環境負荷の低減に貢献する。
働きがいのある職場環境の整備
労働慣行
  • あらゆる差別禁止、育児・介護・疾病等のある社員も活躍できる環境整備により、多様な人材の活躍を支援する。
  • 労働衛生サービスの充実による社員の健康の増進、及び現場の労働安全衛生マネジメントシステムによる衛生・労働安全の確保を推進する。
  • 労働基準の浸透、働き方改革、福利厚生の充実により、労働生産性及び社員エンゲージメントの向上を推進する。
  • すべての階層に対するグローバル視点の研修プログラムと、目標管理による人事制度の開発・活用により、優秀な人材の育成を推進する。
人権の尊重・配慮
労働慣行
  • 公正な採用・ハラスメント防止・人権研修・ホットライン設置により、人権に関する負のインパクトを軽減する。
鉱山
  • 環境・衛生・労働安全(EHS)や地域住民との共生に十分配慮し、持続可能な鉱山事業を推進する。
  • 鉱山の事業実施地域において、地域社会への医療・教育等に貢献する。
森林
  • 木材・パーム油・天然ゴム・食糧等の原料調達におけるサプライチェーンの透明性を高めることにより、森林・環境・地域住民に対する負の影響を防止する。
サプライチェーン
  • 新規事業と事業投資先、及び主要サプライヤーへの人権・社会・環境に関する調査実施により、バリューチェーン全体における人権・社会・環境の負の影響を軽減する。
  • 人権デューデリジェンスの実施により、バリューチェーン全体における人権・社会・環境に関する負の影響を軽減する。
地域貢献
  • 地域社会に対する社会貢献活動を推進により、スポーツや文化交流等が可能な共生型まちづくりを実現する。
健康で豊かな生活への貢献
食品安全
  • 食品の安全・安心な食品を安定的に調達すべくサプライヤーの選択と集中を行うことにより、顧客に安全な商品を提供する。
  • サプライヤーと協働し、食品情報・栄養バランス確保された商品を提供することにより人々の健康促進に貢献する。
医療健康
  • 先端医療機器・高度医療サービスの提供、安全な医薬品等の展開により、人々の健康増進に寄与する。
リテールファイナンス
  • 生活・事業継続のために資金調達を必要とする人々(低所得者層等)を支援する金融サービス拡充により、健康で豊かな生活に貢献する。
安定的な調達・供給
森林
  • 木材・パーム油・天然ゴム・食糧・繊維原料等の原料調達におけるサプライチェーンの透明性を高める製品認証とトレーサビリティにより、森林破壊・資源の乱獲を防止し、地域住民及び生物多様性への負の影響を防止する。
プラスチック
  • バイオプラスチック等の環境素材の供給とリサイクル・リユースプログラムの確立により、海洋プラスチックや廃プラスチック等の社会問題の解決に貢献する。
電力・鉱山・油ガス田
  • 投資案件(電力・鉱山・油ガス田等)において、生物多様性に重点を置いたESGリスク評価により、生物多様性への影響を低減する。
資源安定供給
  • 天候リスク分散のための産地多角化と地場産業の育成を通じた新たな産地開拓により、農産物・農産加工品の安定供給に貢献する。
  • 優良パートナーとの協業により、従来の実績を強化する鉱山資源、次世代燃料(水素・アンモニア)のバリューチェーンを維持し、資源の安定供給に貢献する。
サプライチェーン
  • 天然資源の主要サプライヤーとの人権尊重と環境経営に関するコミュニケーションの強化により、サプライヤーによる経済・環境・人々への負の影響を防止する。
  • サステナブル素材の更なる拡充と取扱いの拡大により、繊維製品の安定供給に貢献する。
汚染防止と資源循環
  • 自社オフィス及び廃棄物処理・食品等の事業活動において、資源の有効活用の促進、環境負荷の低減に貢献する。
  • 化学品の関連法規の規制を遵守し、人の健康や環境にもたらす悪影響を最小化し、化学品の安定供給に貢献する。
水資源
  • 自社オフィスと事業活動における水の効率的使用推進、水ストレス地域等で水処理事業推進により、水資源の有効活用の促進、環境負荷の低減に貢献する。
確固たるガバナンス体制の堅持
ガバナンス
  • 経営に対する実効性の高い監督を行うと共に、意思決定の透明性を高め、また適正かつ効率的な業務執行を確保することにより、持続的な成長によりステークホルダーの期待に応える。
  • グループリスクマネジメント体制構築と、継続的な業績の維持により、ステークホルダーの期待に応える。
  • コンプライアンスを遵守する社員の意識のさらなる醸成により、経済(競争慣行、調達慣行等)への悪影響を低減する。