ボルネオ便り 第1回
ITOCHU Group: Forest for Orang-utan の活動の地、ボルネオ島・マレーシア国サバ州にて社員並びにグループ会社社員の計16名が参加して植林体験ツアーを行いました。
現地の自然あふれる魅力と参加者がこのツアーを通して感じたことをご紹介します。
北ウルセガマ
本プロジェクトの植林地です。967ヘクタール(約東京ドーム207個分)を支援し、森の再生を目指します。
参加者より
いよいよ植林です。お揃いのTシャツとヒル避け靴下を履き、凸凹道を揺られながら植林サイトへ。指導を受けた後作業を開始。気温も湿度も高い中、長袖長ズボン姿での活動はあっという間に汗と泥まみれに。しかしながら、記念すべき第一回目の植林活動を終えた時、達成感と安堵感で皆一様に輝いた表情でした。
スカウ
キナバタンガン川を巡るジャングルクルーズで人気な場所で、ボルネオ象やテングザル等数多くの野生動物に出会えます。
参加者より
「あっ!オランウータンじゃない?!」植林後の移動中、突然車内で声が。急いでそちらを見ると、そこには野生のオランウータンが。植林場所から車でたった十数分。こんな場所で、今回の活動でまさに保護しようとしているオランウータンに出会うことができたのは本当に幸運でした。
サンダカン
コタキナバルに次ぐ第2の都市です。1947年にコタキナバルへ首都が移されるまで、英国領北ボルネオの中心として貿易の拠点として栄えました。
参加者より
前日のクルーズでの幸運なピグミー象の集団との遭遇の感激もさめやらぬまま、朝焼けの中モーニングクルーズに出発。朝食後、サンダカンへ別のボートで移動。オランウータンの親子や2mのワニ等、期待以上に野生動物と出会え大満足。この豊かな自然を後世に残すことが人類のためでもあると感じたクルーズでした。
セピロック
絶滅の危機に瀕したオランウータンを野生に戻すための施設「オランウータン リハビリテーションセンター」があります。
参加者より
サンダカンの港より車で30分程のリハビリテーションセンターを見学。4500ヘクタールを超える原生林が自然保護区に指定されていて、その一画に施設があり、保護された子供達が自然回帰のためのプログラムを受けています。オランウータンの給餌係の前に神妙に座った姿はまるで人間のようでとても微笑ましく思いました。
コタキナバル
ボルネオ島へのツアーの玄関口でもあり、商業都市としても発展する人口30万人ほどの街です。
参加者より
WWF事務所にてプロジェクトについての講義を受けました。森を再生し、ボルネオ島に生息する貴重な生き物たちを絶滅の危機から救い生物多様性を保全すること、それは究極のところ地球上のすべての生き物を守ることにつながってゆくんだということを聞き、翌日の植林に対するモチベーションが高まりました。
植林体験ツアー
ツアー日程 (4泊5日)
1日目 成田 ~ コタキナバル (ボルネオ)
ツアーへの期待・楽しみを胸に、各地より参加者が成田空港に集結!
メンバーの1人が交通渋滞に巻き込まれたものの、クローズ5分前にチェックインカウンターに滑り込み、凡そ5時間のコタキナバルへの空の旅へと、全員そろって無事出発。コタキナバル空港では、民族衣装をまとった人々が!東南アジアに来たという実感がわく中、ついに第一回目の植林体験ツアーの幕が上がりました。ホテルで夕食を取った後は、ホテル前に広がる屋台を視察。焼き鳥、焼き魚、ヌードル、何でもあり!そこはまさしく現地の人々のダイニングでした。
2日目 コタキナバル (WWF事務所) ~ ラハダトゥ
WWFマレーシア事務所にて、ボルネオ島サバ州の森林再生プロジェクトについての説明を受けました。1950-2000年の間にサバ州の30%の森が失われ、オランウータン等の野生動物が行き場を失っていること、また植林のプロセスでは、木が育つまでにさまざまな段階があることを学習しました。今回のツアーから5年がかりで伊藤忠商事の植林地967haをオランウータンの森にします!いよいよ明日活動開始です。
3日目 ラハダトゥ ~ ウルセガマ (植林地) ~ スカウ
植林地区では、WWFジャパンの河村さん、WWFマレーシアのスタッフやコントラクター、サバ州森林局の職員達がとても親切にサポートしてくれました。
マレーシア側の関係者の皆さんが、ITOCHUが寄付をしたから植林をさせてくれるという態度ではなく、植林プロジェクトに一緒に取組む仲間として受け入れてくれたように感じたので、とても嬉しかったです。この植林プロジェクトのパートナーにWWFを選んだのは大正解だと思います。この様な貴重な体験をさせてくれたWWFさんに感謝です。
植林を終え、次なる目的地であるスカウへ。ここでは野生の動物たちを観察するためボート2隻に分乗し、いざキナバタンガン川へ。最初の遭遇はオリエンタルペイルホンビルという素敵な鳥。そしてアリクイザルとテングザルがこんにちは。しかし野生の鳥やサルは種類こそ違えど日本でも見れるため、少々物足りなさを感じていた矢先ボートが突然Uターン。何事かと思ったら、なんとピグミーゾウの大群がお食事中。もう大興奮。次はワニへの期待が高まります。
4日目 スカウ ~ サンダカン ~ セピロック (リハビリテーションセンター)
サンダカンへと移動する船からは、待望のクロコダイルとオランウータンに次々に遭遇。
「フルーツが大好きなオランウータンは、背の高い木々を移動しながら食べる」「野生のオランウータンに遭遇することイコール自然が損なわれている証拠だ」との説明を聞いていたので、背の低い木々を移動し、手が届きそうな至近距離で一心にフルーツを食べている野生のオランウータンの姿を目の当たりにして、自然が損なわれている現実と我々の活動の意義を感じることができました。
5日目 セピロック ~ コタキナバル ~ 成田
サバ州野生生物局が運営するセピロックのオランウータン・リハビリセンターを見学。ここでは、森林の開発によって親を失ったオランウータンの孤児を保護し、施設内の森でトレーニングをした後、自然の森へ返しています。開発が進むに従って、保護されるオランウータンの数も増えていると知り、私たちが普段なにげなく購入している製品も意識を持って選択しなくてはならないと強く思いました。
WWFジャパン 業務室長
河村 由美子
生物多様性の森を再び
皆が見守る中、最初の1本の苗木が丁寧に植えられました。この瞬間から伊藤忠グループ・森林再生事業の新たなステージが始まりました。今後967ヘクタールのこの広大な森林再生地は、再びオランウータンが住む豊かな森に生まれ変わることになります。
熱帯の太陽が照りつける中、自然の地形に沿って斜面に植林する作業は想像以上に大変でしたが、皆で協力しながら約50本の苗木が無事に植えられました。
この日を迎えるまでには、動植物生態調査や現地関係者との契約交渉等、実にさまざまな作業が必要でした。植林にもさまざまなレベルがありますが、WWFが目指すのは、最新の科学に基づき地元の協力も得たうえで、本来の自然の姿を取り戻す質の高い森林再生事業です。
今回のツアーでは、植林体験以外にも、野生のオランウータンやボルネオゾウの大群に出会う等、ボルネオの貴重な自然を満喫した旅でした。今回のツアーを通じて素晴らしい伊藤忠グループ社員の皆様と知り合えたこと、そして自然のすばらしさを共有できたことを、心から嬉しく思います。ぜひ、今後もこのツアーを通して、より多くの社員の皆様に自然のすばらしさを実感していただきたいと思います。