生物多様性保全への取組

企業の事業活動は、生物多様性が生み出す自然の恵み(生態系サービス)に大きく依存する一方で、生態系に対して大きな負荷をかけています。伊藤忠商事は持続可能な地球・社会の実現のために、伊藤忠グループ環境方針の中で、生物多様性に配慮することを定めており、事業活動や社会貢献活動を通じて、生物多様性の保全・持続可能な資源の利用に取り組んでいきます。

事業活動における生物多様性への配慮

木材調達における生物多様性への配慮

世界の自然林は現在も減少が続き、毎年広大な自然林が失われています。その原因の一つでもある違法伐採による森林の減少・劣化は深刻な状況であり、大きな環境問題となっています。木材及び製紙用関連資材の安定供給を担う伊藤忠商事では、調達方針を定め、守るべき自然林の保護と持続可能な森林資源の利用に努めています。

パルプ製造事業における生物多様性への配慮

当社が日本の大手紙パルプメーカー等と出資しているブラジルのセニブラ社ではFSC(Forest Stewardship Council)の森林認証及びCoC認証(加工・流通過程の管理認証)を取得し、持続可能な森林経営からパルプ製造までを一貫して行っています。セニブラ社が、保有する土地、約25万ha(神奈川県の面積に相当)のうち、約13万haに植林し、パルプを生産、その他約10万haについては永久保護林、法定保護林として残し、生態系の維持を図っています。また、天然林の回復にも取り組み、天然林を構成する4種の苗木を年間7万本植林し、その広さは年間300haにも及びます。天然林の保護区「マセドニアファーム」では絶滅危惧鳥類の保護繁殖活動を行い、キジ科の鳥「ムトゥン」などの希少野鳥の保護、繁殖、放鳥をしています。

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セニブラの広大な植林地
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絶滅危惧鳥類ムトゥンの保護繁殖活動

生物多様性の保全活動

事業活動以外の面においても、伊藤忠グループは、社会貢献活動を通じて、生物多様性の保全活動を行っています。

アマゾンの生態系保全プログラムを支援

伊藤忠商事は、環境保全、生物多様性を目的とし、京都大学野生動物研究センターがブラジルの国立アマゾン研究所と進めるアマゾンの熱帯林における生態系保全プログラム「フィールドミュージアム構想」を2016年度から支援しています。
アマゾンは地球上の熱帯雨林の半分以上に相当し、生態系の宝庫とも呼ばれているエリアです。しかし、急速な経済発展や、現地住民の環境教育不足による森林伐採等から、近年その貴重な生態系が失われつつあります。京都大学野生動物研究センターは国立アマゾン研究所と共同でアマゾンの貴重な生態系を維持する研究及び普及活動を行っており、日本が得意とする先端技術を利用して、保全のための研究や施設整備を日本とブラジルが共同で行い、これまで研究が困難だったアマゾンの水生生物(カワイルカやマナティー)や熱帯雨林上層部の研究など、多様な生物や生態系に関する保全研究が飛躍的に進むことが期待されます。絶滅危惧種であるアマゾンマナティーを救うためのプログラムもその一つで、伊藤忠商事はアマゾンマナティーの野生復帰プログラムを支援しています。密漁に伴う負傷などにより保護されるマナティーの数が増える一方で、自律的な野生復帰は難しいことから、マナティーの野生復帰事業の確立が急務となっております。伊藤忠商事の支援により、3年後に9頭以上のマナティーが野生復帰し、20頭以上が半野生復帰することを目指します。詳細は「アマゾンの生態系保全プログラム支援」をご覧ください。

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アマゾンの熱帯雨林は世界最大で、
地球上の酸素の1/3を供給するといわれている
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絶滅危惧種のアマゾンマナティー

ボルネオ島の熱帯林再生及び生態系保全活動

ボルネオ島はマレーシア、インドネシア、ブルネイの三カ国にまたがる熱帯林地域で、面積は日本の約2倍、世界でも3番目に大きな島です。生物多様性の宝庫といわれるボルネオ島も開発が進み、自然再生力だけでは生態系保全ができない程、傷ついた熱帯林も出てきました。伊藤忠グループが2009年から支援を続けている森林再生地のボルネオ島北東部のマレーシア国サバ州北ウルセガマでは、世界的な自然保護団体であるWWFが現地サバ州森林局と連携し、約2,400ヘクタールの森林再生活動を行っています。伊藤忠グループはそのうちの967ヘクタールの再生を支援し、2014年に植林作業が完了し、維持・管理作業を含むすべての現地作業は2016年1月に完了しました。これは一般企業の植林活動支援としては最大規模の面積となります。当地は、絶滅危惧種であるオランウータンの生息地でもあり、森林再生によりこのオランウータンを保護するのみならず、ここに生息する多くの生物を守ることにもつながります。
詳細は「ボルネオ島での熱帯林再生及び生態系の保全プログラム」をご確認下さい。

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ツアー参加者による植林
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絶滅危惧種のオランウータン

ハンティング・ワールドのボルネオ支援活動

伊藤忠商事が展開するラグジュアリーブランド「ハンティング・ワールド」は、1965年のブランド創設以来、「牙のない仔象」をモチーフとしたロゴマークを使用しています。これは自由と蘇生のシンボルであると同時に、絶滅危惧種の保護という未来を見据えた課題をも意味しており、創設者の自然への愛と敬意が込められています。そして、「ハンティング・ワールド」を日本で販売するハンティング ワールド ジャパンは、創設者が掲げた「自然との共生」実現のために、2008年よりNPO法人「ボルネオ保全トラスト」(BCT)が進める生物多様性保全活動を支援しています。同社では、チャリティーグッズを企画・販売し、その売上の1%をBCTに提供することで、緑の回廊※のための土地購入資金やプランテーションに迷い込んだボルネオ象の救出のための費用に役立てています。また、2011年秋には、これまでの支援金によって「緑の回廊計画」区域内に4エーカーの土地を単独で取得し、「ハンティング・ワールド共生の森」が誕生しました。さらに、BCTをサポートしているBCTジャパンが2013年9月から推進する「野生生物レスキューセンター」の第一弾となる施設「ボルネオ エレファント サンクチュアリ」の設立資金にも役立てられました。

  • 緑の回廊: 森林保護区や保護林の間の土地を買い戻すなどして、分断された森林をつなぎ、野生動物の移動経路を作ることで、生物多様性を保全する活動
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絶滅危惧種のボルネオ象
ボルネオ象を森に戻すまでの一時的な
保護、治療、馴致を行う施設の建設等もサポート
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ボルネオ島北東部のキナバタンガン川周辺が
「緑の回廊」対象地。全体で2万haの
土地の確保が計画されている

ケニアの植林活動における支援

伊藤忠商事は、こども向け職業体験施設「キッザニア東京」に、子どもがエコ活動を体験できる環境パビリオン「エコショップ」を2012年4月にオープンしました。当パビリオンでは、子ども一人の参加ごとに、植林用の苗木1本分の費用がケニアの植林活動である「グリーンベルト運動」に寄贈される仕組みとなっており、2016年3月迄に約12万人の子ども達がアクティビティに参加し、約12万本の苗木に相当する費用をケニアに寄贈しました。この費用は、ケニアにおける植林の他にも、森林再生の取り組みを継続する際の雨水貯留や、生態学的に健全な森林資源の活用を目的とした地域住民へのワークショップの実施等に使用されています。

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子どもの参加1人につき、植林用の
苗木一本分の費用を「グリーンベルト運動」に寄贈
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ケニアの植林活動(写真提供:毎日新聞)