自然資本・生物多様性(TNFD提言に基づく情報開示)

自然資本・生物多様性に関する方針・基本的な考え方

伊藤忠商事は原料等の川上から川下まで事業投資やトレードをグローバルに展開しており、人々に便益をもたらす、植物、動物、空気、水、土壌、鉱物等の再生可能及び非再生可能な自然資本の恵みに大きく依存し、またこれらに負の影響を与える可能性があります。

当社は、自然資本・生物多様性を含む地球環境問題を経営の最重要課題の一つとして捉え、企業理念「三方よし」を実現すべく、伊藤忠グループ環境方針に示す生物多様性の保全を推進するため、以下の生物多様性方針を定め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。また、地域の社会貢献活動の一環としての事業関連地域における取組みも行っていきます。

生物多様性方針

  1. 生物多様性に配慮した環境経営

    事業活動が生物多様性の恩恵に依存していることや、生態系に影響を及ぼす可能性のあることを認識して、自然共生社会構築のために、相互に関連する気候変動対策・資源循環対策・生物多様性保全などの幅広い環境活動が事業活動の中に取り込まれた環境経営を推進する。
  2. 事業と生物多様性との関わりの把握、影響の低減

    グローバルな視点で、グループ企業はもとよりグループ全体における事業活動と生物多様性との関わりを把握し、生物多様性への影響のネットポジティブ化を目指して、事業活動が生物多様性に与える影響の回避と最小化に努めるとともに生態系の回復を推進する。
    木材・天然ゴム・パーム油等の森林に関連するコモディティに関して、自然林と森林資源保護に関する調達方針を定め、法律等で指定された保護地域からの産出による森林破壊ゼロを確認するための情報収集を推進する。
  3. 国際的な条約と各国の国内法の遵守

    生物多様性条約等の生物多様性に関する国際的な条約、及び関連する各国の国内法を遵守し、生物多様性の保全を推進する。
    ワシントン条約(CITES)等で指定されている絶滅危惧種に関し、事業活動でこれらの取引に加担しないだけでなく、事業活動地域における絶滅危惧種保護の社会貢献活動を推進する。
  4. パートナーシップの強化と地域の生態系保全

    業界団体、サプライチェーン、NGO、国際機関などと連携し、生物多様性に関する認識の共有を図り、生物多様性保全の取組みを、より実効あるものにする。
    事業活動地域の生物多様性保全に配慮するとともに、地域の豊かで安全な暮らしの実現に貢献するため、行政機関のみならず、地域住民、NGOなどステークホルダーとともに自然資本を活かした地域の創生の視点から生物多様性保全を推進する。
  5. 情報共有と発信の強化

    啓発活動などにより、社員はもとより事業活動地域の地域住民における生物多様性についての理解を促進する。
    取組内容、目標と達成状況を継続的に開示することにより、社会全体の生物多様性への意識向上に貢献する。
  • 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)

代表取締役 副社長執行役員 CAO
小林 文彦

2022年4月制定

ガバナンス

自然関連課題におけるガバナンス

伊藤忠商事は、自然資本・生物多様性を含むサステナビリティ課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、自然関連リスクと機会への対応方針やリスク・機会を考慮した年度予算・事業計画等の重要事項につき取締役会で審議・決定していきます。

自然資本・生物多様性を含むサステナビリティ関連事項に対応するための各種施策の立案・実施に関する総括管理責任はサステナビリティ委員会に付与されています。当社CAO(Chief Administrative Officer)は、自然関連課題に責任を持つ取締役であると同時に、執行レベルではHMC(Headquarters Management Committee)のメンバーであり、サステナビリティ委員会の委員長を兼務しています。サステナビリティ委員会での審議・決定事項は、サステナビリティ推進の主たる活動状況と共に、CAOから年2回程度取締役会に報告されます。これにより、取締役会がサステナビリティ委員会での審議・決定事項も考慮した上で、環境・社会リスク及び機会に対応する事業戦略・投資戦略の推進の監督(戦略の見直し・資産入替判断を含む)を適切に行える体制としています。また執行レベルでは、サステナビリティ委員会にESG責任者を兼任する各カンパニー及び職能部署のマネジメントもコアメンバーとして参加し、サステナビリティ推進部と各カンパニー及び職能部署のESG推進担当から気候関連事項について報告を受け、各種施策・取組みの進捗管理・モニタリングを行っています。

また、サステナビリティ委員長及び各カンパニー・職能部署のマネジメント(ESG責任者)は、年1回外部専門家との対話「サステナビリティアドバイザリーボード」を行い、当社に対する社会の期待や要請も把握した上で環境施策を推進していきます。

ご参考:当社のサステナビリティに関するガバナンス体制

自然関連の人権とステークホルダーエンゲージメント

伊藤忠グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「伊藤忠グループ人権方針」を定めています。本方針では伊藤忠グループの人権尊重の考え方を具体的に表明しており、人権デューデリジェンスの実施や潜在的に影響を受けるグループやステークホルダーとの対話・協議等について宣言しています。

また、伊藤忠グループが事業活動を行う国・地域の法律や「先住民の権利に関する国際連合宣言」、「国際労働機関(ILO) 第169号条約」等の国際的な取決めに定められた先住民の権利を尊重、配慮することを明確にした「先住民の権利の尊重」を個別方針として策定しています。新規の事業投資案件の検討にあたっては、当該事業が先住民の権利に及ぼす影響について事前のチェックを励行しており、事業開始後も定期的に人権デューデリジェンスを実施しています。自然資本への依存度の高い食品関連事業(食料カンパニー)、繊維関連事業(繊維カンパニー)、物資・資材関連事業(住生活カンパニー)及び影響度が高い金属関連事業(金属カンパニー)においては、2019年度から2023年度までに人権デューデリジェンスを実施し、「地域社会・住民への影響」についても調査対象の人権リスク指標としました。

ご参考:人権

リスクと影響の管理

伊藤忠商事では、各国・各事業拠点の自然資本・生物多様性の変化が事業に与えるリスクを監視しています。グループ全体でのリスク分析において、特定された自然関連リスクは、主要なリスクの1つ(環境・社会リスク)として管理対象となります。また、特定された自然関連リスクは投資判断プロセス時に検討・評価し、それぞれのリスク管理責任部署において連結ベースでリスクの特定・評価・情報管理・モニタリング体制を構築しています。

自然関連リスクの特定・評価

伊藤忠商事は、リスク管理を経営の重要課題と認識し、COSO-ERMフレームワークの考え方を参考に、伊藤忠グループにおけるリスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しています。伊藤忠グループの環境方針で示されている通り、当社は環境保全に係る法規制の情報収集を行い、その遵守に努めています。また、ISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)を導入し、事業活動が環境・社会に与え得る影響を認識しています。グループ会社についても、実態の把握に努めています。

例えば、水については製造拠点における水リスクの把握・評価をWRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて実施しています。その他の自然関連リスクについても、後述の国際機関が定めた枠組みに則った特定・評価を定期的に実施しています。

ご参考:伊藤忠グループのリスクマネジメント

自然関連リスクの管理・全社リスクマネジメントシステムへの統合

伊藤忠商事は、その広範にわたる事業の性質上、市場リスク・信用リスク・投資リスクを始め、様々なリスクにさらされています。これらのリスクに対処するため、各種の社内委員会や責任部署を設置すると共に、各種管理規則、投資基準、リスク限度額・取引限度額の設定や報告・監視体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクを全社的に統合管理しています。

自然関連リスクは、主要なリスクの1つ(環境・社会リスク)としてグループリスク管理の対象としており、下表の各事業段階で、当社の広い事業活動(事業投資・商品トレード・物流・グループ会社/サプライチェーン経営戦略とポートフォリオ構築等)の評価手法に組み込まれています。

事業段階ごとの自然関連リスクマネジメント・評価手法

事業段階 評価手法
事業開始
  • 新規投資案件の自然関連リスクを含む環境・社会リスク評価(2023年度は45件)
事業運営
  • 取扱商品の環境リスク評価(サプライチェーン全体でLCA評価)
  • グループ会社の環境実態調査(1年に2、3社)
  • サプライチェーン・サステナビリティ調査(当社及び子会社)
  • ISO14001に基づく内部環境監査(伊藤忠商事、対象グループ会社3社)
事業戦略の見直し
  • 事業戦略・資産入替の検討

自然関連リスク管理体制

事業開始段階(新規事業投資案件における生物多様性の影響評価)

伊藤忠商事が取組む事業投資案件については、その案件が環境・社会に与える影響を「投資等に関わるESGチェックリスト」により事前に評価しており、例えばこれには生態系への影響や、資源の枯渇等の自然環境・生物多様性への影響有無の把握も含まれています。影響が認められる場合はリスクを分析し、必要に応じて外部の専門機関に追加のデューデリジェンスを依頼する等、問題がないことを確認した上で、投資を実行しています。

事業運営段階(バリューチェーンにおける生物多様性の影響評価)

取扱商品におけるサステナビリティリスク評価

伊藤忠商事は、新たな商品を取扱う際、商品の原材料の調達からその製造、使用並びに廃棄段階に至るまで、LCA的分析手法で環境・社会への影響や環境関連法規制の遵守状況、ステークホルダーとの関わり等を評価する商品別サステナビリティリスク評価を実施しています。バリューチェーン上で著しい自然関連リスクがある場合、当該商品を重点管理対象とし、各種規程・手順書・特定業務要因教育等を策定・実施しています。

サプライヤー向けサステナビリティ調査

サプライヤーの実態を把握するため、高リスク国・取扱商品・取扱金額等一定のガイドラインのもとに各カンパニー及び該当するグループ会社が重要サプライヤーを選定し、各カンパニーの営業担当者や海外現地法人及びグループ会社の担当者がサプライヤーを訪問しヒアリングを実施しています。また重要サプライヤーに対しては、アンケート形式のサステナビリティ調査も実施しており、生物多様性を含む自然資本への取組み状況を確認しています。必要に応じてサプライヤーに対して是正依頼を行う継続的改善を行っています。

全社的なポートフォリオ分析

伊藤忠商事は自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)によるTNFDフォーラムに参画しています。2022年度は、TNFDベータ版フレームワークを参考に、当社グループの事業についてトライアルでの一次評価を独自に実施しました。

Phase 1

事業単位とプロセスの
対応付け

  • データソース「ENCORE」を活用した分析に必要な情報整備を行う。
Phase 2

依存度・影響度の
評価方法検討

  • 評価アプローチの詳細を検討。
Phase 3

依存度・影響度マッピング&
定性的解釈

  • 事業毎に依存度・影響度をマッピング。
  • 上記マッピングの裏付けとなる定性的情報の整理を行う。

事業ポートフォリオ全体の依存度・影響評価のステップ

伊藤忠商事の各事業の自然資本への依存度と影響度をスコアリングし、散布図形式で整理したところ、金属資源事業の影響度が最も高いことが示された。
依存度と影響度マッピング
  • 破線はENCORE全プロセスの依存度、影響度の平均

具体的には、国連環境計画等が開発した自然資本影響評価ツール(ENCORE)を用いて、当社事業の上流下流も含めたバリューチェーン上で行われている活動工程をENCOREが定めたプロセス別に仕分けしました。その上で、類似したプロセスを持つ事業ごとに集約し、28のグループを作りました。28グループ別に、当社のバリューチェーンにおける事業の関与度合い等も考慮しながら依存度・影響度それぞれのスコアを算出し、依存度については、各事業における自然資本への依存度を6段階で評価し、依存度スコアを総計しました。影響度についても同様に5段階で評価し、影響度スコアを総計しました。例えば、金属資源関連事業の評価は、以下のような要素に分解が可能であり、これら各事業プロセスの評価得点の平均値が本分析結果として表れています。

その結果を、縦軸:影響度、横軸:依存度として整理したところ、右図のような「依存度・影響度マッピング」となりました。

取組み

影響度の高い事業における取組み

当社は、ENCOREを活用した自然資本への影響評価の妥当性を検証するため、TNFDが提唱する自然資本に関する課題を統合的に評価するLEAPアプローチ※1を活用して、影響度が高い事業を対象にトライアルで二次評価を行いました。

Locate
  • 分析を行うスコープを決定の上、自社事業とバリューチェーンの活動地域を特定し、生物多様性や水リスクの観点から影響を受けやすい優先地域を特定する。
Evaluate
  • 影響を受けやすい優先地域における自然資本への依存と影響を特定する。
  • 重要な依存・影響について大きさと規模を評価するために、生態系サービス、インパクトドライバー、及び関連する自然資本を評価する。
Assess
  • 依存と影響の状況を踏まえて短・中・長期的なリスク・機会を評価する。
  • 現在のリスク管理状況を確認し、追加的に必要なリスク対応策を検討する。
Prepare
  • 重要な自然関連リスクと機会に関する評価を経営層に対してインプットし、戦略と資源配分、目標設定を検討。
  • TNFD提言に沿って開示。

LEAPアプローチの概要
自然関連問題の特定・評価のためのガイダンス:LEAPアプローチPDFファイルをもとに伊藤忠が整理

当社では、ENCOREを活用した全社ポートフォリオを対象としたトライアル一次評価において自然資本への影響度が最も大きいとされた金属資源事業のうち、特に影響度スコアの高い採掘プロセスについて、当該事業の自然資本への依存や影響について分析しました。

まず、Locate(発見する)分析では、TNFD LEAPアプローチガイダンスで示されている影響を受けやすい地域に関する5つの定義とそれらの基準を整理したデータベースの指標※2に従い、生態学的に影響を受けやすい拠点を特定しました。また、事業の重要性を勘案の上、いくつかの拠点について、IUCN Global Ecosystem TypologyとGlobal Map of Ecoregionsを用いて、関連するバイオームや生態系の情報も特定し、自然資本への依存と影響についてEvaluate(診断する)分析を実施しました。なお、分析においては、TNFDの鉱業セクターガイダンスや現地の環境アセスメントの報告書を調査することで依存・影響の測定結果の精緻化に努めました。その結果、同事業の採掘プロセスについて、上記のトライアル一次評価で示唆された通り、自然資本への影響の程度が大きいことが確認されました。

ENCOREを活用した評価の妥当性が確認されたため、当社は本トライアルを通じて得た知見を踏まえ、自然資本に係る事業評価と対応を更に検討していきます。

  1. TNFDにより開発された、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)という4つのステップで構成された対象事業の自然関連課題を明確にする手法
  2. 使用したデータベース:WWF Biodiversity Risk Filter、WWF Water Risk Filter、STAR、Biodiversity Intactness Index、Ecoregion Intactness Index、Critical Natural Asset layers、IBAT

閉山における生物多様性への配慮

今回分析の対象とした金属資源事業について、当社では鉱山の自然関連のリスク管理・低減活動として、閉山における取組を実施しています。

当社は鉱物資源の開発事業において、国際的な基準に基づき環境・衛生・安全(EHS)ガイドラインを定めており、その中で閉山における生物多様性への配慮についても規定しています。閉山計画は物理的な原状復帰だけでなく、特にステークホルダーと連携して地域の社会経済と環境に配慮し、地域に対する影響を最小化、利益を最大化できるように閉山計画を設計します。そのためには資金準備、操業に際して建設した水路等の安全確保、使用した化学品等の残留防止、生態系保全、といった対策が必要です。将来の閉山に向けてパートナーと協業し、資源国で定められている環境影響評価や閉山計画の策定を適切に行い、毎年のEHSチェックリスト作業の実施を通じて状況を確認する体制を整備しています。

  • 国際金融公社(IFC)のEHSガイドライン

依存度の高い事業における取組み

当社における自然資本への依存度が高い事業は、森林コモディティ(食料、木材、天然ゴム、パーム油等)の調達、製造、加工、流通です。これらの事業の持続可能性を高めるため、商品ごとに調達方針を定め、トレーサビリティにより調達地域を特定できる国際的な第三者認証品の調達等に努めています。

ご参考:商品ごとの取組み方針と内容

当社ではSBTNがSBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)ガイダンスにて発表したAR3Tアクション・フレームワークのミティゲーション・ヒエラルキーの枠組みを使用し、自然資本への依存度の高い事業における取組みを回避、軽減、復元・再生、変革的行動の4つに分類して整理しました。

回避
Avoid
マイナスの影響を未然に防ぐ、完全に排除する
例:サステナブルな代替原料、包装資材の採用
軽減
Reduce
完全に除去できない負の影響を最小化する
例:廃棄物や汚染物質排出の低減
復元
Restore
生態系の健全性、完全性、持続可能性に関して、生態系の回復を開始または促進する
例:事業活動上 改変した土地の土壌の改善や植林
再生
Regenerate
土地/海洋/淡水の利用の範囲内で計画した行動をとり、そこの生態系や構成要素の機能や生産性を高める
例:絶滅危惧種の保護
変革的行動
Transform
バリューチェーンの内外において必要とされる体系的な変化に組織が対応し貢献するために行動を変革する
例:販売や製造モデルの開発、イニシアティブへの参加

ミティゲーション・ヒエラルキーの概要
Science Based Targets Networkウェブサイト別ウインドウで開きます及びTNFDによる提言PDFファイルをもとに伊藤忠が整理

  • 事業による自然資本への負の影響を抑えるためのツール。生物多様性へのリスク(野生生物の生息地の消失等)や、地域社会への影響(健康に影響を与えうる汚染物質の放出)を予測、回避あるいは最小限に留め、万が一生じてしまった負の影響は極力回復させるというアプローチを示したもの。

上記の結果、当社では自然関連リスク低減のために、SBT for Natureが最優先で取り組むべきとする「回避」や「軽減」に係るアクションを積極的に実施できていることがわかりました。今後も当社では、ネイチャーポジティブの実現に向け、AR3Tのアクションを更に推進していきます。

AR3Tアクション・フレームワークに沿った取組みの整理結果
大分類 コモディティ 具体的取組み
森林資源 木材 回避 認証材、または高度な管理が確認できる材の取扱い比率は100%
変革 NGOとのエンゲージメントの実施
天然ゴム 変革 GPSNR(持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム)に設立メンバーとして参画、プラットフォームの基準の策定と、その運用に協力
パーム油 回避 ミルレベルまでのトレーサビリティ100%を達成
変革 「パームオイルのための円卓会議(RSPO)」に加盟し、取組を推進
バイオマス燃料 回避 PEFC認証、FSC認証等の第三者認証制度に則り合法性証明を取得した木質バイオマス燃料を調達
食品 カカオ豆・
コーヒー豆
回避 カカオ豆のトレーサビリティ強化
回避 サステナブル認証のコーヒー豆の取扱強化(目標(2030年度)50%)
変革 生産性向上のための農業技術の供与といった小規模農家の技術支援を実施
乳製品 軽減 ニュージーランドでは定期的に放牧地を変えながら乳牛を飼育することで生態系の劣化を軽減
食肉 回避 全ての食肉のサプライヤーで100%、生産段階までトレースバックができる仕組みを構築
水産物 回避 MSC(Marine Stewardship Council)における流通業者の認証、CoC(Chain of Custody Certificate)認証を取得
変革 MSC認証が限定的である鰹鮪類について、漁業者に対する働きかけを実施
青果物 軽減 Dole事業におけるクリーンエネルギーの使用
繊維原料 コットン 回避 インドのオーガニックコットン調達ではGOTS認証を取得しており、100%トレーサブル
環境配慮型素材 軽減 循環型経済の実現を目指す「レニュー(RENU®)」プロジェクトを始動させ、再生ポリエステルの展開を開始
アパレル アウトドア
アパレル
復元・
再生
チャリティーグッズを企画・販売し、その売上の一部を熱帯雨林回復のための土地購入資金やボルネオ象の保護に活用

事業関連地域における取組み

伊藤忠商事は、ステークホルダーと共同して、絶滅のおそれのある野生生物の保全活動を実施しています。

世界遺産の島、奄美大島・宇検村とのマングローブ植林プロジェクト

奄美大島南西部の宇検村では、多様な生物が息づく豊かでかけがえのないふるさとの自然を、子どもたちが誇りを持って守り育てていく取組みとして、地元の小学生が育てたメヒルギ※1の苗を使った植林活動を2014年から行ってきました。伊藤忠商事はその趣旨に賛同し、ネイチャーポジティブ※2への貢献やブルーカーボンクレジットの創出を視野に2021年より植林活動を支援しています。2023年には宇検村・上智大学・日本航空と、宇検村における環境保全・地域振興に関する産学官連携協定を締結し、当社は植林と環境学習への協力を通じて貢献しています。

  1. メヒルギ:日本では鹿児島県と沖縄県に自然分布するマングローブ林を形成する植物の一種。
  2. ネイチャーポジティブ:自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる、という概念。
マングローブ再生事業始動
育てた苗を植える小学生
産学官連携で企画したツアーにて社員等が植林

マングローブの生育域外保全プロジェクト

伊藤忠商事は、奄美大島・宇検村でのメヒルギの生育域内保全に加え、国立科学博物館筑波実験植物園との協働により、生育域外保全を開始しました。これは、2022年に当社東京本社の近隣小学校・港区立青山小学校の全児童が胎生種子から育てることを当社が支援し、その苗を寄贈したものです。

筑波実験植物園の栽培圃場での生育域外保全
筑波実験植物園水生植物温室での展示

滋賀県、滋賀県立琵琶湖博物館との希少淡水魚 協働保全プロジェクト

琵琶湖博物館内の淡水魚飼育室での調査

伊藤忠商事は、創業地の環境保全を目的として、滋賀県及び滋賀県立琵琶湖博物館と協働で、絶滅危惧種であるアユモドキ保全プロジェクトを2022年より開始しました。琵琶湖は、世界で20程しかない古代湖の一つで、1,700種以上の動植物が生息し、60種を超える固有種も存在します。水鳥の重要な飛来地でもあり、ラムサール条約による登録湿地です。

琵琶湖博物館では、絶滅のおそれがあるアユモドキ等の希少淡水魚の継代飼育を実施しています。現在、琵琶湖博物館に設置されている保護増殖センターや水族展示内の飼育設備では約35種類の日本産淡水魚類について飼育下での繁殖・系統保存が行われており、その中には、すでに生息地では絶滅した可能性のある個体群もいます。これらを絶やさず残し続けていくことは、国内における希少淡水魚の生息域外保全となり、将来の野生復帰を見据えた重要な取組みです。

アマゾンの生物多様性保全プログラムを支援

アマゾンの熱帯雨林は世界最大で、地球上の酸素の1/3を供給するといわれている
「マナティー里帰りプロジェクト」のロゴ

ブラジルは、伊藤忠商事が1957年に進出して以来森林資源・鉱山資源事業を中心に様々な分野での事業を展開しており、アマゾンを始めとするブラジルの豊富な水資源・生物資源より様々な恩恵をうけています。当社は、2016年度より環境・生物多様性保全を目的とし、京都大学野生動物研究センターがブラジルの国立アマゾン研究所と進めるアマゾンの熱帯林における生物多様性保全プログラム「フィールドミュージアム構想」及び研究施設「フィールドステーション」の建設に関する支援を通して、危急種であるアマゾンマナティーを救う活動を行いました。本プロジェクトは、日本の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同実施する、地球規模課題解決と将来的な社会実装に向けた日本と開発途上国の共同研究「SATREPS(サトレップス)プロジェクト」の一つにもなっています。伊藤忠商事の支援により、2016年度からの3年間のプロジェクト期間で、9頭以上のマナティーの野生復帰と20頭以上の半野生復帰を目指し、実際には27頭の野生復帰と31頭の半野生復帰を果たし、また地域の住民100人以上に学びの機会を提供することができました。

ご参考:アマゾンの生態系保全プログラム支援

完成したフィールドステーション
危急種のアマゾンマナティー

絶滅危惧種アオウミガメ保全プロジェクト

伊藤忠商事は、生物多様性の保全を目的として、環境省レッドデータブックにて絶滅危惧種に指定されているアオウミガメの保全活動を認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー(ELNA)を通じて支援しています。ELNAは、アジア地域の海洋生物及びそれらを取り巻く海洋環境を保全していくことを目的に1999年に設立され、神奈川県より認定NPO法人の認定を受けている団体です。ELNAの24時間体制での保全活動により、小笠原諸島のアオウミガメの数は、増減を繰り返しながらではあるが増加傾向にあります。
また、父島に滞在して保全活動をするボランティアが滞在するための宿泊場所が老朽化していたため、住環境や利便性が向上した新しい宿泊施設の建設を支援し、2020年5月にユニットハウスが完成しました。

ご参考:ELNA 絶滅危惧種アオウミガメ保全活動報告別ウインドウで開きます

絶滅危惧種アオウミガメ(小笠原諸島にて撮影)
従業員が保全活動に参加
ボランティア滞在用のユニットハウスを寄贈

ボルネオ島の熱帯林再生及び生態系保全活動

ボルネオ島はマレーシア、インドネシア、ブルネイの三カ国にまたがる熱帯林地域で、面積は日本の約2倍、世界でも3番目に大きな島です。生物多様性の宝庫といわれるボルネオ島も開発が進み、自然再生力だけでは生態系保全ができない程、傷ついた熱帯林も出てきました。伊藤忠グループが2009年から支援を続けている森林再生地のボルネオ島北東部のマレーシア国サバ州北ウルセガマでは、世界的な自然保護団体であるWWFが現地サバ州森林局と連携し、約2,400ヘクタールの森林再生活動を行っています。伊藤忠グループはそのうちの967ヘクタールの再生を支援し、2014年に植林作業が完了し、維持・管理作業を含む全ての現地作業は2016年1月に完了しました。これは一般企業の植林活動支援としては最大規模の面積となります。当地は、絶滅危惧種であるオランウータンの生息地でもあり、森林再生はこのオランウータンを保護するのみならず、ここに生息する多くの生物を守ることにも繋がります。

ご参考:ボルネオ島での熱帯林再生及び生態系の保全プログラム

ツアー参加者による植林
絶滅危惧種のオランウータン

ハンティング・ワールドのボルネオ支援活動

絶滅危惧種のボルネオ象を保護する様子
ボルネオ エレファント サンクチュアリの施設

伊藤忠商事が展開するラグジュアリーブランド「ハンティング・ワールド」は、1965年のブランド創設以来、「牙のない仔象」をモチーフとしたロゴマークを使用しています。これは自由と蘇生のシンボルであると同時に、絶滅危惧種の保護という未来を見据えた課題をも意味しており、創設者の自然への愛と敬意が込められています。そして、創設者が掲げた「自然との共生」実現のために、2008年よりNPO法人「ボルネオ保全トラスト」(BCT)が進める生物多様性保全活動を支援しています。同社では、チャリティーグッズを企画・販売し、その売上の1%をBCTに提供することで、「緑の回廊プロジェクト」※1のための土地購入資金やプランテーションに迷い込んだボルネオ象の保護のための費用に役立てています。2011年秋には、支援金によって「緑の回廊プロジェクト」区域内に土地を単独で取得し、「ハンティング・ワールド共生の森1号地」が誕生。更に支援活動を継続し、現在では「ハンティング・ワールド共生の森 4号地」まで取得しました。2019年からはBCTをサポートしているBCTジャパンが推進する「恩返しプロジェクト」※2のサポートをスタート。怪我等をしたボルネオ象を保護・一時飼育するための施設「ボルネオ エレファント サンクチュアリ」の設立や、保護されたボルネオ象の命をつなぐための食糧費等にも役立てられています。

  1. 緑の回廊プロジェクト:森林保護区や保護林の間の土地を買い戻す等して、分断された森林をつなぎ、野生動物の移動経路を作ることで、生物多様性を保全する活動
  2. 恩返しプロジェクト:生きる場所を失ったボルネオ象を保護・一時飼育する活動

指標と目標

伊藤忠商事は、サプライチェーンを含む事業の取扱商品における製品認証とトレーサビリティによる生物多様性保全と、事業に密接に関連している地域での生物多様性保全に資する社会貢献活動を実施しています。当社は森林資源(木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品、天然ゴム、パーム油)・乳製品・食肉・水産物・繊維原料を生物多様性に関わる重要な取扱商品と捉えており、それらに関する情報開示と目標設定に努めています。

事業活動における目標

区分・方向性 目標 2023年度の実績 SDGs
生物多様性の保全
伊藤忠商事の取扱商品と実施するプロジェクトのサプライチェーンでの生物多様性保全へのインパクトを減らす
2025年までに、自然関連リスクが高いと考えられる投資案件(水力・鉱山・船舶等)全てにおいて、自然資本・生物多様性に重点を置いたESGリスク評価を再度実施し、必要な場合は改善計画を実施する。
  • ESGチェックリストを改訂し、新規事業投資における自然関連リスクの状況を把握するスキームを構築。
  • TNFD フォーラムへ参画し、自然関連リスク・機会の分析を行うためのツールの使用を開始。
生物の多様性の構成要素の持続可能な利用
森林・水産・農産物等の資源を、将来にわたって安定して生産・供給していくために、資源の持続的な利用を強化する取組みを実施していく
  • 木材、木材製品、製紙用原料及び紙製品:認証材、または高度な管理が確認できる材の取扱比率を2025年までに100%とする。
  • パーム油:2030年までに当社が調達する全パーム油を持続可能なパーム油※1に切り替える。特にNDPE原則※2に基づく調達の実現を目指す。
  • コーヒー豆:2030年までに当社が調達するコーヒー豆の50%をサステナブル認証を取得したコーヒー豆とする。
  • 当社取扱水産原料:MSC※3/CoC※4原料取扱量を、5年以内に15,000t/年を目指す。
  • 認証材、または高度な管理が確認できる材の取扱比率は、パルプ・木材で100%、チップで100%。
  • パーム油は2023年度のミルレベルまでのトレーサビリティは100%。
  • コーヒー豆の調達に占めるサステナブル・コーヒー豆の比率は29%。
  • 水産原料に占めるMSC/COC数量は2023年度10,000t。
  1. 持続可能なパーム油:RSPO及びこれに準ずる基準に応じたサプライチェーンから供給されるパーム油
  2. NDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation):森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ
  3. MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会):1997年設立の持続可能な漁業の普及に取組む国際NPO。本部はイギリスのロンドン。
  4. CoC (Chain of Custody Certificate): MSCにおける「加工・流通過程の管理」において、MSC認証を受けた水産物・製品のトレーサビリティを確保するための加工・流通業者に対する認証

ご参考:商品ごとの取組み方針と内容

事業関連地域における目標

目標 2023年度
行動計画
2023年度の実績 2024年度
行動計画
SDGs
(持続可能な開発目標)
環境保全を目的とした社会貢献事業の実施及びフォロー
  1. 「滋賀県及び滋賀県立琵琶湖博物館と協働で絶滅危惧種アユモドキ保全プロジェクト」の推進。
  2. 「奄美大島・宇検村マングローブ植林プロジェクト」の推進。
  3. 「絶滅危惧種アオウミガメ保全プロジェクト」の推進。
  1. 滋賀県及び滋賀県立琵琶湖博物館と協働で絶滅危惧種アユモドキ保全プロジェクトを実施。繁殖可能な成熟個体を多く得ることができたので、来年度は同一水系の隣接地域産のメスを導入して繁殖を試みる。
  2. 宇検村・上智大学・日本航空と、宇検村における環境保全・地域振興に関する産学官連携協定を締結。その一環でエコスタディツアーを開催し、宇検村の枝手久島にて植林を実施。
  3. アジア地域の海洋保全に取組む認定NPOエバーラスティング・ネイチャーの小笠原海洋センターで行うアオウミガメ産卵巣数モニタリング調査とふ化後調査を2016年度から支援継続。小笠原のアオウミガメは近年著しい増減はなく安定していることを確認。
  1. 「滋賀県及び滋賀県立琵琶湖博物館と協働で絶滅危惧種アユモドキ保全プロジェクト」の推進。
  2. 「奄美大島・宇検村マングローブ植林プロジェクト」の推進。
  3. 「絶滅危惧種アオウミガメ保全プロジェクト」の推進。

実績

事業活動における実績

事業関連地域における実績

絶滅危惧種アユモドキ保全プロジェクト

琵琶湖博物館でのアユモドキの人工授精による繁殖を行うための調査のデータ
対象 活動内容 指標単位 2022年 2023年 5年後の目標
アユモドキ 個体の成熟に向けた飼育 全長(mm)(平均) 目標値 80 80 2024年度までの目標:繁殖可能な成熟個体の出現(10個体)と成熟に向けた飼育手法の確立※2
実績 - 89
肥満度※1(平均) 目標値 - 1.8
実績 1.83 1.79
成熟個体数 目標値 - 10
実績 0 58
人工授精による繁殖 累積繁殖稚魚数 目標値 100 200 繁殖稚魚数常時150-200個体を維持
実績 0 0
6か月後の平均体長(mm) 目標値 30 30
実績 0 0
  1. 体重を体長の3乗で割って100をかけた値。成熟度の指標。
  2. 当面は、繁殖可能な成熟個体の出現(10個体)と成熟に向けた飼育手法の確立を目標とし、それが達成できた時点で目標の再検討を行う。

絶滅危惧種アオウミガメ保全プロジェクト

小笠原諸島でのアオウミガメの産卵モニタリング調査及びふ化後調査のデータ
単位 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2023年
前年度比
2023年
2000年比
調査規模 調査海岸数 海岸 父島列島 30 30 30 30 22 - -
母島列島 10 10 10 10 7 - -
聟島列島 10 10 10 - 8 - -
延べ調査回数 168 172 202 182 167 92% -
延べ調査人員 732 692 934 957 798 83% -
調査結果 アオウミガメ産卵巣数 父島列島 1,500 1,700 1,200 1,700 1,400 82% 311%
母島列島 600 400 330 300 280 93% -
聟島列島 40 28 33 - 30 - -
ふ化後調査巣数
(父島のみで実施)
1,000 1,200 930 1,120 761 68% -
海に帰った子ガメ(推測) 43,700 55,000 44,000 56,000 48,000 86% -
脱出率(脱出子ガメ数/卵数) % 32 36 29 34 35 103% -
レビュー 小笠原のアオウミガメの増減数(推測) - 2017年以降は著しい増減はなく安定。
将来の生息数予測 - 父島列島における推定稚ガメ生産数は約51,200頭/年、(成熟まで生存する)年間推定生存頭数は128頭/年。

※ 脱出率(2017-2023年の父島列島での平均)32%、ふ化稚ガメの生存率0.25%から推定。

アマゾンの生物多様性保全プログラム支援

アマゾンマナティー野生復帰事業 成果指標
テーマ 活動内容 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
半野生復帰 マナティーを半野生環境の湖(マナカプル)や川に設置した生簀(クイエラス)に放流。
  • マナカプルに湖を設置する打ち合わせを開始。
  • 12頭のマナティーの健康診断を実施。
  • 9頭のマナティーを半野生湖へ放流。
  • 24頭のマナティーの健康診断を実施。
  • 12頭のマナティーを半野生湖へ放流。
  • 14頭のマナティーを半野生湖へ放流。
実績なし 実績なし 実績なし
野生復帰 マナティーをアマゾン川に放流。
  • アマゾン川へ放流後再捕獲されたマナティー1頭の健康診断を実施した結果、体長、体重共に増加しており、川へ放流した後も順調に自然環境に適応していることを確認。
  • 5頭のマナティーをアマゾン川へ放流。
  • 10頭のマナティーをアマゾン川へ放流。
  • アマゾン川へ放流したマナティー1頭を再捕獲し健康診断を実施した結果、体長、体重共に増加しており、川へ放流した後も順調に自然環境に適応していることを確認。
  • 12頭のマナティーをアマゾン川へ放流。
  • 18頭のマナティーをアマゾン川へ放流、VHF 発信機を装着し、⾏動モニタリングを⾏ない、全追跡固体が順調に野⽣適応していることを確認。また再捕獲個体の体重・体長増加も確認。
  • 新型コロナウィルスの影響により新たな放流は行えず、既に放流されていたマナティーのモニタリングも何ヶ月もの間中断を余儀なくされた。
  • 13頭のマナティーをアマゾン川へ放流、その内5頭にVHF 発信機を装着し、⾏動モニタリングを⾏ない、放流個体と野生個体の交流や、16年間飼育されていた放流個体の妊娠を確認。野生適応の成功を示した。
地域住民への環境教育・啓発活動の実施 マナティー野生復帰事業を通じ、地域住民への生物多様性保全について啓発活動を行う。
  • マナティー放流時に、地域の住民200名以上に参加してもらい、マナティー保護を通じ、生物多様性保全の重要さの啓発を行った。
  • 地元の漁師にマナティー保全の重要性を理解してもらい、漁師2名が本事業へ参画した。
  • 環境教育には301名、マナティー放流時のお披露目会には370名の地域住民が参加し、マナティー保護を通じ、生物多様性保全の重要さの啓発を行った。
  • 昨年に引続き地元の漁師2名が本事業へ参画した。
  • 環境教育には350名、マナティー放流時には500名の地域住民が参加。マナティー保護を通じ、生物多様性保全の重要さの啓発を行った。
  • 昨年に引続き地元の漁師2名が本事業へ参画した。
  • マナティーの野生復帰事業の重要性を地域の人々へ伝える移動展用の展示物を作成。
  • 元マナティーの密猟者であった猟師の雇⽤促進。
  • 元マナティーの密猟者であった猟師の雇⽤促進。
  • 地域住民への生物多様性保全についての啓発活動を実施。
  • 万全の感染対策にて、地域住民に対する環境教育事業を実施。伊藤忠商事ロゴ入りTシャツ500枚を活動協力者・参加者に配布。

外部との協働

イニシアティブへの参画(財界・業界団体を通じた活動)

経団連生物多様性イニシアチブのロゴマーク

当社は、一般社団法人 日本経済団体連合会に参加しており、ブラジルのリオデジャネイロで国連環境開発会議(地球サミット)が開催された1992年設立の経団連自然保護協議会を通じて、アジア太平洋地域を主とする開発途上地域や国内の自然保護プロジェクトを支援すると共に、NGO等との交流、セミナーやシンポジウムの開催、「経団連自然保護宣言」や「経団連生物多様性宣言」とその行動指針の公表(2018年10月改定)等、経済界が自然保護に取組む環境づくりに努めています。また、2020年6月11日に発表された「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」にも賛同を表明しています。更に、TNFDの議論を加速させるために2021年9月に設立されたTNFDフォーラムにも参画しています。

外部機関との協働

森林コモディティ(食料、木材、天然ゴム、パーム油等)等、自然資本への依存度が高い事業については、持続可能性な事業活動の実現に向けて、業態全体での取組みが特に重要です。

伊藤忠商事は、2006年に持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)に参加し、2030年までにRSPO認証ないしはそれに準ずるパーム油100%取扱いを目標に掲げ、他メンバー企業との連携・協業等を通じて、持続可能なパーム油の調達・供給に取組んでいます。また、Zoological Society of London(ZSL)によるプロジェクトで、大手パーム油関連企業について50以上の指標を公開データに基づき評価を行っているSPOTT(Sustainable Palm Oil Transparency Toolkit,「持続可能なパーム油の透明性ツールキット」)にも参加し、双方向のコミュニケーションを通じてパーム油産業に関連するステークホルダーに情報開示を行っています。

この他にも、天然ゴムについては、持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム(GPSNR)に設立メンバーとして参画し、同プラットフォームが規定する12原則に合意の上で、当該 Policy Component に準拠しています。

また、鰹鮪類事業においては、2012年に鮪資源の持続的利用を目的として設立された「責任あるまぐろ漁業推進機構」(OPRT)に加盟し、自主管理規定に則った取組みを推進しています。

当社は、上記のような外部機関との協働を通じ、「指標と目標」で掲げている目標達成を目指しています。