ダイバーシティ

方針・基本的な考え方

伊藤忠商事は、多様化する消費者ニーズをマーケットインの発想で捉え、新たな価値提供のためには「多様性を受容し、活かすこと」(DE&I:Diversity, Equity & Inclusion)が不可欠と考えており、人種、性、宗教、国籍、年齢等、あらゆる差別を禁止し、人権を尊重します。職場において従業員がパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、SOGI(Sexual Orientation and/or Gender Identity)ハラスメントを受けることなく、また、多様な価値観を受容し、柔軟な働き方の実現や個別支援等を実施しています。従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成を支援し、多様な価値観が尊重され、全ての従業員が能力を最大限に発揮できる「厳しくとも働きがいのある」企業風土づくりを推進しています。

目標・アクションプラン

カンパニー SDGs
目標
インパクト分類 取組む
べき課題
事業
分野
コミットメント 具体的対応アプローチ 成果指標(単体) 進捗度合(レビュー)
総本社
労働慣行 多様な人材が活躍する環境の整備 人事 人種、性、宗教、国籍、年齢等、あらゆる差別を禁止し人権を尊重します。多様な価値観を受容し、柔軟な働き方等を通じて従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境を整備していきます。
  • 公平な採用、登用の継続。
  • 多様な価値観を受容し、活かす職場環境作り。
  • 共働き世帯の増加を見据え、育児・介護、不妊治療等と仕事の両立支援の拡充(柔軟な働き方の活用を含む)。
  • 従業員のライフステージ・キャリアに応じた個別支援の拡充。
  • 60歳超のシニア人材の活躍支援。
  • LGBTQ等性的マイノリティ従業員への理解・受容促進(従業員教育等)。
  • 障がい者の労働環境に対する合理的配慮。
  • 2030年までに以下を達成。
    • (1) 役員(執行役員を含む)に占める女性比率 30%。
  • 2025年度末までに以下を達成。
    • (2) 全社における女性従業員比率 30%。
    • (3) 新卒採用における女性比率 40%以上。
    • (4) 指導的立場に占める女性比率 10%。
    • (5) 男性育児休業取得率 100%。
  • 2024年度末までに以下を達成。
    • (6) 障がい者雇用率 2.5%(特例子会社含む)。
    • (1)~(5) は女性活躍推進法等における一般事業主行動計画にて定めたもの
  • 2023年度末までに以下を達成。
    • (1) 全社における女性従業員比率 25%(2024年3月末時点)。
    • (2) 新卒採用における女性比率 39%(2023年度入社)。
    • (3) 指導的立場に占める女性比率 9%(2024年3月末時点)。
    • (4) 男性育児休業取得率 53%(2024年3月末時点)。
    • (5) 障がい者雇用率 2.43%(特例子会社含む)(2024年3月1日時点)。
    • (1)~(4) は女性活躍推進法等における一般事業主行動計画にて定めたもの
  • 女性活躍推進委員会での議論の結果以下の施策を導入。
    • 暦日5日以上の男性育児休業取得「必須化」。
    • フェムテックの活用を加速(卵子凍結の費用補助等)。

女性活躍推進の取組み

伊藤忠商事では、「人材多様化推進計画」により女性従業員を含む多様な人材の数の拡大、定着、活躍支援に向けた制度の拡充を進めてきました。2010年度以降は、全従業員が健康でモチベーション高く働くことで労働生産性を高めるという「働き方改革」のもとに、朝型勤務や健康経営、がんと仕事の両立支援策等の取組みを行ってきました。その結果、時間的制約のある従業員のみならず、全ての従業員にとって能力を発揮することができる職場環境の醸成に繋がっています。

人材多様化の取組みの変遷を記載。第一期として数を拡大し、第二期は数値目標を立てて施策実行。2010年からは生産性向上に向けた働き方改革を実施し、2021年度からは女性の登用を加速。

現在は女性の採用数が拡大した世代が役職候補となり得る重要なステージに入ってきており、共働き世帯の増加も見据え、法定を上回る水準の両立支援制度を設置し、個々人のライフステージやキャリアに応じた木目細かい個別支援を行っています。また、多様な人材が活躍できる社内風土の醸成、及び政府機関・経済団体の女性活躍推進策への賛同表明等を通じ、当社のみならず日本としてのSDGs目標5(ジェンダー平等)への貢献を図っていきます。
「女性活躍推進」を加速させるため、2021年10月には「女性活躍推進委員会」を取締役会の任意諮問委員会として設置しました。委員長を社外取締役とし、委員総数の半数以上を社外役員が占め、取締役会が重要施策を監督する体制を構築しました。経営と一丸となって女性従業員の活躍を後押ししていきます。今後も現場や個々の事情を把握した上で、「①現場との協議、②女性活躍推進委員会での議論、③取締役会への報告」という一連のサイクルを継続し、実効性のある施策に落とし込んでいます。

今後の具体的な目標及び取組み内容を定めた行動計画は以下の通りです。

女性活躍推進法/次世代法に基づく行動計画(PDF:149KB)PDFファイル

女性活躍推進委員会(2024年3月末時点)

監督機能を司るのは取締役会で、会長・社長・HMCに指示を行う。その取締役会の任意諮問機関として、女性活躍推進委員会が設置されており、半数が社外、半数が女性で構成されている。執行機関としては、HMCから人事・総務部へ方針・企画検討指示があり、現場であるカンパニーや海外に伝達、現場からは情報を吸い上げ、女性活躍推進委員会に報告する仕組みとなっている。

女性活躍にむけて(当社代表取締役会長CEO 岡藤メッセージ)

今般、伊藤忠商事では、女性従業員のみを対象とした執行役員選考ルールを新設し、2024年4月から新たに5人の女性執行役員を内部から登用することを決定しました。内部登用を選択した最大の理由は、女性の登用だけが目的とならないよう、会社全体で女性管理職、役員を「育成」する文化の醸成、更なる意識改革が必要であったからです。多様性に富み、強くレジリエントな取締役会や企業風土は一朝一夕にできるものではなく、何年もかけ、つくりあげていくものです。
また、伊藤忠商事では「働き方改革」の次の打ち手を「フェムテック」としています。女性が働き続ける時に遭遇する様々な障壁を一つでも取り除くことで、一層女性が活躍できる会社を目指したいと思います。
そのような会社では、性別にかかわらず誰もが力を発揮してくれるはずです。

代表取締役会長CEO

おかふじ会長CEOの署名

職場の理解促進・風土醸成

2018年度より、多様性受容の理解促進施策の一つとして「ダイバーシティウィーク(2023年度からはDiversity Day)」を開催し、全従業員を対象とした周知の頻度を増やしています。また、組織長研修等を通じ、多様性の重要性や支援制度の理解促進を行っています。

また、性的指向・性自認に関わる差別的な発言・無意識の性別役割分担を前提とした発言を許さない職場環境の整備を行い、従業員からの相談窓口も設置しています。

2023年度には、女性活躍推進委員会(取締役会の任意諮問委員会)主催で、当社の重要パートナーで世界最大の総合資源会社であるBHP Group Limitedのエグゼクティブ、BHPジャパン株式会社代表取締役をお招きし、「企業における男女比率の平等・ダイバーシティの重要性」に関する対談イベントを開催しました。
約120名の従業員が参加し、DE&Iがどのように事業創造に繋がるのか、女性従業員比率が高まることで組織にどのような好影響があるのか、理解を深めました。

BHPと共同開催し、ダイバーシティに関する対談を行うイベントを開催

多様な価値観の従業員が特性を活かして活躍できる環境を、従業員の成長、組織力強化、収益力拡大に結びつけることで、企業理念である「三方よし」の実現を目指しています。

詳細は、ダイバーシティ対応をご覧ください。

LGBTQ等性的マイノリティ対応

2018年に社内会議室フロアに多目的トイレを設置し、従業員のみならず当社ビルを利用される全ての方にご利用いただいています。2020年度には従来の従業員相談窓口に加え、LGBTQ等性的マイノリティに関する専用の相談窓口を設置しました。当事者からの相談に限らず、同僚や取引先との関わり方等に関しても匿名で専門家に相談できる体制を整えています。

両立のための多様な支援プログラム

従業員とその家族の多様な価値観を尊重し、全ての従業員が安心して能力を発揮できる環境づくりを行っています。

プログラム 主な内容 概要
健康・育児コンシェルジュ 健康、育児 国内外の従業員及びその家族が、心身の健康や育児等の悩みを、当社制度を理解した担当相談員(看護師及び保健師の資格も有する助産師)にオンラインで匿名相談可能。
妊活支援プログラム 妊活、不妊治療、健康等 妊活、不妊治療、更年期、健康、ダイバーシティ等、幅広いトピックに関する情報を従業員へ提供。また、全国100院以上と提携し、妊活前検診・更年期診断等、男女ともに利用可能なクーポンも提供。
卵子凍結バンク 卵子凍結 キャリアとライフプランの選択肢を増やすべく、卵子凍結の費用補助を2024年より開始。伊藤忠特別価格で利用可能な提携先・相談窓口を設置。
保活コンシェルジュ 保活(子どもを保育園に入れるための活動) 保活に関する基礎的な知識や認可保育園の選考方法を説明。認可保育園の選考指数を試算、近隣の保育園のリストアップ等、ワンストップで情報を提供。
介護コンシェルジュ 介護 当社専門相談員による一時対応から課題解決までの一気通貫・相談窓口。当社制度の紹介、ケアマネージャーの紹介・手配、介護施設紹介・見学手配、介護保険申請調整・手配等、具体的に課題解決。
LGBTQに関する相談窓口 LGBTQ 性指向・性自認に関する悩みを匿名で外部の専門家に相談可能。当事者に限らず利用可能。
国境なき医療コンシェルジュ 生活習慣病 国内外問わず各従業員にそれぞれの生活習慣病の専門医との緊密な連携のもとで保健師・看護師が個別指導。

労働生産性向上及び周囲の理解促進を図るべく、多様化する女性の健康課題に対応することが重要だと考えています。2022年度より「バーチャルオフィス」の案件として、フェムテックの取組みを推進しており、2023年8月には、出資先fermata社と共同で社内展示会「ITOCHU Femtech Fes!?」を開催しました。約700名の従業員が来場し、最新のフェムテック製品(約40点)の紹介、有識者の講演会を通じ、フェムテックを身近なものとして従業員に周知しました。

障がいのある人々と共に働く

障がいのある人々にやる気とやりがいのある職場を提供することを目的として、特例子会社「伊藤忠ユニダス株式会社」を横浜市に設立しました(神奈川県で初の特例子会社として厚生労働省から認定)。伊藤忠商事の障がい者雇用率は、2024年3月現在2.43%となっており(法定雇用率は2.30%)、翌年度以降の法定雇用率アップも見据えて障がいのある人々の雇用と職域拡大を推進しています。

「伊藤忠ユニダス株式会社」での取組み

伊藤忠ユニダス株式会社は、障がい者と健常者が共に支え合いながら一体となってクリーニング、印刷、書類電子化、写真サービス、メール集配、ランドリー・清掃等の事業を展開しています。2015年11月には、事業の拡大に加え、障がいのある従業員にとってより働きやすい職場環境を実現するため、ユニバーサルデザインで、豊富な機器を有する横浜市都筑区の新社屋へ移転しました。現在、横浜市都筑区の本社に加え、青山事業所、日吉事業所、及びクリーニングサービスの店舗「よつ葉クリーニング」(横浜市旭区)の4拠点で事業を展開しています。今後も引続き、障がいのある人々の社会参画を積極的に促し、仕事を通して社会に価値を提供することで、働く喜びを実感できる職場環境を目指しています。

伊藤忠ユニダス株式会社本社社屋(横浜市都筑区)
クリーニング部門の業務風景
プリントサービス部の業務風景

http://www.uneedus.co.jp/別ウインドウで開きます

シニアの活躍支援

当社OBによる海外ナショナルスタッフへのオンライン日本語レッスンの様子

伊藤忠商事は日本の少子高齢化の進展や、多様な人材の活躍支援という観点を踏まえ、60歳定年後「雇用延長制度」にて希望者全員を雇用し、中高年従業員が持つ、豊富な知識や経験を定年後も活かし、引続き活躍できる環境を整備しています。また、58歳時には進路選択説明会等の研修を開催し、従業員の雇用延長後の働き方やマネープランについてサポートしています。更には総合職40歳・48歳、事務職35歳・45歳を対象としてキャリアデザイン研修を開催し、自身のキャリア・スキルの棚卸しを行い、経験・強み等の見える化を行った上で、今後必要とされるキャリア・スキルについて学び直し(リスキル)を検討する機会を提供しています。65歳以降活躍している事例もあり、中高年従業員がやる気とやりがいを持って働き続ける環境の実現を更に推進していきます。また、「OB・OG支援プラットフォーム」を構築し、プロボノ・社会貢献活動やボランティア活動の紹介、当社運営のKIDS PARKの運営スタッフ、当社への海外ナショナルスタッフへの日本語講師等、当社退職後のOB・OGに対しても活躍支援を実施しています。

パフォーマンスデータ

男女別採用人数とキャリア採用比率

従業員の状況(各年3月31日現在)

女性総合職・管理職・役員比率(各年3月31日現在)

男女間賃金格差(2024年3月31日現在)

育児・介護関連制度取得状況

障がい者雇用率(各年3月1日現在)

社外からの評価

伊藤忠商事の「従業員が活躍できる環境づくり」の取組みは、様々なところで評価されています。

2020年度には「女性が輝く先進企業表彰」において「内閣府特命担当大臣(男女共同参画)賞」を受賞しました。2021年度、2023年度には経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する、「なでしこ銘柄」に選定されました。

詳細は、社会からの評価(ダイバーシティ関連)をご覧ください。