ボルネオ便り 第2回

ITOCHU Group: Forest for Orang-utan の活動の地、ボルネオ島・マレーシア国サバ州にて社員並びにグループ会社社員の計11名が参加して植林体験ツアーを行いました。
現地の自然あふれる魅力と参加者がこのツアーを通して感じたことをご紹介します。

北ウルセガマ

北ウルセガマ

本プロジェクトの植林地です。967ha(約東京ドーム207個分)を支援し、森の再生を目指します。2010年11月初めまでに約160haの植樹が完了しています。

参加者より
船からも、車からも、飛行機の上からも見える、果てしなく続くパーム椰子プランテーション。数多くの野生動物が調和を以って住んでいたジャングルを切り開いて、ここまで新たな世界を作り出す人間の破壊力というものが恐ろしかった。
これが"どこか遠い星"の光景ではなく、同じ空一枚で繋がった、時差1時間の国で広がり続けている光景だということを忘れてはならないと思った。

スカウ

スカウ

キナバタンガン川を巡るクルーズで人気な場所で、ワニやテングザル等数多くの野生動物に出会えます。

参加者より
クルーズは夜と朝では表情が違い、ジャングルの中にいることを感じさせてくれました。夜は、滅多に出会えないスローロリスや色とりどりのカワセミ達が木の上でお出迎え。船を進めると水面にはライトに反射したワニの赤い目が…。朝はテングザルのお食事中に遭遇することができました。ここは、人間と動物が隣り合わせで生活をしていることを教えてくれる場所でした。

サンダカン

サンダカン

コタキナバルに次ぐ第2の都市です。1947年にコタキナバルへ首都が移されるまで、英国領北ボルネオの中心として貿易の拠点として栄えました。

参加者より
サバ州第2の都市と聞いていたが、規模はとても小さく、古い家々が密集した街に驚いた。しかし、その古ぼけた植民地時代の面影の残る街のいたるところで、新しいビルの建設が行われており、観光地にふさわしい綺麗な街並みを望むのと同時に、穏やかな住人たちのようにそのままでいて欲しいと願い、何ともいえない気持ちがした。

セピロック

セピロック

絶滅の危機に瀕したオランウータンを野生に戻すための施設「オランウータン リハビリテーションセンター」があります。

参加者より
係りの人よりもらう餌を横取りしようとするサルを追い払うオランウータンの姿はまるで人間のよう。DNAが人類と96%類似しているということを実感しました。そのような光景を目の当たりにできる一方、この場所は森林開発等によって親をなくしたオランウータンが保護されている施設であるため、保護されるオランウータンが増えないためにも植林の大切さを改めて感じました。

コタキナバル

コタキナバル

ボルネオ島へのツアーの玄関口でもあり、商業都市としても発展する人口30万人ほどの街です。社員たちのツアーもこの街から始まります。WWFマレーシアの事務所もあります。

参加者より
植林活動の前日、WWFの事務所にて、断片化された森林を繋げ700kmにもおよぶ生態系の街道を作ろうとしているという話を聞きました。私たちが今回の活動で植林した距離はそのうちのほんのわずかではありますが、街道の中心となる大事な場所だとのこと、大役を任された気持ちになりました。

植林体験ツアー

ツアー日程 (4泊5日)

ツアーの様子を動画配信中

2010年11月現在の植林状況

2010年11月初旬時点で163ヘクタール(青色部分)の植樹が終了し、現在は緑色部分(約80ヘクタール)を作業中で、2010年末までに300ヘクタールの植樹完了を目指しています。 2010年の2~5月は、現地の旱魃のため作業は中断しましたが、現在は順調に進行しています。 今回のツアーでは、地図上の左上の110-5地区に木々を植えました。

植林レポート

朝一番の飛行機にてコタキナバルからラハダトゥに移動し、その後4台の四輪駆動車にていざ植林地へ!

前日は、WWFマレーシアの事務所にて森林保護についての手法と重要性、オランウータンの調査方法をお伺いして、全員期待とやる気が膨らんでいます。

豆知識1

伊藤忠の森がある地域周辺は、ボルネオオラウータンの生息密度が他の地域と比較しても高い 地域です。伊藤忠の森周辺だけでも14匹のオラウータンの生態が5人の研究者によって研究 されています。WWFは現在確認されているオランウータンに名前をつけ調査を継続しています。 また、継続的にヘリコプターを利用して空からの調査も行います。

雨季とは思えない晴天の中、空港から街を抜けると一面のパームヤシ農園が広がっています。行けども行けどもさまざまな大きさのパームヤシの木しか見ることができません。

ところどころ、ヤシの木が水に浸かっているところがありましたが、後で聞いたところ私たちが訪れる少し前に、大雨のため水没した村もあったほどだったそうです。
突然、ヤシ畑が終わったと思ったら、そこが今回の目的地であるWWFの管理している保護区です。
保護区といえども思い描いているジャングルとは程遠く、青い空が広がっていてところどころに高い木がポツポツと生えています。

到着後、まず汗と泥まみれになる前に現地の作業員たちと集合写真をパチリ。
女子が多いので華やかです。何気に作業員の方々も嬉しそう。その後、看板前に記念に植樹。

写真撮影が済んだら、途中あぶに刺されながらも今まで植樹した木々の生長を調査に行きます。 ジャングルの中には小川も流れ、貝や魚も生息しています。

植樹した木々の生長状況

パイオニア樹種

2010年11月

フタバガキ科

2009年11月植樹時
2010年11月

左の写真は2010年2月に植えた木ですが、9ヶ月でここまで大きく なりました。 この樹種は、生長が特に早いマレーシアの在来種の一種で、 現在約6メーターの高さがあります。

豆知識2

パイオニア樹種の木は早く生長するため、日陰を作ってくれます。 その日陰の中に現地の主要樹種であるフタバガキ科の木がゆっくりと育ち、最後には70~80mにも生長するのです。 また、パイオニア樹種の実や葉は、野生動物の餌にもなります。

ヤシジュースを振舞っていただいて昼食をとった後、いよいよ植樹へ。サンサンと日が照る中、ジャングルに突入です!

マンツーマンで作業員の方の指導の元、1本1本丁寧に植えつけて行きます。

8m間隔で木を植えて行きます。ジャングルの中では、次に植える場所まで歩いていくだけでヘトヘトになります。 この地域周辺には、未だ豊かな生態系が断片的に残っています。そのため、固有種で絶滅危惧種でもあるボルネオゾウ等も伊藤忠の森を生態回廊として利用しています。

結局、今回は11人で200本近くの木々を植えることができ、みんな充実した笑顔です。

作業中、保護区の森にオランウータンが出没したとの情報が入り、近い将来に自分たちが木々を植えた森にもオランウータンが住み着いてくれることを願いながら、植林地を後にしました。

豆知識3

オランウータンは葉っぱを利用して毎日木の上に新しい寝床をつくりますが、ときたまサボってすでにある寝床を使うこともあります。

WWFジャパン
業務室 水野 敏明

感動をありがとうございました!

今回のツアーでは、大きく感動した点が2つあります。ひとつは、昨年植えた木々が2m以上にも大きく生長していることを確認できたことです。生長した木々から森の回復がはじまったことを感じました。もうひとつは、全員が厳しい暑さの中での熱心に植樹している姿です。森の回復に挑む姿はとても美しく、また力強さを感じました。ツアーを通じ、一人ひとりの思いと行動が、未来の豊かな森に繋がるのだと新たに確信することができました。伊藤忠様のこの取組みは、世界で最も保全すべきボルネオの森林回復活動をリードしています。これからもよろしくお願いいたします。

今回のツアーで出会ったボルネオの動物たち

豆知識4

これらの写真のキタバタンガン流域で見られたテングザルやスローロリスも、生息数の減少が著しいためにレッドリストに掲載されている絶滅危惧種です。そのため、野生下で見ることができるのは大変幸運なことです。