水資源の保全

アクションプラン

マテリアリティ SDGs
目標
取組むべき課題 事業分野 コミットメント 具体的対応アプローチ 成果指標 進捗度合
機械カンパニー
人権の尊重・配慮
アイコン
アイコン
水・衛生インフラの整備 水/環境プロジェクト 水の適切な処理、有効利用を通じて、衛生環境の向上、経済活動の発展、及び地球環境保全に寄与します。 水・環境事業の拡大を通じ、水の適切な利用・処理及び資源の有効活用を促進、環境負荷を低減。 水・環境分野の投資ポートフォリオの拡大と多様化。

水分野

英国・スペインにて、水道サービス事業、豪州・オマーンにて海水淡水化事業を保有。引き続き海水淡水化や上下水事業の拡大に向け取組みを推進。

方針・基本的な考え方

地球上の水の約97.5%は海水であり、その中で人間が利用できる水は0.01%に過ぎません。一方で、新興国を中心とした経済発展や人口増加、気候変動による降水パターンの変化により、水不足に陥る地域は今後ますます拡大します。
そのような環境下、伊藤忠商事では、水ストレスの高い地域を含む世界各地で展開している様々な事業において、水資源は事業継続に不可欠な資源であることを強く認識しており、環境方針の(5)水資源の保全・有効活用において「水の効率的な使用やリサイクルを通じた水の使用量削減、水の適切な処理に努める。」と定めています。水を持続可能なかたちで利用していくため、企業文化の中で水の持続可能性に関する意識を高め、ビジネス上の意思決定の判断に水の持続可能性を含めます。また、既存事業においては、水利用の包括的な評価を行い、水資源の利用効率の改善、使用量の削減に取組みます。

また、伊藤忠商事は、水関連ビジネスを重点分野と位置付け、海水淡水化事業や水処理事業、2014年から取組んでいるコンセッション事業等、グローバルに展開し、世界各地の水問題の解決への貢献を目指しています。

目標

伊藤忠商事では、水の使用量削減に関し、目標数値を設定しています。

水資源関連では、水インフラや衛生環境の整備、水・廃棄物の適切な処理及び有効利用を通じて、衛生環境の向上、経済活動の発展、及び地球環境保全に寄与します。また水・環境事業の拡大を通じ、水の適切な利用・処理及び資源の有効活用を促進し、環境負荷の低減等に取組みます。

東京本社ビルでは、省資源の取組みとして、業務で用いる水資源の効率的な利用を、水のリサイクル(中水の製造)を通じて行っており、以下のように目標値を定め、管理しています。

定性的な目標

項目 バウンダリー 目標 2019年度の実績・評価
投融資案件リスク評価

伊藤忠商事

『投資等に係るESGチェックリスト』内の水関連項目チェックリストで事前リスク評価を実施する。

グループ会社訪問調査

伊藤忠グループ

水資源が特に重要な事業に関わるグループ会社を選定し、水資源環境管理状況等を訪問調査する。

水資源が特に重要な事業に関わるグループ会社選定を実施し、グループ会社を1件訪問。

法規制の順守

伊藤忠グループ

国内外の水資源(取水・排水)に関わる法規制への的確な対応

取水・排水に関わる法規制違反はありませんでした。

データ収集の充実

伊藤忠グループ

国内・海外事業会社・海外現地法人の水資源環境パフォーマンスデータの収集範囲・種類を拡大し、実態を把握する。

水ストレス地域における目標

項目 バウンダリー 2019年度の目標 2019年度の実績・評価
水ストレス
地域に対する
取組み
投融資案件リスク評価

伊藤忠商事

『投資等に係るESGチェックリスト』内の水関連項目チェックリストで事前リスク評価を実施する。
水ストレス地域での飲料・農業・鉱山等の水資源が特に重要な事業・投資案件では水資源に関する事前リスク評価を実施する。

グループ会社訪問調査

伊藤忠グループ

水ストレス地域で事業を行うグループ会社を選定し、水資源環境管理状況等を訪問調査する。

グループ会社選定を実施し、水ストレス地域に拠点を保有するグループ会社を1件訪問。

定量的な目標

区分 バウンダリー 単年目標 2019年度
実績
評価 目標
期限 内容
伊藤忠商事

取水量(上水)

東京本社

総量削減目標
1%/年

2010年度比
22.1%減

2021年3月

2010年度比
15%減

取水量(上水)

東京本社

総量削減目標
1%/年

2018年度比
9.3%減

2025年3月

2018年度比
6%減

水ストレス地域

取水量

水ストレス地域

削減目標
1.5%/年

NA

-

2025年3月

2019年度比
9%減

  • 水ストレス地域での定量目標は、WRI AqueductにおけるBaseline Water Stress項目が「Extremely high risk」に該当する地域に関する目標です。

体制・システム

伊藤忠商事及び国内子会社が取組む日本国内・海外の事業投資案件については、その案件が市場、社会、環境等に与える影響を「投資等に関わるESGチェックリスト」(評価項目には水使用量の把握状況も含まれている)により事前に評価しています。専門的な見地を必要とする案件については外部専門機関に事前の調査を依頼し、調査の結果、問題がないことを確認したうえで、着手することにしています。

伊藤忠商事は、取扱う全ての商品に対して、サプライチェーンの水関連リスクを含む当社独自の環境影響評価を実施しています。また、グループ会社における環境リスク対策を目的として、現地訪問調査を2001年より継続的に行っています。グループ会社のうち、地球環境に与える影響・負荷が相対的に高い会社を分析し、年間約10社へ実態調査を実施しています。グループ会社実態調査では、経営層との質疑応答から、工場や倉庫等の施設での河川等への取水・排水状況、環境法規制の遵守状況等を評価しています。
伊藤忠商事は、「安定的な調達・供給」を重要課題の一つと掲げており、各国の需要に合わせた水資源の有効利用に取組むことで、国際的な水資源問題への対応を進めています。

グループ傘下の製造拠点に関しては、WRI(世界資源研究所)のAqueductを用いて、水資源のリスク管理をしています。

伊藤忠グループでは、取水・排水に関わる事業地域における法規制を遵守して、事業活動を推進しています。2019年度においては取水・排水に関わる法規制違反はありませんでした。

水資源有効活用の取組み

事業活動

東京本社ビルでの水資源有効利用

東京本社ビルでは、水資源を有効利用するために1980年の竣工時より厨房排水、雨水、湧水、及び洗面並びに給湯室等からの雑排水を原水とする中水製造設備を設置し、トイレの洗浄水に利用しています。
雨量によって中水の確保量に毎年変化が生じるため、雨量が少ない場合には水道水の使用量は増える傾向にあります。このため、トイレ内の洗面台手洗い水シャワー節水器や、トイレ洗浄水の自動節水器を新たに設置して水道水の節約に努めています。

水ストレス地域での事業活動

製造拠点における水リスクの把握

伊藤忠商事では傘下の製造拠点における水ストレスレベルの高い地域を特定するために、WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて、国内外すべての製造拠点の水ストレスレベルを定量化し、水ストレスの高い地域を特定しました。

Baseline Water Stress項目において高リスクとして特定された拠点の取水量はこちらになります。

全般的な水のリスク 拠点数
低リスク(<10%)

28

低から中リスク(10-20%)

65

中から高リスク(20-40%)

37

高リスク(40-80%)

6

著しく高リスク(>80%)

2

拠点数合計

138

水関連事業

伊藤忠商事は、水関連ビジネスを重点分野と位置付け、世界各地の水問題の解決に貢献すべく、海水淡水化事業や水処理事業、2014年から取組んでいるコンセッション事業等、グローバルに展開しています。

水関連事業一覧
事業 取組み内容
上下水道コンセッション事業

2012年、英国Bristol Waterグループに出資。日本企業初の英国水道事業参入を果たし、水源管理から浄水処理、給配水、料金徴収・顧客サービスまでを包括した上水サービスを約120万人に提供中。

2014年、スペインカナリア諸島にて上下水道サービスを提供するCANARAGUA CONCESIONES S.A.に出資。日本企業初のスペイン水道事業参入を果たし、自治体とのコンセッション契約に基づき延べ130万人に対し上下水道サービスを提供中。

海水淡水化事業

豪州ヴィクトリア州における海水淡水化事業に出資参画。本設備はヴィクトリア州メルボルン市人口の水需要の約30%を満たすことが可能であり、2012年よりメルボルン市への水の安定供給を支える事業です。

オマーン政府傘下のオマーン電力・水公社が同国北部のバルカにて推進する日量281,000m3の海水淡水化事業に筆頭株主として出資参画。本件はオマーン最大の海水淡水化事業であり、逆浸透膜(RO膜)方式の海水淡水化設備と周辺設備の建設及び20年間に亘る運営を行います。2018年6月に商業運転開始。

海水淡水化プラント及び浸透膜の製造・販売

サウジアラビアにて、1970年代より多数の海水淡水化プラントの納入を開始。
2000年代に入り、ササクラと共に同国における現地資本との合弁会社アクアパワー・ササクラ社(現Sasakura Middle East Company)を設立、海水淡水化プラントのリハビリ事業も展開。
2010年8月には、同国の現地資本、東洋紡と海水淡水化用逆浸透膜エレメントを製造・販売する合弁会社Arabian Japanese Membrane Company, LLCを設立。

取組み例

命をつなぐ飲用水を安定供給
[写真]
海水淡水化プラント(建設中)
-オマーン最大の海水淡水化事業-

今後、年間約6%成長すると予測される中東オマーンの水需要。人口増加や都市化とともに、飲料水不足が課題となっています。2016年3月、当社が参画するBarka Desalination Company(バルカ・デサリネーション・カンパニー)は同国の水の安定供給に向けてオマーン北部バルカでの日量281,000m3の海水淡水化事業契約を締結しました。同プロジェクトは、オマーン政府が推進する官民連携型事業であり、逆浸透膜(RO膜)方式の海水淡水化設備と周辺設備の建設及び20年間にわたる運営を行います。設備は2018年6月に商業運転を開始し、総事業費約300百万ドルのオマーン最大の海水淡水化事業となります。世界的な人口の増加や経済成長、地球温暖化等に起因する水需要の増加を受けて、当社は水ビジネスを重点分野として位置付け、海水淡水化や上下水事業等の拡大に取組んでいます。今後も世界各地域において水資源の有効活用に寄与する事業を推進していきます。

ステークホルダーとの協働

イニシアチブへの参画(財界・業界団体を通じた活動)

当社は、日本経済団体連合会の環境・エネルギー関係の委員会である「環境安全委員会地球環境部会」に参加し、自主行動計画の推進、温暖化、廃棄物・リサイクル、水を含む環境リスク対策など、経済と両立する環境政策の実現に取組んでいます。また、日本貿易会の「地球環境委員会」に参加し、低炭素社会の構築、循環型社会の構築、環境関連法規への対応などに取組んでいます。

CDP(Water Security)への参加

当社は世界中の様々なステークホルダーに対し、ESGに関する取組みについて積極的な情報発信を行っています。その一環として、企業の水関連対策等の環境情報に関して世界で最大のデータベースを有するNGOであるCDPに参加。2013年度から、CDP Water Securityの質問書に回答しています。

パフォーマンスデータ

水の取水量及び排水量

2015年度~2019年度の東京本社ビルの水使用量、中水製造量及び排水量、国内事業会社、海外現地法人、海外事業会社の排水量は下記の通りです。東京本社ビルは、水の使用量2018年度比6%削減を目標に掲げ、中水を使用出来るトイレ洗浄水の節水装置を導入するなど、水の使用量の削減を推進しています。

(単位:千m3

  2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
東京本社水道水使用量❖

47

52

43

47

42

東京本社中水使用量❖

36

31

34

31

34

東京本社排水量❖

63

63

58

59

60

国内事業会社排水量

982

847

14,629

51,913

9,594

海外現地法人排水量

6

6

6

5

5

海外事業会社排水量

205

207

11,832

34,380

16,394

  • 排水量の把握をしていない場合は水道水取水量と同じと仮定し算出
  • 集計対象会社数増により、2018年度は2017年度比数値が大幅に増加しています。

取水源別取水量

(単位:千m3

  2017年度 2018年度 2019年度
伊藤忠グループ総合計 上水道、工業用水

12,952

9,560

10,649

地下水揚水(リサイクル)

0

0

54

地下水揚水(非リサイクル)

17,118

92,899

46,710

河川・湖沼・雨水

43,919

31,740

26,323

海水

0

4,339

10,269

その他(生成水等)

0

0

11

合計

73,989

138,538

94,017

排水先別排水量

(単位:千m3

  2018年度 2019年度
伊藤忠グループ総合計 外部処理施設(下水等)

57,669

3,664

地下水

9,243

5,731

河川・湖沼

12,992

10,464

6,453

6,130

合計

86,358

25,989

水ストレス地域における水の取水量

WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて特定した水ストレスレベルが高リスク、著しく高リスク(>40%)拠点の水取水量は以下の通りです。

  2018年度 2019年度
高リスク(40-80%) 拠点数

5

6

水取水量(千m3

188

2,201

著しく高リスク(>80%) 拠点数

2

2

水取水量(千m3

583

623

水資源への依存度の高い製造工程での水使用量(原単位)

事業内容 会社名(事業内容) 単位 2017年度 2018年度 2019年度
飲料製造

株式会社クリアウォーター津南
(清涼飲料水製造販売事業)

(水使用量m3/製造容量kL)

連結対象外

2.01

1.95

水に関連する環境保全コスト

環境会計にて開示している環境保全コストのうち、水に関連するコスト(2019年度)は以下の通りです。

  • 水質汚濁防止のためのコスト 排水処理費、中水製造費、監視測定費及び管理人件費 10,170千円
  • 水リスク回避のための研究開発費(東京大学大気海洋研究所気候システム研究系への寄付) 500千円

集計範囲

○:集計対象

 
東京本社

大阪本社

国内支社・支店及びその他の事業用施設※1 全5支社(北海道、東北、中部、中四国及び九州)
支店含む事業所数:2015年度8事業所、2016年度8事業所、2017年度6事業所、2018年度8事業所、2019年度7事業所

国内事業会社※2 対象社数: 2015年度70社、2016年度65社、2017年度208社、2018年度220社、2019年度238社

海外現地法人 対象事業所数: 2015年度16事業所、2016年度16事業所、2017年度15事業所、2018年度30事業所、2019年度29事業所

海外事業会社※2 対象社数: 2015年度44社、2016年度46社、2017年度299社、2018年度282社、2019年度286社

除外 ただし、投資運用目的で保有する会社であり、今後5年以内に売却する見込みのある会社は、集計対象に含みません。また、従業員が10人以下である、非製造拠点の事業所は、量的に僅少であるため、集計対象としていません。
  1. その他の事業用施設:伊藤忠商事が所有または賃借している事業用施設(居住用施設除く)
  2. 2015年度~2016年度は伊藤忠商事が直接出資する連結子会社(2017年3月31日時点)、2017年度以降は全ての連結子会社(100%)が対象

第三者保証

独立した第三者保証報告書(PDF:1.6MB)[PDF]:❖マークを付した以下のデータについては、KPMGあずさサステナビリティ(株)による国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000及び3410に準拠した第三者保証を実施。
❖:伊藤忠商事国内拠点(東京本社・大阪本社・国内支社・国内支店及びその他の事業用施設)の電力使用量合計値、事業用施設起因のCO2排出量合計値、東京本社の廃棄物等排出量、非リサイクル排出量、リサイクルされた排出量、リサイクル率、水使用量、中水製造量及び排水量の数値