汚染防止と資源循環
アクションプラン
リスク | 機会 |
---|---|
資源循環を含む環境問題の発生及び地域社会と関係悪化に伴う反対運動の発生による影響、主に生活消費分野での低価格化競争の発生による産業全体の構造的な疲弊等 |
新興国の人口増及び生活水準向上による資源需要の増加、環境に配慮した資源や素材の安定供給による顧客の信頼獲得や新規事業創出等 |
方針・基本的な考え方
汚染防止
伊藤忠商事は、環境方針の(3)環境汚染の防⽌において、事業活動の推進にあたり、「化学物質・油等による環境汚染の未然防⽌・影響の軽減、大気汚染物質の排出削減、有害廃棄物及び排水の排出削減・適正処理に努める。」と定めています。また、環境方針の(1)法規制等の遵守において定めている通り「環境保全に関する国際的な宣言、規約、条約、ならびに事業展開している国と地域の法規制及びその他当社の合意した事項を遵守する。」を推進することで、責任を果たしていきます。
資源循環
伊藤忠商事は、2018年4月に環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取り入れたサステナビリティ上の重要課題の一つに「安定的な調達・供給」を掲げています。環境方針の(4)資源循環の推進においては、「事業投資先や取扱い商品のサプライチェーン上の資源(化石燃料、鉱物、食料、動植物等)の持続可能な利用及び省資源対策、廃棄物の削減・リサイクルを推進し、循環型社会の形成に貢献する。」と定め、事業に応じた資源の有効利用を促進しています。
化学品部門法令順守の徹底
化学品部門で取扱う化学品は、人の健康や環境にもたらす悪影響を最小化するため、製造、販売、輸送、保管等の様々な場面において、数多くの関連法規の規制を受けています。さらに、商品の取扱いに許認可を要するものも多数あり、法令違反を起こすと許認可が取り消され、化学品部門のビジネスに重大な影響を与えることにもなりかねません。
また、化学品のサプライチェーン全体でのリスク最小化を指向する国際的な流れの中で、先進国、途上国問わず、新たな規制の導入、既存規制の大型改正が始まっており、化学品を扱う上での法規制環境は今後ますます厳しくなるものと予想されます。
伊藤忠商事では、以上の認識の下、化学品を扱う企業として商品や業界の知識だけでなく、担当者一人ひとりが、自らの取扱っている商品についての法規制を正確に理解した上で、法令の要求事項に沿ってビジネスを行うことを基本方針としています。
目標
伊藤忠商事は、汚染防止と資源循環における主にマネジメントに関わる定性目標と、パフォーマンスに関する定性目標を定め、取組みを推進しています。それぞれの環境目標と2020年度の取組み実績は以下の通りです。
定性的な目標
項目 | バウンダリー | 目標 | 2020年度の実績と評価 | |
---|---|---|---|---|
環境汚染の 未然防止、 法規制の遵守 |
投融資案件リスク評価 | 伊藤忠商事 |
全ての投資案件で『投資等に係るESGチェックリスト』による事前環境リスク評価を実施する。 |
適切に実施 |
監査を通じた管理レベル向上 | 伊藤忠グループ |
社内監査を通じた環境マネジメントシステム、遵法、環境パフォーマンス状況の確認による管理レベル向上のための取組みを推進する。 |
適切に実施 |
|
グループ会社訪問調査 | 伊藤忠グループ |
グループ会社を選定し、環境管理状況等を訪問調査する。 |
適切に実施 |
|
啓発活動の 推進 |
法規制内容啓発 | 伊藤忠グループ |
伊藤忠商事及びグループ会社社員に向けた『廃棄物処理法』、『土壌汚染対策法』等の講習会の実施及び学習、講習実績のレビューを実施する。 |
適切に実施 |
資源の節減、 資源循環推進と実績把握 |
オフィス廃棄物軽減 | 伊藤忠商事 |
ISO14000に基づき、オフィス活動においても廃棄物の排出量削減とリサイクル促進する。 |
適切に実施 |
紙使用量削減目標 | 伊藤忠商事 |
紙の使用量削減に関し、目標数値を意識する。 |
適切に実施 |
|
データ収集の充実 | 伊藤忠商事 |
国内事業会社・海外現地法人の環境パフォーマンスデータの収集範囲を順次拡大し、実態を把握する。 |
適切に実施 |
定量的な目標
項目 | バウンダリー | 目標時期 | 内容 | 目標に対する 2020年度の実績 |
評価 | |
---|---|---|---|---|---|---|
汚染防止 | 重大環境事故 | 伊藤忠商事※ |
毎年度 |
重大事故ゼロ件 |
ゼロ件 |
達成 |
資源循環・廃棄物 | 廃棄物等排出量 | 東京本社 |
2025年3月 |
2018年度比 |
2018年度比 |
達成 |
リサイクル率 | 2025年3月 |
90% |
93% |
達成 |
||
資源節約 | 紙の使用量 | 伊藤忠商事 |
2025年3月 |
2018年度比 |
2018年度比 |
達成 |
- 国内外支社支店、コンプライアンス報告対象グループ企業を含む
体制・システム
事業投資案件における汚染防止と資源循環の事前評価
伊藤忠商事及び国内子会社が取組む日本国内・海外の事業投資案件については、その案件が市場、社会、環境等に与える影響を「投資等に関わるESGチェックリスト」(評価項目には汚染防止と資源循環の対応状況の把握も含まれている)により事前に評価しています。専門的な見地を必要とする案件については外部専門機関に事前の調査を依頼し、調査の結果、問題がないことを確認したうえで、着手することにしています。
伊藤忠商事は、「安定的な調達・供給」を重要課題の一つと掲げ、生物多様性等、環境に配慮し、各国の需要に合わせた資源の有効利用と安定的な調達・供給に取組むことで、循環型社会を目指します。事業投資案件における汚染防止と資源循環の事前評価はこのような取組みを支えるものです。
化学物質を扱う部門での法令順守
化学品部門が主管となり、化学物質を主に扱う化学品部門各営業部、及び化学品部門が主管するグループ会社が適切に法令を順守できるよう管理しております。また、化学品部門以外で化学品を一部扱う営業部門やグループ会社へも適宜指導、助言を行っております。
管理方法としては、外部コンサルティングへの問い合わせの徹底、及び専用システムによる一元的法令管理を基本としており、具体的には、2016年に独自開発した法令管理システムによる商品毎の化学物質レベルでの適用法令や対応事項の確認・記録化、重要法令に関するeラーニングの実施や主要法令の要点をまとめた関連法規ハンドブックの配布を通じた営業担当者への継続的教育を行うことで法令順守に努めています。
外部コンサルティング会社には、化学物質管理に関する高いノウハウを持つテクノヒル株式会社(本社 東京都中央区、代表取締役 鈴木一行)を起用し、管理体制に関する総合的助言や商品毎の適用法令といった個別相談等、あらゆる面でサポートを受けています。
緊急対応、事故対応への管理体制
伊藤忠商事の事故・緊急事態対応規程に沿って社内外への報告を行うと共に、事故の状況によって個別手順書に従い対応します。例えば毒物及び劇物に係る事故等が発生した際は、伊藤忠商事で定めた「医薬用外毒物劇物危害防止手順書」に沿って対応することとしており、具体的には「同規定添付の緊急連絡網に沿って必要な報告を行うとともに、速やかな対応を行い毒物劇物による危害を最小限にとどめる。」「飛散、漏れ、流出、しみだし、または地下にしみ込んだ場合において、不特定または多数の者について保険衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは直ちにその旨を保健所、警察署、または消防期間に届け出るとともに、保険衛生上の危害を防止すべく必要な措置を講じる。」等の対応を行うこととしております。
取組み
循環型経済の実現を目指すRENU®プロジェクト
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img03.jpg)
ファッション産業における大量廃棄問題を解決し、循環型経済の実現を目指すRENU®プロジェクトを2019年春より始動しました。第一弾商品として、これまで廃棄されてきた残反や使用済み衣料を原材料としてつくられた繊維由来の再生ポリエステルを展開しています。このプロジェクトを、消費者の手に届くまでのファッション産業の商流全体で展開することで、循環型経済に貢献します。
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img07.png)
環境インパクト
RENU®プロジェクトにおける2020年度の再生ポリエステルの取扱いによる環境インパクトは次の通りです。
原材料として投入した廃棄物 Tシャツ換算 | 3.5百万枚 |
---|---|
CO2削減量 | 521トン |
水の削減量 | 875キロリットル |
海洋ごみ由来のゴミ袋を開発
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img04.png)
伊藤忠商事と、子会社の日本サニパック株式会社は、世界初※1となる海洋ごみ※2由来の原料を配合したゴミ袋を開発いたしました。
伊藤忠商事は海洋ごみ問題を重要な社会問題と捉え、海洋ごみをマテリアルリサイクルし、再び製品化する事業に取組んでまいりましたが、この度、対馬市とも連携しながら、そのリサイクルに成功いたしました。また、日本サニパックは、日本最大手のゴミ袋メーカーとしての知見と技術を活かし、そのリサイクル海洋プラスチックを一部配合したゴミ袋を世界で初めて開発いたしました。
伊藤忠商事と日本サニパックは、今回開発したゴミ袋を対馬市やその他の地域で海岸のごみ清掃活動を必要とするエリアに一部無償で提供する計画で、海洋ごみ問題という社会
課題を解決するための循環経済型のビジネスモデルを構築してまいります。
- 伊藤忠商事調べ
- すでに海洋環境に流出してしまった海洋ごみをさす
海洋プラスチックごみを原材料に使用した買い物かごを長崎県対馬市等のファミリーマート店舗に導入
伊藤忠商事は、株式会社ファミリーマート、テラサイクルジャパン合同会社と共に、長崎県対馬市に漂着した海洋プラスチックごみを原材料の一部に使用した買い物かごを開発いたしました。2021年2月から、長崎県対馬市、壱岐市等のファミリーマート合計4店に導入し、地域に密着したSDGs活動を推進してまいります。
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img05.jpg)
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img06.jpg)
廃棄物削減の取組み
伊藤忠商事では、環境マネジメントシステムの下、各種法令(廃棄物処理法、容器包装リサイクル法、食品リサイクル法等)の遵守と共に、事業活動によって発生する廃棄物削減に取組み、分別の徹底によるリサイクル率を高い水準で維持しています。近年は、廃棄物削減の取組みをさらに社内に浸透させるため、少人数での分別体験を実施しています。
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img01.jpg)
![[写真]](/ja/csr/img/cs_env_pol_21_img02.jpg)
食品リサイクル
食品リサイクル法対応として、単体の食品廃棄物排出量、再生利用量等の定期報告を行い、基準実施率(再生利用等の実施率目標)に沿って廃棄物の発生抑制、飼料化等のリサイクル促進に努めています。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
リサイクルしている数量 | 廃棄物等の発生量(単位:t) |
1,816.9 |
869.0 |
992.8 |
1,125.8 |
再生利用実施量(単位:t) |
620.6 |
454.9 |
744.4 |
775.5 |
|
廃棄処分実施量(単位:t) |
1,196.3 |
414.1 |
248.4 |
350.3 |
|
目標(個々の食品関連事業者ごとの再生利用等の実施率の目標) | 基準実施率 |
76.8% |
77.8% |
78.8% |
79.8% |
リサイクルしているパーセンテージ | 再生利用実施率 |
34.2% |
52.3% |
75.1% |
68.9% |
- 2017年度は、倉庫火災の特殊要因により、1,001.0トンの廃棄が発生しました。
- 2021年度目標(2020年度基準実施率)80.0%
セメント代替品「高炉スラグ」の世界No.1トレーダー
![[写真]](/ja/csr/img/cs_act_gnl_18_img02.jpg)
「高炉スラグ」とは、鉄鋼の製造工程の副産物です。セメント代替品としてセメントと混合して利用することで、セメントの原料である石灰石等の天然資源の節約が可能となり、さらにセメントのみでコンクリートを作る場合に比べ製造時のCO2発生を4割程度削減※できる環境に優しい商品です。
また、海水等への耐久性が高く、長期に亘り中の鋼材が腐食しにくいため、港湾の大型土木工事等に広く使われています。
当社は20年程前から国内外の「高炉スラグ」を約10ヵ国に販売、世界No.1スラグトレーダーとしての取扱量を誇ります。世界規模での脱炭素の流れを受け、スラグの価値は今後益々高くなることが期待されていることからも、継続的・安定的な商流を構築し、スラグ事業への出資・参画を含め、注力していきます。
※ セメントと高炉スラグを55:45で混合して使用した場合で試算
ステークホルダーとの協働
容器リサイクル法への対応
伊藤忠商事は、容器リサイクル法が定める特定事業者として、循環型社会形成の推進に寄与することを目的として、容器包装の再商品化のために、毎年容器包装の自社製造・輸入量等を把握し、再商品化委託料を公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に収めています。
過年度の委託料は以下の通りです。
(単位:円)
年度 | 実施委託料/拠出委託料 | ガラスびん | PETボトル | 紙製容器包装 | プラスチック製容器包装 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
無色 | 茶色 | その他の色 | ||||||
2018年度 | 実施 |
750,030 |
- |
- |
- |
9,045 |
1,197,091 |
1,956,166 |
拠出 |
0 |
- |
- |
- |
27 |
0 |
27 |
|
総額 |
750,030 |
- |
- |
- |
9,072 |
1,197,091 |
1,956,193 |
|
2017年度 | 実施 |
704,782 |
29,327 |
1,057,941 |
1,792,050 |
|||
拠出 |
9,344 |
102 |
9,446 |
|||||
総額 |
714,126 |
29,429 |
1,057,941 |
1,801,496 |
||||
2016年度 | 実施 |
814,414 |
708 |
18,306 |
631,798 |
1,465,226 |
||
拠出 |
0 |
68 |
168 |
47,052 |
47,288 |
|||
総額 |
814,414 |
776 |
18,474 |
678,850 |
1,512,514 |
|||
2015年度 | 実施 |
770,179 |
158,548 |
30,825 |
292,375 |
1,251,927 |
||
拠出 |
0 |
0 |
315 |
13,395 |
13,710 |
|||
総額 |
770,179 |
158,548 |
31,140 |
305,770 |
1,265,637 |
イニシアチブへの参画(財界・業界団体を通じた活動)
当社は、日本経済団体連合会の環境・エネルギー関係の委員会である「環境安全委員会地球環境部会」に参加し、自主行動計画の推進、温暖化、廃棄物・リサイクル、水を含む環境リスク対策等、経済と両立する環境政策の実現に取組んでいます。また、日本貿易会の「地球環境委員会」に参加し、低炭素社会の構築、循環型社会の構築、環境関連法規への対応等に取組んでいます。「地球環境委員会」で掲げている目標は以下のとおりです。(商社は、業態として産業廃棄物の排出・最終処分量の目標策定になじまないため、参加企業単体の主なオフィスビルから排出される事業系一般廃棄物を対象として目標を策定しています。)
国内の事業活動における2025年度の削減目標(商社業界)
- 【処分量】2000年度比82%削減
- 【発生量】2000年度比62%削減
- 【再資源化率】83%以上
他社との協働による資源循環促進
伊藤忠商事では、プラスチック及び化学繊維素材に関して、国内外の先進技術を有する企業との協働により、化石燃料消費の削減による省資源とリサイクルの促進に取組んでいます。
再生可能資源由来バイオマスポリプロピレンの日本市場における事業展開
日本では、気候変動対策の一環として2030年までに約200万トンのバイオマスプラスチック製品を導入する基本計画が策定されています。プラスチックの主原料のひとつであるポリプロピレンは、強度や耐熱性に強いことが特徴で、食品容器や日用品、自動車用部品等、幅広い用途で活用されていますが、バイオマス原料化の難易度が高く工業化が難しいとされてきました。
そのような状況下で、伊藤忠商事は、Borealis社AGと再生可能資源由来のバイオマスポリプロピレン(バイオPP)に関する日本市場でのマーケティングについて合意しました。世界トップクラスのプラスチック樹脂メーカーであるBorealis社は2020年3月にはバイオPPの商業生産を開始し、欧州をはじめ世界へ拡販を進めています。伊藤忠商事は日本初となるバイオPPを原料とする食品容器や包材の展開を目指し、またその他衛生用品、日用雑貨、化粧品容器、オフィス用品、家電、自動車部品、等、多様な分野での製品展開を図る計画です。
複層フィルム包材におけるマテリアルリサイクル技術の協業展開
伊藤忠商事株式会社と東洋インキSCホールディングス株式会社は、複層フィルム包材のマテリアルリサイクル技術の協業展開について合意しました。
昨今、国内外で使い捨てプラスチック問題に関する動向が注目を浴び、対策が急がれています。特に食品のパッケージや洗剤等サニタリー商品の詰め替え用パウチ等、「軟包装」と呼ばれるフィルム包材は、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、ポリオレフィンやポリエステル等のフィルムの間に、印刷インキと接着剤といった多素材を用いる複層構成になっており、脱離が困難であることがリサイクルにおける大きな課題でした。
2019年、東洋インキグループは総合環境サービス企業の世界最大手と提携し、複層フィルム及び包材を構成するインキや粘接着剤等を脱離する技術を開発しました。2021年中に実証パイロットプラントを建設し、LCA(ライフサイクルアセスメント)評価・コストシミュレーション等の検証を進め、2022年のポストインダストリアルリサイクル事業開始を目指します。また、2025年を目途に商業プラントでのポストインダストリアル及びポストコンシューマーリサイクル事業を開始する予定です。
伊藤忠商事は本技術に関連する主要な製品材料における国内での独占マーケティング権及びアジア・欧州での優先交渉権を取得するとともに、本技術を用いたマテリアルリサイクルの仕組みの構築、リサイクル可能な環境配慮パッケージ設計の訴求を通じて、食品・日用品メーカー、小売り、ブランドオーナー等に向けた幅広い環境ソリューションの提供を行ってまいります。
両社はこうした取組みにより現状再利用が困難な複層フィルム包材をリサイクル可能なものに転換し、国内外のマテリアルリサイクル率40%以上を目指します。
リサイクルナイロンブランド「ECONYL®」の展開
伊藤忠商事は、世界最大のリサイクルナイロンブランド「ECONYL®(以下「エコニール」)」を展開するAquafil S.p.A.とナイロン循環リサイクルに関するビジネスの推進、拡大に向けて業務提携を締結いたしました。
ナイロンは石油由来の化学繊維及びプラスチック原料として、ファッション、カーペット、漁網、食品包材、自動車用部材等幅広い分野で使用される一方で、他原料との複合素材として使用されている製品も多く、リサイクルが難しい素材の一つでした。
Aquafil社は、独自の技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって粗原料であるカプロラクタム(CPL)まで戻し、不純物等を完全に除去しバージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築し、2011年よりスロベニアにて漁網やカーペット等の廃棄物を原料としてリサイクルナイロン「エコニール」の生産を開始しました。エコニールは100%廃棄物からのリサイクルのため、石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量を最大90%削減が可能です。
伊藤忠商事は当社グループの持つ多様なネットワークを活かして、グローバルにファッションやカーペット、自動車用部材、包材等の用途向けに拡販してまいります。さらに既存の販売チェーンからの廃棄用ナイロンの回収スキームを構築する予定で、Aquafil社への原料安定供給の観点からも協業をすすめてまいります。廃棄物の回収から最終製品の販売までをAquafil社と共同で取組むことにより、付加価値の高いナイロン循環リサイクルの拡大を目指します。
ポリエステルのケミカルリサイクル技術に関するライセンス
伊藤忠商事株式会社、帝人株式会社、日揮ホールディングス株式会社は、廃棄されるポリエステル繊維製品からポリエステルをケミカルリサイクルする技術のライセンス事業に向けた共同協議書を締結しました。
今般の協議書締結においては、帝人の持つポリエステルのケミカルリサイクル技術、グローバルにエンジニアリング事業を展開する日揮の知見、伊藤忠商事の持つ繊維業界の幅広いネットワークを活用し、廃棄されるポリエステル繊維製品を原料としたポリエステルのケミカルリサイクル技術の国内外へのライセンス展開や、コスト効率に優れたケミカルリサイクルシステムの構築を検討します。
これにより、繊維製品の大量廃棄問題に対する有効な解決手段の更なる拡大を目指します。
パフォーマンスデータ
伊藤忠グループの汚染防止・資源循環パフォーマンスデータは、経営支配基準(the control approach)で集計しています。
汚染防止
NOx、SOx、VOC(大気汚染物質)排出量
(単位:t)
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
伊藤忠グループ総合計 | NOx(窒素酸化物) | 1,821 |
1,958 |
13,091 |
11,273 |
SOx(硫黄酸化物) | 425 |
739 |
1,154 |
1,248 |
|
VOC(発揮性有機化合物) | 500 |
524 |
520 |
529 |
資源循環
廃棄物等排出量と廃棄物リサイクル率
2016年度~2020年度の東京本社ビル、大阪本社・国内支社・支店及びその他の事業用施設、国内事業会社、海外現地法人及び海外事業会社の廃棄物等排出量は下記の通りです。伊藤忠商事ではゴミの分別等を推進しています。東京本社ビルは、2018年度比6%削減を単年目標として掲げ、印刷時の2in1や両面印刷等の工夫により廃棄物量の削減を推進しており、2014年度は、東京本社ビルにて「港区ごみ減量事業者表彰」を受賞しました。
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京本社★ | 廃棄物等排出量(単位:t) | 674 |
698 |
680 |
767 |
465 |
|
内 非リサイクル排出量 | 38 |
43 |
48 |
44 |
31 |
||
内 リサイクルされた排出量 | 636 |
655 |
632 |
723 |
434 |
||
リサイクル率(単位:%) | 94.3 |
93.8 |
92.9 |
94.3 |
93.4 |
||
大阪本社・国内支社・支店及びその他の事業用施設 | 廃棄物等排出量(単位:t) | - |
- |
- |
290 |
258 |
|
国内事業会社 | 廃棄物等排出量(単位:t) | 21,947 |
177,526 |
89,210 |
149,620 |
248,465 |
|
海外現地法人 | 廃棄物等排出量(単位:t) | 33 |
5 |
17 |
9 |
41 |
|
海外事業会社 | 廃棄物等排出量(単位:t) | 10,016 |
141,392 |
364,476 |
461,018 |
504,085 |
|
伊藤忠グループ総合計 | 廃棄物等排出量(単位:t) | 32,670 |
319,621 |
454,383 |
611,751 |
753,315 |
|
内 非リサイクル排出量 | - |
- |
- |
449,030 |
583,599 |
||
内 リサイクルされた排出量 | - |
- |
- |
162,721 |
169,716 |
||
リサイクル率(単位:%) | - |
- |
- |
26 |
23 |
- 東京本社ビルの廃棄物等排出量には有価物売却量を含みます。
- 集計対象会社数増により、2018年度及び2019年度は前年度比数値が大幅に増加しています。
有害廃棄物排出量
(単位:t)
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|
伊藤忠商事合計 | 1.5 |
1.4 |
1.26 |
1.5 |
伊藤忠グループ総合計 | - |
- |
749 |
45,754 |
廃棄物処理コスト
(単位:千円)
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
東京本社 | 廃棄物処理業者への支払額 | 16,330 |
10,448 |
11,998 |
9,067 |
紙の使用量
2016年度~2020年度の紙の使用量は下記の通りです(伊藤忠商事国内拠点合計)。伊藤忠商事では、紙の使用量2018年度比3%削減を目標に掲げ、ペーパーレス化や無駄な紙の使用を抑えることにより、紙の使用量の削減を推進しています。
(単位:千枚(A4換算))
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
伊藤忠商事 | コピー用紙使用量 | 34,940 |
32,949 |
30,711 |
26,913 |
19,167 |
化学品関連法令順守と化学品関連法規eラーニング
法令順守の状況
- 免許停止等の大きな違反ゼロ
化学品関連法規のeラーニング実績
- 化学品部門単体(実施人数117名、実施期間2020年10月19日 ~ 2020年11月13日)
- 化学品部門事業会社、エネルギー・化学品カンパニー以外の伊藤忠商事各Co.単体、事業会社へも同eラーニングを案内
化学品関連法規ハンドブック
![[写真]](/ja/csr/img/cs_soc_vc_19_img16.gif)
2012年に初版発行し、現在は16年改訂版を作成、配布しております。掲載法令は32法令で、各法令の概要、遵守事項の要点を明記しています。化学品業界法の知見が十分でない新入社員や化学品部門以外で化学品を取扱う営業担当者が必要に応じて参照し、業界法への自発的気づきを促すことを目的としています。
集計範囲
○:集計対象
廃棄物等排出量 とリサイクル率 |
有害廃棄物 排出量 |
廃棄物処理 コスト |
NOx、SOx、VOC排出量 | 紙の使用量 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京本社 | ○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
||||
大阪本社 | ○ |
- |
- |
○ |
- |
||||
国内支社・支店及びその他の事業用施設※1 | 全5支社(北海道、東北、中部、中四国及び九州) 支店含む事業所数:2016年度8事業所、2017年度6事業所、2018年度8事業所、2019年度7事業所、2020年度6事業所 |
○ |
○ |
- |
○ |
- |
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国内事業会社※2 | 対象社数: 2016年度65社、2017年度208社、2018年度220社、2019年度238社、2020年度232社 | ○ |
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海外現地法人 | 対象事業所数: 2016年度16事業所、2017年度15事業所、2018年度30事業所、2019年度29事業所、2020年度49事業所 | ○ |
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海外事業会社※2 | 対象社数: 2016年度46社、2017年度299社、2018年度282社、2019年度286社、2020年度274社 | ○ |
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除外 | ただし、投資運用目的で保有する会社であり、今後5年以内に売却する見込みのある会社は、集計対象に含みません。また、従業員が10人以下である、非製造拠点の事業所は、量的に僅少であるため、集計対象としていません。 |
- その他の事業用施設:伊藤忠商事が所有または賃借している事業用施設(居住用施設除く)
- 2016年度は伊藤忠商事が直接出資する連結子会社(2017年3月31日時点)、2017年度以降は全ての連結子会社(100%)が対象
第三者保証
独立した第三者保証報告書(PDF:2.3MB):★マークを付した以下のデータについては、KPMGあずさサステナビリティ(株)による国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000及び3410に準拠した第三者保証を実施。
★:伊藤忠商事国内拠点(東京本社・大阪本社・国内支社・国内支店及びその他の事業用施設)の電力使用量合計値、事業用施設起因のCO2排出量合計値、東京本社の廃棄物等排出量、非リサイクル排出量、リサイクルされた排出量、リサイクル率、水使用量、中水製造量及び排水量の数値