気候変動

アクションプラン

マテリアリティ SDGs
目標
取組む
べき課題
事業分野 コミットメント 具体的対応アプローチ 成果指標 進捗度合(レビュー)
機械カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
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気候変動への取組み 発電事業全般 再生可能エネルギー発電と従来型発電のバランスの取れた電源開発により、国・地域ごとに最適化された持続可能な形でその発展に貢献します。 国・地域の分析を通じて、再生可能エネルギー発電の投資機会を積極的に追求。 2030年度:再生可能エネルギー比率20%超(持分容量ベース)を目指し、今後の取組みに反映。
  • 海外・風力案件(Butendiek、Cotton Plains)を継続して運営中。
  • アフリカ等無電化地域における小規模太陽光発電・配電システムを手掛ける英Winch Energy社による案件開発を継続。
  • 2020年3月、Kimball発電所(米国ミネソタ州)、South Fork発電所(米国ネブラスカ州)からなる風力発電所へ出資。
  • 2020年12月、米国で約1,400か所・160万キロワットの太陽光発電所運転・保守・資産管理サービスを行うBay4 Enegy Services, LLC社の全出資持分を取得。
  • 発電事業持分容量ベースでの再生可能エネルギー比率は現行14.1%。
ゼロ・エミッション船 アンモニア焚き船舶の開発・保有運航・燃料供給を含む統合型プロジェクト推進を通じて船舶・海運分野におけるGHG排出ゼロ・エミッションに貢献します。 日本企業連合を核としたアンモニア焚船舶の共同開発、同船舶の保有運航に加え、舶用アンモニア燃料の供給拠点を整備し、パイロット案件として具体化を目指す。
  • アンモニア燃料船の保有運航と燃料供給拠点の整備を実行することでアンモニア燃料を中心としたバリューチェーンを構築。
  • 2025年以降、アンモニア焚き船舶の普及促進を進めることで海事産業からの炭素排出削減。
※新規コミットメントのため、レビューは次年度以降行います。
乗用車・商用車販売 電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)等の導入により環境に優しく、高いモビリティのある社会を実現します。 EV・HV・環境負荷低減車及び関連部品等の環境に配慮した高効率製品の取扱いを増やすことで環境対策車の普及に貢献。 取引先自動車メーカーによるEV・HV・環境負荷低減車等のラインアップ拡充に伴う環境に配慮した製品の販売拡大。
  • 国内で2019年1月からEV小型トラックの実証実験取組みに参加。
  • EV普及が急速に進む中国において、2018年度に出資した中国EV商用車レンタル・メンテナンスサービスの地上鉄租車との取組みを深堀り。
  • ライドシェアサービスのVia社へ出資(2019年)。利便性とコスト効率の高い移動手段であると同時に都市の渋滞緩和、CO2排出量の削減にも貢献。日本においては2019年10月より伊藤忠社員約2,500名向けにライドシェアの実証実験を実施中。また、交通事業者・物流事業者を中心にシステムを導入し、大手物流会社との協業(新物流サービスへのシステム提供)も推進中。移動及び輸送の効率を改善することで環境負荷低減の一助として貢献。
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水・衛生インフラの整備 水/環境プロジェクト 水・廃棄物の適切な処理、有効利用を通じて、衛生環境の向上、経済活動の発展、及び地球環境保全に寄与します。 水・環境事業の拡大を通じ、水の適切な利用・処理及び資源の有効活用を促進、環境負荷を低減。 水・環境分野の投資ポートフォリオの拡大と多様化。

<水分野>

英国/上水道サービス事業、豪州及びオマーン/海水淡水化事業を展開。引続き、海水淡水化や上下水道事業を通じた地域安定給水に寄与すると共に、各産業セクターにおける水課題に対するソリューション型事業への関与を目指す。

<環境分野>

  • 英国/一般廃棄物の焼却処理・発電事業を運営中(計4事業)。
  • セルビア/一般廃棄物の焼却処理・発電プラント及び新規管理型埋立場の工事履行中。2022年の商業運転開始・全面操業を目指す。
  • 2020年11月、サウジアラビア/ジュベイル工業団地にて工業系廃棄物の受託・処理事業を展開するEnvironment Development Company(EDCO)社へ20%出資参画。水分野同様、各産業セクターにおける環境規制の厳格化・ESG/SDGs経営志向の高まりを受けた廃棄物処理ニーズを捉えた取組機能強化を目指す。
金属カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
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気候変動への取組み
  • 資源リサイクル事業
  • 鉱山事業
  • 環境対策事業
  • 素材関連事業
  • 環境への影響を充分に考慮しつつ、資源の安定供給という社会的使命・責任を果たします。
  • 自動車の軽量化・EV化関連事業等、温室効果ガス削減に寄与する事業、また不可欠な素材の安定供給を通じ、気候変動問題に貢献します。
  • 循環型ビジネスを主導的に展開。
  • 製鉄・電力等の対面業界の次世代資源・原料としての水素・アンモニア等の社会実装に向けた取組みを推進。
  • ニッケル、PGM等、水素やグリーン素材・エネルギー、蓄電池等の製造・供給に必要な素材の安定供給に寄与する事業を推進。
  • CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発への関与を継続。
  • 石炭ビジネスについては、引続きトレードよる資源の安定供給という社会的使命・責任を果たしつつ、一般炭炭鉱権益からの完全撤退に向けた取組みを推進。
  • 自動車軽量化・EV化に寄与するビジネス(アルミ、銅 等)の取組強化。
  • 循環型ビジネスの推進。
  • 製鉄・電力等の対面業界の次世代資源・原料としての水素・アンモニア等の社会実装に向けた取組みの推進。
  • 水素、グリーン素材・エネルギー製造、CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発、事業化に向けた検討の推進。
  • 一般炭炭鉱権益からの撤退に向けた取組み。
  • 自動車軽量化・EV化に寄与するビジネス(アルミ、銅 等)の取組みの実現。
  • 水素の早期の社会実装に向けて、日本コークス工業(株)とベルギーの海運会社CMB社と共に、九州北部での副生水素プロジェクトの事業化調査を行うことを決定。
  • 資源メジャーサプライヤーと環境に配慮した金属資源の製造に関する協業検討推進中。
  • CCU技術推進に寄与する取組みとして、ユーグレナ社と共に、ミドリムシの大規模海外培養実証を継続して実施。2020年10月にはNEDO事業として受託。
  • その他のCCUS技術の検討や、CO2排出量の削減に繋がる様々な取組みも推進。
  • 電気自動車・燃料電池車の世界的な普及に伴い大幅な需要拡大が見込まれるPGM/ニッケル事業のPlatreef実現に向け、開発計画の検討継続中。
  • 持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーンを通じた3R+W(Reduce / Reuse / Recycle + Waste Management)を推進、限られた資源の有効活用と環境素材の供給に寄与。具体的には、FM店舗設備・什器等の再利用・再資源化、金属スクラップ・廃棄物処理の拡大・高度化、昨年度に出資した総合リサイクル企業であるリバーホールディングスとの連携強化等、静脈産業への取組みを着実に推進。
  • 2019年2月に公表した一般炭事業の取組み方針に基づき、継続して保有権益のレビューを行った結果、2021年1月に公表した次期中期経営計画骨子の通り、SDGsへの貢献・取組強化の観点より、一般炭権益から完全撤退する方針とし、持分数量の太宗を占めるコロンビアDrummond一般炭炭鉱権益の売却を決定。
  • 自動車用アルミパーツ製造につき、2019年度に出資した日軽金アクトとの北米事業を推進中。また引続き自動車軽量化に寄与するアルミ原料・製品トレードを推進。
エネルギー・化学品カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
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気候変動・環境に配慮した安定的エネルギーの供給 石油・ガス権益、液化天然ガス(LNG)プロジェクト GHG削減を考慮した資源(Transition Fuel)の生産を行い、産業の発展・基盤構築に寄与する安定供給を行います。 高い技術力と豊富な経験を有する優良パートナーとの協働による資源開発案件への取組み。 持続可能な社会実現に向けた転換期におけるエネルギーの安定供給を念頭に、化石燃料では相対的に環境負荷の少ないLNGプロジェクトの参画機会追求。 新規LNGプロジェクトへの参画について、具現化へ向けた優良パートナーとの協議を引続き行う。
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再生可能エネルギーを最適に継続的に供給する取組み
  • 蓄電池関連
  • 電力・環境ソリューション
  • 再生可能エネルギーを効率的かつ最適に活用するための鍵となる蓄電池の安定供給を続けます。
  • 蓄電池ビジネスチェーンを強化し、特にリサイクル事業を通じた循環型モデルの確立を目指します。
機械学習(AI)をベースにした最適充放電ソフトを搭載した蓄電池の継続的販売と退役電池のリサイクル・リユース事業の確立。
  • 蓄電池の販売数。
  • リサイクル・リユース電池の活用。
  • 2021年3月末までの累計販売台数は約43,000台(430 MWh)となった。
  • 2018年11月からシステムに標準搭載し、販売しているグリッドシェアサービス(AI制御)により、顧客家庭の太陽光発電を自家消費に最大利用している。
  • 故障した電池等は外部リサイクル企業と協業し、含有されるニッケルやコバルト等の希少金属を回収、再販する取組みを開始。現在はデモプラントレベルであるが、商業化を視野に入れ継続推進。
  • リユース電池活用事業は今年度に約1,300kWhを調達し、再利用のスキームを構築中。
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脱炭素社会/循環型低炭素社会実現に向けた新燃料の取組み 水素・燃料アンモニアの生産・供給、及び、リニューアブル燃料の調達・供給 持続可能な社会実現に向け、ライフサイクルアセスメントベースでのGHG削減に寄与する、新燃料の生産・供給体制の構築を目指します。 燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代エネルギー・燃料として期待されている水素・アンモニア、及び、内燃エンジンからの変更が難しい航空機や大型車両から派出されるGHG削減に寄与するリニューアブル燃料(廃棄油等由来)への取組み。 優良パートナーとの協働、及び、これまでの開発・トレードでの実績を活かし、生産・効率輸送・供給を実現できる新燃料バリューチェーンの構築。 ※新規コミットメントのため、レビューは次年度以降行います。
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脱炭素社会実現と包摂的かつ持続可能な経済成長実現に向けたCCS事業での取組み CCSを用いたCO2回収チェーンの構築 持続可能な社会実現に向け、GHG削減に寄与する、CO2回収チェーン構築を目指します。 石油開発技術の応用であるCO2貯蔵技術の磨き、同技術に誘導するためのCO2回収チェーン(引き取り、輸送等)へのアクセスの強化。 カンパニー横断で各対面業界におけるCO2排出先のCO2回収ニーズを発掘し、CO2輸送・貯留事業のビジネスモデルを構築。 ※新規コミットメントのため、レビューは次年度以降行います。
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再生可能エネルギーを最適に継続的に供給する取組み 再エネIPP/再エネ関連資材調達/分散電源取組み
  • 再生可能エネルギー発電所(太陽光・バイオマス・風力)の開発/保有/運営を通じ、再エネの安定供給を実現します。
  • 再エネ関連資材調達を通じ、国内外の再エネ発電の活性化を実現します。
  • 太陽光分散電源の展開を通じ、系統電力に頼らない自立電源としての太陽光発電を普及させ、再エネが身近にある世界を実現します。
再エネ発電所の安定的な運営及び新規開発による再エネ資産規模拡大とVPP化を見据えた国内分散電源の確立。
  • 再エネ資産規模
  • 分散電源規模
※新規コミットメントのため、レビューは次年度以降行います。
食料カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
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気候変動への取組み 生鮮食品分野 気候変動対策に資する施策を検討・推進します。 加工食品事業におけるグリーンエネルギーの活用。
  • 新設するボイラー・発電所の稼働状況。
  • ボイラー・発電所での原料の活用状況。
    • (1) パイナップル加工工場より発生する全ての食品残渣の活用状況。
    • (2) バナナ農園で生じる規格外品の活用状況。
新型コロナウイルス流行に伴う海外技術者の移動制限によりプラントの立上げに時間を要し、本格稼働は2022年初頭となる見通し。
住生活カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
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気候変動への取組み スラグ等セメント代替 土木・建設等に欠かせないセメントの代替材として、持続可能な副産物(スラグ)の利用拡大を図ります。 スラグ等副産物の供給側である製鉄所と需要側の間で、継続的・安定的な商流を構築。 継続的かつ安定的な商流構築を目指し、スラグ事業への出資・参画等を検討すると共に特に発展途上国での需要創出に注力する。 スラグ事業への出資・参画は継続協議中。

方針・基本的な考え方

気候変動は、最も緊急性が高い地球環境問題の一つで、十分な対策を行わない場合、生態系のみならず人類の生存をも脅かす危険性が指摘されている重大な課題です。グローバルに事業を行う伊藤忠グループは、気候変動をはじめとした地球環境問題を経営の最重要課題のひとつとして捉え、環境方針の(2)気候変動への対応で「温室効果ガスの排出を抑制し、エネルギーの効率的で持続可能な使用を促進し、気候変動の緩和及び適応に貢献する商品及びサービス等の開発、提供に努める。」と定めており、気候変動への対応を推進することで、社会への責任を果たしていきます。

2017年6月のTCFDによる提言は、気候関連のリスクと機会が将来増大するとの観測から、企業に対して、投資家に適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な気候関連財務情報開示を促す内容となっています。伊藤忠商事は、気候変動問題を世界が直面する重要な課題の一つとして捉え、2019年5月、TCFDがまとめた情報開示提言を支持する署名を行いました。当社では、この提言の気候関連財務情報開示の中核要素:ガバナンス、戦略、リスクマネジメント、及び事業評価に係る測定基準(指標)とターゲット(目標)に沿って気候変動への対応を検証するとともに、中核要素に沿って気候変動情報を開示していきます。

  • TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、設立された「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。

ガバナンス

伊藤忠商事では、気候変動に関わるリスクと機会への対応方針の策定や温室効果ガスの削減目標・取組み等の重要な事項については、主要な社内委員会のひとつであり、気候関連の責任を付与された「サステナビリティ委員会」で議論・決定しています。サステナビリティ委員長(CAO)は、取締役会に参加し、サステナビリティ推進の主たる活動状況を定期報告する等、環境や社会に与える影響も踏まえ、取締役会による監督が図られる運用としています。また、サステナビリティ委員長はHMC及び投融資協議委員会にも参加し、事業戦略・投資戦略の立案・推進に気候変動対応の観点を反映させています。

気候変動の方針と重要施策は、サステナビリティ推進部が企画・立案し、担当役員であるCAOの承認の下、サステナビリティ委員会で審議され、各組織のESG責任者及び推進担当者により実行されます。気候変動の方針・取組み・体制等に関しては、定期的にアドバイザリーボード等社内外のステークホルダーとの対話を図ることによって、当社に対する社会の期待や要請を把握し、それらを気候変動対策推進に活かしています。

委員会開催・取締役会報告 開催・報告実施頻度 主な審議・報告内容(2018年度~2020年度)
サステナビリティ委員会
  • 通常年1~2回開催
  • 開催実績
    2018年度 1回
    2019年度 2回
    2020年度 1回
  • 2018年度
    TCFD提言への賛同表明
  • 2019年度
    TCFD提言に基づく開示、SCOPE 3の算定
  • 2020年度
    削減目標検討、TCFD情報開示
取締役会への報告
  • 定期報告は年1回以上
  • 報告実績
    2018年度 1回
    2019年度 2回
    2020年度 1回
  • 2018年度
    TCFD提言への賛同表明
  • 2019年度
    TCFD提言に基づく開示、SCOPE 3の算定
  • 2020年度
    削減目標検討、TCFD情報開示

戦略

伊藤忠商事は、気候変動問題を世界が直面する重要な課題の一つとして捉えて、気候変動にかかる移行リスク及び物理的リスクを検討し、事業戦略やポートフォリオ組換えを検討する際のツールとして、TCFD提言のシナリオ分析等を活用しています。

気候変動関連のリスクと機会

主な気候変動関連のリスクと機会
短・中・長期の気候関連のリスクと機会 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
移行リスクと機会 政策と法的リスク 世界各国の温室効果ガス排出計画の厳格化・温室効果ガス排出に対する事業規制等による、化石燃料需要の減少
テクノロジー・リスク 気候変動の緩和に寄与する、再生可能エネルギー等の事業機会の増加
市場リスク 政策と法的リスク、及びクリーンテック等のテクノロジーの影響を受ける製品・サービスの需要の増加と減少
物理的リスクと機会 急性的リスク 異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による事業被害 等
異常気象に適応できる供給体制強化等による顧客維持・獲得 等
慢性的リスク 気温上昇と気候変動に付随する干ばつ等が農業・林業の収穫及びそれらの関連製品の生産量に与える影響

シナリオ分析

対象事業選定

当社事業のうち、気候変動緩和に係る事業環境変化の影響の大きな事業セクターについて、事業規模の大小にかかわらず、シナリオ分析の対象事業に特定しました。政策と法的リスク等の移行リスク影響の大きい事業として、2018年度の「石炭事業」と「発電事業」に続き、2019年度は「石油・ガス開発事業」を選定、シナリオ分析を実施しました。また、気候変動の物理的リスク影響の大きい事業として、2019年度は新たに、「Dole事業」と「パルプ事業」をシナリオ分析実施対象事業として選定しました。
気候変動緩和に係る事業環境変化の影響の大きな事業セクターの特定に当たっては、TCFDが指定した気候変動の影響を潜在的に大きく受ける4つの非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)を参考にしており、上記5事業はこれらに含まれています。

シナリオ群の定義

シナリオ分析の検討に際しては、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)及び国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)を参照し、以下の2つのシナリオを設定しました。

設定シナリオ 4℃シナリオ <2℃シナリオ
社会像

パリ協定に即して定められた約束草案等の各国政策が実施されるも、今世紀末までの平均気温が4℃程度上昇。温度上昇等の気候変動が、事業に影響を及ぼす可能性が高い社会

今世紀末までの平均気温上昇を2℃未満に抑え、大胆な政策や技術革新が進められる。脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、事業に影響を及ぼす可能性が高い社会

参照
シナリオ
移行面
  • 「Stated Policies Scenario」(IEA WEO2019)
  • 「Reference Technology Scenario」(IEA ETP2017)、等
  • 「Sustainable Development Scenario」(IEA WEO2019)
  • 「2℃ Scenario」(IEA ETP2017)、等
物理面
  • 「RCP8.5」(IPCC AR5)
  • 「RCP2.6」(IPCC AR5)
リスク及び機会

物理面でのリスク及び機会が顕在化しやすい

移行面でリスク及び機会が顕在化しやすい

  • IEA WEO 2019「Sustainable Development Scenario」は、「気温の上昇を2℃未満(できる限り1.5℃)に抑える努力をするとともに、あらゆる人々がエネルギーを利用できるようにし、大気汚染を改善するという目標を満たしている」シナリオです。

シナリオ分析結果

シナリオ分析に際しては、短期のみならず2030年以降の中長期以降の時間軸で、事業毎に調達、事業運営及び需要面でリスクと機会の要因を抽出し、重要度の高い要因の整理及び評価を実施しています。重要度の高い要因に関して、移行面及び物理面で影響が大きい変数を特定し、条件を反映させた財務モデル等を使って、シナリオ分析を実施しています。財務上の影響度に関する分析については、気候変動の潜在的な影響度を測ると共に、リスク及び機会への対策による効果も含めて、財務上の影響度を分析しています。シナリオ分析の定量情報は、IEA等のシナリオ群等を基にした当社の判断に基づくものであり、分析精度の向上に留意していますが、多くの不確実な要素を含むものです。

1. 移行リスクが主な課題となる事業

化石燃料に関連する事業は<2℃温度帯シナリオの移行リスクが主な課題になります。

カンパニー/事業内容 機械カンパニー/発電事業 エネルギー・化学品カンパニー/
エネルギー(原油・ガス・LNG)開発事業
タイム
フレーム
~2040年 ~2050年
温度帯
シナリオ
<2℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • リスク:炭素税・CCS義務化等の影響で火力発電コスト増大。
  • 機会:技術進歩・コスト低減も含め再生可能エネルギーの競争優位性が増大。
  • 機会:再エネへの大幅なシフトには、蓄電池やグリッド等への投資の拡大が必要。
  • リスク:各国において炭素税等化石燃料に対する規制導入等が進み、世界全体としての原油需要が縮小。
  • 機会:化石燃料では相対的に環境負荷の少なく、低炭素社会実現に向けたTransition Fuelとして、また産業発展を支える燃料として、アジアを中心にLNG需要増。
  • 機会:化石燃料以外の新エネルギー(水素、アンモニア、リニューアブル燃料等)の需要増。
物理
  • リスク:発電施設が自然災害(異常気象)により被害を受ける可能性。
  • リスク:上流開発は、中東・ロシアでのオイルメジャー等の優良パートナーとのプロジェクトが中心で、対策により屋外作業の影響は限定的。また、気象変動に伴う気象災害の甚大化の可能性も低いと想定。
事業環境認識と事業インパクト評価

移行リスクにより、炭素税・CCSコストで利益が大幅に圧迫され、火力発電の利益は減少する可能性があるが、再エネ重視の対策に切り替えることで、再エネの売上増及び炭素税とCCSコスト削減により累計利益は向上が見込まれる。

EBITDA指数による分析(%)

[図]

2℃シナリオでは、世界全体で原油需要の縮小が見込まれるものの、世界的なLNG需要増加及びリニューアブル燃料等の新エネルギー需要増加の機会捕捉等により、収益維持は可能。(2050年までのエネルギー価格変動に対して複数のシナリオを検討)

EBITDA指数による分析(%)

[図]
対応策・方針
事業機会
  • 2030年度までに再生可能エネルギー比率20%超(持分容量ベース)を目指し、今後の取組みに反映する。
  • 持続可能な社会の構築に貢献するためにも、新規の石炭火力発電事業の開発は行わない。
  • 新エネルギー(水素、アンモニア、リニューアブル燃料等)分野で、事業会社とのシナジー追及、イニシアチブ参加により事業機会を捕捉し、エネルギー事業ポートフォリオの新エネルギーへのシフトを加速。
  • 新エネルギーへのシフトに加え、脱炭素社会実現に向けたCCS(CO2分離・回収・貯留)への取組みを強化。
  • 上流石油ガス開発に関し、資産効率化を企図し行う優良資産への入替えは、環境に配慮しつ慎重に検討。
  • Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益
石炭事業への取組み

石炭事業における2℃シナリオ下における事業環境認識と対応策は以下の通りです。

事業環境認識 2℃シナリオの下、技術革新や規制動向と呼応しつつ、一般炭の使用量は減少していく。
対応策・方針
  • 新規の一般炭炭鉱事業の獲得は行わない。
  • 既存の一般炭炭鉱事業についても、「SDGs」への貢献・取組強化の観点から、脱炭素社会を業界に先駆けて実現すべくDrummond権益の売却を実行済み。その他の一般炭権益も2023年度までに売却し、一般炭権益からの完全撤退を目指す。
  • CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発や社会実装に向けた取組みを強力に推進する。 一方、再生可能エネルギーの大規模普及には、当面は調整電源・バックアップ電源として火力発電が引続き必要な面もあり、一般炭トレードを通じて資源の安定供給の責務は引続き果たしていく。
2. 物理的リスクが主な課題となる事業

農業・林業に関連する事業は4℃シナリオの物理的リスクが主な課題となります。

カンパニー/事業内容 食料カンパニー/Dole事業 住生活カンパニー/パルプ事業
タイム
フレーム
~2030年
温度帯
シナリオ
4℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • 機会:パイナップル、バナナ等の食品残渣や工場廃液を含む自社有機物資源を活用した循環型クリーンエネルギー(バイオガス発電、バイオマスボイラー)や太陽光発電等の再生可能エネルギー導入拡大による低炭素化・水資源保護への貢献、環境意識の高い消費者の支持獲得とブランド価値向上。さらに、炭素税や排出量取引制度の導入時での価格優位性の確保。
  • 機会:フィンランドで炭素税が導入された場合、パルプ製造ですでに100%バイオマスエネルギーを利用している当社は競争優位となる。
物理
  • リスク:フィリピン/バナナ・パイナップル農園での台風・干ばつ等の異常気象による収穫量減少。
  • リスク:気温上昇で樹種ごとに生育適域が変動し、樹種と地域により生産量が減少(フィンランドの松・南部のトウヒ)。
  • リスク:フィンランド 冬季の重機収穫は凍土が前提だが、気温上昇で土壌が軟弱化し収穫コストが増加。
事業環境認識と事業インパクト評価

異常気象に伴う収穫量の減少分は、生産方法改良を通じた単位収穫量の増加により補填。また、天候リスクに備えた産地多角化の一環で西アフリカ(シエラレオネ等)でのパイン生産事業を開始。以上により収益拡大が可能。

EBITDA指数による分析(%)

[図]

世界的な平均気温の上昇により一部で生産量減少が見込まれるが、生産量拡大が見込まれる植林地域での設備増強によるパルプ生産量増加、土壌軟化対策による収穫コスト上昇抑制により、引続き収益拡大が可能。

EBITDA指数による分析(%)

[図]
対応策・方針
事業機会
  • 天候リスクに備えた産地の多角化(西アフリカ・シエラレオネ等)。
  • 苗の栽培方法の改善、灌漑設備導入等の生産方法改良を通じた単位収穫量の増加。
  • ドローンとICT(農薬散布箇所特定、収量予測、適時的確な施肥の実施)を用いた生産効率化。
  • フィンランドでは北部と南部において産出量の影響が異なることから 、収穫量変動のモニタリングを強化し、新工場の建設も含めたフレキシブルな生産体制を検討。
  • フィンランドの収穫においては、軟弱土壌用の特殊重機等の使用訓練を行い、より効率的な収穫方法を検討していく。
  • Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益

既存の戦略への影響・今後の取組み

気候変動の影響が大きいと考えられる事業に関するシナリオ分析を実施した結果、現状の事業戦略に対する重大な影響は発見されませんでした。また、シナリオ分析の対象以外にも、当社では様々な地域で多様な事業活動を展開しており、それらの事業活動は気候変動の影響を受けていますが、個々の事業活動でのリスクがグループ全体の業績に与える影響は限定的であると現段階では判断しています。

今後は、当社事業全体への気候変動の影響確認を目的に、移行面及び物理面双方から分析を行い、影響が大きい分野の更なる特定及び整理等を進め、当社全体の中から対応が必要な事業について、優先度を踏まえながら、今後の具体的対応方針を検討していく予定です。

リスクマネジメント

グローバルに事業展開している伊藤忠商事では、各国の気候変動対策・世界各地の異常気象の状況と平均気温の変化が事業に与えるリスクと機会を常に監視しています。カンパニーを始めとするグループ内でのリスク分析において、把握された気候変動規制・異常気象等の情報から特定された気候変動リスクは、主要な18のリスクの1つ(環境・社会リスク)として事業投資判断プロセス時に検討・評価し、それぞれのリスク管理責任部署において連結ベースでの情報管理・モニタリング体制を構築しています。

気候変動リスクの特定

伊藤忠商事では、各カンパニー・サステナビリティ推進部を中心として、事業の展開国での気候変動に関わる既存と新規の規制を中心とする「気候変動規制」・「異常気象」・「気候変動関連技術動向」・「クリーンテックビジネス動向」等のリスクと機会情報の収集を行っています。それらの気候変動リスクと機会情報をカンパニー・グループ会社・サプライチェーンの子会社と共有し、リスクの潜在的な規模と範囲を評価しています。これらの気候変動リスク情報の中から、サステナビリティアドバイザリーボードとの意見交換をおこなった後、サステナビリティ委員会の審議を経て、重要な気候変動リスクを特定しています。

全社リスクマネジメント

伊藤忠グループは、その広範にわたる事業の性質上、市場リスク・信用リスク・投資リスクをはじめ、様々なリスクにさらされています。これらのリスクに対処するため、各種の社内委員会や責任部署を設置するとともに、各種管理規則、投資基準、リスク限度額・取引限度額の設定や報告・監視体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクを総括的かつ個別的に管理しています。

伊藤忠グループでは、これらの全社レベルでのリスク管理の一環として、気候変動・自然災害・ESG投資等の気候変動に関して特定されたリスクに関して、サステナビリティ委員会を中心に各種の社内委員会や責任部署との協議を実施しています。気候変動リスクに関する方針や施策、気候変動リスクの市場リスク・信用リスク・投資リスク等への影響評価とリスク管理体制の浸透について討議のうえ、サステナビリティ委員長は、年に1回以上の頻度で取締役会への報告を行っています。

気候変動を含めた全社の事業に関するリスクマネジメントはこちらをご覧ください。

事業投資管理

伊藤忠商事では、各カンパニーに裁量権を委譲し迅速な意思決定を実現する一方で、投資リターンの追求、投資リスクの抑制も図る重層的な意思決定プロセスを構築しており、案件の規模と条件により、カンパニーレベルでの審査またはHMC(Headquarters Management Committee)と投資協議委員会での審査が実施される仕組みとなっています。何れの場合でも事業投資プロセスの投資判断時の検討項目に気候変動リスクを含むESGリスク評価が組み込まれ、投資判断時に気候変動リスクが考慮されています。

カンパニープレジデントの権限を越える案件を審査するHMCと投融資協議委員会には、サステナビリティ委員会の委員長であるCAO(Chief Administrative Officer)がメンバーとして参加し、気候変動リスクの特定段階の審議内容と全社リスクマネジメントへの気候変動リスクの評価段階での討議内容を反映する審査体制を整備しています。

リスクマネジメントについて、詳しくはこちらをご覧ください。

指標と目標

伊藤忠商事では、温室効果ガスと電力使用量に関し、目標数値を設定しています。目標数値は以下の通りです。

温室効果ガス(GHG)の削減目標

  • 日本政府目標を遵守し、2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現。
    さらに、排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ、2040年までに「オフセットゼロ」を目指します。
  • 2030年までに2018年比40%削減を実現し、日本政府の中間目標を遵守します。
[図表]
  • 2030年までの日本政府目標2013年比「46%削減」は、2018年を基準にすると「39%削減」。

エネルギー使用量の削減目標

  2020年度実績 単年目標 2022年3月期目標
東京・大阪本社、国内支社・支店その他の事業用施設の電力使用量

2019年度比4.6%減

年平均1%以上減

2010年度比30%減

2010年度比47%減

伊藤忠グループのクリーンテックの目標

伊藤忠グループの事業とプロジェクトベースのクリーンテック事業において2030年の目標を下記の通り設定しています。

  • 発電事業全般において、持分容量ベースの再生可能エネルギー比率を2020年度の14.5%から2030年度までに20%超への拡大をめざしています。
  • 再生可能エネルギー供給安定化において調整弁の役割を持つ蓄電システム(Energy Storage System: ESS)の販売を2030年度までに、累計電力容量5GWhを超える規模を目指します。

詳しくはこちらをご覧ください。

取組み

事業活動における気候変動への取組み

気候変動に対応した持続可能な農園の運営に向けて

[写真]
[写真]
バナナ畑

伊藤忠商事は2013年4月に、米国のドール・フード・カンパニーからアジアの青果物事業と、缶詰や飲料等を世界的に展開する加工食品事業を買収しました。

買収以降、主要商品の最大生産拠点であるフィリピンで、台風、干ばつ、病虫害等が発生し、バナナの生産数量は、買収前と比べ減少しました。生産量の回復・拡大を行うべく、バナナにおいては灌漑設備の導入、農地の集約・拡張、病虫害対策等を継続的に実施し、パイナップルにおいても、農園への設備投資と栽培方法見直しにより、生産性の改善を行ってまいりました。さらに、天候不順等のリスクに備えた産地の多角化や、事業・商品の選択・集中、不採算事業の整理等、経営改善を積極的に実行しました。
引続き、フィリピンでバナナ及びパイナップルの増産体制を整え、アジア最大の農産物インテグレーターを目指します。

持続可能な事業運営に必要な気候変動対策としては、パイナップル、バナナ等の食品残渣や工場廃液を含む自社有機物資源を活用した循環型クリーンエネルギー(バイオガス発電やバイオマスボイラー)そして太陽光発電等の再生可能エネルギーの積極的な導入を推し進めており、2021年度末にはバイオガスと太陽光発電で合計16MWe規模の再生可能エネルギー設備の稼働を予定しており、これからの低炭素社会に適応した環境にやさしい商品の提供を目指します。

豪ティーズとの合弁会社における太陽光発電の活用

Teys Australia Condamine社では2015年に1,034機の太陽光発電パネルを導入、年間約506,000kWhの電力を発電する事が可能となり、同施設において使用される電力の約50%を再生可能エネルギーにて対応しております。太陽光発電の導入により、CO2排出量を約395トン削減し、太陽光発電の導入前と比べ、約49%のCO2排出量の削減を実現しました。
また、豪州の共同出資パートナーであるTeys社より食肉処理、加工する牛肉を調達しておりますが、同社は食肉処理の過程で発生するメタンガスを抽出し、工場の熱として再利用する、サステナブルなオペレーションを組んでおります。

東京本社 実質CO2フリー電気への全面切替え

伊藤忠商事は、2020年1月分より、CO2を排出しない環境価値を示す「非化石証書」を組み合わせた実質CO2フリー電気を東京本社ビルの電気の購入先である東京電力エナジーパートナー株式会社から調達しています。また非化石証書には株式会社関電工の子会社が運営する前橋バイオマス発電所(群馬県前橋市)のトラッキング情報(電源種別や所在地を明らかにする情報)を付与し、購入する電気と組み合わせて東京本社ビルで使用しています。本取組みは、世界的な脱炭素の流れを受け、事業運営で使用する電力を100%再生可能エネルギーとする国際イニシアチブ「RE100」にも適用可能なものです。

詳しくはこちらをご覧ください。

プロジェクト・投資によるバリューチェーン排出量削減への貢献

再生可能エネルギーの取組み

伊藤忠商事は、今後エネルギー供給の必要な担い手として成長が見込まれる、地熱、風力等の再生可能エネルギーを活用する発電資産、蓄電池等への投資事業を通して、社会課題の解決に取組んでいます。具体的な事業はこちらをご覧ください。

CCS(二酸化炭素回収・貯留)

脱炭素化を図っていく上でCCSは不可欠な技術であると認識しており、苫小牧において実証実験を行っている日本CCS調査(株)に出資参画し、実用化の可能性を追求しています。(2019年11月にCO2圧入30万トンを達成し、現在貯留層内でのCO2挙動等のモニタリングを継続中。)

また、伊藤忠商事は豪州Mineral Carbonation International社と「CO2固定化技術」を活用した事業に向けた協業契約を締結しました。「CO2固定化技術」は、製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリート等)にCO2を吸収させることで、炭酸カルシウム等を製造する技術であり、半永久的にCO2を固定化可能であり、鉄鋼業界や電力業界等から世界的な脱炭素の流れを加速させる技術として注目されています。また、製造された炭酸カルシウム等は、セメント、コンクリート、建設用資材等の原材料となり、幅広い用途での活用が見込まれます。

東京都「地球温暖化対策計画書制度」への取組み

伊藤忠商事は、東京都環境確保条例に基づき、東京本社ビルのCO2排出量を2015年度~2019年度の5年間に基準値(2002年度~2004年度の平均値)より約15%削減する計画書を東京都に提出しています。2019年度の排出量は6,089t-CO2であり基準値と比較して約42%減となっています。

なお、これまでに東京都に提出している書類は以下の通りです。

  • 東京都に提出した「地球温暖化対策計画書」の対象は、東京本社ビルのみならず、隣接する商業施設「Itochu Garden」も含みます。

ステークホルダーとの協働

TCFDコンソーシアムへの参画

[ロゴ]

伊藤忠商事は、2019年5月、企業に対し気候変動に関連する財務情報の開示を促す「TCFD」に賛同を表明いたしました。また、これに賛同する企業や金融機関等の間で議論する場として経済産業省、環境省、金融庁が2019年5月27日に設立した「TCFDコンソーシアム」に参画をいたしました。本コンソーシアムへの参画を通じ、気候変動が当社事業に及ぼす機会とリスクの適切な開示に向け取組んでまいります。

イニシアチブへの参画(財界・業界団体を通じた活動)

伊藤忠商事は、日本経済団体連合会の環境・エネルギー関係の委員会である「環境安全委員会地球環境部会」に参加し、自主行動計画の推進、温暖化、廃棄物・リサイクル、環境リスク対策等、経済と両立する環境政策の実現に取組んでいます。また、日本貿易会の「地球環境委員会」に参加し、低炭素社会の構築、循環型社会の構築、環境関連法規への対応等に取組んでいます。「地球環境委員会」で掲げている気候変動関連目標は以下のとおりです。

国内の事業活動における2030年の削減目標(商社業界)

  • 2030年度の電力使用原単位(会社全体における床面積あたりの電力使用量)を2013年度比で15.7%削減するよう努める。(2018年7月再設定)
  • 伊藤忠商事は、当社が参加する各種業界団体等にて気候変動等に関する方向性を決める場合は、その決定過程において当社のサステナビリティ推進基本方針に沿った意見を表明し、また当社方針と異なる場合においては、当社の方針に沿った形になるように努めます。

CDP(気候変動)への参加

伊藤忠商事は世界中の様々なステークホルダーに対し、ESGに関する取組みについて積極的な情報発信を行っています。その一環として、企業の環境情報開示におけるグローバルスタンダードとして全世界で広く認知されているNGOであるCDPに参加。2013年度から、CDP気候変動の質問書に回答しています。

「COOL CHOICE」への参加

[ロゴ]

伊藤忠商事は、環境省主導の脱炭素社会実現に向けた気候変動キャンペーン「COOL CHOICE[別ウインドウで開きます]」に参加し、夏季、冬季の空調の調整、不要な電気のスイッチオフ等に努めています。また、オフィス内での廃棄物分別を励行し、リサイクルを推進する等、全社員が身の回りのできることから環境保全活動を実施しています。

パフォーマンスデータ

集計範囲

○:集計対象

エネルギー消費量 GHG排出量
伊藤忠商事国内拠点 事業用施設起因のエネルギー使用量 電力
使用量

使用量
燃料
使用量
事業用施設起因のGHG排出量 Scope1総排出量の温室効果ガス種類ごとの内訳(6.5 ガス)
東京本社

大阪本社

国内支社・支店及びその他の事業用施設※1 全5支社(北海道、東北、中部、中四国及び九州)
支店含む事業所数:2016年度8事業所、2017年度6事業所、2018年度8事業所、2019年度7事業所、2020年度6事業所

国内事業会社※2 対象社数: 2016年度65社、2017年度208社、2018年度220社、2019年度238社、2020年度232社

海外現地法人 対象事業所数: 2016年度16事業所、2017年度15事業所、2018年度30事業所、2019年度29事業所、2020年度49事業所

海外事業会社※2 対象社数: 2016年度46社、2017年度299社、2018年度282社、2019年度286社、2020年度274社

除外 ただし、投資運用目的で保有する会社であり、今後5年以内に売却する見込みのある会社は、集計対象に含みません。また、従業員が10人以下である、非製造拠点の事業所のCO2排出量は、量的に僅少であるため、集計対象としていません。
  1. その他の事業用施設:伊藤忠商事が所有または賃借している事業用施設(居住用施設除く)
  2. 2016年度は伊藤忠商事が直接出資する連結子会社、2017年度以降は全ての連結子会社(100%)が対象

エネルギー消費量

伊藤忠商事国内拠点エネルギー消費
  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
購入・消費した非再生可能燃料(単位:MWh)

765

610

525

691

640

購入した非再生可能電力(単位:MWh)

30,282

29,558

29,306

28,747

27,320

購入した蒸気/熱/冷却水等のその他の非再生可能エネルギー(単位:MWh)

8,299

8,206

7,605

7,385

7,401

発生させた再生可能エネルギー(太陽光発電)(単位:MWh)

58

58

51

54

60

エネルギー消費コスト合計(単位:百万円)

564

576

404

537

571

  • 太陽光発電
    伊藤忠商事は「東京本社ビル」の屋上及び東京本社ビルに隣接する「伊藤忠ガーデン(旧CIプラザ)」の屋根に太陽光発電パネルを設置し、2010年3月より発電を開始しています。設置された太陽光パネルの発電容量は合計100kWであり、これは一般的な戸建約30軒分(1軒あたり約3.0kWと算出)に相当します。発電されたクリーンエネルギーはすべてこの東京本社ビル内で使用しており、東京本社ビル3.5フロア分の照明に使用する電力量(瞬間最大発電時)に相当します。

(単位:GJ)

事業用施設起因のエネルギー使用量
  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
東京本社

134,076

130,977

127,824

126,135

121,290

  • 東京本社は東京都環境確保条例に基づき算出。

電力使用量

2016年度~2020年度の電力使用量及び事業用施設起因のCO2排出量は、下記の通りです。空調機のインバーター設置、机上LEDスタンドの設置等、省エネ設備の導入を実施するとともに、全社員が不要な照明、OA機器等のスイッチオフ等を行っています。また、国内本社、支社、支店に勤務の正社員を対象に、朝型勤務の実施を2013年10月よりトライアルで開始し、2014年5月に正式導入したことも、電力使用量の削減に繋がっています。

(単位:千kWh)

  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
東京本社

9,331

9,200

9,178

9,055

8,685

大阪本社

434

409

396

384

356

国内支社・支店及びその他の事業用施設

1,561

1,476

1,440

1,319

1,190

伊藤忠商事国内拠点合計★

11,326

11,084

11,014

10,759

10,231

国内事業会社

471,432

798,054

878,025

1,204,830

集計中

海外現地法人

3,087

2,224

2,118

2,098

集計中

海外事業会社

143,485

500,777

590,175

447,462

集計中

伊藤忠グループ総合計◆

629,329

1,312,139

1,481,382

1,665,148

集計中

  • 東京本社については東京都環境確保条例、大阪本社・国内支社・支店及びその他の事業用施設については省エネ法に基づき集計したデータ。ただし、投資運用目的で保有する会社であり、今後5年以内に売却する見込みのある会社は、集計対象に含みません。また、従業員が10人以下である、非製造拠点の事業所は、量的に僅少であるため、集計対象としていません。

熱使用量

グループ全体の熱使用量は以下の通りです。

(単位:GJ)

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
産業用蒸気

513,564

494,035

541,932

集計中

産業用以外の蒸気

1,015

889

890

集計中

温水

8,446

2,965

2,974

集計中

冷水

95,685

69,684

64,090

集計中

燃料使用量

グループ全体の燃料使用量は以下の通りです。

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
灯油(単位:kL)

4,001

4,468

2,609

集計中

軽油(単位:kL)

35,577

39,362

41,790

集計中

ガソリン(単位:kL)

10,774

12,598

12,759

集計中

A重油(単位:kL)

25,699

18,289

20,432

集計中

B・C重油(単位:kL)

11,711

16,551

25,942

集計中

石炭(単位:t)

341,192

333,176

315,148

集計中

石油ガス 液化石油ガス(LPG)(単位:t)

6,321

6,614

11,966

集計中

液化石油ガス(LPG)(単位:千m3

2,454

496

472

集計中

液化石油ガス(LPG)(単位:kL)

186

集計中

石油系炭化水素ガス(単位:千m3

2,247

1,860

340

集計中

可燃性天然ガス 液化天然ガス(LNG)(単位:t)

1,645

3,161

5,698

集計中

その他可燃性天然ガス(単位:千m3

5,762

14,565

14,115

集計中

都市ガス等 都市ガス(単位:千m3

204,481

33,552

26,692

集計中

その他ガス(単位:千m3

0.017

158

242

集計中

GHG(温室効果ガス)排出量

事業用施設起因のGHG排出量

(単位:t-CO2e)

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
伊藤忠商事国内拠点合計★ Scope1

98

91

151

152

Scope2

7,174

6,969

6,740

6,466

Scope1+2計

7,272

7,060

6,891

6,619

伊藤忠グループ合計◆ Scope1

1,299,390

1,213,395

1,202,508

集計中

Scope2

617,818

771,204

835,916

集計中

Scope1+2計

1,917,209

1,984,599

2,038,424

集計中

事業用施設毎のGHG排出量(Scope1+2計)

(単位:t-CO2e)

  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
東京本社

6,459

6,307

6,168

6,089

5,846

大阪本社

221

208

172

135

121

国内支社・支店及びその他の事業用施設

821

757

720

667

651

伊藤忠商事国内拠点合計★

7,501

7,273

7,060

6,891

6,619

国内事業会社

340,559

1,280,241

1,174,507

1,526,279

集計中

海外現地法人

2,238

1,674

2,769

1,523

集計中

海外事業会社

98,427

628,021

800,263

503,731

集計中

伊藤忠グループ総合計◆

448,725

1,917,209

1,984,599

2,038,424

集計中

  • 伊藤忠グループのGHG排出量は経営支配基準(the control approach)で集計しています。
  • 東京本社は東京都環境確保条例、大阪本社・国内支社・国内支店及びその他の事業用施設・国内事業会社は省エネ法・温対法に基づき算出しています。(電力会社別の基礎排出係数使用)
  • 海外現地法人、海外事業会社は、2018年度まではInternational Energy Agency (IEA)の国別の2010~2012年の平均値によるCO2換算係数に基づき算定していましたが、2019年度以降は、IEAの最新の公表データによるCO2換算係数に基づき算定しています。(2020年度は2018年データを適用)
  • 2018年度データより、エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスである6.5ガスも集計対象としています。6.5ガスは、3,000t-CO2e/年を超える排出のあった事業会社を対象に集計・開示しています。
  • GHGの算出は、WRI(World Resources Institute:世界資源研究所)とWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)が主導して開発されたGHGプロトコルを用いて算出しています。

原単位あたりのCO2排出量

伊藤忠商事国内拠点のCO2排出量(原単位)

(単位:t-CO2e)

  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
伊藤忠商事国内拠点
社員数あたり

1.737

1.660

1.622

1.596

1.538

伊藤忠商事国内拠点
床面積あたり

0.064

0.063

0.061

0.068

0.057

伊藤忠グループ総合計
電力使用量MWhあたり

0.524

0.506

0.524

0.502

集計中

  • 原単位の床面積は2016年度116,528m2、2017年度115,905m2、2018年度115,842m2、2019年度101,545m2、2020年度114,920m2
飲料製造事業会社のCO2排出量(原単位)
事業内容 会社名(バウンダリー) 単位 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
飲料製造

株式会社クリアウォーター津南
(清涼飲料水製造販売事業)

(CO2e/
製造容量kL)

連結対象外

0.091

0.081

集計中

Scope1総排出量の温室効果ガス種類ごとの内訳(6.5ガス)

(単位:t-CO2e)

地球温暖化係数(GWP) 2018年度 2019年度 2020年度
Scope1総排出量

-

1,213,395

1,202,508

集計中

エネルギー起源二酸化炭素(CO2

-

1,161,002

1,158,283

集計中

6.5ガス総量(t-CO2e)

-

52,393

44,225

集計中

内訳 非エネルギー起源二酸化炭素(CO2

1

0

0

集計中

メタン(CH4

25

0

1,459

集計中

一酸化二窒素(N2O)

298

17,932

18,439

集計中

ハイドロフルオロカーボン(HFCs)

7,390~10,300

34,461

24,327

集計中

パーフルオロカーボン(PFCs)

-

0

0

集計中

六ふっ化硫黄(SF6

-

0

0

集計中

三ふっ化窒素(NF3

-

0

0

集計中

  • 6.5ガスは、3,000t-CO2e/年を超える排出のあった事業会社を対象に集計・開示しています。
  • 6.5ガスの算出に関する地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential) は、IPCC第4次評価報告書(AR4)のGWP100を用いております。
  • CO2以外の温室効果ガス排出量は、CO2と比較し、数十倍~数万倍の温室効果を持っており、その温室効果をCO2に置き換えて表す単位として、t-CO2eが用いられます。
  • なお、上記6.5ガス以外に、グループ会社にて、HCFC等で8,967t-CO2eを排出しております。

気候変動に関連するコスト

環境会計にて開示している環境保全コストのうち、気候変動に関連するコスト(2020年度)は以下の通りです。

  • 気候変動リスク回避のためのコスト 東京本社発電機管理費 1,770千円
  • 気候変動リスク回避のための研究開発費(東京大学大気海洋研究所気候システム研究系への寄付) 500千円

環境物流の取組み

伊藤忠商事は、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)を遵守するために、環境負荷を低減するグリーン物流に取組みます。

物流に伴う二酸化炭素排出量

伊藤忠商事の荷主としての委託輸送に伴って発生する二酸化炭素の排出量は下記のとおりです。

物流起因のCO2排出量推移★
[図表]

物流に関する省エネ施策

物流に関する省エネ施策については、以下のような全社共通の省エネ施策方針を定めています。
その上で、ディビジョンカンパニー毎に具体的施策を策定しています。

輸送方法の選択

鉄道及び船舶の活用推進

輸送効率向上のための措置

積み合わせ輸送・混載便の利用
適正車種の選択、車両の大型化
輸送ルートの工夫
積載率の向上

貨物輸送事業者及び着荷主との連携

輸送計画・頻度等の見直し

具体的施策
  1. 輸送方法の選択
    • 長距離トラック輸送の輸送実態の調査・分析を行い、環境負荷が比較的低い鉄道・内航船輸送へ移行可能なビジネスから、輸送方法の変更を検討する。
  2. 輸送効率向上のための措置
    • 輸送実態の調査を行い、適正車種の選択・適正輸送ルートの選定等を検討し、更なる積載効率向上とエネルギー消費原単位低減を図る。
  3. 貨物輸送事業者及び着荷主との連携
    • 物流企業起用の社内判定基準に、環境物流への取組み状況を確認することとしており、認定取得企業の起用を推奨している。
    • 上記(1)(2)を実現するために、物流企業のほか、取引先サプライヤー等とも協力体制の構築に努める。

第三者保証

独立した第三者保証報告書(PDF:1.9MB)[PDF]:★マークを付した以下のデータについては、KPMGあずさサステナビリティ(株)による国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000及び3410に準拠した第三者保証を実施。
★:伊藤忠商事国内拠点(東京本社・大阪本社・国内支社・国内支店及びその他の事業用施設)の電力使用量合計値、事業用施設起因のCO2排出量合計値、東京本社の廃棄物等排出量、非リサイクル排出量、リサイクルされた排出量、リサイクル率、水使用量、中水製造量及び排水量の数値

独立した第三者保証報告書(PDF:1.9MB)[PDF]:◆マークを付した以下のデータについては、KPMGあずさサステナビリティ(株)による国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000及び3410に準拠した第三者保証を実施。
◆:伊藤忠グループ総合計の電力使用量合計値、事業用施設起因のGHG排出量合計値、伊藤忠商事単体の物流起因CO2排出量