気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)

伊藤忠商事は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2019年5月、TCFD提言への賛同を表明しました。以降当社は、TCFD提言に基づく情報開示に努めています。

  • TCFD: 金融安定理事会(FSB)により設立された気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

気候変動に関する基本的な考え方

気候変動は最も緊急性が高い地球環境問題の一つであり、その取組みとしてパリ協定が採択され、日本国が決定する貢献(NDC)が決定されました。グローバルに事業を行う伊藤忠グループも、気候変動をはじめとした地球環境問題を経営の最重要課題のひとつとして捉えています。当社は、国の気候変動に関連する法規制(省エネ法や地球温暖化対策推進法等)や様々な政策を支持し、これを更なる成長機会として当社方針や具体的な取組みに落とし込んでいきます。
伊藤忠グループ環境方針において「2. 気候変動への対応: 温室効果ガスの排出を削減し、エネルギーの効率的で持続可能な使用を促進し、気候変動の緩和及び適応に貢献する商品及びサービス等の開発、提供に努める。」と定めており、2021年3月には、取締役会での審議を経て、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の中核目標の1つとして2030年・2040年・2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を策定しました。本目標は日本国NDC目標に沿うものであり、その達成に貢献していきます。
当社の企業理念「三方よし」の下、気候変動のリスクと機会への対応をステークホルダーと共に協働して推進することで、社会への責任を果たし企業価値向上に繋げます。

ガバナンス

伊藤忠商事は、気候変動を含むサステナビリティ課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、気候変動に関わるリスクと機会への対応方針や温室効果ガスの削減目標・取組み、気候変動リスク・機会を考慮した年度予算・事業計画等の重要事項につき取締役会で審議・決定しています。

気候変動を含むサステナビリティ関連事項に対応するための各種施策の立案・実施に関する総括管理責任を付与されたサステナビリティ委員会は、気候変動関連目標(ゴールとターゲット)・移行計画の進捗状況、現状の環境・社会リスク及び機会等を把握・管理・評価しています。当社CAO(Chief Administrative Officer)は、気候関連課題に責任を持つ取締役であると同時に、執行レベルではHMC(Headquarters Management Committee)のメンバーであり、サステナビリティ委員会の委員長を兼務しています。サステナビリティ委員会での審議・決定事項は、CAOからサステナビリティ推進の主たる活動状況と共に年2回程度取締役会に報告されます。これにより、取締役会がサステナビリティ委員会での審議・決定事項も考慮した上で、環境・社会リスク及び機会に対応する事業戦略・投資戦略の推進の監督(戦略の見直し・資産入替判断を含む)を適切に行える体制としています。また執行レベルでは、サステナビリティ委員会にESG責任者を兼任する各カンパニー及び職能部署のマネジメントもコアメンバーとして参加し、サステナビリティ推進部と各カンパニー及び職能部署のESG推進担当から気候関連事項について報告を受け、各種施策・取組みの進捗管理・モニタリングを行っています。

2021年、取締役会は当社を取り巻く気候関連事項を考慮し、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」において『「SDGs」への貢献・取組強化~脱炭素社会を業界に先駆けて実現する』ための成長戦略、及びGHG排出量削減に関する目標を決議しました。本取締役会決議を踏まえ、担当役員であるCAOの承認の下、サステナビリティ委員会で脱炭素に関する具体的施策及び目標に対する進捗状況を審議・レビューしながら、各事業部門においてこれら施策を継続的に実行しています。

また、サステナビリティ委員長及び各カンパニー・職能部署のマネジメント(ESG責任者)は、気候変動対応の継続的改善のため、年1回外部専門家との対話(サステナビリティアドバイザリーボード)を行い、当社に対する社会の期待や要請も把握した上で気候変動対策を推進しています。

気候変動に関するガバナンス体制(2023年6月時点)

  • CAO: Chief Administrative Officer
    HMC: Headquarters Management Committee
気候変動関連の取締役会・委員会開催実績 開催・報告実施頻度 主な決定・審議・報告内容(2018年度~2022年度)
取締役会
  • 定期報告は年1回以上
  • 報告実績
    • 2018年度 1回
    • 2019年度 2回
    • 2020年度 1回
    • 2021年度 2回
    • 2022年度 3回
  • 2018年度
    • TCFD提言への賛同表明
  • 2019年度
    • TCFD提言に基づく開示、Scope3の算定
  • 2020年度
    • 削減目標検討、TCFD情報開示
  • 2021年度
    • 中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の決定(『「SDGs」への貢献・取組強化~脱炭素社会を業界に先駆けて実現する』ための成長戦略、GHG排出量削減目標)
    • 当社SDGs/ESG取組内容の報告
  • 2022年度
    • マテリアリティの確認
    • GHG削減に向けた取組方針
    • Scope1/2/3実績のモニタリング
サステナビリティ委員会
  • 通常年1~2回開催
  • 開催実績
    • 2018年度 1回
    • 2019年度 2回
    • 2020年度 1回
    • 2021年度 1回
    • 2022年度 3回
  • 2018年度
    • TCFD提言への賛同表明
  • 2019年度
    • TCFD提言に基づく開示、Scope3の算定
  • 2020年度
    • 削減目標検討、TCFD情報開示
  • 2021年度
    • Scope1/2/3実績・削減目標進捗状況の確認
  • 2022年度
    • マテリアリティの確認
    • GHG削減に向けた取組方針
    • Scope1/2/3実績のモニタリング

戦略

伊藤忠商事は、「気候変動に関する基本的な考え方」に基づき、TCFD提言のシナリオ分析(気候変動にかかる移行及び物理的なリスクと機会の分析)を行い、事業戦略や資産入替を検討しています。

気候変動関連のリスクと機会

伊藤忠商事は様々な事業を世界各地で展開しており、それぞれの事業は気候変動の移行リスク及び物理的リスクの影響を短期・中期・長期の様々な時間軸で受けています。そのため当社は、各事業案件の推進プロセス及び気候変動を含む環境・社会リスクの管理プロセスの中で、当社事業・サプライチェーンと戦略にマテリアルな財務的影響を与える可能性のあるリスクと機会をグローバルベースで特定・評価・管理しています。

マテリアルな気候変動関連のリスクと機会(リスククライテリア)
気候関連のリスクと機会 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響 影響を受ける時間軸 影響を受けるバリューチェーン 関連事業
移行リスクと機会 政策と法制度
  • 世界各国の温室効果ガス排出計画の厳格化・温室効果ガス排出に対する事業規制等による、化石燃料需要の減少
  • カーボンプライシング(炭素税等)や事業規制等による事業コストの増大
中期
長期
上流・当社グループ 発電事業・オペレーション、化石燃料事業、鉄鉱石事業、自動車事業、化学品事業
技術革新 気候変動の緩和に寄与する、再生可能エネルギー、蓄電池関連事業、低炭素燃料、低炭素製鉄原料等の事業機会の増加 短期
中期
長期
当社グループ 再生可能エネルギー・蓄電池関連事業、低炭素燃料事業、新素材事業、鉄鉱石事業
市場状況の変化 政策と法的リスク、及びクリーンテック等のテクノロジーの影響を受ける製品・サービスの需要の増加と減少 短期
中期
長期
上流・当社グループ 化石燃料事業、化学品事業、自動車事業、再生可能エネルギー・蓄電池関連事業、新素材事業、CCUS・排出権関連事業
物理的リスクと機会 急性的な物理的リスク・機会 異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による事業被害 等 短期
中期
長期
上流・当社グループ・下流 食料事業、森林関連事業、鉱業
異常気象に適応できる供給体制強化等による顧客維持・獲得 等 短期
中期
長期
上流・当社グループ・下流 食料事業、森林関連事業
慢性的な物理的リスク・機会 気温上昇と気候変動に付随する干ばつ等が農業・林業の収穫及びそれらの関連製品の生産量に与える影響 中期
長期
上流・当社グループ・下流 食料事業、森林関連事業
  • 短期: ~1年、中期: ~3年、長期: 4年~

シナリオ分析

対象事業選定

当社事業のうち気候変動緩和に係る事業環境変化の影響の大きな事業セクター全体をシナリオ分析の対象事業として検討し、政策と法的リスク等の移行リスク影響の大きい事業として「発電事業」「エネルギー事業」「石炭事業」「鉄鉱石事業」「自動車事業」「化学品事業」を、気候変動の物理的リスク影響の大きい事業として「Dole事業」「飼料・穀物トレード事業」「パルプ事業」をシナリオ分析実施対象事業として選定しました。
気候変動緩和に係る事業環境変化の影響の大きな事業セクターの特定にあたっては、TCFDが指定した気候変動の影響を潜在的に大きく受ける4つの非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)を参考にしており、上記9事業はこれらに含まれています。

シナリオ群の定義

シナリオ分析の検討に際し、国際的な信頼性が高くTCFD提言においても引用参照され、多岐にわたる事業領域をカバーできる国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)及び国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が発行する資料等を参照し、以下の3つのシナリオを設定しました。

設定シナリオ 4℃シナリオ <2℃シナリオ 1.5℃シナリオ
社会像

パリ協定に即して定められた約束草案等の各国政策が実施されるも、今世紀末までの平均気温が4℃程度上昇。温度上昇等の気候変動が、事業に影響を及ぼす可能性が高い社会

今世紀末までの平均気温上昇を2℃未満に抑え、大胆な政策や技術革新が進められる。脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、事業に影響を及ぼす可能性が高い社会

今世紀末までの平均気温の上昇を1.5℃に抑え、持続可能な発展を叶えるため、大胆な政策や技術革新が進められる。脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、事業に影響を及ぼす可能性が高い社会

参照
シナリオ
移行面
  • 「Stated Policies Scenario」(IEA WEO2021)
  • 「Stated Policies Scenario」(ETP WEO2020)
  • 「Stated Policies Scenario」(IEA WEO2019)
  • 「Reference Technology Scenario」(IEA ETP2017)、等
  • 「Sustainable Development Scenario」(IEA WEO2019)
  • 「2℃ Scenario」(IEA ETP2017)、等
  • 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario」(IEA WEO2021)
  • 「Sustainable Development Scenario」(IEA WEO2021)、等
物理面
  • 「RCP8.5」(IPCC AR5)、「SSP5-8.5」(IPCC AR6)等
  • 「RCP2.6」(IPCC AR5)、等
  • 「RCP2.6」(IPCC AR5)、「SSP1-1.9、SSP1-2.6」(IPCC AR6)等
リスク及び機会

物理面でのリスク及び機会が顕在化しやすい

移行面でリスク及び機会が顕在化しやすい

移行面でリスク及び機会が顕在化しやすい

  • IEA WEO 2019「Sustainable Development Scenario」は、「気温の上昇を2℃未満(できる限り1.5℃)に抑える努力をするとともに、あらゆる人々がエネルギーを利用できるようにし、大気汚染を改善するという目標を満たしている」シナリオです。
  • IEA WEO2021「Net Zero Emissions by 2050 Scenario」は、世界のエネルギー部門が2050年までにGHG排出の実質ゼロを達成し、気温上昇を産業革命前比1.5℃に制限する事が可能な道筋を示すシナリオです。
  • 使用した気候関連シナリオの重要な入力パラメター、諸前提条件には、以下のようなものが含まれています。
    発電事業(米国)に関するパラメター 2040年
    4℃シナリオ <2℃シナリオ
    炭素価格/排出権取引
    • N/A
    • 140ドル/t
    化石燃料価格
    • 石炭: 108ドル/t
    • ガス: 7.5ドル/MMBTU
    • 石炭: 77ドル/t
    • ガス: 5.9ドル/MMBTU
    再エネ価格
    • 太陽光ユーティリティスケール: 7.2~8.8円/kWh
    • 陸上風力: 6.2~7.7円/kWh
    • 太陽光ユーティリティスケール: 6.6~7.1円/kWh
    • 陸上風力: 6.2~7.7円/kWh
    電源別エネルギー生産量
    • 石炭火力: 1,016TWh
    • ガス火力: 1,480TWh
    • 再エネ: 1,488TWh
    • 石炭火力: 153TWh
    • ガス火力: 959TWh
    • 再エネ: 2,560TWh
    CCSの普及率
    • N/A
    • CCS付帯石炭火力: 64%
    • CCS付帯ガス火力: 18%

シナリオ分析と結果

シナリオ分析の時間的範囲は、短期のみならず2030年以降の中長期以降の時間軸も加味し、事業ごとに潜在的な定性的・定量的財務影響の高いリスクと機会の要因の整理及び評価を実施しました。調達、事業運営及び需要面でリスクと機会の要因を抽出し、重要度の高い要因の整理及び評価を実施しています。重要度の高い要因に関し移行面及び物理面で影響が大きい変数を特定し、条件を反映させた財務モデル等を用いシナリオ分析を実施しています。財務上の影響度に関する分析については、気候変動の潜在的な影響度を測ると共に、リスク及び機会への対策による効果も含めて、財務上の影響度を分析しています。

なお、シナリオ分析の定量情報は、IEA等のシナリオ群をもとにした当社の判断に基づくものであり、分析精度の向上に留意していますが、多くの不確実な要素を含むものです。

1. 移行リスクが主な課題となる事業

発電、エネルギー、化学品、鉄鉱石、及び自動車事業については<2℃あるいは1.5℃シナリオ下の移行リスクが主な課題になります。

タイムフレーム ~2040年
温度帯シナリオ <2℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • リスク:炭素税・CCUS義務化等の影響で火力発電コスト増大。
  • 機会:技術進歩・コスト低減も含め再生可能エネルギーの競争優位性が増大。
  • 機会:再エネへの大幅なシフトに伴う、蓄電池やグリッド等の付帯設備への投資拡大によるビジネス機会増。
物理
  • リスク:発電施設が自然災害(異常気象)により被害を受ける可能性。
事業環境認識と事業インパクト評価

移行リスクにより、炭素税・CCUSコストで利益が大幅に圧迫され、火力発電の利益は減少する可能性があるが、再エネ重視の対策に切り替えることで、再エネの売上増及び炭素税とCCUSコスト削減により累計利益は向上が見込まれる。

EBITDA指数による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 2030年度までに再生可能エネルギー比率20%超(持分容量ベース)を目指し、今後の取組みに反映する。
  • 持続可能な社会の構築に貢献するためにも、新規の石炭火力発電事業の開発は行わない。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 547億円(プラント・船舶・航空機部門/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 6,906億円(プラント・船舶・航空機部門/2023年3月末)
タイムフレーム ~2040年
温度帯シナリオ <2℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • リスク:脱炭素化社会実現に向け、各国において炭素税等の規制導入が進み、世界全体としての化石燃料需要が縮小。
  • 機会:脱炭素社会実現に向けたTransition Fuelとして、また、産業発展を支える燃料として、アジアを中心にLNG需要が増加。
  • 機会:化石燃料代替としての新エネルギー(水素、アンモニア、リニューアブル燃料等)需要が増加。
  • 機会:温室効果ガス削減に寄与するCCUS(CO2の分離・回収・有効利用・貯留)等のビジネス機会増。
物理
  • リスク:生産設備等が自然災害(異常気象)により被害を受ける可能性。
事業環境認識と事業インパクト評価

<2℃シナリオでは、世界全体で化石燃料需要の縮小が見込まれるものの、化石燃料代替としての新エネルギー需要増、及び、CCUS等の環境ビジネスの機会捕捉により、収益維持は可能。なお関連地域での自然災害(異常気象)の更なる甚大化の可能性は低いと想定。(~2040年のエネルギー価格変動に対して複数のシナリオを検討)

税後利益による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 新エネルギー分野で、グループ会社とのシナジー追及やイニシアティブ参加によりビジネス機会を捕捉し、エネルギー事業ポートフォリオの再構築を図る。
  • 脱炭素社化会実現に向けたCCUS等の環境ビジネスへの取組みを強化。
  • 上流石油ガス開発に関し、資産効率化を企図し行う優良資産への入替えは、環境に配慮しつ慎重に検討。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 1,702億円(エネルギー部門/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 8,167億円(エネルギー部門/2023年3月末)
タイムフレーム ~2030年
温度帯シナリオ 1.5℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • リスク:炭素税の導入・上昇
  • リスク:リサイクルの普及によるバージンプラスチックの需要低下
  • 機会:低炭素・脱炭素関連の素材・製品の需要増加
  • 機会:クリーン燃料・化学品原料の需要増加
物理
  • リスク:台風・洪水等による設備・在庫の毀損、操業停止
  • 機会:食糧増産、食品保存・備蓄の必要性の高まりによる、化学関連の素材・製品の需要増加。
事業環境認識と事業インパクト評価

移行シナリオでは、炭素税の導入・上昇によるコスト増加や、バージンプラスチック需要低下による減収・減益が見込まれる一方で、リサイクル・バイオプラスチックやアンモニア・メタノール等、需要の増加が見込まれる環境ビジネスの機会捕捉により、収益拡大が可能。

税後利益による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 省エネ施策、再生可能エネルギーの調達等の脱炭素化社会へ向けた取組みを強化。
  • 3Rプラットフォームの提供やサステナブルサイクルの構築等、資源循環への取組みを推進。
  • また地球環境に良い「原料・素材」の供給等、環境関連ビジネスへの取組みも加速し、化学品事業ポートフォリオの再構築を図る。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 1,292億円(化学品部門/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 6,287億円(化学品部門/2023年3月末)
タイムフレーム ~2050年
温度帯シナリオ 1.5℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • 機会:低炭素製鉄原料の安定供給
  • リスク:炭素税導入による燃料・資材等のコスト増
  • 機会:新規低炭素製鉄原料案件の拡充
物理
  • リスク:暴風雨増加、水不足悪化による調達コスト増
  • リスク:気象災害多発による鉄鉱石サプライチェーンの寸断
事業環境認識と事業インパクト評価

炭素税の導入により燃料・資材等のコスト増加の可能性が見込まれるが、事業パートナーとの関係性強化や操業効率化等により、収益への影響は限定的。低・脱炭素化の加速により需要拡大が見込まれる高品位鉱の生産に注力すると共に、低炭素製鉄原料関連ビジネスの拡充等、鉄鉱石及びその周辺分野におけるビジネス機会も着実に捉えることで、更なる成長が見込まれる。

税後利益による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 低炭素製鉄技術の動向を注視し、低炭素製鉄原料の安定供給に向けた取組みを推進する。
  • 事業パートナーとの関係性強化により、GHG排出量削減の取組みを推進する。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益):2,220億円(金属カンパニー/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産:1兆2,748億円(金属カンパニー/2023年3月末)
タイムフレーム ~2030年
温度帯シナリオ 1.5℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • リスク:内燃機関車の取扱数減少
  • 機会:EVの取扱数増加
  • 機会:EVの普及に伴う新規事業の拡大
  • リスク:炭素税の導入による輸送コストの上昇
物理
  • リスク:取引先工場が被災し、操業が停止するリスク
事業環境認識と事業インパクト評価

自動車業界はICE車からEVへの転換が進むと想定される。当社の顧客は世界各国に亘っており、各国の規制に合わせて、順次取扱いがICE車からEVへの転換が進むと想定されるが、引続き底堅い自動車需要を見込むことができる。
また、一部地域では、炭素税の導入による輸送コストの増加可能性も想定される。各所と協力しコスト削減を企図し、引続き競争力を維持する。
EVの普及に伴い、蓄電池等の関連事業について強化を行い、更なる収益獲得を目指す。

売上総利益による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 自動車メーカー各社のEV開発・生産状況や、販売先国のEV関連規制の動向をもとに、地域別の需要動向を見極めて事業展開を継続する。
  • フォワーダー、海上輸送企業について、GHG排出量削減が進む取引先との関係性を強化する。
  • EV関係のビジネス拡大に向け、自動車メーカーを主とするパートナー達と連携し、事業開発・拡大を進める。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 1,801億円(自動車・建機・産機/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産:9,741億円(自動車・建機・産機/2023年3月末)
  • Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益
石炭関連事業への取組み

石炭関連事業の2℃未満シナリオ下における事業環境認識と対応策は以下の通りです。

事業環境認識 2℃未満シナリオの下、技術革新や規制動向、世界のエネルギー需給状況等と呼応しながら、一般炭の使用量は中長期的に減少していく。
対応策・方針
  • 「新規の石炭火力発電事業の開発及び一般炭炭鉱事業の獲得は行わない」との取組方針を2019年2月に決定。
  • 2021年度からの中期経営計画の基本方針の一つである「SDGs」への貢献・取組強化の観点から、脱炭素社会を業界に先駆けて実現すべく、一般炭炭鉱権益からの撤退を決定。2021年4月にコロンビア・Drummond権益の売却を実行し、一般炭のみを生産する炭鉱権益からの撤退を完了。2022年3月には、原料炭と共に一般炭も生産するオーストラリア・Ravensworth North権益の売却も実行。
  • CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発や社会実装に向けた取組みを強力に推進する。一方、再生可能エネルギーの大規模普及には、当面は調整電源・バックアップ電源として火力発電が引続き必要な面もあり、一般炭トレードを通じて資源の安定供給の責務は引続き果たしていく。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 2,220億円(金属カンパニー/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 1兆2,748億円(金属カンパニー/2023年3月末)
2. 物理的リスクが主な課題となる事業

農業・林業に関連する事業は4℃シナリオの物理的リスクが主な課題となります。

タイムフレーム ~2030年
温度帯シナリオ 4℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • 機会:パイナップル、バナナ等の食品残渣や工場廃液を含む自社有機物資源を活用した循環型クリーンエネルギー(バイオガス発電、バイオマスボイラー)や太陽光発電等の再生可能エネルギー導入拡大。
物理
  • リスク:フィリピン/バナナ・パイナップル農園での台風・干ばつ等の異常気象による収穫量減少。
事業環境認識と事業インパクト評価

異常気象に伴う収穫量の減少分は、高温に強い品種の選定、栽培方法・灌漑方法等の生産方法改良を通じた単位収穫量の増加により補填。また、天候リスクに備えた産地多角化の一環で西アフリカ(シエラレオネ等)でのパイン生産事業を開始。以上により収益拡大が可能。

EBITDA指数による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 天候リスクに備えた産地の多角化(西アフリカ・シエラレオネ等)。
  • 高温に強い品種の選定、苗の栽培方法の改善、灌漑設備導入等の生産方法改良を通じた単位収穫量の増加。
  • ドローンとICT(農薬散布箇所特定、収量予測、適時的確な施肥の実施)を用いた生産効率化。
  • 循環型クリーンエネルギーや太陽光発電等の再生可能エネルギー導入拡大による低炭素化・水資源保護への貢献、環境意識の高い消費者の支持獲得とブランド価値向上。
財務関連情報
  • Dole International Holdingsの当期純利益: ▲364億円(2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 2兆1,468億円(食料カンパニー/2023年3月末)
タイムフレーム ~2030年
温度帯シナリオ 4℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • 機会:フィンランドで炭素税が導入された場合、パルプ製造ですでに100%バイオマスエネルギーを利用している当社は競争優位となる。
物理
  • リスク:気温上昇で樹種ごとに生育適域が変動し、樹種と地域により生産量が減少(フィンランド全土の松・フィンランド南部のトウヒ)。
  • リスク:フィンランド 冬季の重機収穫は凍土が前提だが、気温上昇で土壌が軟弱化し収穫コストが増加。
事業環境認識と事業インパクト評価

世界的な平均気温の上昇により一部で生産量減少が見込まれるが、生産量拡大が見込まれる植林地域での設備増強によるパルプ生産量増加、土壌軟化対策による収穫コスト上昇抑制により、引続き収益拡大が可能。

EBITDA指数による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • フィンランドでは北部と南部において産出量の影響が異なることから 、収穫量変動のモニタリングを強化し、新工場の建設も含めたフレキシブルな生産体制を検討。
  • フィンランドの収穫においては、軟弱土壌用の特殊重機等の使用訓練を行い、より効率的な収穫方法を検討。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益): 1,687億円(生活資材・物流部門/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産: 7,523億円(生活資材・物流部門/2023年3月末)
タイムフレーム ~2030年
温度帯シナリオ 4℃シナリオ
主なリスクと機会 移行
  • 機会:GHG排出削減に貢献する飼料等低炭素関連製品の需要獲得
物理
  • リスク:輸入先国における大型ハリケーンや干ばつ等の異常気象による物流混乱・収穫量減少
  • リスク:気温上昇による輸入先国における収穫量減少、取引価格の上昇
  • 機会:輸入先国の多角化による供給体制の維持、穀物需要の取込み
事業環境認識と事業インパクト評価

気象災害や気温上昇による収量減少は、供給不安・価格上昇を招く可能性があるが、輸入先国の 多角化により供給体制を維持し、さらに低炭素関連製品の機会を提供することが可能。

売上総利益による分析(%)

[図]
  • 適応/緩和策・
    方針
  • 事業機会
  • 気候変動による急性影響・慢性影響に備えた輸入先国の多角化
  • メタン排出抑制に繋がる飼料等の新たな環境関連ビジネスに取り組む。
財務関連情報
  • 対象事業が属するセグメントの利益(売上総利益):3,309億円(食料カンパニー/2022年度実績)
  • 対象事業が属するセグメントの総資産:2兆1,468億円(食料カンパニー/2023年3月末)
  • Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益

既存戦略への影響と事業の移行計画

シナリオ分析を行う中で、現状の事業戦略や事業地域の転換といった気候変動対策を取らない場合の財務的な負のインパクトが大きいリスクを把握し、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」において『「SDGs」への貢献・取組強化~脱炭素社会を業界に先駆けて実現する』との基本方針の下、具体的な事業の移行計画・財務計画(資産入替を含む)の策定に既に着手しています。

移行リスクが主な課題となる事業の移行計画
  • 発電事業において持分容量ベースの再生可能エネルギー比率を2030年度までに20%超への拡大を目指し、案件開発の積み上げ。
  • Drummond権益の売却等を通じた一般炭権益からの完全撤退。
    (その他の一般炭権益も2023年度末まででの売却を目指す。)
  • 水素・アンモニアによる次世代燃料バリューチェーンの構築。
  • 販売台数国内No.1を誇るAI蓄電池による分散型電源プラットフォームの構築。
    (2030年度までに累計電力容量5GWhを超える規模を目指す。)
物理的リスクが主な課題となる事業の移行計画
  • 高温に強い品種の選定・生産方法改良による単位収穫量の拡大。
  • 他の生産量拡大が見込まれる地域への事業展開。

各カンパニー経営会議(DMC)は、気候変動を含むビジネスのリスクと機会を毎年レビューし、事業の移行計画を含む各種施策・ビジネスの優先順位を定めて年次計画を策定します。各カンパニーの年次財務計画は、執行機関であるHMC、監督機関である取締役会に上程され、最終的に取締役会が気候変動課題を含むESGの観点から総合的に分析・審議した上で承認されます。

また当社は、これらSDGsへの貢献・取組強化のための財務戦略の一環として2021年3月にSDGs債(総額500百万米ドルのサステナビリティボンド)を発行しました。SDGs債の一部は以下のような気候関連事項に関わる研究開発関連投資に充てられています。SDGs債発行により、伊藤忠グループの方針を幅広いステークホルダーの皆様に認知頂くとともに、「SDGs」への取組みをより一層推進することが可能となります。

  • 温室効果ガス排出削減に向けた取組み: 再生可能エネルギー(発電、蓄電)
  • ファミリーマートにおける温室効果ガス排出削減に向けた取組み

このような移行計画の遂行により、当社グループの事業・商品・サービス群はいずれも中長期的にもレジリエントな事業運営が可能であることを確認しました。また、シナリオ分析の対象以外にも当社では様々な地域で多様な事業活動を展開しており、それらの事業活動も気候変動の影響を受けていますが、個々の事業活動でのリスクがグループ全体の業績に与える影響は限定的であると現段階では判断しています。

今後も当社事業全体への気候変動の影響確認を目的に、移行面及び物理面双方からの分析を継続的に行い、影響が大きい分野の更なる特定及び整理等を進め、当社全体の中から対応が必要な事業について優先度を踏まえながら対応方針を検討していきます。

リスクマネジメント

グローバルに事業展開している伊藤忠商事では、各国の気候変動対策・世界各地の異常気象の状況と平均気温の変化が事業に与えるリスクを常に監視しています。グループ全体でのリスク分析において、気候変動対応に関する規制・異常気象等の情報から特定された気候変動リスクは、主要なリスクの1つ(環境・社会リスク)として管理対象となります。また、特定された気候変動リスクは投資判断プロセス時に検討・評価し、それぞれのリスク管理責任部署において連結ベースでリスクの特定・評価・情報管理・モニタリング体制を構築しています。

気候変動リスクの特定・評価

伊藤忠商事は、リスク管理を経営の重要課題と認識し、COSO-ERMフレームワークの考え方を参考に、伊藤忠グループにおけるリスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しています。各カンパニーとサステナビリティ推進部が連携を取り、事業の展開国での気候変動に関わる既存と新規の規制を中心とする「気候変動政策と規制」・「気候変動関連技術」・「クリーンテックビジネス」等の動向、及び世界各地の異常気象と平均気温上昇が事業に与えるリスクに関する情報収集を定期的に行い、リスクの重要性を検討します。重要度は、気候変動リスクの当社への実質的な財務的または戦略的影響の観点で、単体事業に関しては 、例えば前年度売上の10%、直近5年純利益平均の20%、前年度末純資産の30%の変化を与える場合、また連結事業に関しては、 前年度収益の10%、前年度末資本合計の3%の変化を与える場合等いくつかの指標に基づいて特定・評価しています。

当社では、これら収集された気候変動のリスクと機会に関わる情報を移行面と物理面から「マテリアルな気候変動関連のリスクと機会(リスククライテリア)」に整理しています。リスククライテリアは、新規事業の開始、既存事業、取扱商品、サプライチェーン、グループ会社の事業運営、事業戦略の見直し等の各事業フェーズのリスク管理プロセスで気候変動リスクの特定・評価に利用しています。

また、リスク評価プロセスで収集された気候変動リスクに関して、当社マネジメントメンバーと外部ステークホルダーがサステナビリティについて対話を行うサステナビリティアドバイザリーボードでの意見等も踏まえて、サステナビリティ委員会等関連委員会で審議し、リスククライテリアとリスク特定プロセスの見直しを随時行っています。

気候変動リスクの管理・全社リスクマネジメントシステムへの統合

伊藤忠商事は、その広範にわたる事業の性質上、市場リスク・信用リスク・投資リスクをはじめ、様々なリスクにさらされています。これらのリスクに対処するため、各種の社内委員会や責任部署を設置するとともに、各種管理規則、投資基準、リスク限度額・取引限度額の設定や報告・監視体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクを全社的に統合管理しています。

気候変動リスクは、主要なリスクの1つ(環境・社会リスク)としてグループリスク管理の対象としており、下表の事業段階で事業・商品・グループ会社・サプライチェーン・戦略とポートフォリオの評価手法に組み込まれています。

事業段階ごとの気候変動リスクマネジメント・評価手法

事業の段階 評価手法
事業開始 新規投資案件の環境リスク評価(1年に80件程度)
事業運営
  • 取扱商品の環境リスク評価(サプライチェーン全体での評価)
  • グループ会社の環境実態調査(1年に2、3社)
  • サプライチェーンサステナビリティ調査(当社及び子会社)
  • ISO14001に基づく内部環境監査(伊藤忠商事、対象グループ会社3社)(年1回)
  • Scope1/2/3集計と経年評価
事業戦略の見直し 事業戦略・資産入替の検討

各事業段階の評価手法でリスクまたは機会が特定された場合、下記の「リスク評価・管理活動」に示すツールを用いてリスクと機会の事業への影響が評価されます。「リスク評価・管理活動」には、シナリオ分析・ストレステスト等の定量評価、投資方針・GHG排出量削減目標への準拠性評価のような定性評価が含まれます。定量評価された気候変動のリスクと機会の情報には、気候変動以外のリスクと機会の定量情報が加算され、収益への貢献度合いが分析されます。

リスク評価・管理活動

管理要因 リスクと機会の要因 例 評価・管理活動 例
市場
  • エネルギー(原油・ガス・LNG)開発事業における炭素税導入による需要縮小
  • LNG需要増加及びリニューアブル燃料等の新エネルギー需要増加
  • シナリオ分析
  • 投資決定における気候変動に関する方針
  • 当社GHG排出量削減目標への適合
  • 新エネルギーソリューションへの投資拡大方針への準拠性
  • 収益への貢献
規制
  • エネルギー・燃料に対する国際的な取引に対する炭素税
  • 操業地での「総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)」導入
  • 発電事業での、炭素税・CCUS義務化等の影響で火力発電コストが増大
  • シナリオ分析
  • ポートフォリオ・ストレステスト
  • 規制のモニタリング
  • 炭素価格
  • 当社GHG排出量削減目標への適合
技術
  • モビリティの電動化
  • 再生可能エネルギーと蓄電池・リチウム電池のテクノロジー
  • CCUS, 水素・アンモニア及びその他の低炭素技術
  • デジタル化ビッグデータ
  • リスク要因に関する技術動向の監視
  • 新エネルギーソリューション・CCUS・低炭素新技術への投資の拡大
  • デジタル化ロードマップ
物理リスク
  • 慢性的な影響(例: 海面上昇、水不足増加)
  • 急性の影響(例: より頻繁な異常気象)
  • 新規事業開発・既存事業リスク評価での気象及び海洋学データの定期的な更新
  • 食料品に関する物理影響データの更新
レピュテーション
  • 人材獲得に関する企業の魅力の維持
  • 気候変動対策に関する投資家の認識
  • 気候関連訴訟
  • 事業実施のためのライセンス取得への影響
  • 気候変動課題に対するガバナンス
  • パフォーマンス開示の透明性確保
  • ステークホルダー(投資家、イニシアティブ、NGO、事業関係者)とのコミュニケーション

ご参考:気候変動を含めた全社の事業に関するリスクマネジメント

気候変動リスク管理体制

事業開始段階

伊藤忠商事では、各カンパニーに裁量権を委譲し迅速な意思決定を実現する一方で、投資リターンの追求、投資リスクの抑制も図る重層的な意思決定プロセスを構築しており、案件の規模と条件により、カンパニーレベルでの審査または投融資協議委員会、HMC(Headquarters Management Committee)での審査が実施される仕組みとなっています。いずれの場合でも事業投資プロセスの投資判断時の検討項目に気候変動リスクを含むESGリスク評価が組み込まれ、投資判断時に気候変動リスクが考慮されています。「投資等に関わるESGチェックリスト」というツールを活用し、GHG排出面で高負荷の案件のリスク分析、低炭素投資の推進、低炭素ビジネス機会の特定と拡大、ストレステスト等を目的として、インターナルカーボンプライシングの手法の一つとしてシャドープライシングを行っています。カンパニープレジデントの権限を越える案件を審査する投融資協議委員会とHMCには、サステナビリティ委員会の委員長を兼任するCAOがメンバーとして参加し、気候変動リスクの特定段階の審議内容と全社リスクマネジメントへの気候変動リスクの評価段階での討議内容を反映する審査体制を整備しています。

ご参考:全社の事業投資管理

事業運営段階

伊藤忠商事は、事業開始段階及び事業運営段階で特定した気候変動・自然災害・ESG投資等のリスクに対し、サステナビリティ委員会や内部統制委員会等の担当委員会や責任部署と共同で評価・管理を実施しています。気候変動を含む「環境・社会リスク」は当社として集中的に管理すべき主要リスクとして、毎年サステナビリティ推進部が担当となり取り纏め、他の主要リスクと共に内部統制委員会に報告する形で全社リスクマネジメントシステムへの統合を図ります。また、サステナビリティ委員会で気候変動リスクに関する方針や施策、リスク管理体制の浸透方法等について討議し、サステナビリティ委員長を兼任する取締役がその討議内容を年に2回程度の頻度で取締役会へ報告を行っています。

気候変動に特化したリスクマネジメントプロセスの1つとして、当社Scope1/2及びScope3の実績を8つのカンパニーごとに毎年集計しています。集計結果は経年評価もできる形で取り纏め、カンパニーが決裁した後、サステナビリティ委員会及び取締役会へ報告しています。このプロセスにより、取締役会が中長期的視点でGHG排出量削減目標達成に向けた進捗状況を監督し、新たな戦略見直しにも活用しています。

事業戦略の見直し

気候変動に関わる事業戦略の見直しは、各カンパニー経営会議(DMC)で検討された後、サステナビリティ委員会の委員長を兼務するCAOも主要メンバーとして参加する投融資協議委員会を経てHMCで検討され、取締役会での審議を経て決定されます。事業戦略や資産入替を検討する際のツールとして、TCFD提言に基づくシナリオ分析も活用されます。分析にあたっては短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会について、組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響を1年に1度分析します。

指標と目標・アクションプラン

伊藤忠商事は、気候変動リスク及び機会への対応の一環として、GHG排出量と電力使用量、クリーンテックビジネスに関し以下の目標を設定しています。これら指標と目標を定める際には、日本国のNDCや、国際的な信頼性が高く多岐にわたる事業領域をカバーできるIEAの資料等を参照しています。

温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標

  • 指標(集計範囲): Scope 1/2/3(当社及び子会社)、化石燃料事業・権益(当社・子会社・関連会社・一般投資)
  • 目標:
    • 2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現。
    • 2040年までに2018年比75%削減を実現し、GHG排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ「オフセットゼロ」を目指す。
      • オフセットゼロ: 削減貢献量が当社GHG排出量を上回る状態
    • 2030年までに2018年比40%削減を実現。
[図表]

ご参考:GHG排出量推移

Scope1/2の短期削減目標

伊藤忠商事はこれまで、伊藤忠商事国内拠点の電力使用量について、2023年3月期において2010年度比30%減という目標を設定し、電灯のLED化等の設備更新・節電に取組んできました。その結果、2023年3月期において2010年度比51.8%減と、当初目標を大きく超えて達成しました。電力使用量を含むScope1/2排出量は既に相当削減が進んできたことを踏まえ、伊藤忠商事国内拠点における新たな目標としてScope1/2の短期削減目標を策定し、経済産業省主導によるグリーントランスフォーメーションに挑戦する企業群が官・学と協働で活動するGXリーグにも登録をしています。また当社はGXリーグにおいて活用される日本証券取引所のカーボン・クレジット市場にも参加し、自社及び他社の脱炭素化に貢献していきます。

(単位:t-CO2e)

2021年度
(基準年度排出量)
2023-2025年度
総計(目標)
2025年度
(目標)
Scope1(直接排出)

77

223

74

Scope2(間接排出)

5,946

17,308

5,711

合計

6,022

17,531

5,785

  • 算出対象の範囲は「GX-ETSにおける第1フェーズのルール」に基づき設定しているため、伊藤忠商事国内拠点全体のScope1/2とは合致しない。

クリーンテックビジネスの指標と目標(アクションプラン)

気候関連のリスクと機会の主要な測定基準(指標)の1つとして、伊藤忠商事のクリーンテックビジネスにおいて下記の指標と目標(アクションプラン)を設定しています。

ご参考:当社のクリーンテックビジネス

アクションプラン

マテリアリティ SDGs
目標
インパクト分類 取組む
べき課題
事業分野 コミットメント 具体的対応アプローチ 成果指標 進捗度合(レビュー)
機械カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 気候変動への取組み 発電事業全般 再生可能エネルギー発電と従来型発電のバランスの取れた電源開発により、国・地域ごとに最適化された持続可能な形でその発展に貢献します。 国・地域の分析を通じて、再生可能エネルギー発電の投資機会を積極的に追求。 2030年度:再生可能エネルギー比率20%超(持分容量ベース。エネルギー・化学品カンパニー含む全社数値)を目指し、今後の取組みに反映。
  • 風力案件(Butendiek、Cotton Plains)を継続して運営中。
  • 2020年3月、Kimball発電所(米国ネブラスカ州)、South Fork発電所(米国ミネソタ州)からなる風力発電所へ出資。
  • 2020年12月、米国で約1,500か所・230万キロワットの太陽光発電所運転・保守・資産管理サービスを行うBay4 Enegy Services, LLC社の全出資持分を取得。
  • 2022年1月、米国における再生可能エネルギー開発を加速すべく、Tyr Energy Development Renewables (“TED”)を設立。現在太陽光発電所を中心に約200万キロワットの再生可能エネルギー資産を開発中。長期再エネ売電契約締結についても交渉中。
  • 2022年12月、プレイリー・スイッチ風力発電所(米国テキサス州)への出資契約に調印。現在建設中、2023年末の完工を予定。
  • 発電事業持分容量ベースでの再生可能エネルギー比率は2023年3月現在16.1%(全社)。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 気候変動への取組み ゼロ・エミッション船 アンモニア燃料船の開発・保有運航・燃料供給拠点整備・燃料調達を包括する『統合型プロジェクト』推進を通じて船舶・海運分野における脱炭素に貢献します。 日本企業連合を核としたアンモニア燃料船の共同開発、同船舶の保有運航に加え、舶用アンモニア燃料の供給拠点整備、燃料調達を伊藤忠主導で行うことによりパイロット案件の早期具体化を目指す。
  • アンモニア燃料船開発、保有運航、燃料供給拠点整備と燃料アンモニア調達を統合的に推進することで舶用アンモニア燃料を中心としたバリューチェーンを構築。
  • 2026年以降、アンモニア燃料船の普及とサプライチェーン構築を促進し海事産業の脱炭素に貢献。
  • 国際海運の脱炭素化への貢献、新規ビジネス構築を目指し、アンモニア燃料船の「統合型プロジェクト」を推進中。(1)アンモニア燃料船開発、(2)保有運航、(3)燃料供給拠点開発、(4)燃料アンモニア調達を包括的・同時並行的に開発中。
  • 2022年4月、シンガポールにて燃料供給拠点整備を進めるパートナー企業各社と共に、シンガポール海事港湾庁との間で同国における舶用アンモニア燃料供給(バンカリング)拠点開発の促進に向けた覚書を締結。安全な燃料供給体制の整備やアンモニア・バンカリング船の開発を推進中。
  • 2022年11月、グリーンイノベーション基金事業に共同で採択されたパートナー企業各社と共に、アンモニア焚大型ばら積船の基本設計承認(Approval in Principle)を日本海事協会より取得。安全を考慮したアンモニア焚大型ばら積船の開発を推進中。
  • 同プロジェクトの一環として、資源大手・エネルギー・製鉄・船会社・造船所等の国内外34企業・団体と共に舶用アンモニア燃料導入の共通課題を整理検討するフレームワークとして『協議会』を運営中。2022年4月、アンモニア・バンカリングの安全基準を主要な港湾主管庁、関連事業者との間で意見交換する場として『港湾協議会』を新たに発足させ既存『協議会』とも連携し活動を拡大。関係者や専門家によるプレゼンを50回超実施。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 気候変動への取組み 乗用車・商用車販売 電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、環境負荷低減車等の導入により環境に優しいモビリティ社会を実現します。 EV・HV・環境負荷低減車及び関連部品等の環境に配慮した高効率製品の取扱いを増やすことで環境対策車の普及に貢献。 取引先自動車メーカーによるEV・HV・環境負荷低減車等のラインアップ拡充に伴う環境に配慮した製品の販売拡大。
  • 相乗りシステムを提供するVia社へ2019年に出資し、環境負荷の低い移動手段(高効率)を地方自治体を中心に提供。
  • 2019年よりEV小型トラックの実証実験や機能開発を進めてきた知見を活用し、商用EV普及に向け、国内でいすゞのEV向けトータルソリューションプログラム「EVision」のパートナーとして、各種ソリューションの提供に協力開始。EV導入やそれに伴う再エネ導入を通じた環境負荷低減を目指す。
  • 2021年9月に環境省委託事業である“バッテリー交換式EV開発及び再エネ活用の組み合わせによるセクターカップリング実証事業”に採択され、伊藤忠がプロジェクトオーナーとなりバッテリー交換式EVの事業化を目指す。2022年11月より、本実証事業で開発・製作した試作機(バッテリー交換式小型EVトラック2台、バッテリーパック6個、バッテリー交換ステーション1基)により実証運用開始。
  • EV普及が進む中国においてEV商用車レンタル・メンテナンスサービスを提供する地上鉄へ2018年に出資。国内外のEV関連事業を展開すべく地上鉄と戦略提携の覚書を締結。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
  • 水資源
  • 汚染防止と資源循環
水・衛生インフラの整備 水/環境プロジェクト 水・廃棄物の適切な処理、有効利用を通じて、衛生環境の向上、経済活動の発展、及び地球環境保全に寄与します。 水・環境事業の拡大を通じ、水の適切な利用・処理及び資源の有効活用を促進、環境負荷を低減。 環境に対する社会要請およびサーキュラーエコノミー促進に繋がるより高付加価値な水・環境関連事業の地域展開、優良資産・機能の拡大及び進化を目指す。(JCM等を活用した脱炭素案件開発に取り組んでいく予定)。

■水分野

豪州及びオマーン/海水淡水化事業(造水能力日量281,000m3のオマーン最大規模)を展開。引続き、海水淡水化事業等を通じた地域安定給水に寄与すると共に、各産業セクターにおける水課題に対するソリューション型事業への関与を目指す。

■環境分野

  • 英国/一般廃棄物の焼却処理・発電事業を運営中(計4事業)。同国の廃棄物焼却処理市場の15%にあたる年間130万トンの廃棄物を焼却処理、16万世帯分の国内家庭消費電力に相当する電力を供給。
  • サウジアラビア/ジュベイル工業団地にて工業系廃棄物の受託・処理事業を展開するEnvironment Development Company(現SSES)社へ20%出資参画中。
  • セルビア/ベオグラード廃棄物処理・発電事業にて、ベオグラード市政府に対し部分サービスを開始。市から排出される新たな廃棄物は環境負荷の無い形で適切な処理が開始され、環境汚染と温室効果ガス排出の削減開始。建設廃棄物のリサイクルも行われている。現在廃棄物処理発電施設の建設中。7項目のSDGs認証、約21万トンの温室効果ガス削減を見込み、22年10月にはゴールドスタンダードからカーボンクレジットの認証を取得。
  • UAE/ドバイ廃棄物処理・発電事業を2020年12月に契約調印。現在建設中。ドバイ首長国で初めての廃棄物処理・発電事業であり、同首長国で排出される一般廃棄物の半数に及ぶ190万トン/年を処理する世界最大のプラント。
  • 水分野同様、各産業セクターにおける環境規制の厳格化・SDGs/ESG経営志向の高まりを受けた廃棄物処理ニーズを捉えた取組み機能強化を目指す。
金属カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
  • 気候変動の機会
  • 資本導入
気候変動への取組み
  • 資源リサイクル事業
  • 鉱山事業
  • 環境対策事業
  • 素材関連事業
  • 環境への影響を充分に考慮しつつ、資源の安定供給という社会的使命・責任を果たします。
  • 自動車の軽量化・EV化関連事業等、温室効果ガス削減に寄与する事業、また不可欠な素材の安定供給を通じ、気候変動問題に貢献します。
  • 循環型ビジネスを主導的に展開。
  • 製鉄・電力等の対面業界の次世代資源・原料としての水素・アンモニア等の社会実装に向けた取組みを推進。
  • ニッケル、PGM等、水素やグリーン素材・エネルギー、蓄電池等の製造・供給に必要な素材の安定供給に寄与する事業を推進。
  • CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発への関与を継続。
  • 石炭ビジネスについては、引続きトレードよる資源の安定供給という社会的使命・責任を果たしつつ、一般炭炭鉱権益からの完全撤退に向けた取組みを推進。
  • 自動車軽量化・EV化に寄与するビジネス(アルミ、銅 等)の取組み強化。
  • 循環型ビジネスの推進。
  • 製鉄・電力等の対面業界の次世代資源・原料としての水素・アンモニア等の社会実装に向けた取組みの推進。
  • 水素、グリーン素材・エネルギー製造、CCS(CO2貯留)・CCU(CO2活用)等の温室効果ガス排出削減に寄与する技術開発、事業化に向けた検討の推進。
  • 一般炭炭鉱権益からの撤退に向けた取組み。
  • 自動車軽量化・EV化に寄与するビジネス(アルミ、銅 等)の取組みの実現。
  • 持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーンを通じた3R+W(Reduce / Reuse / Recycle + Waste Management)を推進、限られた資源の有効活用と環境素材の供給に寄与。具体的には、コンビニ等店舗設備・什器等の再利用・再資源化、金属スクラップ・廃棄物処理の拡大・高度化、2019年度に出資した総合リサイクル企業であるリバーホールディングス(現TREホールディングス)との連携強化等の静脈産業への取組みを着実に推進。
  • グリーン水素生産に必要な水電解装置の世界最大規模のメーカーであるノルウェーのNel社との間で水素分野における戦略的業務協力に関する覚書を締結。両社での水素関連ビジネスの案件発掘・推進を継続。
  • 電気自動車・燃料電池車の世界的な普及に伴い大幅な需要拡大が見込まれるPGM/ニッケル事業(Platreef案件等)の実現に向け推進すると共に、トレード取り扱いを拡大。
  • 九州北部における、水素の地産地消モデル事業の協同事業化調査をパートナーと継続。
  • CO2固定化技術を有する豪州MCi社に出資し、同社の技術の日本国内での展開を推進中。2022年7月には大成建設(株)との覚書を締結し、生産物の炭酸カルシウム等のコンクリート原料としての活用につき、検証中。
  • その他のCCUS技術の検討や、CO2排出量の削減に繋がる様々な取組みも推進中。
  • 現中期経営計画の通り、SDGsへの貢献・取組み強化の観点より、一般炭炭鉱権益から撤退する方針。既に、持分数量の大宗を占めていたコロンビアDrummond一般炭炭鉱権益と、原料炭と共に一般炭も生産する豪州Ravensworth North炭鉱権益を売却実行済み。
  • 自動車用アルミパーツ製造につき、2019年度に出資した日軽金アクトとの北米事業が現地量産を開始。引続き自動車軽量化に寄与するアルミ原料・製品トレードを推進。
エネルギー・化学品カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
  • 移行リスク
  • 資源安定供給
気候変動への取組み 石油・ガス権益、液化天然ガス(LNG)プロジェクト GHG削減を考慮した資源(Transition Fuel)の生産を行い、産業の発展・基盤構築に寄与する安定供給を行います。 高い技術力と豊富な経験を有する優良パートナーとの協働による資源開発案件への取組み。 持続可能な社会実現に向けた転換期におけるエネルギーの安定供給を念頭に、化石燃料では相対的に環境負荷の少なく、また、低炭素燃料の原料源にもなるガスプロジェクトへの参画機会追求。 持続可能な社会実現に向け、Transition Fuel及び低炭素燃料の原料源として、新規ガスプロジェクトへの参画具現化、及び脱炭素に係る協業へ向けた優良パートナーとの協議を継続実施中。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 地域社会・環境に配慮したエネルギー利用 地域熱供給 環境に配慮した熱エネルギーの面的利用の取組みを推進します。
  • 神宮外苑地区における近隣ステークホルダーとの適切なコミュニケーションによる熱供給の普及推進。
  • 高効率な熱供給プラントの設計・建設・運転。
神宮外苑地区における地域熱供給の安定的な操業維持と、近隣地域への熱供給の普及推進。 近隣地域への熱供給の普及推進に向け、関係するステークホルダーとの協議を継続中。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 再生可能エネルギーを最適に継続的に供給する取組み
  • 蓄電池関連
  • 電力・環境ソリューション
  • 再生可能エネルギーを効率的かつ最適に活用するための鍵となる蓄電池の安定供給を続けます。
  • 蓄電池ビジネスチェーンを強化し、特にリサイクル事業を通じた循環型モデルの確立を目指します。
機械学習(AI)をベースにした最適充放電ソフトを搭載した蓄電池の継続的販売と退役電池のリサイクル・リユース事業の確立。
  • 蓄電池の販売数。
  • リサイクル・リユース電池の活用。
  • 2023年3月末までの累計販売台数は約5.5万台(約539MWh)。
  • 米国住宅用蓄電池の開発・販売会社Lunar Energy社との資本業務提携。日本市場での住宅用ESS「Smart Star」シリーズへの標準搭載及び拡販を推進するとともに、グリッドシェア(AI制御ソフトウェア)の分散電源制御のグローバル共通プラットホーム化を推進。
  • 家庭用蓄電池の遠隔制御機能を活用したデマンドレスポンス実証を電力会社と実施中。
  • 日本最大級の蓄電池生産を目指すパワーエックスへの出資。超急速EV充電器を用いたチャージステーションの普及を目指す。
  • ZF Japanの車載リチウムイオン電池を活用した脱炭素社会に向けたサービスについて、合弁会社設立を含む共同での事業化検討に合意。
  • リサイクルチェーンとトレーサビリティの確立を目指し、家庭用蓄電池からの廃電池を用いて、リサイクル実証を推進中。
  • 気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
  • 安定的な調達・供給
  • 資源安定供給
  • 資本導入
脱炭素社会/循環型低炭素社会実現に向けた新燃料の取組み 水素・燃料アンモニアの生産・供給、及び、リニューアブル燃料の調達・供給 持続可能な社会実現に向け、ライフサイクルアセスメントベースでのGHG削減に寄与する、新燃料の生産・供給体制の構築を目指します。 燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代エネルギー・燃料として期待されている水素・アンモニア、及び、内燃エンジンからの変更が難しい航空機や大型車両から派出されるGHG削減に寄与するリニューアブル燃料(廃棄油等由来)への取組み。 優良パートナーとの協働、及び、これまでの開発・トレードでの実績を活かし、生産・効率輸送・供給を実現できる新燃料バリューチェーンの構築。

【水素・アンモニア】

  • 日本エア・リキード合同会社と協働で、2024年開所予定の日本初大型商用車両対応の福島県本宮インターチェンジ水素ステーションを皮切りに、大型水素ステーション建設につき検討継続。
  • マレーシアの国営石油ガス会社Petroliam Nasional Berhadグループ、インフラ大手地場企業Inter Pipeline Ltdと、カナダのクリーンアンモニア製造販売事業の共同事業化調査中。

【リニューアブルディーゼル(RD)、再生航空燃料(SAF)等】

  • Neste OYJ社製RDの、コンビニ配送車両・タンクローリー車・商用運送車向け給油拠点における使用実現。
  • Raven社製SAFの全日本空輸株式会社、及び日本航空株式会社への供給合意。Neste OYJ社製SAFのETIHAD航空社への供給開始(2022年10月)。
  • 国土交通省「輸入ニートSAFモデル実証事業」においてSAF供給事業者として参画。Neste OYJ社より輸入するニートSAFをジェット燃料と混合し飛行検査機へ供給。
  • 食品残渣からバイオガスを製造する装置の製造・販売を行う米国ベンチャー企業Impact Bioenergy社に出資。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
資本導入 脱炭素社会実現と包摂的かつ持続可能な経済成長実現に向けたCCS事業での取組み CCSを用いたCO2回収チェーンの構築 持続可能な社会実現に向け、GHG削減に寄与する、CO2回収チェーン構築を目指します。 石油開発技術の応用であるCO2貯蔵技術の磨き、同技術に誘導するためのCO2回収チェーン(引取り、輸送等)へのアクセスの強化。 カンパニー横断で各対面業界におけるCO2排出先のCO2回収ニーズを発掘し、CO2輸送・貯留事業のビジネスモデルを構築。 伊藤忠石油開発株式会社と共に、二酸化炭素地中貯留技術研究組合へ加入し、同技術の研究開発プロジェクトに参加。経済産業省が推進する先進的CCS事業に関連し、船舶輸送を用いたCCSバリューチェーン事業の実現可能性について協業パートナーと検討中。これら取組みを通じてCO2回収チェーンのビジネスモデル構築を目指す。
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
気候変動の機会 再生可能エネルギーを最適に継続的に供給する取組み 再生可能エネルギーIPP/再生可能エネルギー関連資材調達/分散電源取組み
  • 再生可能エネルギー発電所(太陽光・バイオマス・風力)の開発/保有/運営を通じ、再生可能エネルギーの安定供給を実現します。
  • 再生可能エネルギー関連資材調達を通じ、国内外の再エネ発電の活性化を実現します。
  • 太陽光分散電源の展開を通じ、系統電力に頼らない自立電源としての太陽光発電を普及させ、再生可能エネルギーが身近にある世界を実現します。
再生可能エネルギー発電所の安定的な運営及び新規開発による再生可能エネルギー資産規模拡大とVPP化を見据えた国内分散電源の確立。
  • 再生可能エネルギー資産規模
  • 分散電源規模
  • VPP Japan社を通したオンサイト型太陽光発電PPAの拡大(2023年3月末時点 導入件数 555件、約120MW)。
  • 出資先であるクリーンエナジーコネクト社を通じて、Amazonに対してオフサイト型太陽光発電PPAにより再生可能エネルギー供給を開始。(2023年2月)
食料カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
GHG排出量 気候変動への取組み 生鮮食品分野 気候変動対策に資する施策を検討・推進します。 ドール事業におけるクリーンエネルギーの活用。
  • フィリピンの加工食品工場より排出される残渣を原料としたボイラー・発電所の稼働状況。
  • その他のクリーンエネルギー等の導入状況。
  • 2022年7月1日に第二発電所(Polomolok発電所)の商業稼働が開始(第一発電所(Surallah発電所)は21年12月に稼働開始済み)。予定通りパイン残さの他、不可食バナナ残さも含む原料の供給と、バイオガス由来のスチーム・電気を活用したオペレーションを開始。
  • 2022年度残渣投入量実績:97,566MT。
住生活カンパニー
気候変動への取組み(脱炭素社会への寄与)
資本導入 気候変動への取組み スラグ等セメント代替 土木・建設等に欠かせないセメントの代替材として、持続可能な副産物(スラグ)の利用拡大を図ります。 スラグ等副産物の供給側である製鉄所と需要側の間で、継続的・安定的な商流を構築。 継続的かつ安定的な商流構築を目指し、スラグ事業への出資・参画等を検討すると共に特に発展途上国での需要創出に注力する。 スラグ事業への出資・参画は継続協議中。

役員報酬制度への気候変動課題の反映

伊藤忠商事は経営戦略と役員報酬制度の連動性を高めるため、2020年度以降の各役員の評価は、新たに気候変動及びESG・SDGs対応を含めて決定しています。取締役報酬の月例報酬部分につき役位ごとの基準額をベースに気候変動及びESG・SDGs対応を含む会社への貢献度等に応じて決定されます。

ご参考:当社の役員報酬制度

取組み

事業活動における気候変動への取組み

気候変動に対応した持続可能な農園の運営に向けて

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バナナ畑

伊藤忠商事のグループ会社であるDole社がバナナ畑を有するフィリピンミンダナオ島では、台風、干ばつ、病虫害等が発生し、バナナの生産数量は2016年度44万tと4割減少したことから、以下分析を行いました。

  • 全社リスクマネジメントの一環であるグループ会社の環境実態調査(1年に2~3社)での気候変動に関する短期・中期のリスク評価。
  • リスク評価の際必要になる情報として、気候変動に関する国内外の動向や、気候変動によって引き起こされる問題事例等を把握しERMで分析。

その結果、特に「生産地の集中化」が重大なリスクと認識しました。当該リスクに対応しつつ生産量の回復・拡大を行うべく、バナナにおいては灌漑設備の導入、農地の集約・拡張、病虫害対策等を実施しました。また同様のリスクはパイナップル栽培にも存在することから、パイナップル農園への設備投資と栽培方法見直しにより生産性の改善を行い、天候不順リスク等に備え、産地多角化も推進することを決定しました。上記分析・対策の推進により、2020年にミンダナオ島付近で多くの台風が発生した際も、多角化した生産地及び栽培技術を駆使しバナナ及びパイナップルの生産量維持をすることができました。

一般炭権益からの完全撤退

伊藤忠商事はいくつかの石炭権益への投資を行っていますが、将来的にこれらの事業が炭素税等の対象となったり、再生可能エネルギーと省エネ技術の普及促進により各国のエネルギーミックス等政策が変化し再生可能エネルギーの価格競争力がさらに高まることで、石炭関連ビジネスからの利益が減少し、これら資産の減損または固定化されることを余儀なくされるリスクがあります。

このようなリスク分析に基づき、当社は2019年に新規の石炭火力発電事業の開発及び一般炭炭鉱事業の獲得は行わないことを取組方針として公開し、2019年2月には豪州IMEA社を通じて保有するRolleston一般炭炭鉱全持分権益を売却、2021年には中期経営計画で脱炭素社会を業界に先駆けて実現することを宣言し、Drummond権益及びRavensworth North権益の売却を実現しました。

既存の一般炭炭鉱事業については、引続き国内外の需要家に対するエネルギー安定供給という社会的要請に応えつつ、持続可能な社会の発展に貢献すべく継続してレビューを行います。

東京本社 実質CO2フリー電気への全面切替え

伊藤忠商事は、2020年1月分より、CO2を排出しない環境価値を示す「非化石証書」を組み合わせた実質CO2フリー電気を東京本社ビルの電気の購入先である東京電力エナジーパートナー株式会社から調達しています。また非化石証書には株式会社関電工の子会社が運営する前橋バイオマス発電所(群馬県前橋市)のトラッキング情報(電源種別や所在地を明らかにする情報)を付与し、購入する電気と組み合わせて東京本社ビルで使用しています。本取組みは、世界的な脱炭素の流れを受け、事業運営で使用する電力を100%再生可能エネルギーとする国際イニシアティブ「RE100」にも適用可能なものです。

ご参考:東京本社 実質CO2フリー電気への全面切替えに関するプレスリリース

東京都「地球温暖化対策計画書制度」への取組み

伊藤忠商事は、東京都環境確保条例に基づき、東京本社ビルのCO2排出量を2020年度~2024年度の5年間に基準値(2002年度~2004年度の平均値)より25%削減する計画書を東京都に提出しています。2022年度のエネルギー起源CO2排出量は5,723t-CO2であり基準値と比較して約46%減となっています。

なお、東京都に提出している書類は以下の通りです。

  • 東京都に提出した「地球温暖化対策計画書」の対象は、東京本社ビルのみならず、隣接する商業施設「Itochu Garden」も含みます。

外部との協働

財界・業界団体を通じた活動

伊藤忠商事は、日本経済団体連合会の環境・エネルギー関係の委員会である「環境安全委員会地球環境部会」に参加し、自主行動計画の推進、温暖化、廃棄物・リサイクル、環境リスク対策等、経済と両立する環境政策の実現に取組んでいます。また当社は商社業界団体である日本貿易会傘下「地球環境委員会」の委員として、低炭素社会の構築、循環型社会の構築、環境関連法規への対応等に取組んでいます。日本貿易会が掲げる「気候変動対策長期ビジョン」は、当社の方針・目標とも合致しており、引続きこれを支持します。

当社が参加する各種業界団体等にて気候変動等に関する方向性を決める場合は、その決定過程において当社のサステナビリティ推進基本方針に沿った意見を表明します。万一それら団体の方針が当社方針と大きく異なる場合は、当社の方針に沿った形になるように努めます。

国内の事業活動における2030年の削減目標(商社業界)

  • 2030年度の電力使用原単位(会社全体における床面積あたりの電力使用量)を2013年度比で15.7%削減するよう努める。(2018年7月再設定)
    (伊藤忠商事国内拠点の電力使用量は、2010年度比30%減を目標とし、2022年度時点で51.8%減を達成しました。)

日本貿易会「気候変動対策長期ビジョン」

日本貿易会は、カーボンニュートラルな社会の実現を目指して、他業界・他団体との連携を有効に活用し、各々の長期ビジョンと協調して、2050 年に向けたパリ協定における長期目標の達成への貢献を目指します。このビジョンの下、会員企業は気候変動緩和策・適応策の検討・実施をビジネス上の重要課題と捉え、新たなビジネス、ソリューションの創出に努めます。

私たちは、時代の変化や多様なニーズに応じて事業内容を柔軟に進化させてきました。全世界をフィールドに、多岐にわたる産業分野の様々なプレーヤーと連携してビジネスを進めている商社だからこそ、気候変動というグローバルな課題の解決に、その機能を存分に発揮して貢献することが可能であると考えています。

ご参考:気候変動対策長期ビジョン[PDF]

TCFDコンソーシアムへの参画

ご参考:イニシアティブへの参加

CDP(気候変動)への参加

ご参考:イニシアティブへの参加

「COOL CHOICE」への参加

ご参考:イニシアティブへの参加

経済産業省「GXリーグ」への参画

ご参考:イニシアティブへの参加

気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative (JCI))への参加

ご参考:イニシアティブへの参加