カーボンニュートラルの実現に寄与する取組の推進

当社は、製鉄・電力業界等への資源の安定供給という社会的使命・責任を果たしつつ、SDGsへの貢献・取組を更に強化するため、温室効果ガス排出削減に寄与する技術の開発や、事業化に向けた検討にも注力しています。

2021年4月には、持続可能な社会の実現に向けて、金属資源部門に「カーボンニュートラル推進室」を新設しました。従来からの資源ビジネスにおける需要家や優良なジョイントベンチャー・パートナーとの強固な関係を活かし、また全世界における先進的な取組を行うパートナーとも協業しながら、様々なCCUSの取組や、水素・アンモニア等の社会実装に向けた取組を始めとするカーボンニュートラルビジネスを推進しています。

CCUSの具体的な取組として、オーストラリアのMCi社と協業し、製鉄スラグ・石炭灰・廃コンクリート等にCO2を吸収・固定化させ、製造した炭酸カルシウム等を建材用途に利用する技術開発を推進しています。2022年7月には当社と大成建設(株)、MCi社の3社間で覚書を締結し、コンクリート原料としての本炭酸カルシウム等の活用につき、検証を進めています。更に、液化CO2大量輸送技術の確立のための研究開発・実証事業も実施しています。

また、2023年にはイギリスの環境ソリューション企業であるCF Partners社と業務提携し、同社が調達・保有する排出権の販売窓口として、特に日本及びアジア諸国における排出権取引を支援しています。

また、水素に関連する取組として、2021年2月より、当社は、長年の重要顧客である日本コークス工業株式会社と、ベルギー最大手の総合海運会社であるCompagnie Maritime Belge B.V.社と、九州北部での水素地産地消モデル事業に関する共同事業化調査を実施しています。日本コークス工業の副生水素と、CMB社の水素エンジンを柱に、水素の需要と供給双方を創出し、地産地消型のサプライチェーンの構築を目指すプロジェクトです。

更に、グリーン水素生産に欠かせない水電解装置に関して、世界最大規模のメーカーであるノルウェーのNel社との間で、水素分野における戦略的業務協力に関する覚書を締結し、両社で水素関連ビジネスを推進しています。
Nelからの紹介を受け、2024年2月に当社は大阪ガス(株)の子会社と共同で、グリーン水素バリューチェーン構築を推進するEverfuel A/Sの株式を取得しました。同社は水電解装置を用いたグリーン水素生産設備・輸送機器・水素ステーションの設計・EPC・運用を行い、産業分野・モビリティ分野への水素の販売を通じて、地産地消のグリーン水素バリューチェーン構築を推進しています。
本件を通じて得られる知見やノウハウを活用し、水素の地産地消事業の欧州および他地域への横展開や、水素派生商品の製造事業への参画を目指すことで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

Everfuel社の水素製造プロジェクト(同社提供)

MCi社の豪州ニューキャッスルのパイロットプラント(同社提供)

CMB社の水素混焼エンジン(同社提供)