金属資源分野

金属資源分野では、鉄鋼・電力・非鉄金属業界を中心とした基礎産業への原料の安定供給をめざし、世界各地でその開発とトレードを行っています。

鉄鉱石分野では、オーストラリアで大手資源会社BHP社と共同で、マウントニューマン等、複数の鉄鉱山開発事業を手掛けるジョイントベンチャーを運営しており、年間生産量は約2億9千万トンです。また、ブラジル鉄鋼大手CSN社(Companhia Siderurgica Nacional社)傘下の鉄鉱石生産・販売会社であるCSN Mineração S.A.社に日韓台企業連合の最大株主として資本参加しています。その他にも、2022年にはカナダで鉄鋼大手ArcelorMittal社等が運営するカナダ鉄鉱石事業(AMMC社)に資本参加しています。これらの優良な資源事業において、供給力を更に強化するための事業運営を行うと共に、鉱山操業の更なる効率化や安全性の向上、脱炭素を含む省資源化に向け、次世代技術を活用した取り組みをパートナー企業と共に推進しています。

石炭分野では、大手資源会社グレンコア社等と共同で、オーストラリアにて石炭生産・販売を行うジョイントベンチャーを運営しています。その他にも、インドネシアの原料炭炭鉱であるスプラバリ炭鉱への投資や、米国ウエストバージニア州のアレゲニー原料炭炭鉱開発プロジェクトも手掛けています。石炭ビジネスについては、引き続きトレードによる資源の安定供給という社会的使命・責任を果たしつつ、持続可能な社会の発展に貢献すべく、CCUS等の温室効果ガスの排出削減技術の開発・普及推進にも注力しています。

尚、100%出資の事業会社であるITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd.が、オーストラリアやカナダ、インドネシアの鉄鉱石・石炭の資源開発権益を集中保有し、鉱物資源開発の効率的な事業運営を行っています。

非鉄分野では、自動車の軽量化ニーズで更なる需要の高まりが期待されるアルミ原料のトレードおよび事業投資を行っています。また、電気自動車の普及に欠かせない蓄電池や、水素の製造・利用を支える銅・ニッケル・プラチナといったベースメタル・レアメタルの開発および探鉱に取り組んでいます。また、伊藤忠メタルズ株式会社では、サプライチェーンの川中・川下分野における非鉄原料・製品のトレードに加え、北米での自動車アルミ部品の製造事業を行っています。また金属スクラップのリサイクルや産業廃棄物の適正処理等、持続可能な社会に寄与するビジネスを推進しています。特に限られた資源の有効活用に直結するリサイクル関連ビジネスは、3R+W (リデュース、リユース、リサイクル、ウェイストマネジメント)による環境への負荷低減を図るという社会的なニーズの高まりから、同社における重要なビジネス領域の1つとなっています。2019年度に出資した総合リサイクル企業であるリバーホールディングス(現TREホールディングス)との連携を強化する等、静脈産業における取組みに注力しています。

(左)BHP社提供 (右)Emirates Global Aluminium社提供