CITIC・CPグループとの取り組み

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CITIC Limited、Charoen Pokphand Group Company Limitedとの
戦略的業務・資本提携を中核に据えた中国・アジア戦略

伊藤忠商事は、業界最強を誇る生活消費関連分野を中心とする非資源分野に軸足を置き、長きに亘り足場を固めてきた強みを持つ中国・アジア市場を最強のパートナーと開拓していきます。

1.Charoen Pokphand グループとの業務・資本提携

タイからアセアン、中国へと展開する巨大コングロマリット

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最初の一手は、2014年7月のCharoen Pokphand グループ(以下CPグループ)との業務・資本提携です。
CPグループはCharoen Pokphand Group Company Limitedを中心とした企業集団であり、その原点は中国出身の謝(チャラワノン)一族がバンコクで小さな種苗販売店を開いた1921年に遡ります。その後、家畜の飼料生産に事業を拡げ、1980年代頃から農畜産物や食料品、情報通信、流通、金融、医薬品などへと多角化を加速し、アセアン全域、中国、欧州へと地域的にも事業領域を拡張してきました。

現在では、タイの国家予算の半分に相当する5兆円の売上高、従業員数約30万人、世界17カ国で事業を展開するタイ最大、アジア有数のコングロマリットに発展を遂げています。中でも中核の飼料事業は、世界最大級の事業規模を誇ります。多くの華僑が財を成してきた不動産関連事業へのエクスポージャーは総資産の10%程度にとどまり、一貫して実業で発展してきた稀有な存在であることが大きな特徴です。また、中国の地場市場で、事業基盤構築に成功している数少ない企業であることも大きな強みとしています。

本業務・資本提携により、CPグループは当社の株式4.7%(2016年3月末現在)を保有する大株主となりました。一方当社も、中国・ベトナムにおいて飼料事業、畜産・水産関連事業、食品加工事業を展開するCPグループの中核企業C.P. Pokphand Co. Ltd.(以下、CPP)の株式25%を保有しています。日本の総合商社による外資受け入れを伴う業務提携は過去に例がありません。ここにこそ、当社とCPグループの真意があります。

中国への強い想い

とりわけ想いが一致したのは、中国における事業機会の創出です。
当社は、「中国最強商社」を自認しながらも、他の外資企業と同様に地場市場への浸透には課題がありました。それに対して、CPグループは300社以上の企業が29の省で農畜産品をはじめとする事業を手掛け、正大集団(チアタイ集団)として広く認知される中国最大の外資系企業集団に成長しており、中国政府や顧客の信頼と豊富な人脈も築き上げています。その中核企業の一つが、当社が資本参画したCPPです。同社は飼料製造において最大手の一角を占め、販売網をほぼ全土に築き上げています。日本の優れた技術をはじめとする当社の経営資源と、販路をはじめとするCPグループの事業インフラを組み合わせれば、拡大する「質へのニーズ」を広範囲で掴んでいくことができます。食料分野から非資源分野全体に視点を拡げれば、情報通信、流通、金融・保険、医薬品など極めて広範な領域での協業も可能です。
事業拡大に向けた共同開拓を確実かつ継続的に進めていくために、相互出資に踏み込み、相互の企業価値を高め合うべく、強固な関係を構築するに至りました。当社とCPグループは、定期的に業務提携委員会を開催したり、取締役及び社員の派遣も実施するなど具体的な協業を開始しました。中でも決定的な一手となった共同取組が、CITIC Limitedへの共同出資です。

2.CITIC Limited、Charoen Pokphand Group Company Limited、伊藤忠商事の3社間で戦略的業務・資本提携契約を締結

中国最大のコングロマリット

2015年1月、中国最大のコングロマリットであり香港ハンセン株価指数を構成するCITIC Limited(以下、CITIC)の株式20%を総額約1兆2,000億円で、当社とCharoen Pokphand グループ(以下、CPグループ)の折半出資により取得することを3社間で合意すると共に、3社間で戦略的業務・資本提携契約を締結しました。
CITICは、中国政府がCITICグループを通じて実質的に過半を保有する政府系企業です。金融事業、資源・エネルギー関連事業、製造業、エンジニアリング、不動産事業など多岐にわたる事業を中国及び海外で展開しています。
中国の発展と共に培ってきたさまざまな業界におけるリーディングポジションと業種ごとの高度な専門性を活かし、中国の持続的成長に伴うビジネスチャンスを掴んでいく力を十分に備えています。

極めて異例の資本参画の背景にある「歴史」

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資本参画が持つ意味をご理解いただくには、歴史を1970年代まで遡る必要があります。当時の中国は、鄧小平氏の指導のもと改革開放路線に舵を切ったばかりでした。1979年、政府100%出資により、政府の経済面での対外的な窓口としての役割を担う中国国際信託投資公司(のちのCITICグループ)が設立されました。設立後は、改革開放に始まり「世界の工場」から「世界の消費市場」への変貌、世界第2位の経済大国への飛躍といった中国が辿ってきた一連の経済発展を支え続けてきました。
中国が現在進めている国有企業改革の柱の一つが、経営ノウハウの吸収や国際展開の加速に繋げることを目的に、外国資本を含む民間資本の受け入れを進める「混合所有制」です。この改革により今回の当社とCPグループによる20%もの資本参画が可能となりました。
CPグループは、1979年に外資企業としてはじめて中国に進出しました。一方の当社も、1972年9月の日中国交正常化の半年前に日中貿易再開の批准を取得し、日本企業の先陣を切ってビジネスの端緒を切り拓きました。
CPグループは、養鶏や養豚、卵を中心に生産性向上のためのノウハウ提供や農産物の買い取り、融資などを通じ、農業の振興と農民の所得増加に貢献するなど中国政府が進める農村改革に尽力してきました。当社も、中国が外資・海外技術の導入を慎重に進めていく中、日本企業との仲介役となり、人々の生活が豊かになることを考えながら産業の育成等に貢献してきました。
こうした当社とCPグループの長きに亘る中国との関わりに対する評価に加え、3社が「Win-Win-Win」の関係により、共に大きな企業価値向上を実現できるという戦略的な意義が異例の資本参画実現の背景にあります。

2つの強みが重なる領域への投資

3社の経営資源の融合や優良資産の共同取得などを通じて、中国で進む「量から質への転換」に伴う需要を幅広い事業領域で掴んでいくことができます。また、中国にとどまらず、アジア全域、そして当社のネットワークを通じて世界へと展開していくことも可能になります。当社にとっては、これまで参入が難しかったさまざまな領域での商機が期待でき、長い時間をかけて磨き上げてきた「中国」「生活消費関連分野」といった2つの強みの一層の強化に繋がります。
また当社とCPグループがCITICの20%の株式を取得したことで、CITICは当社の持分法適用関連会社となり、CITICの連結純利益の10%を当社が取込むこととなります。これらが日本企業による1件当たりの対中投資額として、日本の総合商社の1件当たりの海外投資額として、また当社史上、いずれも過去最大額となる約6,000億円を投じた理由です。

競争優位を新次元に引き上げる「生きた情報」

当社の「中国最強商社」としてのリードを、一層拡げ得る優位性の一例をご紹介します。
総合商社にとって「情報」はビジネスを迅速に立ち上げ、確実に成功に導くための大変重要なファクターです。中央政府との密接な関係を持つCITICグループを通じ、当社は、かつては入手できなかった「生きた情報」にリアルタイムでアクセスできるようになりました。例えば、中国経済の政策的な方向性、人的ネットワークや案件の有望性などに関する深い情報が得られています。CPグループの華僑ネットワークと合わせ、本戦略的業務・資本提携によって得た無形の競争優位によって、当社の中国戦略は異なる次元に移行しました。

CITICの企業価値にインパクトを与える「大きなしかけ」

本戦略的業務・資本提携で当社は、CPグループと共にCITICに約1兆2,000億円を折半出資しました。CPグループは当社の株式4.7%(2016年3月末時点)を保有する大株主です。一方の当社も中国・ベトナムにおいて飼料事業、畜産・水産関連事業、食品加工事業を展開するCPグループの中核企業C.P.Pokphand社の株式25%を保有しています。3者は運命共同体と言えます。
当社にとっては、1案件では当社史上最大規模の6,000億円という投資額に見合ったリターンを得ていくためには、商流に入りトレードを拡大することに加え、CITICグループ、CPグループの「企業価値の拡大」に全力を投じ、取込利益、時価総額の拡大を目指す姿勢が必要になります。
金融部門が収益力の8割を占めるCITICの収益構造の変革に、生活消費関連分野を中心とする非金融部門の拡大を通じて貢献していくことは、同グループの企業価値に大きなインパクトを持ちます。例えば、リーテイル、加工食品、畜産、穀物などの食料分野、ブランドビジネスなどの衣料分野、通信分野、医療分野など、極めて広範な領域でシナジーの創出が可能です。
一方、約110兆円の資産規模を有し、2015年度も8,000億円規模の純利益を創出する力がある巨大企業集団であるCITICの収益構造に影響を及ぼすには、相応の「大きなしかけ」が必要となります。そのため当社は、提携効果を急ぐあまり拙速に走るのではなく、長期的な視座のもとで慎重に案件を見極めています。

「三方よし」を貫き長期的にシナジーを生み出していくために

人材派遣や交流も短期・長期の両面で進めています。当社、CITIC/CPグループのトップマネジメントが戦略協議委員会で協業の方向性の摺合せを行うほか、シニアマネジメントレベルも経営協議会を開催し、本格的なシナジー創出に向けた具体的な協議を行っています。長期持続的にシナジーを創出していく上でのカギを握るのは、将来を担う中堅社員レベルの信頼関係の醸成です。社員を選抜すると共に、経営方針・価値観・歴史・主要ビジネス等への相互理解や、シナジーの創出に向けた可能性を深く議論する場を設けています。このように3つの企業集団は、未来志向でお互いの企業価値を高めていくという想いを共有しています。CITIC /CPグループをはじめ、あらゆるパートナーを利すると共に、中国・アジアの人々の豊かさに貢献していくという、当社の商売の根底にある「三方よし」の具現化こそが、当社に持続的な利益成長をもたらすと確信しています。