都市ごみや食物残渣等の廃棄物を活用した燃料生産事業

当社は都市ごみ、廃棄物から水素、リニューアブル燃料の生産を目指す米国企業Raven SR Inc.(以下Raven)へ投資をしています。
Ravenは、植物系廃棄物や都市ごみ、都市ごみの発酵により発生するメタンガス、有機廃棄物から水素やSAF※等のクリーンな燃料を製造する技術を有しており、第一段階として水素製造プラントの商業運転を開始する予定です。燃焼プロセスを伴わない同社技術は長期間安定的に再生可能燃料を製造する持続可能な選択肢となります。
地域や地方自治体で発生する廃棄物を処理して燃料化することで、各地域が抱える環境や脱炭素の課題に沿った解決法を提供することが可能になると考えており、当社はRavenとのタイアップによりプロジェクトの実現を図っていきます。
※Sustainable Aviation Fuel=持続可能な航空燃料。航空業界での脱炭素施策として今後幅広く導入される見通し。

水素生産プラントイメージ

SAF生産プラントイメージ

また、当社は食品残渣からメタン発酵を経てバイオガスを製造する装置の製造・販売を行う米国企業Chomp社(以下Chomp、旧Impact Bioenergy)に出資しています。
米国では環境保護の観点から埋め立てごみの規制が強化され、ごみ排出総量を削減する意識が高まっており、カリフォルニア州は2022年1月から各自治体に対して有機性廃棄物の回収サービスの提供及びリサイクルを義務化するなど、廃棄規制の流れが広がりつつあります。また2022年8月には連邦政府によるインフレ抑制法案が可決され、再生可能エネルギー・燃料生産事業に対する補助金が一層拡大しています。このような状況下で食品残渣に関わる負担を軽減、活用するソリューションが注目を集めています。

Chompは食品残渣などの有機廃棄物を活用して中小型の嫌気性メタン発酵を経てバイオガスを製造する装置を開発し、製造・販売しています。装置は中小型のため導入がしやすく、製造されるバイオガスは設置施設の電力、燃料用途に使用されるほか、ごみ処理に関するコストや輸送費を削減することが可能です。

当社は、今後ごみの規制が強化されることを背景に、同社の装置が即効性のある食品残渣の処理方法として一層需要が高まると見込んでおり、Chompの米国内での販売、生産体制の拡大支援や、中長期的には伊藤忠商事の海外ネットワークを活用した海外展開を目指します。