マニラ麻農園の発展に向けたCSR活動開始

-伊藤忠商事マニラ支店開設100周年、創業の精神に回帰-

2012年6月11日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は1912年に開設したマニラ支店が100周年を迎えるのを記念し、フィリピン中部のソルソゴン州イロシンの農村地帯においてマニラ麻農園リハビリテーション・プロジェクトへの資金援助(以下「本事業」)を行うことを決定し、6月8日にマニラにて開催された記念式典の中で、フィリピン農業部傘下のFiber Industry Development Authority (繊維産業開発局、以下「FIDA」)、及びSt. Ann's Family Service Cooperative(農業組合、以下「SAFSCO」)との間で本事業に関する協定書を調印致しました。 本事業を通じて1912年以来フィリピンにて事業活動を継続していることに対し、地域社会へ感謝の意を表明すると共に、フィリピンにおけるCSR活動の中核的事業と位置付けて参ります。

本事業概要

1. 背景

1915年、マニラ麻(アバカ)産業の創成期、伊藤忠商事の前身である伊藤忠合名会社が全額出資してフィリピンに設立した古川拓殖株式会社がフィリピン・ミンダナオ島のダバオにてマニラ麻の栽培事業を開始しました。その創業者古川義三氏は伊藤忠兵衛氏の親族であり、伊藤忠合名会社はこの事業を全面的に支援し、マニラ支店の歴史はマニラ麻事業と共に始まったとも言えます。当時日本人経営のマニラ麻関連会社は最盛期71社にも上り大変な活況を呈しておりましたが、終戦と共にそれらの活動は終わりを告げ、更に1970年代に発生した疫病の為多くのマニラ麻農園が壊滅し、マニラ麻栽培事業は危機的な状況に陥りました。

フィリピン政府はマニラ麻栽培を農村開発の重要産業と位置づけて耐病性マニラ麻の開発を開始し、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」)もマニラ麻産業支援に乗り出しました。本事業は伊藤忠商事のマニラ支店の原点を見つめ直すと共に、地域社会とのかかわりの観点から現在デニムの生産拠点となっているフィリピン繊維産業への貢献を行うものです。

2. 意義

マニラ麻の繊維は植物繊維としては最も強靭なものの一つであり、ロープや特殊紙(紙幣や封筒)などに用いられています。

本事業により、約14万4千本のマニラ麻の植付及び栽培と年間18トンのCO2吸収が見込まれます。また、フィリピン政府が「フィリピン開発計画」で掲げている貧困地域での雇用対策に沿って対象地域の経済発展及び伊藤忠商事の祖業でもある繊維産業への貢献も見込まれます。CSR活動の観点においては、国連ミレニアム開発目標の「極度の貧困と飢餓の撲滅」、「環境の持続可能性の確保」に合致した事業となります。

3. プロジェクト実施地域

ソルソゴン州はフィリピン国内において経済発展が遅れた地域とされており、JICAにも多くの支援要請が入っています。また、マニラ麻産業発展を担当する青年海外協力隊員も常駐しています。
本プロジェクトは2012年8月から開始予定で、FIDAは技術支援や 適正苗の推薦、SAFSCOはマニラ麻の植付や農民管理全般を担当し、伊藤忠商事は2014年3月までに実施予定の90ヘクタール分のマニラ麻の植付と栽培に必要な資金の全額である200万円を拠出します。

伊藤忠商事は「環境保全」と「地域貢献」を社会貢献活動の柱に掲げ、今後も事業活動のグローバル化が進む中で、地域社会との持続可能な発展に資する活動を推進することで、企業理念である「豊かさを担う責任」を果たして参ります。