伊藤忠商事が京都大学野生動物研究センターのアマゾンの生態系保全プログラムを支援

2016年4月21日

伊藤忠商事株式会社は、社会貢献活動基本方針の一つとして掲げる「環境保全」を目的として、京都大学野生動物研究センターが国立アマゾン研究所と進めるアマゾンの熱帯林における生態系保全プログラム「フィールドミュージアム構想」のマナティー野生復帰事業を2016年度から3年間で、合計1,500万円を拠出し、支援致します。

アマゾンマナティーは、過去の大規模な乱獲により生息数が激減してしまい、法律によって保護されている現在でもなお、食肉目的の密漁に伴う負傷等により、保護されるマナティーが後を絶ちません。国立アマゾン研究所は保護されたマナティーを再び自然へと戻す野生復帰事業を2008年より開始しました。しかし、保護・飼育されたマナティーは放流後野生へ適応することは難しく、京都大学野生動物研究センターは、このマナティーの野生復帰事業の確立を目指し、2014年より国立アマゾン研究所と共に現地で活動しています。今回、伊藤忠商事が支援することで3年後に9頭以上を野生復帰、20頭以上を半野生復帰させることを目指します。これらの活動の支援により、豊かな生物多様性が失われる危機に瀕しているアマゾンの環境保全に貢献していきます。

伊藤忠商事の支援予定内容

  • 生態系保全プログラム「フィールドミュージアム構想」のマナティー野生復帰事業の支援
  • 半野生復帰のマナティー専用の湖と生簀の設置(マナティーの健康管理含む)
  • 水槽の排水処理システムの導入
  • 放流後のモニタリング

アマゾンマナティーの野生復帰プロセス

水槽飼育:保護されたマナティーを水槽で飼育(現在約60頭飼育)

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1-2年後:半野生復帰:アマゾン川沿いの湖に放流し、半野生復帰(毎年6-7頭半野生湖へ放流目標)
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2年後 :野生復帰:アマゾン川へ放流(毎年3頭放流目標)

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「フィールドミュージアム構想」とは

ブラジルのアマゾン中心部にあるマナウスでは、アマゾンでも特に多様で貴重な自然環境が存在していますが、その生態系が都市の急速な拡大によって失われつつあります。その問題を解決するために、京都大学は国立アマゾン研究所と共に「フィールドミュージアム構想」を進めており、貴重な生態系が身近に広がるマナウスの立地条件を活かして、博物館のように従来の「箱もの」に展示物が入っているというスタイルではなく、地域の自然や生物の営みそのものを展示物とみなし、研究・普及活動を行っています。日本が得意とする先端技術を利用して、絶滅危惧種の生物や、その生息環境の研究・保全、そして地域住民への環境教育を行い、地域社会の持続可能な発展に寄与することを目指しています。これは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施している、地球規模課題解決と将来的な社会実装に向けて日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3~5年間の研究プログラム、SATREPS(サトレップス)プロジェクトの一つです。

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マナティー野生復帰事業の実施場所