伊藤忠商事がアマゾンの生態系保全のための研究施設「フィールドステーション」建設を支援

2017年4月12日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は、ブラジル アマゾン地域で実施されている「フィールドミュージアム構想」における研究施設兼ビジターセンター「フィールドステーション」を建設するための資金として、1,900万円を独立行政法人国際協力機構(JICA)に寄付します。本活動を通じて当社の社会貢献活動方針の一つである「環境保全」を実現し、豊かな生物多様性が失われる危機に瀕しているアマゾンの生態系の保全に貢献していきます。
伊藤忠商事は2016年から「フィールドミュージアム構想」の一つである「アマゾンマナティーの野生復帰事業」を支援していますが、今回は新たにアマゾンの熱帯雨林とその生態系に関する研究施設「フィールドステーション」(2017年度着工予定)について、施設内の食堂や展示会場など来訪者が集う施設(ビジターセンター)を建設・整備するための資金を寄付します。これらを通じて、アマゾンの熱帯雨林に生息する多種多様な動植物・豊かな自然と触れあう機会を提供し、地域住民や観光客の方々への環境教育に貢献します。
なお、本取組はJICAが民間企業と協力してアマゾンの生態系保全に取り組む初めての事例となります。

「フィールドステーション」(ビジターセンター)完成予想図

「フィールドステーション」(ビジターセンター)完成予想図

「フィールドミュージアム構想」とは

ブラジルのアマゾン中心部にあるマナウスには、アマゾンの中でも特に貴重かつ多様な生態系が存在していますが、それらが都市の急速な拡大によって失われつつあります。京都大学と国立アマゾン研究所(INPA)が共に、従来の博物館のように「箱もの」に展示物が入っているというスタイルではなく、マナウスの立地を活かし地域の自然や生物の営みそのものを展示物とみなし、生態系保全に向けた研究・普及活動を行っています。これらの一連の取組を「フィールドミュージアム構想」といいます。

日本の先端技術を利用して、絶滅危惧種の生物やその生息環境の研究・保全、そして地域住民への環境教育を行い、地域社会の持続可能な発展に寄与することを目指しています。
本構想は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)とJICAが共同で実施している「SATREPSプロジェクト」(地球規模の課題解決と将来的な社会実装に向けて日本と開発途上国の研究者が3~5年単位で共同研究を行うプログラム)の一つです。

相関図

「フィールドステーション」とは

「フィールドミュージアム構想」の主要施設の一つ。INPAの保護区における動植物の長期モニタリング研究及び、生態系体験施設。2017年度着工予定。併せてビジターセンターの整備を行い、約5,000人/年の来場者を予定。地域住民への環境教育及び啓蒙を図る。
建設にあたっては、アマゾンの原生林ではなく二次林の地域を選び、INPAが事前に周辺自然環境の調査にて希少種の不在を確認した上で、政府関係機関の許可を取得し、環境に十分配慮して建設を進めることになっています。

<現在予定されている研究テーマ>
・デンキウオおよび小型魚類の生態に関する研究
・音響技術を用いた河川の水中音の季節変化などの研究
・マナティーの野生復帰に関する研究
・センサーカメラを用いた哺乳類、鳥類の生態調査
・浸水林や森林の植物相の解明